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ロス・ステラリアンズ 来日記念特集&ビデオメッセージが到着!~西海岸の空気をたっぷり吸ったモダン・ソウル・デュオの独自な音楽性に迫る

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 ロックバンド、311のメンバーであるSAマルティネスとNY出身のマルチタレントなアーティスト、ライアン・シーゲルによって結成され、現在、カリフォルニアのオーハイを拠点に活動するソウル・デュオ=ロス・ステラリアンズの初来日公演が、10月にビルボードライブにて行なわれる。今年春にリリースされたアルバム『Los Stellarians』が大きな話題を呼んでいる彼らの、これまで経歴と独自な音楽性の魅力に迫る。

 今年、来日公演を行なってきたタキシードやザ・ジャック・ムーブスと同様に、モダン・ソウルやモダン・ソウルのムーブメントのアーティストの一つとして挙げられる存在であるロス・ステラリアンズであるが、このデュオを構成するSAマルティネスとライアン・シーゲルの二人は共にロック、あるいはエレクトロといった全く異なるジャンルがそのバックボーンにある。

 SAマルティネスがボーカル/DJを担当している311(スリーイレブン)は、'88年にネブラスカで結成された、ロック、ヒップホップ、レゲエを融合させたいわゆるミクスチャーのパイオニアとして知られる存在であり(SAマルティネスは'92年より加入)、日本へもツアーや『サマーソニック』といったフェスへの出演など、多数の来日経験もある。2014年には最新アルバム『STER30L1TH1C』をリリースし、精力的に活動を続けている311であるが、そのバンドとしての活動と並行して、SAマルティネスが当時、拠点としていたロサンゼルスにて自らのレーベル、ホリー・ブレイリアンを設立。そのレーベルの第一弾アーティストとしてリリースしたのがSAマルティネス自身もメンバーであるロック・バンド、ゴーストウルフのアルバム『Lunar Halos』であり、そのゴーストウルフにドラマーとして参加したのがライアン・シーゲルであった。

 '00年代前半よりNYのロングアイランドを拠点にトリップサイド、ザ・ライヴァルリーといったローカルのロック・バンドの一員として活動し、ジ・アージェンシーというバンドではメジャーデビューも果たしていたライアン・シーゲル。さらにエクス・オブ・イーヴィルというエレクトロ色の強いロック/ポップ・バンドとしても作品をリリースするなど、幅広いジャンルにわたる活動を行なってきた。十代の頃から311の大ファンであったという彼は、アーティスト活動を続ける中で共通の友人を通して311のメンバーと知り合うようになり、311や個々のメンバーのプロジェクトを手伝うようになっていったという。



 そんな中、'06年にSAマルティネスとのグループ、ゴーストウルフが始動。311の活動の合間に行なっていたサイドプロジェクトということもあり、作品の完成までに非常に時間がかかったものの、'12年にようやく前述のアルバム『Lunar Halos』がリリース。ちなみにゴーストウルフの作品はオルタネイティブ・ロックの色合いが非常に濃く、ミクスチャーバンドである311とは全く異なるテイストのサウンドが展開されている。

 自らのレーベルであるホリー・ブレイリアンを基盤に、SAマルティネスはロサンゼルスから車で北に2時間ほど向かった山々に囲まれた街、オーハイへ拠点を移す。昔からアーティストが集まるコミューンとしても知られ、独特のレイドバックした空気感を持つこの街で、SAマルティネスはソウル・ミュージックを主体としたデュオ、ソウル・ステラリアンズをライアン・シーゲルと共にスタートする。

 ミクスチャーからオルタネイティブ・ロックを経て、ソウル・ミュージックという流れは唐突のようでもあるが、SAマルティネスは元々、ロックだけでなくヒップホップやファンクのファンもであり、レコードコレクターとして'70sソウルのシングルも熱心に収集してきたという。そんな彼にとって、ソウル・ミュージックのグループをやるというのは長年の夢であり、幅広い音楽ジャンルに精通し、プロデューサーやエンジニアとしても優れ、さらに管楽器以外のほとんどの楽器を演奏出来るというマルチプレイヤーでもあるライアン・シーゲルはこのプロジェクトを進めるにあたっての最高のパートナーとなった。



 SAマルティネスによるディレクションと、そのディレクションに従ってサウンドを作り上げるライアン・シーゲルとのコンビネーションにより、'14年にロス・ステラリアンズとしてのファースト・アルバム『Cholo Soul』をリリース。アルバムの冒頭を飾る、ベイエリアのソウル・シンガー、ダロンドによる'72年リリースの曲「Didn't It」のカバーを筆頭に、'60年代後半から'70年代にかけてのソウル/ファンクやラテン、ロックを原曲とした全8曲のカバーアルバムとなっている。今や彼らの代名詞とも言える存在である「Didn't It」のカバーなどは、文字通りのビンテージ・ソウルであるが、ジョー・バターン「Young, Gifted, and Brown」のカバーなどはファンキー・ロックなテイストであったりと、ギター、ベース、キーボードからパーカッションまでを担当したライアン・シーゲルのアレンジ力が光っており、さらにSAマルティネスの(311やゴーストウルフとは異なる)スウィートなボーカルも見事にハマり、素晴らしい作品に仕上がっている。



 翌年'15年には一転してオリジナル曲を主体としたセカンド・アルバム『The Mas Chingon』をリリース。カバーに負けず劣らずオリジナル曲の水準も非常に高く、ソウルの枠からさらに広がって、ディスコ/ブギーのテイストも入れた「Somebody 2 Love」など、彼らの多彩な音楽性がより深く伝わる作品にもなっている。また、唯一の非オリジナル曲であるザ・スミスのカバー「Heaven Knows I'm Miserable Now」などは極上のモダン・ソウルに仕上がっており、前作からの流れの上にありながらも、さらにソウル・デュオとして進化しているのが判る。そして、これまでリリースされた二枚のアルバム『Cholo Soul』、『The Mas Chingon』の中から厳選し、さらに未発表曲なども加えた日本独自の編集盤として制作されたのがアルバム『Los Stellarians』というわけだ。

 初来日となる10月の公演では8人編成のフルバンドでステージに臨むというロス・ステラリアンズ。実はアメリカ本国でも滅多に観ることが出来ないという貴重な彼らのライブであるが、ミュージシャンとしてこれまで様々な経験を積んできたSAマルティネスとライアン・シーゲルの二人が、あの素晴らしい楽曲たちをどのような形でステージにて再現するのか、今から非常に楽しみだ。また、グループ名やこれまでのアルバム・タイトルなどからも判るように、SAマルティネスのルーツであるヒスパニック・アメリカンのカルチャーもロス・ステラリアンズの大きな柱の一つになっており、彼らのステージからそんなカルチャーの香りも感じ取れればと思う。

バイヤーコメント到着!

 6月にリリースしたアルバム『LOS STELLARIANS』が絶好調の彼ら。今なおコーナー展開されるなど、CDショップのバイヤーもこぞって注目している。そんなバイヤーの方たちの推薦コメントを公開。

VDP


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ロス・ステラリアンズからビデオメッセージが到着!

▲Los Stellarians Message for Billboard Live Tour 2016

 

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