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<インタビュー>結成15周年のモノンクル、変化を受け入れた先にたどり着いた「果て」

インタビューバナー

Interview & Text:森朋之
Photo:堀内彩香

 吉田沙良(Vo.)と角田隆太(Ba.)による2人組ユニット、モノンクルが2026年6月26日にビルボードライブ東京で【モノンクル " 果て " Release Party 〜15th Anniversary ONE-MAN〜】を開催する。 昨年11月に5枚目のオリジナル・アルバム『僕ら行き止まりで笑いあいたい』をリリースし、代官山UNITでのワンマンライブを成功させた2人。今年に入ってからも「渦」、「果て」と新曲を次々に発表するなど、精力的な活動が続いている。 約5年ぶりのビルボードライブ公演となる今回のステージはバンド編成。伊吹文裕(Dr.)、竹之内一彌(Gt.)、渡辺翔太(Key.)とともに有機的なサウンドを体感できそうだ。「渦」「果て」の制作、ビルボードライブ公演への意気込みなどについて聞いた。

――昨年秋に約7年ぶりとなるオリジナル・アルバム『僕ら行き止まりで笑いあいたい』を発表。年末にリリース・ライブを行った後も新曲をリリースするなど、順調な活動が続いています。

吉田沙良(以下、吉田):ワンマンの次の日から制作してたんですよ。


角田隆太(以下、角田):いきものがかりのトリビュート・アルバムに収録された「コイスルオトメ」のカバーですね。年始からは、シングルの制作をやっていました。





吉田:1月から事務所とレーベルが変わって、心機一転みたいな気持ちもあって。新しくロゴを作ったり、アーティスト写真を撮ったり、大きな流れを作っていこうとしているところですね。


──2月には、レーベル移籍後第1弾となる配信シングル「渦」がリリースされました。

吉田:実は3~4年くらい前から存在していた曲で、ライブでも数回披露したことがあったんです。それを2026年バージョンとしてリアレンジしたのが「渦」ですね。


角田:もともとは平成のJ-POPみたいな雰囲気の曲だったんですけど、それをガラッと変えて、オルタナティブR&Bの要素を取り入れて。今年に入ってから“オルタナティブ”がテーマになっているところがあるんですよね。


吉田:モノンクルの曲を聴いてくれた人から「オルタナR&Bだよね」みたいなことを言われることもけっこうあって。自分たちは意識してなかったんですけど、そこもモノンクルらしさなのかなと。


角田:そういうルーツも確かにありますからね。沙良も小さい頃にゴスペルを聴いていた時期があったり。


吉田:教会に通う家族だったので、オルガンの音や聖歌隊の歌を聴いていて。それが自分の根底にあったんだな、と最近思い出したんです。中学のときに合唱部で歌ったり、大学生のときにニューヨークのハーレムで「Jesus!」「God bless you!」で熱狂的に歌っている方々を見た経験も大きいですね。


──「渦」にはお二人のルーツも反映されているのかも。歌詞についてはどうですか?

角田:テーマとしては“渦に巻き込まれて、どこに流されてもかまわない”という感じですね。これから新しいことが始まっていくわけですけど、それがどういう形になるかはわからなくて。「渦」には「それでいいよね」という感覚もあるし、2026年第1弾、レーベル移籍第1弾にふさわしいんじゃないかなと。




──モノンクル自体もいろんな変遷を経ているし、今現在の状況は想像してなかったのでは?

