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2016/10/02 12:00

カニエが強力バックアップするフランシス・アンド・ザ・ライツ、突如無料配信した一切の妥協がないデビュー作(Album Review)

 フランシス・アンド・ザ・ライツは、フランシス・フェアウェル・スターライトが中心となる、オークランド出身、ニューヨークを活動拠点とする音楽プロジェクト。2007年にデビューし、これまで、4枚のEP盤と4曲のシングルをリリースしてきたが、2016年9月24日に初のフル・アルバムとなる『フェアウェル・スターライト』をリリースし、大きな反響を呼んでいる。

 先行シングルとしてリリースされた「フレンズ」は、カニエ・ウェストと、アメリカのフォーク・ロックバンド、ボン・イヴェールをゲストに迎え、トークボックスを起用した、フランシスお得意の80年代っぽさが全面に出たナンバー。この曲は、フランシス・アンド・ザ・ライツも参加した、チャンス・ザ・ラッパーの新作『カラーリング・ブック』に収録されている、「サマーフレンズ」が、早速サンプリング・ソースとして起用されている。

 過去に「キャント・テル・ミー・ナッシング」(2007年)をカバーするなど、カニエ・ウェストの作品に大きな影響を受けたフランシス・アンド・ザ・ライツ。その、カニエに注目されたことがデビューのキッカケということもあり、本作では「フレンズ」の他にも、「マイ・シティーズ・ゴーン」にゲスト出演したり、アルバムの楽曲制作にも大きく携わっている。

 ジャスティン・ヴァーノンが参加した、スペイシーなデジタル・ポップ「シー・ハー・アウト」や、トーク・ボックスを起用した「キャント・ステイ・パーティー」、80'sファンクをそのまま再現した「アイ・ウォント・ユー・トゥ・シェイク」など、ニューウェーブ・サウンドをニオわせるポップ/ロックが満載。一方で、「カムバック」や「イッツ・オールライト・トゥ・クライ」など、旋律が美しいメロウもあり、ゴスペルを意識したラスト・ナンバー「サンキュー」は、カニエの作品を意識した感が強く出た、音楽性の高いナンバーだ。

 全10曲、コンパクトながらに非常にまとまった作品になっていて、どの曲も一切の妥協がない、細やかな音作りの『フェアウェル・スターライト』。とはいえ、身構えてじっくり聞かないと入ってこないようなアルバムではないので、部屋でリラックスする際やドライブなど、聞き流すにも適した作品である。

Text:本家一成

◎リリース情報
『フェアウェル・スターライト』
フランシス・アンド・ザ・ライツ
2016/9/24 RELEASE
デジタル配信
http://farewellstarlite.com/

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