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2026/06/19 19:00

<ライブレポート>オーケストラで辿る、魅力溢れるRevoの楽曲の世界【Revo's Orchestra Concert 2026】

 2024年6月に初めて開催され、大好評を博した【Revo's Orchestra Concert】。その名の通り、サウンドクリエイターであるRevoが生み出した楽曲をオーケストラで味わうコンサートだが、その続演となる【Revo's Orchestra Concert 2026】の東京公演が文京シビックホール 大ホールで、 5月9日および10日の昼夜に2公演ずつ、計4公演が開催された。また、9月5日には東日本の地を離れ、兵庫・神戸国際会館 こくさいホールでも昼夜2公演が行われる予定となっている。全公演でタクトを振るのは2024年に引き続いての栗田博文氏。演奏は、東京では東京フィルハーモニー交響楽団が、神戸では日本センチュリー交響楽団が担当する。

 Revoといえば、メジャーデビューから20年を重ねたSound Horizonでは複雑に織り込まれた物語と仕掛けで多くのファンを獲得。一方、Linked Horizonとして1期オープニング・テーマであった「紅蓮の弓矢」を筆頭にアニメ『進撃の巨人』の主題歌を手掛けたことで名を挙げ、スクウェア・エニックスが手がけるRPG『BRAVERY DEFAULT』シリーズ、アニメ『美少女戦士セーラームーンCrystal』、サンリオピューロランド、Vtuberの白上フブキ、AIキャラクターの梵そよぎ、といった数多くのコンテンツやアーティストに楽曲提供もしてきた。

 前回に引き続き今回の【Revo's Orchestra Concert 2026】に参加して感じたのは、Revo初心者に寄り添う姿勢と、詰め込まれたエンターテインメント性だった。“楽しさ”満載のオーケストラコンサートを実現させ、【Revo's Orchestra Concert 2026】が初めて出向くオーケストラコンサートにいかにふさわしいか、Revo初心者どころかRevo楽曲を知らずとも楽しめるコンサートに仕上げられているかを痛感させられた。幕開け公演となった初日昼公演を振り返りながら、アミューズメントパークのように普遍的な魅力を有する【Revo's Orchestra Concert 2026】の特徴を確かめていきたい。

 5月9日、初夏の晴れやかな日中、文京シビックホールには着飾った人々が集っていた。クラシックコンサート会場として名高い当地、その大ホールへと進み入り、着席して開演を待つ彼や彼女たち。その前にやがて交響楽団の面々が現れ、拍手を浴びながら指定の席まで到達する。そこで会場は一度静まり、次にコンサートマスターが現れる。拍手を受け、チューニングの時間を経たのち、ついに指揮者の栗田博文氏が登場。指揮台まで歩みを進めた栗田氏が台に立ち、腕を上げると夢のようなオーケストラコンサートは幕を開けた。交響楽団の力を得てRevo楽曲がさらなる高みを目指す、そんな2度目の旅路の始まりでもある。

 記念すべき1曲目に選ばれたのは、Revoが音楽を担当したゲーム『BRAVELY DEFAULT Ⅱ』から「再び希望へ向う序曲」。Revo楽曲らしく幾度と転調しながらも聴けばすぐにRPGを思い起こさせる音階やメロディーは、『BRAVELY DEFAULT Ⅱ』を知らずに現代日本で育った者でも、その心が血沸き肉躍る冒険へといざなわれる。むしろ曲を聴いていると『BRAVERY DEFAULT』シリーズが王道RPGであるだろうと予想あるいは期待もさせられる。2024年の開催時もスタートはシリーズ第1作である『BRAVERY DEFAULT FLYING FAIRY』から「希望へ向う序曲」が選出されたが、「正統派RPGの音楽にはオーケストラ」を持論とするRevoだけに『BRAVERY DEFAULT』シリーズの音楽とオーケストラは実に親和性が高い。ハープ、グロッケンが奏でるメロディーが希望に満ちながら世界観を構築していく。『BRAVERY DEFAULT』の世界に存在する4つのクリスタル、世界を旅する4人の冒険者を模し、4種の楽器が重奏を見せ、そして重なるなどしながら楽曲は力強く進んでいった。