角田:モノンクルを始めたときにどんな未来を思い描いてきたか?というと、特に何も想像してなかったんですけどね(笑)。「それでもいいよね」と思えているのはいいことなのかなと。


吉田:そうだね。私には未来と過去が存在してなくて、本当に“今”しかないんです。過去はどんどん忘れるし、未来を思い描くことも苦手っていう(笑)。角田さんは未来のために動けるタイプだし、計画的なところは任せちゃっているんですよ。私はかなり衝動的だし、そのことでぶつかったり、進路変更させてしまうことも多々あったんですよね、振り返ると。


角田:そういう変化を受け入れることで、思い描いていた景色ではなく、もっと美しい光景に出会えるかもしれないですからね。


吉田:〈変わらないものなんてないよ〉ではじまりますからね、「渦」は。


角田:もちろん最初のビジョンのまま進む強さもあると思うので、いい/悪いの話ではなくて。それはその人の選択なんですけど、「渦」では「変化を受け入れることでポジティブなことが起きることもあるよ」ということを表現してみかったんですよね。


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──新曲「果て」についても聞かせてください。これはいつ頃に制作した曲なんですか?

吉田:4月くらいですね。狙ったわけではないんですけど、ビルボードライブの公演とタイミングが重なって、リリースパーティということになって。


角田:そうだね。


吉田:作り方もいつもと違ってたんですよ。Aメロ、Bメロ、サビというJ-POP的な構成ではなくて、まずイントロになってるループを角田さんが作ってくれて、そこから行きたい方向にどんどん進んでいって。思うがままに広げていったらAメロ、Bメロ、CメロからFメロ、Gメロみたいな感じになったという(笑)。


──オルタナR&B、ドラムベースなどいろんな要素が入っていて。

角田そうですね。作ってるときは沙良から「同じパターンを繰り返すのもいいんじゃない?」というアイデアが出てきたんですけど、結局そうならなくて。固定概念からちょっと外れているというか、脳のなかに浮かんだものをそのままパッケージしたら面白いんじゃないか?みたいな感じもありましたね。構築した感覚もないし、それこそオルタナティブなやり方だったのかなと。メロディと歌詞はほとんど沙良ですね。普段は僕がメロディと歌詞のベーシックを作って、それを沙良に落とし込んでもらうことが多いんですが、「果て」はそうじゃなくて。


吉田:メロディと歌詞はほぼ同時でしたね。


角田:トリッキーに聞こえるようなメロディーや言葉の並べ方にも沙良の中では整合性がとれているんですよね。無意識的であっても、沙良自身の声の発方、喉の鳴らし方と密接に関わっているから、ガー・ソングライター的な強さを感じました。


吉田:分析してる(笑)。鼻歌で歌うような感じで作ってるし、あんまり頭を使ってないというか。ただ、サビはできるだけ楽しくしたいと思ってました。壮大なことを歌ってそうだけど、実は小っちゃくてくだらない話をしてるだけだよ、みたいな曲にしたかったので。


──〈考えちゃった あの時食べた/ラーメンのカロリー〉から始まりますからね。めちゃくちゃ身近な話というか。

吉田:そうなんですよ。くだらないなとか、面白くないなとか、失敗したと思うような日もあるけど、それを一つ一つ拾いながら俯瞰したら、星座みたいに見えるんじゃないかなって。あとは死ぬ直前に見る、走馬灯のイメージもあったんですよ。そのときに浮かぶものって、素敵な映画のようなものではなくて、「冷蔵庫に入れたまま、食べなかったな」とか「あのメール、返信できなかったな」みたいなことなんじゃないかなって。それこそが愛おしいと思うんですよね。人はみんな偏っていると思うし、不器用だったりかっこよくなかったりするけど、だからこそ愛おしいし、素敵なんじゃないかなと。自分も含めて、みんながそう思えたらいいなという気持ちも込めてますね。


──偏ってない人はいないし、だからこそ美しいというか。

吉田:そうだと思います。「AIが作るもの、人間が作るものとの違いは?」みたいな議論がありますけど、一つ言えるのは、偏ったものを作り出せるかどうかじゃないかなって。AIはバランスを取った正解を出せるけど、人間は偏っているし、そういう索引を作っていくべきだなって最近思ってます。


