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<インタビュー>hitomi、2か月連続リリースの新曲「Tokey-Dokey」、「Choice!」で歌い描く時代の空気感

Interview & Text: 岡本貴之
Photos: 森好弘
hitomiが、新曲「Tokey-Dokey」、「Choice!」を2か月連続でデジタルリリースした。ドラマ『鬼女の棲む家』の主題歌である「Tokey-Dokey」は、ツーマン東名阪ツアーも話題を呼んだNikoんとのコラボによる楽曲。異色なコラボと思いきや、ノイジーなギターサウンドに乗せて疾走感豊かに歌うhitomiのボーカルが見事にマッチしたオルタナティブなポップソングだ。一方の「Choice!」は、フジテレビ『Mr.サンデー』のエンディング・テーマとしてオンエアされ、一週間を締めくくり明日へ向かうための力になりそうな、明るさと力強い1曲となっている。デビュー31周年を迎えた今なお、瑞々しく新たな挑戦を続けるhitomiに話を訊いた。
──3月に行われたNikoんとのツーマン東名阪ツアー【hitomiとNikoん / LIVE TOUR 2026】は、発表時から異色のツーマンライブとして話題になりました。hitomiさんにとってはどんなツアーになりましたか。
hitomi:ツーマンライブや対バンライブをあまりやっていなかったので、そういう意味でもすごく新鮮でした。それと、やっぱりNikoんという、私の中では割と尖っているサウンドの彼らとのツーマンライブっていうのもすごく新鮮で、どう彼らと絡んでいこうかなっていう気持ちもありました。
──ファイナルの東京公演を拝見しまして、新代田FEVERというライブハウスは刺激的だったのではないですか。
hitomi:最近はわりとお客さんと距離感が近いライブをやっていて、そこまで違和感はありませんでした。デビューしたての頃は、キャパがそんなに多くない会場でもやっていたので、ライブハウス自体は私にとってそんなに遠い感じじゃないというか、身近な場所でもあるんです。
──そういう意味でいうと、きっとNikoんとの距離も決して遠かったわけではないですよね。
hitomi:もう全然! まず私がサウンドチェックしている間に彼らが入ってきて、セッティングの準備を始めて、みたいな感じで、「一緒にやるんだ」っていう雰囲気を、そういうところからも感じられて楽しかったです。東名阪3本だったので、あっという間でした。

──その後、hitomiさんは3月28日に東京・duo MUSIC EXCHANGEでワンマンライブ【hitomi Live 2026 - STAND BY】を行いました。Nikoんとのツアーから受けた影響が反映されたものもありましたか。
hitomi:すごくあったと思います。このツーマンツアーがあるのとないのとでは、たぶんこの日のワンマンライブの雰囲気はがらりと変わっていたんじゃないかなって。Nikoんのライブを客観的に見ることで、「ああ、こういうライブをやってるんだ」という学びにもなったし、「じゃあ、自分のライブではこうしていこう」みたいなものも生まれました。彼らとのライブがあったからこそのライブの熱量だったかなって思います。
──ツアーのきっかけとなったのが、新曲「Tokey-Dokey」です。どんな流れで始まったコラボ曲なのか教えてください。
hitomi:去年、私自身が所属しているエイベックスのレーベル〈maximum10〉にNikoんも所属していることを、共通のディレクターさんから教えてもらったんです。30周年っていうタイミングでもあったので、ただの30周年じゃなくて、ほかのアーティストと何かやるのはどうか、ということでNikoんとのコラボを提案されました。
──そのお話を聞いたときは、どう思いましたか?
hitomi:初めはピンと来なかったっていうのが、すごく正直なところ(笑)。というのも、やっぱり私とは似てないから。サウンドもそうだし、世界観も全然違う印象があったので、初めは「うーん」っていう感覚で。ツーマンツアーも決まって、お互いのことを知らないなと思ったので、「ちょっと一緒にご飯食べようよ」って声を掛けたんです。彼らはライブでめちゃくちゃ忙しかったんですけど、下北沢で一緒にご飯を食べました。
──hitomiさんから、話をする場を設けたんですね。
hitomi:そうです、「ぜひごはん行きましょう」って。2人とも、とってもピュアであんまり着飾らないタイプで、自分と似てるところもあった感じがして、自分的にはすぐ打ち解けられたと思います。その後、「どうせツーマンやるなら、みんなに知ってもらおうよ」って、インスタライブを一緒にやって、その後に東名阪ツアーで再会しました。「Tokey-Dokey」のデモはツアーに入る前にいただいたんですけど、Nikoんの楽曲の中でも「Tokey-Dokey」はかなりポップで、「あ、この曲歌ってみたい」って直感で感じました。あとで、オオスカ君とこの曲について聞いてみたら、「割とhitomiさんに寄せたんですよ」って言われて。Nikoんの曲を初めて聴いたときに「私と世界がだいぶ違うな」っていう印象だったので、「Tokey-Dokey」を聴いたときは、「あれ? そうでもないな」って思っていたんです。オオスカ君は「僕ら、『SAMURAI DRIVE』とそんなに遠くないですよ」って言ってて、そこからツアーでライブをやりながら、Nikoんの音楽をたくさん聴いていくうちに、特に彼らの2枚目のアルバム(『fragile Report』)はポップだって思うようになったし、いつの間にか自分がすごくNikoんにハマっちゃって(笑)。