 演奏後、オーケストラのメンバー全員が一旦立ち上がって客席に対して会釈すると、主宰であるRevoが登場した。挨拶を述べつつ、普段は基本的に歌物を制作しているが【Revo's Orchestra Concert 2026】ではボーカルもコーラスも登場しないこと、楽曲を生み出したのは自身であるもののコンサートの主役はオーケストラ、という趣旨を告げ、「東京フィルハーモニー交響楽団に拍手を」と客席に促した。Revoは続いて、コンサートの構成がメジャーデビュー20年を迎えた自身の活動を時系列で辿っていることについて言及し、音楽が年月によって変化した様を楽しんでほしいと述べた。

 2曲目は、2004年の同人音楽時代に発売したCD『Chronicle 2nd』から「沈んだ歌姫」を。原曲では冒頭に登場人物を紹介するモノローグが入るが、オーケストラコンサートではその後ろで流れるイントロを拡大しての展開から始まった。普段は耳目がボーカルに集まりがちなところ、メロディーや伴奏を抽出する形で味わえるのはオーケストラコンサートの大きな魅力でもある。セリフやモノローグの多いSound Horizon楽曲だからこそ、聴者はメロディーラインに改めての発見に数多く出会う。二人の歌姫(あらまり、霜月はるか)が担当した原曲のボーカル部分は、イングリッシュホルンとフルートのように異なる楽器の共演で表現。原曲を知る者は歌詞によって言語化されていた物語を、音のイメージとして再認識させられる。それは楽曲への解像度が高まった過程でもあり、喜びを感じる部分だ。また、物語の不穏さと明朗さが入り乱れるなど一曲の中で多彩な表情を見せてくれることの多いRevo楽曲だが、その特性を生かしたオーケストラアレンジになっていることも感じさせた。

 ウィンドチャイムが心に染み入る余韻を残して曲が終わった後、「フゴォォ」という風の音、続いて馬のいななきが聴こえてきた。吹雪の中、母子を乗せて駈けていく「銀色の馬車」が次曲。風の音は曲のラストにも繰り出され、その発生源となる楽器はパーカッションが担当したウインドマシン。馬のいななきはトランペットの業によるものだった。前回の開催時も感じたが、クラシックが誇る多彩な楽器たちが次々と登場する【Revo's Orchestra Concert】は、楽曲を知らずとも、オーケストラになじみがなくとも誰でも楽しめるだろう。セリフやモノローグ同様、効果音が多く盛り込まれるのもRevo楽曲の特徴。それゆえ、今回の【Revo's Orchestra Concert 2026】でも、「呪われし宝石」のイントロでは雷鳴を表すためにサンダーシート(縦1m以上、幅1mほどの金属製シートを吊り下げ、叩いたり揺すったりすることで鳴らす楽器)を、「涙では消せない焔」では中盤に放たれた銃声を表現するために競技ピストルを、「生と死の遊戯盤」のラストでは登場人物が呟いた「チェックメイト」の言葉を表現するためにハンマーを、「生と死の遊戯盤」で水音を表現するためにレインスティックを、「二千年... 若しくは... 二万年後の君へ・・・」ではバードコールを用いるなどしていた。