角田:「果て」という曲名にも表れてますよね。平均値ではなくて、「果て」という。歌詞のことで言えば、「お隣さんもハッピー」とか「偶然触れる袖/ウチらアイス分け合って」とか、他人がたくさん出てくるんですよ。家族だったり、“君と僕”ではなくて、ちょっと距離がある他人がキーワードになっているのも今っぽいというか。共生みたいなことについて考えを巡らせる曲でもあるのかなと。


吉田:そこはあまり意識してなかったけど(笑)、今の社会の影響みたいなものはあるかも。いろいろ思いを巡らせてもらえたらうれしいですね。




──“どこに連れていかれるんだろう?”というワクワク感と同時に、いろんな思考を刺激する曲でもあるんだと思います。そして6月26日にはビルボードライブ東京で【モノンクル " 果て " Release Party 〜15th Anniversary ONE-MAN〜】を開催。「果て」のリリースパーティ、そして、15周年のアニバーサリーが一つになった公演ですね。

吉田:“15周年”については、ビルボードライブの方が入れてくれたんです。自分たちはすっかり忘れていて、「そうでした!」くらいの感じで(笑)。確かに大事なタイミングだし、感謝の思いも込めて、いろんな時期の曲をお届けしたいなと思ってます。


角田:前回のビルボードライブ公演は5年前だったんですけど、去年リリースしたアルバム(『僕ら行き止まりで笑いあいたい』)と前作の『RELOADING CITY』の中間地点だったなと思っていて。当時はシーケンスや同期の音を取り入れはじめた時期で、ビルボードライブもドラムレスだったんです。打ち込みの音と生音を融合させていたんですけど、今は2人編成で完全エレクトロなことをやっている分、こういう会場でバンドサウンドでやる時は生ならではのセッション感を組み入れつつ、有機的なステージしたいなと思ってます。


──バンドメンバーは伊吹文裕さん(Dr.)、竹之内一彌さん(Gt.)、渡辺翔太さん(Key.)です。

吉田:すごく上手いし、しかも偏った人たちばかりです(笑)。信頼を置いている最高のメンバーだし、バンドじゃないとやれない曲もあるので、私たちもすごく楽しみですね。


──15周年についてはどう捉えていますか?

角田:最初の頃は「バンドをやるぞ」という感じではなくて、「セッションしようか」くらいの感じでゆるっと始まったんですよ。ポップスに軸足を移して、しっかりモノンクルとして活動していこうと思ったのは2017年くらいなので、そこから数えると来年が10周年なのかも(笑)。

吉田:そうだね(笑)。

──2026年の後半のモノンクルはどうなりそうですか?

吉田:今もずっと制作を続けていて。「渦」と「果て」は、じつはストーリーがつながっているんですよ。「渦」のMVは宇宙船に乗って旅する映像だし、「果て」にも〈宇宙に南とかあるのかな〉とか〈あのブラックホール 超えた先の〉という歌詞があって。それを一つのテーマにして、さらに広げていきたいなと思っています。


角田:アルバムかどうかはわからないですけど、作品としてまとめられたらいいなと。


吉田:出す出す詐欺みたいになりがちなので、リリースの時期はあまり言わないようにしてるんですよ(笑)。がんばって制作しているので、ぜひ楽しみにしていてください。


──まずは6月26日のビルボードライブ公演ですね。

吉田:はい。最近は二人編成のライブが多かったんですけど、バンドでやれるのがすごくうれしくて。会場に来てくれた皆さんの反応によって音が変化していくし、演奏に加わるような感覚で楽しんでくれたらなと思ってます。


角田:前回のビルボードライブ公演もそうだったんですけど、こうやって今のモードを聞いてもらえるのもありがたくて。「果て」の歌詞の話もそうですけど、会話のなかで気づいたこともあるし、自分たちのカルチャーを耕してもらえるのが面白いんですよね。今回の公演でもぜひ、今のモノンクルのカルチャーを感じてもらえたらうれしいです。


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