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<来日インタビュー>アルゼンチンから世界へ、フジロック初来日のTruenoの次なる一歩

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 米ビルボードが選出する2026年の<Up and Comers>号で、ラテン系アーティストとして唯一表紙を飾ったアルゼンチン出身のラッパー、Trueno(トレノ)。ヒップホップ誕生50周年を記念した前作『EL ÚLTIMO BAILE』で第68回グラミー賞ノミネートを果たし、続く4作目のアルバム『TURR4ZO』では、ラテンアメリカからヒップホップの新たな未来を切り開こうとしている。そんな彼が人生初の来日を果たし、【FUJI ROCK FESTIVAL ’26】のステージに立った。

 「観客はまだ自分のものじゃない。だからこそ、獲得しなければいけない」と語るTruenoにとって、言葉も文化も異なる場所で観客と向き合うことは、フェスの大きな魅力のひとつだという。初めて訪れた日本で感じた驚き、異国のステージに挑む覚悟、そして『TURR4ZO』に込めたアルゼンチンのルーツについて話を聞いた。(Interview: Mariko O. I Photo: Yukitaka Amemiya)


この世界で自分がいるべき場所はステージ

インタビューインタビュー

――(インタビューに持参した)マテ茶は毎日飲むんですか?

Trueno:うん、一日中飲んでるよ。朝だけじゃなくてね。このお茶を飲むと、一日分のエネルギーがもらえるんだ。

――日本は今回が初めてですよね。今のところの印象はどうですか?

Trueno:もう4、5日くらいこっちにいるんだけど、日本が本当に大好きになったよ。東京の街並みや文化、食事、人々の温かさ、そして何より細部まで行き届いたクオリティの高さに感動している。本当に美しい国だと思うし、ずっと訪れてみたかった場所だったんだ。日本のものは質が高いとは聞いていたけど、実際に料理や洋服づくりに触れてみると、すべての工程にどれだけのこだわりや思いが込められているのかが分かった。そこに関わる一人ひとりが、より良いものを作ろうとしている姿勢こそ、一番印象に残ったことだね。

――来日する前、日本にはどんなイメージを持っていましたか?

Trueno:アルゼンチンやラテンアメリカに一番伝わってくる日本のものは、映画やアニメ、テレビに関するもの、それから食べ物だと思う。アルゼンチンでは日本食がすごく身近で、よく寿司を食べに行くんだ。だから寿司やラーメンが、自分にとって日本との最初の接点だったね。

――新しい国を訪れるとき、いつもすることはあるんでしょうか?

Trueno:どの国に行っても、その場所の本当の姿を知りたいと思うんだ。有名な観光地だけじゃなく、いろいろな街を歩いて、人々がどんな暮らしをしているのかを感じたい。食べ物や音楽、その土地ならではの文化に触れるのも旅の醍醐味だよね。だから日本に来る人にも、ぜひいろんな街を巡ってほしい。エリアごとに雰囲気がまるで違うから面白いんだ。そして、何より大事なのは食べられるだけ食べること(笑)。僕にとって旅の一番の楽しみは、やっぱり食なんだ。

――旅をするとき、意図的にインスピレーションを探しに行くタイプですか?

Trueno:インスピレーションは自分から探しに行くよ。自分の国では得られない新しい感覚を体験しようとするんだ。一人で歩いたり、ある意味匿名でいられたり。街に出て、人と話して、ストリート・カルチャーを見て、その国の普通の人たちの日常を生きてみる。それがすごくインスピレーションになるし、意図的にやっていることなんだ。

――土曜日にフジロックに出演しますね。世界中のフェスに出演してきましたが、意気込みを教えてください。

Trueno:アルゼンチンからこんなに遠く離れた日本まで来て、自分の音楽を届けられることが本当に嬉しい。日本のオーディエンスが僕のヒップホップをどう受け止めてくれるのか、その反応を見るのが今から楽しみなんだ。それに、世界中から集まる素晴らしいアーティストたちと同じステージに立てることも特別な経験になると思う。アルゼンチンを背負って海を越え、ここまで来られたことは、自分にとって大きな誇りであり、何よりの喜びだよ。




――特にフェスの観客はあなたの音楽をまだ知らない人も多いと思いますが、そういう観客とどう関係を築いていきますか?