 たとえば、シュトラウスの「アルプス交響曲」でも雷雨と嵐を表現する箇所でウインドマシンとサンダーマシーンが登場するが、クラシック音楽とは舞台や時代、世界観において近似性が認められるものの、より明確に“物語”を描く傾向にあるRevo楽曲の方が効果音を演出として多用している。2024年の【Revo's Orchestra Concert】でもウインドマシンやバードコール、競技用ピストルが導入されており、やはり音響効果系の楽器の登場頻度は高い。「変わった楽器」を目にできるのも「Revo's Orchestra Concert」の特徴であり、楽しみのひとつとなりつつある。楽器ではないが、2024年開催時、「暁光の唄」では原曲の最後に書を閉じる音が挿入されていることから、コンサートでも指揮者ならびに演奏者が一斉に譜面をめくった。同様に今回も「宵闇の唄」のラストで実演されたが、【Revo's Orchestra Concert】に参加するとクラシック音楽に対する心理的ハードルが低くなることが実感できる。楽器の多様性、クラシック音楽が持つ幅の広さ、そこを楽しんでいる自分に気づくのではないか。

 7曲目に演奏された「人生は入れ子人形 -Матрёшка-」に至っては、演奏が終了したと思ったら指揮者の栗田氏が振り向き、客席に向かって大きく「ハラショー!」と叫び、応えて客席からも大きな「ハラショー!」が巻き起こる。「トロイカ」を引用するなどロシアがモチーフとなった原曲の歌詞に「ハラショー!」が連呼されているからこその演出。RevoからもMCで予告されてはいたが、オーケストラコンサートに対する固定概念を覆してもくれる。また、共に声を挙げることでオーケストラと共に楽曲を作り上げた感覚も味わえる。また、コミカルでけれんみのある「人生は入れ子人形 -Матрёшка-」だけに、忙しく指揮台の上を左右にスライドしながら両側のバイオリンに指示を出したり、力強く体を上下したり。指揮者の栗田氏も、時に楽曲を身体で表現し、時に聴衆に合図を送り、視覚でもオーケストラコンサートを盛り上げていた。【Revo's Orchestra Concert】に参加すると、クラシック音楽との心的距離を縮め、没入感を増してくれる。

 一方、「人生は入れ子人形 -Матрёшка-」の聴きどころとして、原曲では「運命は残酷だ」と歌う箇所からのメロディーのうねりが挙げられる。そのフレーズはRevoが『進撃の巨人』に提供した数々の楽曲を思い起こさせ、『進撃の巨人』ファンならば耳をくすぐられ、ともすればRevo楽曲へと足を踏み入れるきっかけにもなりそうだ。と同時にそれは、一人のコンポーザーにおける過去と未来のつながりを感じる箇所でもある。先のMCでRevoが話したように“音楽”を時空という軸でも楽しめる。

 同じく、活動年数を経るごとの変化を感じられるのが8曲目に演奏された「宵闇の唄」。「『Märchen』あたりから急に(曲の)尺が長くなる」というRevoの言葉通り、原曲は10分超え。DTMサウンドから、ハードロック/ヘヴィメタル色の強いシンフォニックロックへの移行期における代表的楽曲でもあり、指揮者・演奏者に多大なる熱量と体力を要求する一曲。間違いなく【Revo's Orchestra Concert 2026】における最大の見せ場の一つでもあった。歌詞で描かれた物語は壮大な復讐劇で、展開が目まぐるしく移り変わっていくが、長尺の中には「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」「歓喜の歌」(ベートーヴェン交響曲第9番の第4楽章)」「幻想即興曲」「展覧会の絵」が続けざまに差し込まれる。【Revo's Orchestra Concert 2026】で名曲を聴く時間は、あたかも原点回帰のようにも感じられた。一方、オーケストラアレンジバージョンでは、アルバム『Märchen』のプロローグ作品にあたるマキシシングル『イドへ至る森へ至るイド』収録の「光と闇の童話」と「この狭い鳥籠の中で」が織り込まれてもいた。だがそれは同一アーティストの曲をセルフオマージュ、セルフトリビュートしたという枠に収まらず、楽曲同士が強い結びつきを持つSound Horizonの世界だからこそのアレンジでもあった。

