2026/07/23 18:00
ビルボードの総合書籍チャート "Billboard JAPAN Book Charts" のSNS指標では、クリエイタープラットフォーム「note」に投稿された書籍関連記事の統計情報(「スキ」登録数・記事投稿数)を集計対象に含めている。
noteは、書評や感想といった「口コミ」が生まれる場であると同時に、書き手にとっての「創作の場」でもある。noteへの投稿をきっかけに書籍化された作品は、2026年7月1日時点で累計400冊を突破した。つまりnoteは、チャートを動かす読者の声を生み出すと同時に、チャートに載る作品そのものを送り出す場にもなっている。
その両面を体現する一冊が、【第175回直木三十五賞】の候補作に選ばれた若林正恭『青天』である。『青天』は、著者自身のnote「若林正恭の無地note」で連載された作品だ。2024年7月17日公開の初回から2025年4月11日公開の最終回まで、全40回にわたってnoteで書き継がれ、2026年2月20日に文藝春秋から単行本化された。
発売週の文芸書籍チャート"Hot Bungei"(2月16日~22日集計分)では、実店舗1位・EC3位を記録し、総合6位に。翌週には実店舗1位・EC2位に加え、前週20位圏外だったSNS指標が5位、電子書籍指標が20位へ浮上し、総合2位まで上昇した。noteをはじめとしたSNSでの口コミが数字となって表れた格好だ。(【表1】若林正恭『青天』の文芸書籍チャート"Hot Bungei"上での順位を参照。緑の折れ線グラフが店舗指標の順位、オレンジがEC指標の順位、青が電子書籍指標の順位、赤がSNS指標の順位を示す。)
発売から1か月を過ぎると総合順位はトップ10圏外に落ち着いたが、その後2度のきっかけでチャートに再浮上する。5月29日の若林本人のNHK『あさイチ』出演を受けた6月4日公開分(5月25日~31日集計分)では、実店舗指標が前週20位圏外から5位へ急伸し、総合10位に返り咲いた。さらに6月11日の『青天』の直木賞候補入りを受けた6月18日公開分(6月8日~14日集計分)では、実店舗4位・EC7位・SNS10位を記録し、勢いを維持していった。
『青天』はnoteという「創作の場」で生まれ、書籍化後はnoteを中心とする「口コミ」がSNS指標としてチャートを押し上げた。テレビ出演や直木賞候補入りといった話題も、そのつどチャート上の動きに表れている。note発の作品が、note発のデータも取り込んだチャートを賑わせ、文学賞候補にまで至る。このような現象は、創作と反響が循環する現在の書籍シーンを象徴する一例だ。今後の動きがどうなっていくか、注目していきたい。
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