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<インタビュー>米澤茜「血と汗と涙の結晶」――『BLUE GIANT』が教えてくれた、努力と視野を広げる力【WITH BOOKS】

Interview & Text: Ayako Kurosawa
Photo: 橋本 若奈
書籍や文筆と縁深いアーティスト、また音楽と縁深い作家へ、自身の書籍や音楽とのかかわりについて訊くインタビュー企画【WITH BOOKS】。今回登場するのは、米澤茜。
幼い頃からドラムに憧れ、学生時代には「リンゴ・スターがどうやってドラマーになったか」をまとめた紙芝居をクラスで発表したというエピソードが物語るように、音楽への情熱は早くから芽吹いていた。
バンドとソロの両軸で活動する彼女にとって、本や映像作品は「考えすぎてしまう思考を、一回停止してくれる場所」だと言う。愛してやまない作品との出会いとお気に入りの本が音楽活動に与える影響とは。
「血と汗と涙の結晶の音」――『ひぐらしのなく頃に』と『BLUE GIANT』が刺さった理由
――米澤さんは、『ひぐらしのなく頃に』がお好きだと伺いしました。特に好きなエピソードはありますか?
米澤茜:特に好きなエピソードは、沢山ありすぎて……ただ、『ひぐらし』シリーズを全部見ようって決めたのは、漫画の1巻で龍宮レナちゃんが「知らない」って突然言ったシーンがきっかけでした。これはもう全部見ようって思って。
いつもふんわりしてる女の子が、突然「知らない」っていう、その秘密に触れた時の目が、ハイライトも消えて。明らかに秘密を抱えてるシーンを見て、もう全部読もう!と思いました。
――おはぎのシーンとかも衝撃的でしたね。私は、あのシーンでしばらくおはぎが食べれませんでした。作品の中で、好きなキャラクターはいますか?
米澤:ですよね(笑)好きなキャラクターは聡子ちゃんです。すごい可愛いけど根性もあって、いたずらっ子なのにお兄ちゃんへの想いとか、リカちゃんに対する友情や絆を大事にしてるところが刺さりました。
――『ひぐらしのなく頃に』は、漫画やアニメ、ゲーム等様々なシリーズが展開されていますが、見比べたとき印象的なシーンはありましたか?
米澤:当たり前なんですけど、アニメは声優さんが演じているのを見進めていくって感じですが、漫画は自分でもっと想像ができるといいますか……声とか、自分の中で想像して見れますよね。
あとは、何巻か忘れちゃったんですけど、レナが圭一くんの部屋からギョッと出てくるシーンがあって。そこがゾっとするような、気持ち悪さが印象的でした。あとは色んなシリーズの中で、登場人物の秘密が「もしこういうシチュエーションだったら……」という形で物語が進んでいくのも、すごい面白かったです。

――ありがとうございます。続いて、『BLUE GIANT』(著:石塚真一)と出会ったきっかけを教えてください。
米澤:音楽系のアニメは基本全部見ているんですけど「また音楽系のアニメが出たな~」と思って、アニメから入りました。内容がすっごく良くて!それがきっかけで、漫画も読みました。
――音楽系の作品で、他にはどんなのを見ていますか?
米澤:『けいおん!』(著:かきふらい)や『BECK』(著:ハロルド作石)もいいですよね!『BanG Dream!(バンドリ!)』はもちろん、『ぼっち・ざ・ろっく!』(著:はまじあき)も好きです。
――『BLUE GIANT』はジャズを題材にした作品ですが、印象に残っているシーン、好きなキャラクターはいますか?
米澤:『BLUE GIANT』を見た人で、「どのキャラクターがみんなに刺さっているんだろう」っていうのも気になるんですけど、私はドラムの玉田くんが刺さりました。
割と初心者から始めて、一気に上達してプロになってる……そういうミラクルが起こることが多い展開もいいんですが、『BLUE GIANT』は、ずっとちょっと下手……みたいな。ずっとできなくて、けど本当に、ちょっとずつ上手くなってるのがリアルに感じました。
いい意味で漫画じゃない展開というか、リアルなのがすごく応援したくなったし、最後の最後ですごい上手になってる。あと、なんだか珍しいなって感じたシーンはドラムを練習してるシーンと、ライブを重ねてちょっとずつ上手になってるシーンが、やっぱり印象的ですね。
あとはサックスの宮本くんの台詞なんですけど、「練習ってタダじゃね?練習ってすごいな」みたいな。それが、「あぁ、そうだよな……」って思いました。
全部ポジティブで、本当に、本当に好きでやってる感じが自分にも刺さりました。似てるところがあって、みんな応援したくなります。
――ご自身の音楽活動にも、なにか影響はありましたか?
米澤:結構考えたんですけど、あんまり影響されてないと思いつつも、多分自分の考え方とかが一方通行の時や、狭い視野になっちゃった時に広げてくれているのかなと思います。自分じゃない人の考え方として、それがまた考え直せるというか、「こういう考え方もあるんだな」って、漫画やアニメ、小説とかを読んでいる時間だけは考えすぎてしまう思考を一回停止させてくれる。
なので、そういう点では、音楽活動にも影響は出ているのかもしれないです。
――宮本の「練習はタダ」という台詞は、音楽活動に限らず、何かに取り組んでいる人の胸に刺さる台詞だと感じました。
米澤:結構一日、ドラムをめちゃめちゃ練習してるシーンなんですよね。
自分がメタルを始めたての時とかも、休憩を挟みながら8時間スタジオで練習をやっていたな、と。
スタジオ代があるからタダじゃないけど(笑)、でも、「やっぱりみんなたくさん練習してるんだよな」て思ったり。 本当にそういう台詞が、活動の糧にもなっているんじゃないかとすごい思ったので、支えになっています。
――『BLUE GIANT』は読者の間で、「音が聞こえてくる漫画」と評されているそうです。米澤さんにはどんな音が聞こえてくる作品でしょうか?
米澤:私、本当にドラムの玉田くんに集中して見てたんですけど、もう血、血の音ですね。血を流さないと叩けない音が、『BLUE GIANT』から聞こえてきます。
血と汗と涙の結晶って、やっぱり努力ですもんね。相当身を削っている音が聞こえました。
- 「眠れない夜の『星の王子さま』と、紹介から広がる読書の世界」
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眠れない夜の『星の王子さま』と、紹介から広がる読書の世界

