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Official髭男dism、【NOW PLAYING JAPAN LIVE vol.3】出演インタビュー



2012年に結成し、2018年4月に「ノーダウト」でメジャーデビュー。「ノーダウト」は、16週連続でBillboard JAPAN HOT100にチャートインし、特にストリーミングチャートBillboard JAPAN Streaming Songsでは43週連続でチャートインを果たしたOfficial髭男dism。2019年は新曲「Pretender」が映画『コンフィデンスマンJP』の主題歌に起用されている他、全国6か所7公演からなるツアー【Official髭男dism one-man tour 2019】が完売、追加公演として7月8日には自身初の武道館公演を控えている。そんな彼らが出演する5月28日開催の【NOW PLAYING JAPAN Live vol.3】は、ストリーミングとライブが連動したプロジェクトだ。日頃、どのようにストリーミングサービスを使っているのか、またストリーミングが浸透することによって曲作りに与えている影響はあるのかなど、様々な角度から話を聞いた。

ストリーミングのおかげで、昔より共有しやすくなった

――皆さんは、日頃どのように音楽を聴いていますか。

小笹大輔:ストリーミングを使って聴くことが多いですね。

松浦匡希&藤原聡:そうだね。

藤原:ストリーミングで聴けない曲だった場合は、CDを買ったりダウンロードすることもあります。ですが、オススメの曲を伝えたいときは、みんなストリーミングを使っているのでリンクを送りあったりしていて。便利ですよね。

――新しい音楽は、どうやって知ることが多いですか。

藤原:街中で気になった曲をShazamして、ストリーミングにあれば聴いてみて、なければ注文してみて…っていうやり方が、僕は一番多いかな。あと各ストリーミングサービス内でニューリリースをまとめたプレイリストは、よく聴きますね。そこで気に入った曲があれば、自分で作っているプレイリストに追加したり。

松浦:僕もストリーミングやYouTubeで聴くことがほとんどですね。あとSNSの投稿を通じて知って、ストリーミングで聴いてみたり。知らないアーティストだったら、そのアーティスト単位のプレイリストを聴いてみたり。ほとんど、そういう出会いですね。CDショップに行くことは少なくなったかなあ。

小笹:もともと僕らの地元にはCDショップが全然ないので、音楽を探しにCDショップに行くっていう文化がなくて。なので地元にいた時から新しい音楽は、インターネットを通じて探していたので、ストリーミングサービスに抵抗はないですし、すごく便利な時代になったなと思っています。僕は、ニューリリースのプレイリスト以外だと、R&BやChillなどジャンル毎のプレイリストを聴いたり、好きなギターリストが見つかったら、その人のインタビュー記事を読んで、その人のルーツとなる音楽を遡って聴いてみたりしています。

楢崎誠:今って、音楽を聴くためのスマートフォンを皆が持っているじゃないですか。だから呑みながらとか仕事の休憩時間に「これ、聴いてみて」って共有することも多いですね。すぐにその場で一緒に聴けるし、その情報を持ち帰れるので、昔より共有しやすくなったなと思います。

――最近、おすすめし合った曲は何ですか?

藤原:ちょっと遅いんですけど、チャンス・ザ・ラッパーとソーシャル・エクスペリメントの「Sunday Candy」は、去年みんなハマりましたね。去年の夏に【SUMMER SONIC】でチャンス・ザ・ラッパーのライブを観にいったんですよ。そこでも印象的だったんですけど、音源を聴いたらめちゃめちゃ良くて。「これ、やばくない?」って言いながら、みんなで何度も聴いていました。


▲Donnie Trumpet & the Social Experiment 「Sunday Candy」

松浦:車で、ずっっっと聴いてたよね(笑)。

藤原:「Sunday Candy」を何度も聴いていたらストリーミングでレコメンドされてきた曲が、まためちゃくちゃ良くて。そこからローレンスにドはまりして、みんなにもまた共有して…。

小笹:ブルーノートのライブにも行ったよね。

藤原:来日公演も、ストリーミングのサービス内で知れるじゃないですか。それで公演を知って、すぐにチケットを取りました。

――結構、ライブにも一緒に行かれるんですか?

藤原:行きますね。他のスタッフに教えてもらったHONNEをサブスクで聴いたらすごく良くて、先月みんなでリキッドルームのライブに行きました。あれ、やばかったなー。

楢崎:あとは、なんだろうなあ。スーパーオーガニズムを知人に教えてもらってからハマって、今めちゃくちゃ聴いていますね。曲を知ってから、動画を見たりして。

――前回の【NOW PLAYING JAPAN】にご出演いただいたLittle Glee Monsterのmanakaさんも、スーパーオーガニズムをよく聞いているとおっしゃっていました。(【NOW PLAYING JAPAN LIVE vol.2】出演インタビュー

