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<インタビュー>Billboard Global Power Players vol.19 林 香里 Live Nation H.I.P.代表取締役社長 

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 米Billboard誌が、音楽ビジネスの成功を牽引しているリーダーを称える【Billboard Global Power Players】。各国から音楽業界を牽引するリーダーが並ぶ中、Live Nation H.I.P.の林 香里氏が、日本で唯一の女性受賞者として選出された。今回、4年連続で選ばれた林氏へインタビュー。ザ・ウィークエンド、ポスト・マローン、ブルーノ・マーズなど数多くのアーティストの来日公演を手掛ける林氏に、日本市場の可能性について話を聞いた。(Interview & Text: 高嶋 直子)


Live Nation H.I.P.になったことで、ツアーの構想段階から携われるようになった

――2025年4月にLive NationがH.I.P.を買収しました。H.I.P.のどのような実績が評価されて、実現したのですか。

林香里:日本は世界第2位の音楽市場ですが、それ以上に、人と人との信頼関係を大切にする文化が根づいている国だと感じています。海外アーティストに来日していただく時も、日本のアーティストが海外に挑戦する時も、成功はすぐには生まれません。長い時間をかけて築いてきた信頼関係や、地道な取り組み、そしてファンの皆さんへの理解があってはじめて、実現できるものだと思うんです。H.I.P.はこれまで40年以上、世界中のアーティストを日本にお招きし、各地のファンの皆さんに特別なライブ体験をお届けしてきました。今回Live Nationグループの一員となったことで、これまで日本市場で培ってきた知見やネットワークに、グローバルなプラットフォームや豊富なリソースが加わり、これから可能性がさらに広がっていくのではないかと、とても楽しみにしています。


――2026年も、数多くの来日公演が決定していますね。

:1月にレディ・ガガの公演を行い、9月にはザ・ウィークエンド、10月にはポスト・マローンを予定しています。そして2027年1月には、ブルーノ・マーズが海外アーティストとしては史上初、日本人アーティストでもあまり例のない札幌2公演を含む、国内全6ドームを回る12公演という、歴史に残るドームツアーを開催してくれることになっています。

Live Nation H.I.P.になったことで、世界各国のLive Nationチームとの連携もさらに深まって、ツアーやプロジェクトの構想段階から携われるようになりました。そのおかげで、アーティストへのサポート体制も一層充実してきて、より大規模なプロジェクトの実現にもつながっていると感じています。さらに、日本人アーティストが海外のオーディエンスと出会い、新たなファンを獲得する機会をつくることにも、これまで以上に力を注いでいるところです。日本の音楽や才能を世界へ発信していくことは、今後も私たちにとって大切な取り組みの一つだと思っています。


――2024年には、ブルーノ・マーズとドン・キホーテのCMタイアップも話題になりました。

:私たちの事業の中心はライブですが、今のアーティストはファンとのより深いエンゲージメントを求めていますし、企業やブランドの側も、本物のカルチャーやアーティストとのつながりを通じて新たな価値を生み出したいと考えるようになっています。私たちは長年にわたり、アーティストとブランド双方との信頼関係を築いてきましたので、その強みを生かして両者をつなぐことで、ファンにとっても意味のあるコラボレーションを実現できるのではないかと考えています。ブルーノ・マーズとドン・キホーテのコラボレーションは、まさにその象徴的な事例です。単なる広告施策ではなく、日本のカルチャーやファンとの強い結び付きがあったからこそ実現したパートナーシップで、多くの共感を生み出すことができたと感じています。これから、エンターテインメント、カルチャー、そしてブランドの垣根はさらに低くなり、それぞれがより密接に結び付いていくのではないでしょうか。私たちもライブプロモーションにとどまらず、アーティスト、ファン、そしてブランドをつなぐプラットフォームとして、新たな価値や体験を生み出し続けていきたいと思っています。


――Live Nation H.I.P. から見て、日本の市場はどのような可能性がありますか。

:日本は、世界で最も重要な音楽市場の一つだと認識されています。何より、熱量の高いファンが多くて、アーティストを長期にわたって応援する文化が根づいていることは、日本市場の大きな魅力だと思います。一方で、音楽消費やライブ市場の多くを国内アーティストが占めているので、海外アーティストが日本で成功するには、時間をかけてファンとの信頼関係を築きながら、継続的に活動を重ねていくことが欠かせません。

国内のライブエンタテインメント市場には、これからもさらなる成長の可能性があると感じていますし、日本人アーティストが海外でツアーを行い、新たなオーディエンスやファンと出会う機会も、これまで以上に広がっていくのではないかと思います。世界中の優れたアーティストを日本のファンに届けること、そして日本のアーティストや音楽を世界へ発信していくこと。その両方を実現していくことが、Live Nation H.I.P.の大切な役割だと考えています。


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成功するツアーキャリアというのは、長い年月をかけて育まれていくもの

――ライブ市場は2025年に過去最高益を記録し、2026年はさらに上回る見込みです。この成長は今後も続くと思いますか?また課題は何でしょうか?

