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<インタビュー>Offo tokyo、1stデジタル・アルバム『Deja-vu』で再定義した“tokyo”の音楽

インタビューバナー

Interview & Text:高橋梓
Photo:筒浦奨太


 6月17日、下北沢発3人+猫1匹の“New Urban J-POPユニット”Offo tokyoが1stデジタル・アルバム『Deja-vu』をリリースする。2025年11月からの5か月連続デジタル・リリース楽曲やメンバーが制作した新曲、タイアップ楽曲など計24曲が収録された同作は、彼らの音楽を浴びるのにうってつけの作品だ。そんな『Deja-vu』について、本人たちにじっくり語ってもらった。

僕らって、どこまで行ってもJ-POP

――前回取材させていただいたのが2025年の12月のことでしたが、その間バンド内に何か変化はありましたか?

Seiya:絶対変化はあるはずなんですけど、目の前のことに集中しすぎちゃっていて(笑)。でも、役割がより一層はっきりしたかもしれないですね。Shotaは楽曲制作などのクリエイティブ周りのこと、Hiiraはステージ上での魅せ方、僕はライブ制作と、分業がより顕著化した気がします。

Shota:楽曲のことでいうと、前回の「イカサマプロジェクト」がある意味とっ散らかっていたというか、いろんなものをやってみるという企画だったので、それを経て「何でもやってみていいのかな」というマインドになりました。知らず知らずのうちに自分で幅を狭めていたのが広がった感覚です。

Hiira:その楽曲の振り幅みたいなところがライブにも反映されてきているので、同じ曲でもクールにやってみる日もあれば、ロックな熱量でやる日もあって。ライブでいろいろチャレンジしている中で、その振り幅も大きくなっている気がします。


――そんな中で1stデジタル・アルバム『Deja-vu』がリリースされます。今までの楽曲をこうしてひとつの作品にしてみたことで、「改めて見えたOffo tokyoの音楽性」もありそうです。

Seiya:僕、収録順で頭から最後まで聴いてみたんですよ。Offo tokyoはミックスジャンルですが、「tokyo」が名前に入っているぶん、都会で生活している人間の煌めきと翳りみたいなものがはっきり見えて。だけど、その中にちょっとしたノスタルジーさがあるんですよね。なんでだろう?と考えてみると、地方から出てきて東京で生活している僕らが持っている原風景のようなものが、エッセンスとしてにじみ出ているからなんじゃないかなって。Shotaは、制作する時にそのエッセンスを出そうとはしていないと思うんですけどね。

Shota:そうだね。僕らって、どこまで行ってもJ-POPなんですよね。いろんな音楽が好きで、アイデアを取り入れたりはするけども、あくまでも自分たちなりにJ-POPのフィールドで出力しているというか。



Photo:筒浦奨太

――あー、なるほど。表題曲「Deja-vu」を聴いた時に近しいことを感じました。

Nemo:でも、「Deja-vu」に至るまでには若干反省があって。「イカサマプロジェクト」でいろんなことをやった結果、自分たちを見失うという(笑)。いろんなジャンルに手を付けてみて、「俺たちはイカサマだ!」と言った結果、「あれ、イカサマとは何なんだ……?」みたいな。いろんなものをガーッと混ぜたら、最後は透明になっちゃいました。なので、今回のアルバムを機に自分たちが思う「tokyo」と「かっこいい」を、変なコスプレなしに再定義してみようということになって。それで生まれたのが「Deja-vu」です。

Shota:そうですね。

Nemo:今の東京を切り取ったような曲を、音楽的な遊びは一回ナシにしてやってみよう、と。なので、尺も4分を超えているんです。今ってトレンド的には曲尺が短いじゃないですか。でも「Deja-vu」に関してはマーケティングやサブスクのバイラルなども抜きにして、Offo tokyoが思うかっこいいことをやってみました。

Shota:ちなみに、曲尺は今まででいちばん長いですよ。

Nemo:あとは、最近あまりやっていないソロ回しなど、効率的ではないことも進んでやっていますね。


――「Deja-vu」に限ったことではないかもしれないのですが、Shotaさんが楽曲を作る際は、Nemoさんがお話してくださったような内容を経てから制作を始めているのですか?