楢崎:かっこいいですよね。自由度が高いというか。そもそもグループのコンセプトもかっこいいですよね。色んなジャンルの人が集まっていて。

藤原:そうだよね。

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ストリーミングをきっかけに、新しい挑戦ができた

――今、CDやダウンロード、ストリーミングなど色んな聴き方が浸透してきている中で、どういうことが「ヒット」だと思われますか。

藤原:今はCDをリリースしていないのにストリーミングチャートで上位になったり、ライブで大勢のお客さんを集めることができるアーティストがいたり、様々で面白いですよね、だからこそストリーミングで僕らと出会ってくれた人の可能性は大事にしたいなと思っています。だから、どうなれば「ヒット」なのかなあ…。ヒット曲をテーマにしたプレイリストに入っているアーティストは、今ヒットしているイメージがあるかな。

楢崎:サブスクリプションサービスって、すごくたくさんあって、サービスによって人気のある楽曲が違いますよね。それに音楽のストリーミングサービスでは、そこまで聴かれていなくても、動画のストリーミングではすごく再生されていたり。

藤原:あと、日本以外の国でめちゃくちゃ再生されている曲もあるよね。

小笹:そうだね。僕は実感という意味で言うと、ライブが始まってイントロで歓声が上がった時は、この曲はヒットしているんだなって感じます。CDの売上枚数って目に見えるものではないけど、ライブで歓声が聞こえるって、すごく熱量を感じるじゃないですか。

藤原:たしかに肌で感じられるよね。

松浦:たしかに。

――以前、この質問を秦 基博さんにさせていただいた時、卒業式とか文化祭で流れているということを知って、ヒットを体感されたとおっしゃっていました。

松浦:色んな人が歌ってくれているのが一番良いですよね。

楢崎:大輔も、昔 秦さんの「ひまわりの歌」を弾き語りしてたよね。

小笹:楢ちゃんも歌ってたじゃん(笑)

――私たちは8種類のデータを合算した総合チャート<Billboard JAPAN HOT 100>を毎週、発表しています。ヒットチャートは、日頃ご覧になりますか。

藤原:見ますね。

――自分の作品の順位を知るためか、今のヒット曲を知るためかどちらですか?

藤原:僕は後者ですね。

松浦:僕は逆に、自分たちのリリースがあった後にその結果を見るためにチャートを見ることはありますが、それ以外ではあまり見ないかなあ。ストリーミングサイトのヒット曲のプレイリストで、今流行っている曲は分かるので。

――チャートって、そもそも必要だと思いますか。

松浦:必要なんじゃないですかね…。アーティストによっては、それが目標になることもあるだろうし。

――いつか1位を獲ることを目標にしている方もいるでしょうし。

松浦:そうですね。

藤原:自分の作品が何位なのか、チャートで見た方が良いのか、見ない方が良いのかはその人の性格に寄る気がしますよね。もし、1位を獲れたとしても、その次の曲のチャートの順位に捕われて、自分の表現が狭まってしまうのはよくないでしょうし。

楢崎:間違いないですね。チャートの実績が欲しい人と欲しくない人がいると思います。でも、だからと言ってチャートはなくても良いとは思いません。知りたくないなら見なければ良いと思うので、存在はしていた方が良いと思います。

藤原:チャートがあることで、出会える曲もありますもんね。だから、僕は洋楽のチャートは見ますが、邦楽のチャートはあまり見ていません。今の僕らのチャートの位置は自分で積極的に見なくても、チームで見ている人はいますから。意識しすぎて、「今のシーンはこうだから、僕らもこうあるべきだ」っていう計算はしたくないなって。

――音楽の発信方法やプロモーション方法がデジタル化したことで、様々なデータの集計や分析が可能になりました。そのデータがヒットに繋がることもあれば、想像力を制限してしまうことに繋がることもあるのかもしれませんね。

藤原:そうですね。僕は、「これをやってはいけない」というルールが増えるのは嫌だなと思います。「曲は短い方が良い」とか、「サビまでは1分以内の方が良い」とか…。それが、たまたま自分たちのやりたいことと合致していて、どちらでも良いのであれば、その選択をしても良いとは思いますけど。以前、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤さんが、Twitterで「やっぱりギターの音が好き。サブスクではスキップされる音No.1らしいけど」というような内容のツイートをされていました。じゃあ、ギターは使わない方が良いのかというとそうじゃないですよね。俺もギターの音が好きだし。そういうデータで、「これをしてはいけない」というルールは増えてほしくないなと思います。

昔、社会人だった時に「市況を知るために、毎日新聞を読みなさい」と言われていました。僕たちがビジネスマンだったら、「こういうことが起こるから、これからは売れる」とか「こうなったらから、株価が動いた」とか、市況を把握し仕事に活かすことは大事だと思います。もちろん、今どんな音楽が流行っていて、今の音楽シーンがどうなっているかを知ることは大切だけど、それを踏まえた結果、自分たちの主張を歪めてしまうくらいなら見ない方が良いのかもしれないと思います。

――たしかに分析したことで前向きなアイディアが生まれるよう、データや分析とは上手く付き合っていく必要がありますね。

藤原:そうですね。なので、ストリーミングで聴いている人が増えているからこそ生まれた工夫もあります。なので、5月15日に発売する「Pretender」ではストリーミングの形式で聴いた時に、より良い音で聴こえるよう、ラウドネスメーターを意識したミックスをしました。

