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<コラム>「不完全な少年たちの熱い音楽」に想いを込めて——デビュー1年でアジアを席巻したDragon Ponyが日本に刻む、新たなK-ROCKとは

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Text:筧真帆


 韓国でいま、バンドが面白い。ダンス系K-POPの隙間を縫うように、ギターやドラムを鳴らす若いバンドたちが次々と台頭している。

 中でも頭角を現してるのが、Dragon Ponyだ。デビューから1年余りの新人バンドにして国内外で活躍し、韓国でのワンマンは常に熱狂に包まれる盛況ぶりだ。そんな4人が、本格的に日本へ上陸した。

Dragon Ponyが誕生するまで

 Dragon Ponyは、2024年9月に韓国の音楽事務所Antennaからデビュー。ボーカル&ギターのアン・テギュ(25)、ベースのピョン・ソンヒョン(24)、ギターのクォン・セヒョク(23)、ドラムのコ・ガンフン(23)の4ピースバンドだ。バンド名は、辰年(2000年)生まれのテギュと、午年(2002年)生まれのソンヒョン、セヒョク、ガンフンが集まったことから、辰+午=Dragon Ponyとメンバーたち自ら命名。日韓ともに干支が根付いている文化圏同士、名づけのエピソードに親近感を覚える。

 彼らを輩出したAntennaは、数々の名曲を生み出している音楽プロデューサーのユ・ヒヨルが設立、アーティスト・ファーストの姿勢で知られる事務所だ。

 所属には、ベテラン音楽家のチョン・ジェヒョン、バンドRollercoaster出身のイ・サンスン、フォークの詩人Lucid Fall、カリスマ的女性アーティストのイ・ヒョリ、ニューセラピー・2人組バンドのPEPPERTONES、女性シンガーソングライターのパク・セビョル、SUPER JUNIORのメンバーで、甘美な歌声のバラード歌手キュヒョン、バラード系男性シンガーのチョン・スンファンと、幅広い音楽人たちが集っている。そんな事務所で、Dragon Ponyは練習生時代からデビューまでの過程を共にしてきた初のバンドとして誕生。デビュー前から諸先輩たちとの交流を通して、豊かな音楽性が育まれたのではないだろうかと想像する。

 4人は各々のタイミングで事務所のオーディションを受けてバンド結成に至ったのだが、実はソンヒョン、セヒョク、ガンフンは音楽を専門とする同じ高校の同級生として顔見知りだった。練習生となってからは、プロのバンドとなるべく約2年間のトレーニングを経た後、デビューにあたって代表のユ・ヒヨルから2つのミッションが課せられた。「SNSフォロワー2万人達成」と「ワンマンで500人動員」だ。数々の路上ライブ等を重ねた結果、SNS開設後約3ヶ月でフォロワーは4万人を突破、ファイナルデビューミッションのワンマン公演は1分で即完。確かな腕前で軽やかにロックを奏でる彼らの出現は、バンドフリークの間で話題となった。

Dragon Ponyの音楽

[MV] Dragon Pony (드래곤포니) _ POP UP

 Dragon Ponyの音楽を理解するうえで、ディスコグラフィーを追ってみたい。

 デビューEP『POP UP』(2024年9月)のタイトル曲「POP UP」は、パンクの影響を受けたエネルギッシュな楽曲で、70〜80年代のハードロックDNAがベースにある。<自分らしく、不完全なままでいい>という自由な宣言をキャッチ―なサウンドに乗せ、ライブで観客を巻き込む1曲だ。

 2ndEP『Not Out』(2025年3月)は、テギュの伸びやかなパワーヴォイスが炸裂するアンセム型のロック「Not Out」と、ギターの叙情的なトーンを前面に出したバラード「NEVER」との振れ幅の大きいダブルタイトルで、彼らの引き出しの多さを証明した。


[MV] 'Not Out' | Dragon Pony (드래곤포니) EP [Not Out]

 続くシングル「Radio Silence(地球少年)」(2025年7月)はデビュー前に書いた楽曲で、ギターとベース、ドラムが幾重にも重なる密度の高いサウンドが特徴だ。コード進行に独特のひねりがあり、浮遊感のある切なさに当時の孤独や迷いが刻まれ、ロックリスナー以外からも評価が高い。3rdEP『RUN RUN RUN』(2026年3月)のタイトル曲「아 마음대로 다 된다!(Oh Perfect!)」は、イントロから疾走感全開のギターリフに始まり、リズム隊が畳み掛けるアップテンポかつパワフルな曲だ。“自分らしく生きる”というテーマはデビュー曲と共通しながら、サウンドの密度と勢いをより強化させている。