Shota:「Deja-vu」に関してはそうですね。リード曲を作るためのミーティングがあって、「Deja-vu」の前に2曲くらいデモを出していたんです。それをみんなで聴いたのですが、まだ自分たちを見失っていて(笑)。ああでもない、こうでもないと話して、ようやく“実家の住所”のような部分にたどり着いて、3曲目に書いたのが「Deja-vu」でした。

Nemo:今思うと、見失って「Deja-vu」で気づくまでが「イカサマプロジェクト」だったのかもしれない。

Shota:そうかも。で、「Deja-vu」は90年代のアシッドジャズ的なムーブメントから着想を得ていて。タイトなリズムと、ちょっとジャジーなコード感でJ-POPマナーなメロディを膨らませていきましたね。


――そんな「Deja-vu」に対して、歌や演奏などのアプローチはどのように組み立てていったのでしょうか。

Seiya:僕はかなり遡ってリファレンスをしました。エレピソロはハービー・ハンコックのような色が出たらいいなとか、ジョー・サンプルのようなテンションコードを入れてみたりとか。あとはジャミロクワイもかなり聴きましたね。そういったものを取り入れて作っていきました。

Shota:ご一緒したアレンジャーの宮野弦士くん、「はじめまして」でしたが、同い年で音楽の好みも似ていて。構成も一緒にやったんですけど、ツーカーでした。

Nemo:彼は本当にドラえもんみたいだったよね。「こういうギターいいよね」といえば「これですか?」、「こういうエレピどうかな?」といえば「これですね」と、どんどん出してくださって。

Shota:僕らがやりたいことをちゃんと汲んでくれて。いい出会いでしたね。僕、宮野くんを知らなかったんですけど、もともと好きで聴いていた曲を手掛けていたのが彼だったということにあとから気づいたり。また一緒にやりたいですね。

Hiira:歌に関しても、デモに宮野くんの仮歌が入っていたんです。それがもう完成されていて。「こういうふうに歌って」というのがめちゃくちゃわかりやすかったです。僕は通ってきていないジャンル感だったので、デモを聴いてレコーディングまでなじませながら調整していきました。なるべく宮野くんの中にある正解に沿いつつ、Hiiraの声で表現するというイメージです。当日のレコーディングもディレクションしてもらったので、すごくわかりやすかったです。



Deja-vu / Offo tokyo


――そして、皆さんがそれぞれ作った新曲も収録されています。まずはSeiyaさんの「Saturday Night」。

Seiya:これは、10曲目の「COCO TOKYO」に対する反骨精神で作りました。

Shota:え、そうなの!? 初めて聞いたけど。

Seiya:「COCO TOKYO」って、メロディがヨナ抜き(音階)っぽい、日本っぽい感じなのですが、めちゃくちゃかっこよくて。Shotaがこういう曲を作れるのが羨ましいなと思って、メロディをなるべくペンタ(ペンタトニックスケール)寄りにして、裏コード(※特定のコードの代わりに使われる“代理コード”のひとつ)をつけたことでマイナーとメジャーが行き来するような曲になりました。


――なるほど。個人的にリズム感の心地よさも印象的でした。

Seiya:00年代の西海岸っぽい――AORではなくシティ・ソウルと言われていたリズムっぽさにしようという音像で作りました。


――J-POPでグルーヴを作る面白さ、難しさもありそうです。

Seiya:ありますよ。たとえば〈気取った顔 ついた嘘〉の「顔」や「嘘」って2文字ですが、1音でいきたいんですよ。〈Light & Shadow〉の部分も、(発音が)「ライエンシャドウ」でいくか、「ライト・アンド・シャドウ」でいくかも、レコーディングしながらShotaにディレクションを助けてもらいました。

Shota:歌詞のハメ方って好みの問題なので。正解がないから難しいのですが、「ぎなた読み」みたいな感じで、特にメロディに乗ると、どこで切るかによって聴こえ方が変わってしまう。たとえば、Seiyaに言ったのが〈I wonder where we will have gone〉の「I wonder」の部分。もともとSeiyaがアイワン/ダーとしていたところを、アイ/ワンダーに聴こえるようにしてくれと言ったり。

Hiira:でも初めて「Saturday Night」を聴いた時は、すごくSeiyaっぽいなと感じました。なぜかはわからないですが、Seiyaが好きそうだなと。シングルのA面ではなく、アルバムの中にいてくれると説得力が出る曲ですよね。

Shota:アルバムっぽい、よね。

Hiira:あまりにもシングル曲が並びすぎているから、アルバムっぽい曲がほしいなと思っていた時にSeiyaがこれを出してくれたので、さすがだなと思いました。

Seiya:僕、歌詞を書いたことがまったくなくて、今回初めて書いたに等しいのですが、このアルバムの曲たちがあったから書けた歌詞です。Offo tokyoの楽曲に出てくる主人公っぽさを意識しました。



Photo:筒浦奨太

――ライブのどの辺りで披露する曲になるのかも気になります。

Seiya:まさに今、それをめちゃくちゃ悩んでいます。

Shota:そうだよね。別にみんながみんな聴きたそうな曲じゃないもんね。

Seiya:そんなことを言うな!(笑)

Shota:ライブ映えするかな?