──オオスカさんはライブのMCでも、「hitomiさんの曲を聴き返したら、自分たちと通ずるものがあった」とおっしゃってましたね。
hitomi:彼らのほうが私を身近に感じてくれていた気がします。私が、彼らをどこか遠い存在のように思っていたところがあるみたい。
──彼らはサブスクで曲を配信せずに、CDリリースにこだわっていますよね。そのあたりの活動姿勢についてはどのように感じていますか?
hitomi:いまどき珍しいですよね。そのこともオオスカ君に実際に聞いたんです。「うちはそのほうがいいんです」っていう感じで。私は昭和の人間なので(笑)、逆に「今っぽくしたほうがいいんじゃないの?」って思っちゃいますけど、彼らには貫き通す“己”があっていいなって思うし、ライブ会場に行ってCDを実際に手にして、歌詞カードを見ながら音楽を聴くっていう、昔ながらのスタイルもいいよねって感じています。
──「Tokey-Dokey」の制作は、どのように進んで行ったのでしょうか。
hitomi:いただいた曲を元に、私はいつも通りのスタイルで作詞に取り組みました。人と出会うときって、「どういう人なんだろう?」とか、不安があるじゃないですか。特に今は、SNS でもすぐに知り合えるけど、「本当のところ、何もわかってないことのほうが多くない?」みたいな。Nikoんとも、あまりお互いのことを知らないところから始まって。根底にあるのは、人を好きでありたいとか、人のことを信じたい、愛したいとか、そういう思い。「なんか、あんたってどういう人かわかんないけど、本当のところどうなの?」みたいな。Nikoんとの出会いをきっかけに、現代の人間関係、人と人との出会い方、繋がり方を題材にして作りました。
──先ほどおっしゃっていたように、違和感がなくてすごくキャッチーに聴こえます。2組とも、これは傑作ができたっていう手応えがあったのでは?
hitomi:確かに化学反応があったというか、違うからこそのおもしろさを感じました。自分の過去の曲で言うと「SAMURAI DRIVE」に近い感じ。そのときはcuneっていうバンドの楽曲を当時のディレクターから勧めてもらったんです。当時の私は自分で歌詞を書くことのこだわりがすごく強くて、ほかのアーティストの曲で、しかもその方の詞で歌うことに、最初はあまり前向きじゃない気持ちがあったんです。でも、何度かcuneの「SAMURAI DRIVE」を聴いていくうちに、「自分のものにできるかも」っていう感情が湧いてきて「SAMURAI DRIVE」を歌うことになったんです。「Tokey-Dokey」もあの感覚とちょっと似てるなって。最初の「え、なんだこの違和感!?」があればあるほど、逆にすごくおもしろくなる気がしました。Nikoんはこれから世に羽ばたいていくバンドだと思うし、予想ができない感じ、仕上がりすぎてない感じがすごく新鮮で、そこからいいものをもらえた気がします。