 まさに圧巻としか言いようのない大作の演奏が終了すると、その圧倒的な音楽を贈り出してくれた舞台上の面々に対して観客は万雷の拍手を浴びせる。その後登場したRevoによって次のブロックで第1部が終了と告げられ、「涙では消せない焔」へと突入する。オーケストラアレンジでは中盤パートにてスネアドラムがマーチングのリズムを刻み、その後も弾むようなビートが響き、壮大さを増した演奏に。また、焦燥や葛藤を描く楽曲に合わせて照明にも工夫がなされ、原曲で“冬の子”に対する愛を歌う箇所は白く、「産まれておいで」の“で”の箇所で青くなり、歌詞とリンクした照明演出となっていた。これは前回の【Revo's Orchestra Concert】からアップグレードされた部分であり、アミューズメントパークのライトアップやパレードさながら、【Revo's Orchestra Concert 2026】がより、楽曲を深く知る者だけではなく楽曲を知らない者でも楽しめる空間と化したことを示す。

 「涙では消せない焔」の次は、神社を舞台とした和要素満載の作品『絵馬に願ひを!』(Full Edition)からの一曲、「生と死の遊戯盤」へ。「遊戯盤の上を駒が進む」と歌った(2曲目の)「沈んだ歌姫」と、その15年後に生み出された楽曲が同じコンサートで演奏されることに気づくと感慨深くなる。原曲では琴が奏でていたイントロはハープが担い、楽曲の背景として存在する手水舎を表現するためにレインスティックが水の滴りを鳴らす。やがて楽曲は、15/16拍子や17/16拍子という極めて難解な変拍子で進行する骨子に進行していく。変則リズムは体を戸惑わせるもするが、根底にある大きな4拍子の流れが聴く者を拒絶しない。コンポーザーかつエンターテイナーとしてRevoの巧みな技が光る。一方、原曲にあるセリフ「チェックメイトだ」を音に変換するため、パーカッション担当がハンマーを振り下ろして会場に鈍い音を響き渡らせた時は、会場に驚きが走った。「生と死の遊戯盤」が至るラスト、妻が腹部に加えられた殴打を思い起こさせる意図もあったようだ。

 続いてはイントロにSound Horizonの代表曲「朝と夜の物語」が織り込まれ、曲名に「物語」を掲げた楽曲。ドラムのリムショットで秒針のようにリズムを刻み、バスドラム、ティンパニ、チューバの低音がソロを展開していく。そして押し寄せる弦の波。第1部のラスト曲にふさわしい壮大さを味わわせる。最後も「朝と夜の物語」のメロディーによるアウトロをオーケストラらしく締めると、演奏後に客席を向いた栗田氏に向かって「ブラボー!」と大きな称賛の声が。栗田氏も笑みを浮かべ、何度もブラボーを所望した後、ステージを去り、オーケストラのメンバーが続くとRevoが登場する。Revoはオーケストラが休憩時間に入ることを告げ、「宵闇の唄」のように難易度の高い曲を演奏してもらうために必要なことと観客に説明する。その後、これまでもSound Horizonのライブやイベントで幕間の賑やかしとして登場したり、Revoが登場するYouTubeチャンネルでMCを担当したりしてきた「サンホララボ」メンバーとのトークコーナー。初日の昼公演ではトーク相手としてさやわか氏を呼び込み、提示された“旅”を議題にトークを開始。以降、同日夜は清水が携えた“物語”、翌日昼は冨田氏が“AI”、夜は宗像氏が“推し活”をテーマとして提示し、思い思いのトークをゆるやかに展開した。