Trueno:それがまさにフェスの好きなところなんだ。観客はまだ自分のものじゃなくて、獲得しないといけない。相手が別の大陸の、自分の言葉を話さない観客だったりすると、なおさら大きなミッションに感じる。言葉を超えて彼らを乗せないといけない、それはパフォーマンスそのもので示すしかないと思ってる。何も保証されていない、観客を本当に獲得しなきゃいけないっていうフェスならではのスパイスが好きなんだ。その不確実さが、ワクワクさせてくれる。

――観客を獲得できたと感じるサインは?

Trueno:ライブの中で分かるんだ、特にショーの終盤、最後の曲あたりでね。みんなが同じ波に乗っていると感じたら、「よし、ミッション達成」って思う。

――パフォーマンスをすることで、普段とは違う自分が解放される感覚がありますか?

Trueno:ステージでは、自分の一番いい部分を素直に出せている気がする。普段は誰にも見せないような自分までさらけ出せる、そんな居場所なんだ。でも、ステージに立つと別人になるわけじゃない。ただ、自分という人間を一番自由に、ありのまま表現できる場所。それがステージなんだ。この世界で自分がいるべき場所はここだと感じるし、一番自分らしくいられるのも、やっぱりステージの上なんだよ。

――ライブで演奏するようになって初めて、その曲の本当の姿が見えてきた、という曲はありますか?

Trueno:ライブで一番盛り上がる曲は「DANCE CRIP」だね。商業的に本当にブレイクした最初の曲で、自分が好きな生々しいラップのスタイルなんだ。ずっとファンのお気に入りとしてライブでやってきたけど、何年経っても同じくらい盛り上がるんだ。



▲ 「DANCE CRIP」MV

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    そのすべてを表現したかった
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自分が何者で何が自分を形成したのか
そのすべてを表現したかった

インタビュー

――これまでの作品を振り返って、最新アルバム『TURR4ZO』ではどんな習慣や期待を壊そうとしましたか?

Trueno:このアルバムでの挑戦は、商業的なヒットを狙うことよりも、自分の人生をできるだけ正直に、率直に表現することだった。4枚目のアルバムということ自体、自分にとって大きな意味があった。キャリアのこの瞬間に伴うすべてのことも含めてね。自分が何者で、何が自分を形成したのか、そのすべてを表現したかった。それが一番大きな挑戦だったし、これまでで一番それを達成できたアルバムだと思ってる。

――「この曲が何を伝えようとしているのか」を理解するのに一番時間がかかった曲はどれですか。

Trueno:書くのに一番時間がかかったのは、「RAIN IV」。一番ハードな曲だね。もともとは別々の時期に書いた2曲だったんだけど、ある時点でそれを1つにまとめた。すごく重要な意味を持っているから、必要なだけ時間がかかったんだと思う。本当に自然に、有機的に生まれたものだから。最初から「RAIN IV」として書いたわけじゃなくて、少しずつ組み立てていったら、結果的にああなったんだ。



▲ 「RAIN IV」Official Lyric Video


▲ 「GRILLZ」Official Lyric Video

――『TURR4ZO』にはたくさんのコラボレーションが収録されていますが、実際にスタジオに入って一番驚かされたコラボは?

