2016/05/19 17:26
ロシア・ピアニズムの系譜、名教師ゲンリヒ・ネイガウスの最後の弟子でありながら、シェーンベルクやシュトックハウゼンなど西欧の現代音楽に取り組み、更に古楽器のヴィルトゥオーゾとしても名を馳せる鬼才アレクセイ・リュビーモフが来日中だ。
5月18日に開催されたソロ・リサイタルの会場は、2015年にオープンした豊洲シビックセンターホールだ。そのモダンな建築と共に話題になったのは、高級ピアノで知られる現代イタリアのメーカー、ファツィオーリ最新のFazioliコンサートグランド、モデルF278が導入されたことだろう。この楽器の音を楽しみに訪れるファンも多かったのではないだろうか。
C.P.E.バッハ『幻想曲 嬰へ短調』から始まったコンサートは、1音目からその繊細さが伝わってくる。時に大胆に、オシャレに。柔らかくて鋭いその多面性は、バロックと古典派の境を超えまるでジャズのような洒脱さと現代に通じる自由さを感じさせ、古楽器奏者でもあるリュビーモフが、現代ピアノで弾く醍醐味を感じさせてくれる一曲であった。
続くはペルト。『パルティータ 第2番』では息もつかせぬ正確な怒濤の連続打鍵が繰り出され、御年72という事実を思い巡らし、その力強さに驚愕。続く『アリーナのために』では、まるで聖歌の祈りが聞こえてくるような静謐さに、客席は呼吸するのも躊躇われるようであった。
リュビーモフが熱心に取り組んでいるシルヴェストロフの『ソナタ 第2番』では、その黄ばんで使い込まれた楽譜に熱を感じると共に、ひとつひとつの音への肉感や内部奏法やペダルの創り出す不意な響きに、意識が翻弄される一時となった。
得意とするドビュッシー、モーツァルト、そして当日プログラム変更として披露された十八番であるシューベルト、そしてアンコールにショパンやスクリャービンと、リュビーモフならではの実に多彩でボリュームのあるプログラムを堪能することが出来た。
5月21日には東京ニューシティ・フィル定期公演に客演。ストラヴィンスキー「ピアノと管楽器の協奏曲」、ハイドン「ピアノ協奏曲ニ長調Hob.ⅩⅧ-11」という、リュビーモフの得意とする、そして好対照な協奏曲が一堂に聴けるチャンスだ。更に22日には、広島でもソロ・リサイタルが開催される。グルジエフ『瞑想のための音楽』、ベートーヴェン『ソナタ第17番「テンペスト」』など、東京とはまた違ったプログラムが予定されており、聴き逃せない公演となりそうだ。text by yokano
◎公演概要
【アレクセイ・リュビーモフ 2016 年5月 来日公演日程】
・ソロ・リサイタル
5月18日(水) 19:00
豊洲シビックセンターホール
詳細:http://tnco.or.jp/concert/713/
5月22日(日) 17:00
広島 日本基督教団広島流川教会
http://eplus.jp/sys/T1U14P002183479P0050001
・東京ニューシティ・フィル定期公演
5月21日(土) 14:00
池袋 東京芸術劇場コンサートホール
http://tnco.or.jp/concert/248/
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