――ラウドネスメーターとは、放送や配信の際に音量が均一に聴こえるよう調整する仕組みですね。

藤原:ハイ上がりのミックスだとラウンドネスメーターでは叩かれてしまうことが多いので、ワイドレンジにミックスすることで、より音のレンジが広がり綺麗に聴こえるんです。聴いてくれる人の環境を考えながら音作りをしていくことは重要だなと思っていて。今回の「Pretender」はマスタリングも、初めて海外に頼んだり、今までの作品と音の毛色が全然違うんですが、すごく満足のいく仕上がりになりました。ストリーミングをきっかけに、新しい挑戦ができて良かったなと思っています。

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歌録りの最中にアンプを買いに行った

――その「Pretender」ですが初の映画主題歌であり、「ノーダウト」に引き続き『コンフィデンスマンJP』シリーズの続投となります。どのようなイメージで作られたのですか。

藤原:映画の世界観も考えつつ、自分の思想や、心の声などを反映して作りました。そもそも『コンフィデンスマンJP』は詐欺師の話ですが、映画ではロマンスが中心になっています。なので、恋に思い悩むシーンもあるのに騙し合うシーンもあって、恋愛と詐欺が複雑に絡み合っていくんです。なので、見ている側からも関係性が分からない、そういう世界観がこの曲を通じて伝わればなと思いました。

――例えば、どのようなところに表現されているのでしょうか。

藤原:「綺麗だ」っていう歌詞を使っているんですが、自分と相手の関係とか、今の自分の状況って、みんなが分かるように説明するのってすごく難しいですよね。でも、目の前に映る景色や、目の前の人がきれいだってことは少なくとも言えるなって。「好きだ」とか「嫌いだ」ではなく、「綺麗だ」という言葉を選んだのは、そういう意味があります。すごく魅力的で惹かれるんだけど、その気持ちを肯定しちゃうと、詐欺をしているという大前提が崩れてしまう。これは映画の内容も反映していますが、自分の人生に置き換えても、そういう瞬間ってあるなと思いました。あとは楽曲全体もバラードだと思う人もいれば、ミディアムチューンだと思う人もいるような仕上がりになっています。それも、あまり限定的にならず、ただ「この曲って綺麗だな」って思ってもらえるように作りました。

――そうやってできあがった楽曲を、皆さんでどのように音作りされたのですか。

楢崎:レコーディングしながら確認していくんですが、やっぱり現場で音を出してみないと分からないことって、すごく多くて。特に、今回それが顕著に表れたのがギターだよね。

小笹:ギターを全部録り終わったあと、どうしてもギターの音が気になり始めてしまって、歌録りの最中にアンプを買いに行ったんです。

藤原:コンビニに行くくらいのテンションで、楽器屋さんに行っちゃったよね(笑)

小笹:ちょっとおにぎり買ってきますくらいの勢いで(笑)。これまでの人生で出会ったアンプの中で、「一番良いと思っていたけど予算的に諦めていた」アンプがあって。その音がどうしても欲しくなったので、急遽買いに行って、録り直しました。

――買いに行ってでも、どうしても録り直したかったんですね。

小笹:そうなんですよ。この「Pretender」はバンド人生を変えてくれる起点になる曲だと思っていて。それくらい大好きな曲なので、何にも糸目を付けずできる限り追求したいと思いました。

――そんな新曲「Pretender」のリリース、楽しみにしています。最後に、昨年から環境が大きく変わった1年だったと思います。残りの2019年は、どんな年にしたいですか。

藤原:健康に気を付けて過ごしたいですね。去年からライブが立て込んで喉を壊してしまった時期もあって。でも、喉を壊してしまうくらい、ライブや音楽を追求することが楽しかったし、それで1年が終わるって本当に幸せなことだなって実感した1年でもありました。しかも、この最高のバンドで。だからこそ、体を壊さず、ひたむきにしっかりやれる1年にしたいです。

松浦:僕は、新元号に代わることで、そういうプレイリストも作られる年になるんじゃないかなって思うので、僕らもその中に加われるよう、良い曲を作っていきたいですね。

楢崎:僕は健康診断に行きたいですね。

――それは、すぐに叶いそうな目標ですね。

藤原:自分次第だよね(笑)

楢崎:実は、健康診断を予約していたんですよ。でも、レコーディングが入っちゃって。30歳にもなったので、今年中に行きたいと思っています。

小笹:演奏者としてやりたいことはみんなが言ってくれたので…。あとは、リスナーとして、良い音楽をいっぱい聴く1年にしたいですね。ストリーミングやCDでも見つけたいが、ライブで生の音楽をいっぱい聴きにいきたいなって。最近、本当にビルボードライブとかブルーノートとかにライブを見にいっていて。

藤原:超行ってるよね。

小笹:3月にビルボードライブに来日していたデイヴィッド・T・ウォーカーも、めっちゃ感動しました。目の前で音を聴けるような会場には何度か行けたので、これからはドームとかアリーナとか大きい会場での良い音っていうのを、いっぱい体験できる1年にしたいです。



▲Official髭男dism「Pretender」

Official髭男dism「Pretender」

Pretender

2019/05/15 RELEASE
PCCA-4785 ¥ 1,100(税込)

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