Trueno:世界中のいろんなジャンル、スタイル、世代のアーティストとコラボできたことを幸運に思ってる。その中で一番通じ合えて、スタジオで一番楽しかったのは、Neo Pisteaとの「GRILLZ」という曲だね。すごく尊敬しているアーティストでもあるんだけど、彼のトラップへの新鮮なアプローチが大好きで、アルゼンチンの音楽シーンにオートチューンを持ち込んだパイオニアの一人でもある。一緒に作った曲には、僕らのムーブメントにとってすごくポジティブなメッセージが込められている。それ以外にも彼はすごく才能があって、ブースの中でお互いすごく波長が合ったんだ。あそこまで通じ合えたのは嬉しい驚きだったね。

――どのアルバムも一つの章を閉じて、新しい章を開くと思うのですが、『TURR4ZO』に関してはどうでしょうか?

Trueno:ヒップホップ誕生50周年を祝うことがテーマだった、前作『EL ÚLTIMO BAILE』から続いていた章を閉じるアルバムなんだ。『TURR4ZO』はそのお祝いを締めくくって、新しい提案をしていく、ラテンアメリカから次の50年を代表していくこと。すでに知られているヒップホップをただやるんじゃなくて、それをアルゼンチンのものにして、僕らの文化でやっていくということ。それが『TURR4ZO』が開いた扉で、これからの人生でずっとその上に積み重ねていくつもりだよ。

社会へのメッセージを大切にする姿勢は
アルゼンチンらしさを語るうえで欠かせない

インタビューインタビュー

――そんな中、ラテン系アーティストとして唯一米ビルボードの最新号<Up and Comers>の表紙を飾っています。選ばれたと聞いた時、どんな気持ちでしたか?

Trueno:本当に信じられなかったよ。ビルボードみたいな大きなメディアで、アルゼンチンを代表する機会をもらえたことが何より嬉しかった。しかも、アメリカのアーティストであるSlayyyterとBella Kayと一緒に表紙を飾るんだけど、それぞれ音楽性も世代も違う。その中で、自分がアルゼンチンを背負ってそこに立てたことに大きな意味を感じている。誰であれ、ラテンアメリカのアーティストがそういう場所に立てること自体が本当に嬉しいし、その役目を自分が担えたこと、自分のルーツや国を代表できたことを誇りに思っているよ。

――今では、世界的なオーディエンスに届いているラテンヒップホップですが、アルゼンチン出身のアーティストが特にヒップホップにもたらすものは何だと思いますか?

Trueno:アルゼンチンには、ヒップホップだけじゃなく、ロックやフォルクローレ、クンビア、タンゴといった豊かな音楽文化があって、それらが巡り巡って今のヒップホップにも大きな影響を与えてきた。だから僕がラテン・ヒップホップを通して発信したいのは、自分だけじゃなく、そうしたアルゼンチンの音楽そのもの。実際に楽曲でも彼らの作品をサンプリングしているし、それが僕にとってのルーツだから。もちろん魅力はそれだけじゃない。ストリートで育まれたフリースタイル・バトルやアンダーグラウンドのヒップホップ、そして社会へのメッセージを大切にする姿勢も、アルゼンチンらしさを語るうえで欠かせないものなんだ。それが僕らをすごく象徴していると思う。

――音楽を始めた頃から、あなたにとって成功の定義は変わりましたか。

Trueno:そもそも、名声やお金を一番の目標にしてきたことはなかったんだ。年齢を重ねて人として成長する中で、本当の成功って、心穏やかに過ごせることや、自分の好きなことをして、大切な人たちと時間を分かち合えることなんだと気づいた。お金や肩書きみたいな目に見えるものは、その先についてくるものにすぎない。だから自分の価値観は昔からそれほど変わっていないし、今もなお、自分にとっての成功が何なのかを学び続けているところなんだ。

――最後に、今一番ワクワクしていることを教えてください。すでに得意なことを極めることですか、それとも全く新しいことに挑戦することですか。

Trueno:いつだって新しい挑戦を求めている。ヒップホップも、自分の国への誇りも、これから先ずっと胸の中にあるもの。でもアルバムを作るたびに、新しいサウンドやまだ見たことのない景色を探し、新しいことを学びたいと思っている。それを繰り返しながら前へ進んでいくことこそ、自分にとっての進化なんだ。




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