Seiya:”Deja-vu”ツアーに来る方は楽しみに待っていてください。


――楽しみにしておきます! そしてお次はHiiraさんの「Our Life (feat. Swagcky)」。

Hiira:まずメンバーそれぞれ1曲作ろうぜという話になった時に、その場の勢いで「オッケーです。やります」とは言ったのですが、ひとりで曲を作ることをしばらくやっていなかったので、全然捗らなくて、気づけば締め切りが近づいていて。どうすれば愉しく進められるかを考えた結果、プライベートでも仲が良いSwagckyという友達を召喚して助けてもらいました。ほったらかしにしていた宿題を手伝ってもらった感じですね。


――わかりやすいです(笑)。

Hiira:Swagckyと曲をやるんだったら、これまで歌っていない感じがいいなと。友達といる時や家にいる時のテンション、ジャケットを1枚脱いだ感覚で作っていこうという話になりました。お互いに思っていることや出会ってからのことをそれぞれ書いていて。歌録りも彼の家に行って、雑談をしながら「そろそろ録るか~」とレコーディングしたので、肩の力を抜いて歌えました。


――たしかに、リラックス感は歌声から伝わってきました。

Hiira:僕、正解や理想が先にあって、それに近づけるためにどう表現していくかを考えすぎるとどうも気持ちよくなれなくて。でも今回は遊びの延長という感覚でやれたので、余計リラックス感が出たんだと思います。

Seiya:とてものびのび歌ってるよね。最初Shotaと移動中にデモを聴いたんです。すごく伸びやかだなというのが第一印象でした。

Shota:Hiiraも頑張ったんだなって。でも、僕はあんまり興味ないですけどね。

Seiya:だから、そんなことを言うなって!(笑)でもさ、〈夢見た未来にあった光と影〉ってHiiraが普段Instagramで言ってそうなワードじゃない? ちゃんとHiiraっぽさがあるよね。

Hiira:あー、たしかに。でも、この曲はSwagckyがいないと成立しない曲なので、いつかライブで披露できたらいいですね。



Photo:筒浦奨太

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それぞれの制作曲は
「初めて私服を見る感じ」

――そして、最後はShotaさんの「Believe In Billy」。インスト曲にすることは最初から決めていたのでしょうか。

Shota:そうですね。「イカサマプロジェクト」の個人的な延長かもしれない(笑)。今度はプログレっぽいものをやってみようかなと思ったのが始まりです。普段Offoのプロジェクトだとレコーディングにミュージシャンを呼んだりするんですけど、試しに全部ひとりでやってみようと。部屋にこもって作った結果、こんな感じになりました。完全に自分の裁量でできたので、気分的には意外と楽でしたね。


――途中のサックスソロもかなり熱いですよね。

Shota:ありがとうございます。


――ライブでは……。

Shota:どうですかね。なかなかライブでやるの大変ですよ、あれ。

Seiya:そんなことを言うな!(笑)

Shota:練習しておきます(笑)。

Seiya:僕もShotaも好きな音楽が共通しているので、「これはあのパッセージかな」とか「あの香りの系譜ね」と聴きながら色々よぎりました。ずっと続く変拍子を追いかけていて「あれ、見失った!」となるのも面白かったです。



Photo:筒浦奨太

――Hiiraさんはいかがですか?

Hiira:興味ないです。Shotaが頑張ったんだなって。

Nemo:やり返された(笑)。まあ、歌はないもんね。

Shota:本当に興味がないっぽくて、今の今までひと言も感想を言ってもらっていませんでした。

Hiira:お互い様だわ(笑)。

Nemo:それぞれの制作曲に関しては、ずっと制服でしか会ったことがなかった人と週末に会って、初めて私服を見る感じ。「あー、そっちね! Shotaはそうだよね。Seiyaはそうなんだ。Hiiraはそうなるよね」みたいな。だから、興味がないというよりも再確認に近いですね。

Hiira:めちゃくちゃいい例え!