 Dragon Ponyの楽曲は、一貫して“自分らしくあること”をテーマに据えている。そのうえで、高揚感のあるポップロックから、叙情的バラード、密度の高いオルタナサウンドまで、アプローチは毎回違う。メンバー全員で詞曲から編曲まで手がけるからこそ、型にはまらない多様さが生まれ、ライブではより増幅。「音源以上にライブがさらに良い」と支持されている。



[MV] ‘아 마음대로 다 된다!’ | Dragon Pony (드래곤포니) EP [RUN RUN RUN]

 デビュー後の動きには目を見張るものがある。2024年内だけで複数の韓国フェスに出演し、12月にはタイの大型フェス【Big Mountain Music Festival】で初の海外出演を果たした。

 そのほか、台湾、マレーシア、香港、ベルリンでのフェス出演に加え、昨年5月には台湾でのワンマン2デイズも成功。さらに米Billboardの「K-POP月間ルーキー賞」(2025年5月)にも選出されている。

 ちなみに韓国のフェスティバル関係者からは、「短期間で格段に上手くなっていて、成長ぶりが面白い」という声も聞かれ、様々なフェスやイベントに招聘されるのも納得だ。

 日本へは、昨年10月に韓国アーティストのショーケース【Korea Spotlight】で初来日。同11月にソウル、今年1月には東京で、神はサイコロを振らないとの対バンを実現させた。さらにMrs. Green Appleの若井滉斗とのYouTube共演、ONE OK ROCKソウル公演での交流、Eve「廻廻奇譚」のカバー動画にEve本人からのリアクションが届くなど、国内外で活躍の場を広げながら交流の輪を広げている。


メンバーについて

 ここからは、メンバーについて深堀りしてみよう。

 リーダーでボーカル&ギターのアン・テギュは、8歳のころから7年間ピアノを習い、中学ではキーボードとドラムを習得。芸術高校ではドラム専攻で入学したものの、幼いころから歌うことが大好きだったため、ボーカル専攻へ転化。ブルーノマーズやONE OK ROCKのTAKAなどを好きなアーティストに挙げる。しなやかで透明感のある歌声ながら、力を込めた瞬間に野性味を帯びた声を放つ。テギュのボーカルはそのギャップそのものが武器で、ライブでは更に緩急のある表現力でパフォーマンスをけん引し、聴く者を圧倒する。

 ベースのピョン・ソンヒョンは、声楽家の母を持つ音楽一家に育ち、小学校のころから兄に連れられて音楽教室に通い始めたのが音楽との出会いだ。ソウル芸術大学に早期入学するほどの実力を持ち、韓国音楽界レジェンドのソ・テジ、女性シンガーソングライターのイ・ジナ、ビートルズらを影響源に挙げる。間口の広い音楽的バックグラウンドが、Dragon Ponyのサウンドに多層的な厚みをもたらしている。

 ギターのクォン・セヒョクは、幼少期にチェロを習っていたが、中学で学校にギターブームが到来したのをきっかけに転向。高校でエレキギターに出会い、様々なジャンルを経てバンドサウンドへとたどり着いた。フー・ファイターズ、フェニックス、AC/DCをルーツに持ちながら、演奏中は常に観客の反応を意識してギターのトーンを考えるというスタンスが、ライブでのグルーヴを生み出している。

 ドラムのコ・ガンフンは、母親が元々やりたかったという理由で、8歳から電子ドラムを習うことに。塾の宿題よりもディープ・パープルやメタリカを耳コピしていたというエピソードが示す通り、ロックへの愛は筋金入り。ロールモデルはフー・ファイターズのデイヴ・グロール。「1曲目で自分たちのエネルギーがしっかり伝わることが最重要」と語るほどライブへの意識が高く、Dragon Ponyの爆発力の源と言えよう。こうした4人4色の音楽的バックボーンが、多彩なジャンルを奏でるバンドの土台となっていることが理解できる。


日本デビュー&日本初のワンマンツアー

 そんな彼らが、2026年6月10日にJapan 1st EP『Run to Run』をリリースし本格的に日本デビューを迎えた。メンバー全員が楽曲制作に参加した、渾身の日本オリジナル曲たちが収録されている。 これまでの経験や感情を抱え、さらに高い目標へと加速し続ける彼らの意志が込められた日本初の作品だ。



[MV] 'Run to Win' | Dragon Pony (드래곤포니) Japan 1st EP [Run to Run]

 また同EPを携えて、日本初のワンマンツアー【DRAGON PONY 2026 Run to Run JAPAN TOUR】を開催する。タイトルは、彼らの姿勢そのもの——“止まらずに走り続けること”。デビュー以来止まることを知らないバンドが、いま日本へ向かってくる。

 Dragon Ponyの音楽に触れることで、韓国で熱を帯びるバンドの気勢を、いちはやく体感できることだろう。


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