 ステージが再びオーケストラメンバーを迎え入れ、第2部が始まりとなった。今回の【Revo's Orchestra Concert 2026】では事前に演奏を告知していた楽曲が5曲あり、公演の後半はその楽曲群が演奏された。最初に登場したのは、Revoが梶浦由記とコラボレーション、共作詞/共作曲という稀有なスタイルで制作した「砂塵の彼方へ…」。リリースは2008年で、Revoも『進撃の巨人』などで名を馳せる前であったが、梶浦にとってもKalafinaを発表した直後、『鬼滅の刃』を手がける前の時期にあたる。両者共に意義あるコラボだったことを明言しているが、Revoは演奏後のMCで壮大なテーマを掲げた楽曲であったが、年月を経たことで「祝福」を含んでいる曲に感じているとも話した。オーケストラによる演奏はまさにその本質を突くものではなかったか。ウインドマシンによる風の音からハープが世界観を広げ、原曲でアコースティックギターがつま弾く箇所はイングリッシュホルンで進行。バイオリン勢の音色と合わさるスネアのリズム、コンマスのバイオリンソロ。何よりも原曲よりも抑えた速度で楽曲が行進していく様は“旅路”のようでもあった。各楽器には歌詞の想いが与えられ、役割を受け継がれるがごとく重奏を展開。そして弦楽器と管楽器による合奏を経て、再びイングリッシュホルンを伴うアウトロに至る情景は、人間という存在が個から集団へ、また個へと移り変わるようでもあった。愛する者に残された悲哀、向き合いながら再び歩き出す強さを描いた“讃歌”を見せつけられた気がした。

 次は「二千年... 若しくは... 二万年後の君へ・・・」。原曲ではミカサ・アッカーマン役の石川由依とエレン・イエーガー役の梶裕貴をボーカルに迎え、序盤にTVアニメ『進撃の巨人』に着想を得て制作されたインスパイア・イメージソング「13の冬」のメロディーが織り込まれている。さらに中盤からは、Revoが同アニメのSeason 3 Part.1 エンディング・テーマである「暁の鎮魂歌」のフレーズを歌いながらボーカルを引き継ぐ。そして同アニメのSeason1 前期オープニング主題歌のタイトルである「紅蓮の弓矢」というワードを印象的に含みながら、最後まで歌い続ける構成となっている。この曲はまさに、『進撃の巨人』という作品の終結をRevoが楽曲として表したものだ。冒頭、バードコールによる鳥のさえずりが現れた瞬間から観客は作品世界へ没入、森の中の少年少女が森を出てから出会った冒険譚を追体験するように作品世界に浸らされた。白い筋を描く照明演出は「終尾の巨人」の背のようでもあり、迫る飛行機のようでもあり。Revoの『進撃の巨人』という作品に対する愛が押し寄せてくるようでもあり、『進撃の巨人』ファンならば感じ取る情報量の多い時間であっただろう。

 次に注目したいのは続く「僕らの星座」。ホロライブプロダクション所属のVTuberで「白髪ケモミミなオタク狐」(にしてローラン)の白上フブキが創り上げた王国「フブキングダム」の国歌として提供された楽曲。Revoも「Sound Horizon Kingdom」を統べる国王であり、「栄光の移動王国 -The Glory Kingdom-」という国歌を制作していることから白上がRevoへオファーした。が、傑作と称しても過言ではない愛らしいメロディーは、老若男女、Revoに対する知識や情報の有無といった要素を一蹴できるほど、ただただ聴く者を魅了する。楽曲を浴びながら、【Revo's Orchestra Concert 2026】の魅力の本質=素晴らしいメロディーを極上の演奏で聴く、その一点を噛みしめていた。【Revo's Orchestra Concert 2026】がRevo初心者にも優しく、オーケストラに対する敷居を下げているのは、メロディーメーカーとして進化し続けたRevo楽曲は初見でも聴く者を虜にする力があり、オーケストラという高位の音楽はRevo楽曲をさらに昇華させると気づかされる。