Nemo:でも、Offo tokyoの会をやるからマナーは一応合わせた服で来てね、という。

Shota:それで着てきた私服に対して、とやかく言わないもんね。


――たしかに! そして、その他タイアップ楽曲も収録されています。タイアップとなるOffo tokyoらしさと求められることを両立する必要があると思うのですが、そのバランスはどう取っていらっしゃるのでしょうか。

Nemo:これをしなきゃいけない、という義務感はそこまで感じていないですね。「こういうシーンのBGMを作ろう」という考えなのですが、普段やっていることの延長なんですよ。だからOffo tokyoはタイアップに合っているバンドだと思っていて。普段の楽曲も、東京のどこかの街で行われているちょっと湿っぽい瞬間を切り取って、みんなでBGMを作ろうという感覚。たとえば、「付き合っているのかわからない女の子と、とりあえず一緒に朝起きて、Uber Eatsを食べている瞬間」というお題を曲にしてみよう、とか。それを結成当初からおこなっているので、お題をちゃんとした方々にいただく、というのが僕たちにとってのタイアップですね。

Shota:大喜利に近いですよね。

Nemo:そう! それを面白くするのは僕たちの役割なので頑張るのですが、タイアップをいただいたからと言って自由が奪われたり、クリエイティブが制限されたりする気持ちはまったくありません。逆に「お題、ありがとうございます!」ですね。

Shota:曲を作るために何を切り取るかというのがいちばん難しい部分ではあるので、逆にお題をいただけて書きやすいかもしれないですね。



Photo:筒浦奨太

――そうなると、やはり皆さんはタイアップにピッタリなバンドなのですね。そして、6月からは【Offo tokyo One man Tour 2026 “Deja-vu”】がスタートします。昨年のツアーは“氣がいいツアー”でしたが(※前回のインタビューより)、今回はどんなツアーになりそうですか?

Seiya:まず氣のよさは強くなると思いますよ。【Offo tokyo One man Tour 2026 ~さらに氣のいいツアー~】にしてもいいくらい(笑)。物理的には初の北海道があります。Shotaの地元ですね。

Shota:ライブで行くのは初めてなので、どうかたくさんのお客さんに入っていただきたいですね。

Hiira:地元だから入ってくれるでしょう!

Shota:地元と言っても、友達はひとりもいないけどね(笑)。

Nemo:友達がいたら「Believe In Billy」をひとりで書かないか! あれは友達がいない奴の曲だもんね(笑)。

Shota:痛いところを突かれました。

Seiya:ライブはOffo tokyoの世界観をフィジカルで表せる場所なので、音源だけでは感じられない氣がライブを通して伝わったら嬉しいですよね。


――なぜか皆さんのライブって色気を感じますよね。

Seiya:我々メンバーは波動を出しまくっているので、逆に感じていただけないと困ります(笑)。そうやって波動を浴びて帰った人たちが、次の日も幸せに生きていけるようにと願っていて。次のツアーでもそれが実現できると信じています。


――ワンマンライブ以外にも、フェスやイベントに短いスパンで出演されていますよね。セットリストの組み方が気になります。

Seiya:セットリストを考えるのは、とても苦労していますよ。

Shota:まず尺から逆算をするのと、どういう狙いのフェス、イベントなのかを考えます。ほかにも僕らのリスナーの方が多いのか、初めての方にアピールするのかなどを考えて組んでいます。

Seiya:先日天王洲アイルの海辺でライブをした(【天王洲キャナルフェス2026 春夏】)のですが、その時は「昼っぽさ」「海っぽさ」みたいなテーマを意識してセットリストを組みました。もちろん、その中で起承転結を作るというバイブスで、飽きがこないように差し色も入れているつもりです。


――フェス、イベントでの皆さんのステージにも注目ですね。では最後に。この先も新しいリスナーが増えていくと思いますが、今のOffo tokyoのどんな部分をいちばんリスナーに受け取ってほしいと考えていますか。

Shota:「怖くないよ~。食べてみたら意外と美味しいよ~」ですね。

Nemo:僕たちはポップアイコンになりたいという思いがあまりないので、お風呂でキャンドルを灯すように、車の中にちょっといいフレグランスを置くように、生活の中に取り入れてもらえたらいいなと思います。Offo tokyoってそんなにアカデミックでもないし、かといってダサくもないし、生活の中に取り入れても楽しめると思っていて。今回のアルバムも24曲もあるので、なにかフィットする曲があるはず。それでちょっとでも生活が豊かになったり、気分が楽になったりしてくれたらいいですね。

Seiya:24通りもストーリーがあるので「とりあえずOffo tokyoでも聴いておくか」と、日常に馴染むスタンダードになれたら嬉しいです。


――たしかに、今日このアルバムを聴きながらここに来たのですが、なんだかちょっとだけ主人公になった気がしました。

Hiira:それ、いただきます(笑)。聴いてくれた人が「この曲を聴いている間だけは東京で主人公になれたな」という感覚に少しでもなってくれたらいいかなって。そんなふうに、Hiiraは思います。

Nemo:いい締めになった!(笑)



Photo:筒浦奨太

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