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2017/01/17

ポップ・マイスター健在! ハワード・ジョーンズが奏でる人懐こくて温もり溢れるメロディに寒さも忘れる真冬のアスファルト・シティの夜

 ワクワクするようなシンセの響き。クールなはずのシンセの音に不思議と温もりが宿っていく。インカムを付けたハワード・ジョーンズがノリノリの笑顔でステージに登場する。会場に喝采が沸き起こる。それは最初の1音が奏でられた瞬間に確信できた。ハワード・ジョーンズはフレッシュでモダンなサウンドを、21世紀の今も進化させていた!

 デュラン・デュランやカルチャー・クラブ、スパンダー・バレーやポリスらと共に、1980年代、“第2次ブティッシュ・インベンジョン”の中心的アーティストとして一躍メジャーになったハワード・ジョーンズ。打ち込みのリズムを基調としたハイパーでモダンなシンセ・サウンドを駆使しながら、ポップなヒット曲をいくつも放ってきた彼が、新作を携えて『ビルボードライブ東京』のステージに上がった。

 「かくれんぼ」を筆頭に、当時のチャートを席巻した人懐こいメロディのナンバーが、装いも新たに“21世紀ヴァージョン”として会場に鳴り響く。そのフレンドリーなムードは、片言の日本語で観客に話しかけてくるハワードの性格を反映したものに違いない。旺盛な実験精神で数々の“時代の音”を創作しながらも、自身の楽曲をポップでキャッチーな耳ざわりに仕立て上げ、多くの人にシンセ・ポップの可能性と楽しさを提供してきた彼。世紀を跨いた今も最新のテクノロジーを駆使しながら、聴き手の心を潤すような、やさしいアコースティク・タッチのサウンド織り交ぜていく。だからだろう。ハワードの親しみやすいメロディ・ラインは以前に増して魅力を増している。

 今回は、まさに久しぶりの来日。半ばリタイアしたと考えていたファンも多かったと思うが、ハワードは今もバリバリの“現役”だ。何よりも曲作りのセンスとテクニックが冴えている。決して錆び付いていない。それは昨年の12月にリリースされた『エンゲイジ』を聴けば歴然だ。今宵のステージは、以前のヒット曲はもちろん、新しい作品からのナンバーもふんだんに演奏され、彼が“ポップ・マイスター”として格段に進化/深化していることを肌で感じさせてくれた。

 演奏が進むと共に会場に満ちていくワクワク感とピースフルなムード。決して語り過ぎない、まるで“記号”の羅列のような歌詞。しかし、観客はみんな、彼の歌と演奏をリラックスして楽しみ、心地好く身体をスウィングさせ、鼻歌でハワードと“デュエット”している。仕事帰りと思しきネクタイを緩めた“大人”も目立つ客席。それは僕の目には、まるで若かったころの「想い出」を彼らが反芻しているかのように映る。懐かしさ満載のパフォーマンス。そう言う僕も実に久々に体験したハワードのステージだったが、その成熟と音楽作りに対する思慮深さに深く感動した。ライブの余韻は帰宅した今も、良質なワインのアフター・ノートのように続きながら身体にじんわりと染み込み、心からの満足感を堪能している。終盤には大ヒットした「ホワット・イズ・ラヴ?」などをドラマティックに歌い上げ、2人のバック・バンドと共に総立ちの手拍子を全身に浴びている。

 まさに貴重な今回のハワードのライブ。東京では今日(17日)、大阪では18日にキャッチ・アップできるチャンスがある。底冷えする寒さが続くこの時期に、かつてのシンセ・ポップのスターが奏でる、ハートウォーミングで親密感に溢れた音楽的“第2章”の幕開け。それを間近で体感する機会を逃すのは、あまりにももったいない。ぜひ、スケジュールを調整して、会場にアクセスして欲しい。内容は保証付きのクオリティなのだから――。


◎公演情報
【ハワード・ジョーンズ ~BACK TO 80s ALL HITS~】
ビルボードライブ東京 2017年1月16日(月)~17日(火)
公演詳細:https://goo.gl/N8CDFI
ビルボードライブ大阪 2017年1月18日(水)
公演詳細:https://goo.gl/m3rrIN 

Photo:Masanori Naruse

Text:安斎明定(あんざい・あきさだ) 編集者/ライター
東京生まれ、東京育ちの音楽フリーク。身が縮こまるような寒さが続く1月。こんな時季は、身体も心も温かくなれる、ジャミーでまろやかなワインを楽しみたい。人懐こい個性に溢れた南アフリカの固有種「ピノタージュ」で造られた赤ワインは、リーズナブルな値段とコクのあるメロウさが魅力。初の黒人ワイン・オーナーが造った『NEW BEGINNINGS』はフェアトレードの観点からも、まさに21世紀的な1本と言っていい。ぜひ、お試しを!

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