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<インタビュー>Billboard Global Power Players vol.15 伊澤一雅 一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)理事長

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 米Billboard誌が、アメリカ以外の国で音楽ビジネスの成功を牽引しているリーダーを称える【Billboard Global Power Players】。各国から音楽業界を牽引するリーダーが選ばれた中、JASRACの伊澤一雅理事長が、初めて選出された。今回、本選出を記念し伊澤氏へインタビュー。日本の音楽が世界へと広がる中で生まれた課題や、JASRACならではの対応力について話を聞いた。(Interview & Text: 高嶋 直子 / Photo: 辰巳隆二)


データマッチングはビジネスをドライブするリソースの一つ

――2022年にJASRACの理事長に就任され、権利者と利用者双方のコミュニケーションの強化と、デジタル化に注力されてきました。どのような4年間でしたか。

伊澤一雅:我々の事業内容は、音楽を利用される方から利用申請をいただき、その対価として著作権使用料をお支払いいただく、そしてその使用料をクリエイターへ分配することです。音楽ビジネスが持続的に成長するためには、クリエイターへの著作権使用料の分配は絶対に間違えてはいけませんし、止めることも許されません。1980年代から、既にある程度の業務はデジタル化していましたが、運用もシステムも何があっても絶対に止まらない堅牢さを一番大切に考えていました。JASRACに紙で作品届を提出する際は、届出印の押印が必要です。他人が成りすまして、対価を得るようなことがあっては絶対にいけませんから。現在は、オンラインでの提出がメインですが、これらの対策は万全を期しています。

――音楽の聴かれ方も変わっていますね。

伊澤:ええ、2000年に法律が変わって、民間事業者も著作権管理事業に参入できるようになり、音楽の聴き方もCDからデジタルへ移行するなど、当社を取り巻く環境が大きく変化しました。そこで、これからは、堅牢性だけでは駄目だ、堅牢なシステムでありながら、変化の早い世の中にも対応していける力も必要だと感じました。なので、私が理事長に就任してからは、そのレジリエンスを強化していきました。

――先日、中期経営計画で、海外からの入金の拡大を強化されていくと発表されていました。

伊澤:5年前の海外入金は約11億円でしたが、2025年は約29億円と、2.6倍に増加しました。それでも、まだまだ足りないと思っています。テレビやラジオ、レコードといった産業が普及する速度は各国の発展の度合いや法制度が整うスピードによって大きく違います。ですがインターネットを使った新しいサービスというのは、ほぼ同じスピードで地球上に広がっていきます。ですので、ここ数年で音楽や動画の配信サービスが一気に普及していったのは、各国の著作権管理団体にとっても、大きな成長のチャンスだと感じています。一方で、異なる言語のデータを一致させるという新たな課題が生まれました。日本語、韓国語、タイ語といった異なる言語、そして異なるIDで管理している楽曲を、どうやって一致させていくのかという課題です。

――それらを解決するために、2023年に主要なデジタル配信サービスのコンテンツ情報と楽曲情報を共有・交換するGDSDXを発表されました。

伊澤:そうです。そして、その時に力を貸してくれたのがグローバルで展開されているDSPでした。SpotifyやApple、YouTubeといった各国で展開されているDSPの管理コードを使って、異なる言語同士でもマッチングすることが可能になりました。フィリピン、韓国、インドネシア、台湾と日本によって、2023年にスタートしましたが、今は18の国と地域にまで広がり、最近フランスも加わりました。フランスは、1851年に著作権管理団体が世界で初めて設立された国です。そんなフランスが参加してくれたというのは、GDSDXが高く評価された証だと思っています。いくら良い作品を生み出し、数多くの人に聴かれたとしても、作品が特定されなければ対価として払うことはできません。世界中にコンテンツを発信できるようになった今の社会において、データマッチングは非常に重要であり、ビジネスをドライブするリソースの一つになっています。


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  1. 「世界中で聴かれている自分の楽曲の著作権を保護し、対価を得るには」
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世界中で聴かれている自分の楽曲の著作権を保護し、対価を得るには


――誰でも音楽を配信できるようになったことで、世界中から1日に10万曲以上の新曲がリリースされていると言われています。

伊澤:CDで音楽を聴いていた時代は、CDを作る工場の生産能力が発表できる新曲の上限でした。2000年以前から、分配や請求の計算はデジタル化していましたが、発行されるCDの目録などは紙にボールペンで書いて複写したカーボン紙が送られてきていたんです。それでも十分、対応が間に合いましたから。それが今のような時代になり、どれだけ速く正確にそれらの情報を集められるか、そして効率的に世界中の著作権管理事業者の間で共有できるかが課題になりました。

 まずは、プロ・アマ問わず、全ての音楽クリエイターが自身の著作権に関心を持ち、オンラインで簡単に保護・管理できるようにしたいと考え、楽曲情報管理システムKENDRIXの提供をスタートしました。そして、クリエイターの皆さんに、著作権に対する知識を深めていただくようなイベントやメディアも運営しています。エジソンが蓄音機を発明してから2000年頃までの音楽産業に起こった変化のスピードも速かったですが、グローバルDSPが現れてからは、さらに凌駕するスピードでインターネットを使った新しいテクノロジーでのビジネスが生まれ、進化しています。

――さらに生成AIも生まれました。

伊澤:そうですね。テクノロジーであり、音楽ビジネスの参加者にもなり得るAIも誕生しています。新しいテクノロジーを否定するのではなく、そういう状況の中で、音楽著作物が持つ価値をどのように高めていくのか、それらとともにどう創作者が成長していくのかが、今の音楽著作権や音楽産業に関わる人たちの共通の課題です。そして、クリエイターの皆さんにはJASRACでも、他の管理団体でも構いませんので必ずCMO(Collective Management Organization:著作権管理団体)のメンバーになっていただきたい。そうすることで、世界中で聴かれている自分の楽曲の著作権を保護し、対価を得ることに繋がりますから。

――まもなく【MUSIC AWARDS JAPAN】の二回目が開催されます。どのような期待を寄せられていますか。

伊澤:我々は1回目からプライズパートナーとして参加しています。昨年も会場で拝見しましたが、日本の音楽を世界に向けて発信しようという同じ目的で5つの音楽関係団体が結束をするとこんなことができるのかと、久しぶりに心の底からワクワクさせていただきました。さらに、当協会も4月からCEIPA(【MUSIC AWARDS JAPAN】の主催団体)の理事に加わりました。CEIPAの目的は、日本の音楽を世界に届けることですが、その時にはやはりメタデータの整備が不可欠です。我々は、これまでメタデータの整備をずっとやってきていますから、音楽著作権の国際的な保護、そして音楽の創作者への対価の還元のさらなる拡大に向けて協力していきたいと思っています。


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