――最近読んだ本や、気になる作家さんやジャンルはありますか?
米澤:最近じゃないんですけど、家に置いてある本で、ち寝れない時に読む本は『星の王子さま』(著:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ)です。考えすぎてしまう時がめちゃくちゃあるんですけど、『星の王子さま』が、一回思考を停止してくれるんです。結構抽象的な表現も多いし、本の厚さは薄めなのに、その世界に連れてってくれる。読んでる時の感情によって、受け取り方が変わる気がしています。
あと、読みたいのが、一番仲のいい子が紹介してくれた東野圭吾さんの『ナミヤ雑貨店の奇蹟』です。めっちゃ読みたくて買ったんですけど、ずっと読めてなくて……早く読みたいですね。
――『星の王子さま』は、他のアーティストの方もよく読んでいる印象です。米澤さんの中で、心に残っている台詞はありますか?
米澤:王道だと「大切なものは目に見えない」が多いかもしれないんですが、私は「きみが、きみのバラのために費やした時間の分だけ、きみのバラは大切なものになるんだ。」が印象に残っています。
――普段、米澤さんは本を書店か通販で購入するか、どちらの割合が多いですか?
米澤:私は友達とか、周りから「これがいいよ」って聞くことが多くて、シェアしていただいてる感じです。Billboardの書籍チャートとかも見て、チャート上位を見ると「何がこんなに読まれてるんだろう」と気になるので、それで読んでみたいと思うこともあるんですけど、人からの紹介だと、その人がどういう本を読んでるのか知りたいとか、それぞれ何から影響を受けてるのか、人によって違うのが面白くて。
バンドのメンバーにも、たまに「おすすめの本ある?」って聞いたりしています。みんな出してくる本が違うんで、面白いです。

――漫画や小説以外で、エッセイ集とかは読むことはありますか?
米澤:例えば音楽、アーティストの方のエッセイ集、音楽論とかも読みます。特に高校生の時はめっちゃ読んでましたね。
ずっと「ドラマーになりたい」と思っていたんですけど、当時はどうやってなるのかわからなかったので、図書館に行って、ビートルズのリンゴ・スターがどうやってドラマーになったのか、みたいな本があって。そういうのを読んで紙芝居みたいなの作ったりしてました。やり方みたいな。本を読んで、まとめたりしてました。
――紙芝居でまとめる、というのは新しいですね。周りの方に披露もされたんでしょうか?
米澤:してました! 二分の一成人式っていう、10歳の時に紙芝居を作った記憶があります。クラスのみんなに発表したり、っとそんなことやってました(笑)
――将来、米澤さんがもしご自身の書籍を出される機会があったら、そういうエピソードもぜひ読んでみたいです。
米澤:ありがとうございます! もし機会があったら書いてみます!
――先ほどの質問と重なってしまうかもしれませんが、米澤さんの音楽活動において、本でインスピレーションを得ることはありますか?
米澤:そうですね。同じ感じになっちゃうんですけど、自分の視野が狭くなった時に視野を広げてくれるのは、やっぱ本とか漫画とかだなと思っています。
あと、そこに実在しなくても「人」として見ています。それこそ、『BLUE GIANT』の玉田くんとかも、「この子は頑張ってるけど、私全然頑張れてないな……」とか、「もっと頑張ろう」って思わせてくれる登場人物に出会ったり、言葉に出会ったりするので、そういう時にはインスピレーションを受けているな、と思います。
――本を読むことは、少し推し活に似てるのかもしれませんね。実在しないけど、その存在が自分の中で支えになっている、ということがあるので。
既にBillboard JAPANの書籍チャートを見ていただいているかと思いますが、改めて気になる書籍があったり、チャートの感想があれば教えてください。
米澤:『キングダム』(著:原泰久)をまだ読んだことがないので、読んでみたいですね。
会う人みんなから『キングダム』の話をされたりするので、何がこんなに人を引きつけてるのか気になります。

――「今読まれている本」を可視化することで、若い世代の人とかにも本を読んでもらえると嬉しいです。今後のBillboard書籍チャートに期待したいことがあれば教えてください。
米澤:既に部門に分けられていますが、その中でも、音楽とかの作品、中でもドラマーの……みたいな。今よりも部門が絞られたときに、そういうのがあったら私はもう飛びつきます(笑)!
――今後の米澤さんの活動や、Billboard JAPANの読者に向けてメッセージをお願いします。
米澤:今年はたくさんフェスでドラムを叩きます。私の好きなアーティストさんとも共演したり、バンドもソロもライブがたくさんあるので、ぜひお越しください!



