:世界的にも、日本国内においても、ライブエンタテインメントへの需要は引き続きとても高い水準にあります。ツアーを行うアーティストも増えていますし、ライブイベントの開催数も拡大していて、それに伴って会場へ足を運ぶファンも年々増えている印象です。こうした流れを踏まえると、市場は今後も中長期的に成長を続けていくのではないかと考えています。一方で、その成長を持続させるためには、いくつか課題もあると感じています。特に大きいのが、公演会場の確保です。大型ツアーの需要が高まるなか、アリーナやドームなどの会場不足は、ツアーの規模や日程に大きく影響する要因になっています。また、円安の影響で、海外アーティストのツアーコストもかなり上昇していて、移動費や制作費を含め、海外ツアーに伴うコスト全体が増えているのは、日本市場の興行環境にとって大きな課題の一つだと感じています。

こうした課題はあるものの、日本市場が持つ魅力や成長の可能性が変わることはないと思っています。私たちも環境の変化に柔軟に対応しながら、アーティストとファンの双方にとって価値あるライブ体験を提供し続けていきたいですね。



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――今後、特に力を入れていきたい地域やジャンルはありますか。

:アニメ、ゲーム、ファッション、食、そして音楽など、日本のカルチャーは世界的な存在感をますます高めていますよね。ライブエンタテインメントには、その魅力を世界へ発信する重要な役割があると感じています。同時に、日本国内でも海外アーティストへの関心や需要は引き続き高い水準にあります。日本のファンは音楽に対する情熱がとても強くて、ライブを通じてアーティストと深くつながる文化が根づいています。これからは、より多くの海外アーティストを日本へお招きするとともに、日本人アーティストや日本の音楽・カルチャーを世界へ発信する取り組みにも、これまで以上に力を入れていきたいと思っています。Live Nationが持つグローバルネットワークを活用して、日本の才能がより多くの海外のオーディエンスと出会い、新たなステージへ羽ばたいていける環境をつくること。それが私たちの大切な役割だと考えています。


――興行の招聘のみならず、日本人アーティストの海外展開も、一層強化されるのですね。

:そうですね。私たちの目標は2つあります。一つは、より多くの海外アーティストを日本へ招き、日本のファンに最高のライブ体験を届けること。もう一つは、日本人アーティストや日本の音楽を世界中のより多くのファンへ届けることです。そして、その両方を実現するうえで、私たちが何より大切にしているのが、アーティストの長期的な成長です。

私たちは、成功するツアーキャリアというのは、単発の公演で築かれるものではなく、長い年月をかけて育まれていくものだと考えています。海外アーティストが日本で活動を広げる場合も、日本人アーティストが海外へ進出する場合も、その本質は変わりません。市場やオーディエンスを深く理解して、着実に需要を育てながら、持続的な成長の機会をつくっていくことが何より大切だと思っています。Live Nation H.I.P.になったことで、ツアープランやマーケット戦略について、これまで以上に早い段階から議論に参加できるようになりました。そのおかげで、一つひとつの公演を成功させるだけでなく、アーティストの将来を見据えた中長期的な視点でツアーやキャリアを設計できるようになっていると感じています。また、日本のライブエンタテインメント市場に関する知見をグローバルチームと共有することで、日本ならではの市場特性をお互いに理解しながら事業を展開できているのも、大きな価値だと思います。こうした知識や経験の共有こそが、Live Nationとのパートナーシップがもたらす価値の一つではないでしょうか。


――先日、2回目となる【MUSIC AWARDS JAPAN】が開催されました。日本のアーティストの海外展開に向けて、どのように期待されますか。

:とても意義のある取り組みだと感じています。国内はもちろん、海外からも高い関心を集めていて、日本の音楽シーンが世界から注目されていることを改めて実感しました。特に印象的だったのは、海外の音楽業界関係者やメディアから寄せられた期待の大きさですね。日本の音楽やアーティストに対する関心は年々高まっていて、その魅力を世界へ発信するプラットフォームとして、大きな可能性を秘めていると感じています。これからさらに発展を遂げて、日本人アーティストだけでなく、アジア各国・地域のアーティストも広く紹介する、アジアを代表する音楽アワードへと成長していってほしいなと思っています。

【MUSIC AWARDS JAPAN】が、アジアの音楽シーンと世界をつなぐ架け橋となって、新たな才能や作品が国境を越えて評価されるきっかけになれば嬉しいですね。


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