 楽曲への仕掛けをほどこすのはRevoの真骨頂であるが、さらなる発展形とも言えるのが「梵そよぎ」に提供した楽曲「千年後のボクへ」。「梵そよぎ」とは、梶裕貴の声を基に生み出された、梶自身がプロデュースするAI音声プロジェクト『そよぎフラクタル』のキャラクター。曲名は『進撃の巨人』第1話タイトルの「二千年後の君へ」、前述の「二千年... 若しくは... 二万年後の君へ・・・」を想起させるが、梶が挙げたタイトル候補を吟味してRevoが選んでいる。だが、歌詞を中心に表現された楽曲世界には、梶裕貴が考える“声”における新しい未来やそこに対する希望が多分に盛り込まれており、梶の意図を汲み取ってRevoが大いなる愛で作り上げていることがわかる。と同時に、“自分がいない世界” “死した後の生”という概念やテーマは、Revoが積み上げてきた世界観とも共通しているように感じる。長尺曲が多い傾向にあるRevoの他の楽曲と比べると異例の短さの曲であるが、オーケストラコンサートでも存在感を見せ、短いからこその構成という面を見せたところも興味深い。特に梶裕貴のファンに、原曲を聴いた上で味わってほしい時間だった。

 サンリオピューロランドのパレード「The Quest of Wonders Parade」のテーマソングとして作られた「My Happiness」の時間も楽しい時間だった。Revoから事前に、サンリオピューロランドで行われている振付を曲の該当箇所で行ってもOKというお達しもあり、会場内では着席したまま手を振る者もそこかしこに見られた。また、原曲のラストに「Yeah!」という掛け声が入るところがあるが、そのタイミングでも指揮者の栗田氏が客席の方を振り向き、客席も共に「Yeah!」と声を挙げ、「オーケストラコンサートながら楽曲に参加」という特権が味わえた。

 神戸公演も含めた【Revo's Orchestra Concert 2026】の特色として言及しておきたいのが、全公演に参加することで見える景色もある、という点。具体的には、演奏曲の最後3曲は日替わり曲だが、そのうちの1曲は『BRAVELY DEFAULT Ⅱ』から選出。しかもRevoがMCで述べたところによると、コロナ禍の影響で『BRAVELY DEFAULT Ⅱ』はコンサートがいまだ行えていないこともあり、全6曲ではあるが【Revo's Orchestra Concert 2026】の全公演で『BRAVELY DEFAULT Ⅱ』コンサートを模した形を想定しているようだ。1公演内という縦軸に加え、日替わりという横軸でもセットリストを組んでいることになり、全通あるいは複数公演に参加する観客に楽しみを提供するといったところだろうか。ただ、9日昼公演のみならず東京公演では幾度となく「『BRAVELY DEFAULT Ⅱ』コンサートへようこそ」的な挨拶でこすり続けていたRevo。秘めたる無念さとして並々ならぬものがあるのも事実のようだ。

 充実した時間が終わりを告げようとする中、コンサートの最後でも【Revo's Orchestra Concert 2026】には参加する価値ありと感じさせる瞬間が訪れた。「王国」設定を持つSound Horizonでは国歌が用意されていることは先の述べた通りで、ライブのラストには観客(=国民)全員で斉唱するのが習わし。だが、オーケストラコンサートの場合、そこにRevoの意図として、オーケストラの演奏で歌うという貴重な体験を味わってもらおうというところがある。東京公演では、東京フィルハーモニー交響楽団の伴奏で、かつ文京シビックホールという素晴らしい環境に自らの歌声を響かせることができた。ただし、Sound Horizonのコンサートではステージ後方のスクリーンに歌詞と振付が映像として流れるが、少なくとも今回の【Revo's Orchestra Concert 2026】ではスクリーンの用意はない。それでも貴重な経験であることは間違いなく、振付動画が公式にアップされてもいるので、小学校時代の校歌か年末の「第九」の気分で国歌「栄光の移動王国 -The Glory Kingdom-」だけは覚えておくと良い。ちなみにステージ上の国王は歌う側ではなく、また、楽しませよう精神が強いあまりにややもすれば国歌に集中できないことをする場合もある(9日夜公演での歌唱中の横ピースなど)ので参考にできないと思われる。