──続いて新曲「Choice!」について訊かせてください。どんなテーマで書いた曲なのか紹介していただけますか?
hitomi:この曲は『Mr.サンデー』のエンディング・テーマソングというお話をいただいて書いた曲です。私は普段からニュース番組、報道番組を常々見ていて、事件やいろいろな出来事が起こって、選択肢がむちゃくちゃ多い時代だからこそ、自分でチョイスして生きていかなきゃいけない時代になっていると感じたんです。誰かの発言がすべてじゃないし、ちゃんと自分で選んでいかないと、違う道に行ってしまう可能性も多いというか。私は子どもたちに「ちゃんと自分で選んで、自分で考えて生きなきゃ、今むずかしい時代にいる」って話をしています。ニュース番組の曲ということもあって、そういったことを意識して作りました。最近はちょっと暗いニュースが多いので、これくらい明るくてポップな曲のほうが視聴者にはまるかなと思いながら作ったので、いい感じで流れてくれたらうれしいです。
──今の時代のこと、世の中のことを描くときに、自分の内面と向き合うようなところもあったのでしょうか。
hitomi:この職業は、何かと言われがちな業種なので、より一層気をつけなきゃいけないことも多々あるんです。でも、だからといって、自分を出さない生き方もしたくないし、自分が日頃感じることを詞に反映させています。今の若い人たちは、むずかしい時代、困惑する時代にいて、大変だろうなって思うんです。そんな時代でも、“自分を持つこと”がとにかく必要だと思い、この曲を書きました。

──〈着せ替え人形みたいな 上っ面の自分なんて どこかすごく虚しくて ちっぽけで捨てたくなる〉という歌詞が印象的です。ネット上の自分と本当の自分の違いに悩む人もいると思いますが、hitomiさんはそういう経験はありますか。
hitomi:以前はかなり、そういう感覚はありました。例えば「LOVE 2000」がヒットしてからは、「ああいうポジティブな曲を作ってください」っていうオファーが多かったんです。それを散々言われると、だんだんと嫌な気分になってきて。誰かの言うことばかり聞いて、自分が見えなくなっちゃう感覚を今でも覚えています。今はSNSでバズったり、どんな情報もすぐに流れてきて見れてしまう時代。自分が見えなくなっちゃう若者たちも多いんじゃないかなって思うんです。
──この曲のテーマにあるように、何をどう選んで生きていくかは、最近は特に一人一人の姿勢が問われる場面も多い気がします。
hitomi:そうですよね。以前、子どもと話したことがあるのは「友達が多いほうがいい」「1人さえいればいい」っていう話。どっちがすごいっていう決まりもないけど、「みんなが言ってるから、友達は多いほうがいい」って思っちゃってる世の中でもあると思うんですよね。でも私は、「友達が少なくても全然いいんじゃない?」って考えるタイプ。そういう日常のちょっとしたことから感じることもありますね。

──そういう言葉や曲のフレーズを、日常的に書き留めておいたりもされるんですか?
hitomi:いや、あまり書き留めはしないですね。特に今回はライブの準備などでバタバタしていて、「Choice!」も「Tokey-Dokey」も締め切りがあったので、全編を作る前に1コーラスだけ作りました。時間をちょっと置いてから2コーラス目を作ったんですけど、今思えば、それが意外とよかったのかなって。「Tokey-Dokey」は東名阪ツアーが終わってから自分のワンマンライブに向けて2コーラス目を作っていって、「Choice!」も一気に作っていたらまたちょっと違っていたような気もするし、どちらもじっくり作れた感覚です。
──夢見ていることや今後やっていきたいことがあれば、最後に聞かせていただけますか。
hitomi:大それた何かになろうとか、大きいステージに立ちたいっていうことは、いまさらなくて。そういう感覚よりも、みんなを少しでもポジティブにさせられる存在でありたいって思っています。「なんかhitomiを見ると癒されるな」みたいな感じで見てもらえるようなアーティストになれたら。そのためにも一生懸命自分も生きようっていう感じですね。
リリース情報

「Tokey-Dokey」
2026/5/20 DIGITAL RELEASE
配信・ダウンロードはこちら

「Choice!」
2026/6/17 DIGITAL RELEASE
配信・ダウンロードはこちら
関連リンク
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