 RevoはMCで「推しの楽器も見つけて帰ってください」と話したが、新たな楽曲との出会い、新たなコンテンツへの扉を開く場になるのが【Revo's Orchestra Concert 2026】である。2024年の開催時に演奏された提供楽曲は「MOON PRIDE」(ももいろクローバーZ)のみであったが今回は3曲に増え、さらに幅広い音楽性に触れることもできる。繰り返しになるがアミューズメントパーク的な要素の強い【Revo's Orchestra Concert 2026】への参加は、オーケストラが、音楽が、Revoが作り出す空間が楽しいと感じられる経験だった。9月も聴者に素晴らしい経験をもたらす昼夜が神戸で待ち構えている。公演に参加できるならば羨ましい限りだ。


Text:清水耕司
Photo:江隈麗志、黒瀬友里

◎公演情報
【Revo's Orchestra Concert 2026】
2026年5月9日(土) 東京・文京シビックホール 大ホール
▼出演者
Revo
指揮:栗田博文
オーケストラ:東京フィルハーモニー交響楽団

▼セットリスト
5月9日 昼公演
1. 再び希望へ向う序曲
2. 沈んだ歌姫
3. 銀色の馬車
4. 魔法使いサラバント
5. Yield
6. 呪われし宝石
7. 人生は入れ子人形 -Матрёшка-
8. 宵闇の唄
9. 涙では消せない焔
10. 生と死の遊戯盤
11. 物語
12. 砂塵の彼方へ…
13. 二千年... 若しくは... 二万年後の君へ・・・
14. 僕らの星座
15. 千年後のボクへ
16. My Happiness
17. アーベルジュの戦い
18. 平原の地平~再び鳴り響く戦いの鐘
19. 「ルクセンダルク紀行」より はじまりの国 カルディスラ王国
20. 栄光の移動王国 -The Glory Kingdom-

5月9日 夜公演
1. 再び希望へ向う序曲
2. 沈んだ歌姫
3. 銀色の馬車
4. 魔法使いサラバント
5. Yield
6. 呪われし宝石
7. 人生は入れ子人形 -Матрёшка
8. 宵闇の唄
9. 涙では消せない焔
10. 生と死の遊戯盤
11. 物語
12. 砂塵の彼方へ…
13. 二千年... 若しくは... 二万年後の君へ・・・
14. 僕らの星座
15. 千年後のボクへ
16. My Happiness
17. March After Millennium
18. 生存本能は牙を剥く~更なる勝利の歓び
19. 「ルクセンダルク紀行」より 砂と大時計の国 ラクリーカ
20. 栄光の移動王国 -The Glory Kingdom-

2026年9月5日(土) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール
OPEN 12:30 / START 13:30
OPEN 17:00 / START 18:00

▼出演者
Revo
指揮:栗田博文
オーケストラ:日本センチュリー交響楽団
トークコーナーゲスト:
・13:30~公演 さやわか(サンホララボ研究員)
・18:00~公演 冨田明宏(サンホララボ研究員)

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2013/07/10

[CD]

¥1,257(税込)

自由への進撃
Linked Horizon「自由への進撃」

2013/07/10

[CD]

¥1,885(税込)

ルクセンダルク紀行
Linked Horizon「ルクセンダルク紀行」

2013/03/20

[Blu-ray Disc]

¥7,700(税込)

ルクセンダルク紀行
Linked Horizon「ルクセンダルク紀行」

2013/03/20

[DVD]

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ルクセンダルク小紀行
Linked Horizon「ルクセンダルク小紀行」

2012/08/22

[CD]

¥1,257(税込)

ルクセンダルク小紀行
Linked Horizon「ルクセンダルク小紀行」

2012/08/22

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2012/08/22

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6th Story Moira
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2008/09/03

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聖戦のイベリア
Sound Horizon「聖戦のイベリア」

2007/08/01

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聖戦のイベリア
Sound Horizon「聖戦のイベリア」

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