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<コラム>LANA 自身最大規模ツアーファイナルで証明した“歌詞を書き続ける理由”



コラム

Text: 渡辺志保
Photos: 横山マサト

LANAがSoundCloudに初めて自作曲「HATE ME」を公開したのは、16歳の誕生日を迎える前だった(同曲はその後、新たにレコーディングされアルバム『20』[2024]に収録された)。ティーンならではの生々しい歌声と歌詞はいち早く耳の早い音楽リスナーたちの共感を呼び、以降、LANAは猛スピードで同世代のファンの心をがっつりと掴みながら、シーンを駆け上がっていく。

2023年に発表された「TURN IT UP feat. Candee & ZOT on the WAVE」では、〈昔バイク乗り、今マイク握り〉と、数年前までのやんちゃな自分の姿を現在へと重ねた。YouTubeでは2,200万回以上の再生を叩き出し、その強烈なインパクトとともに、LANAの名前とアティチュードを世間に知らしめていった。同年には二度にわたるクラブツアーを開催し、翌2024年末からは初のZeppツアーを敢行。2025年4月には初となる日本武道館での単独公演を成功させ、そのわずか半年後となる10月には横浜アリーナ、11月には大阪城ホールでのライブをソールドアウトさせた。

そして2026年には、LANA史上最大規模となる総動員約5万人の【DIAMONDS IN THE SKY】ツアーを開催。本ツアーのファイナルは、東京・国立代々木競技場 第一体育館での2デイズだ。ジェット機のような勢いでスターダムへと駆け上がるLANAには、うってつけのステージである。

LANAのライブに足を運ぶと、彼女のテーマカラーであるピンクのグッズやアウトフィットに身を包んだ、同世代の女性ファンの多さに圧倒される。ファンたちのネイルやカラコン、ヘアカラーに至るまでLANAのヴァイブスが色濃く反映され、ライブ中はリリックの大合唱が続く。それぞれが、LANAの放つパンチラインを心の拠り所にしていることが分かる。「No.5」で〈お金で買えるものじゃ足りない、星より輝くものください〉と歌うLANAは、いつも同世代のギャルたちに寄り添いながら言葉を紡いできた。Billboard JAPANのインタビューでは、「マジでみんな寂しがり屋すぎる」と、今の時代を生きる女の子たちをLANAならではの言葉で評しつつ、「そんな寂しい気持ちや心への向き合い方を教えてくれる人がいない。(中略)だから、その子達に教えてあげたくて、私は曲を書いてるんです」と、自らが歌詞を書き続ける理由を明かしている。

LANAのリリックに反映されるのは、今という時代の空気、彼女が育ってきた環境、そして自身が乗り越えてきた葛藤だ。同時に、〈マッチ売りからセンターステージへ〉(LANA & Elle Teresa「こんな日は」)という言葉に象徴される、若くして成功を掴み取った彼女自身のストーリーも刻まれている。それは、ダイヤモンドやCHANELといった物質的なモチーフとして描かれる一方で、実兄LEXと歌う「明るい部屋」に示されるように、彼女が若くして手にした自信や、明るい未来そのものとしても歌われる。そのリアルなギャルの生き様こそが、LANAの魅力であり、アーティストとしてのアイデンティティでもある。

そんなLANAが新たに発表したのが、1985年に中村あゆみが発表した「翼の折れたエンジェル」のカヴァーだ。かねてよりインタビューやライブのMCでも、音楽を志した背景には母親の影響があると語ってきたLANA。同曲についても、「10代の失恋時に母から教えてもらい、心を救われた曲」と紹介している。ダイヤモンドのような煌めきを放ちながらも、円熟味のあるこぶしを効かせたLANAのヴォーカルは、原曲が持つ脆さと強さを見事に表現しきっている。その姿は、昭和から令和へ、いつの時代も迷いながら生きる女性たちに向けて、LANAが新たなバトンを手渡しているようにも見えるのだった。


さらに、代々木第一体育館でのツアーファイナル日にリリースされた最新曲が「Truth in the dark」だ。本曲は、LANAにとって初のドラマ主題歌でもある。作家・松下龍之介による同名小説を原作としたヒューマンミステリー『一次元の挿し木』のために書き下ろされた一曲で、静かに響く鍵盤のリフ、ドラマチックな展開、そしてLANAのヴォーカルが情熱的に響き渡る、シリアスなムードのミディアム・バラードだ。LANAは楽曲について、ドラマの主人公が真実を追い求める中で抱える苦しみや勇気を、「私自身が人生をもがく中で見つけた言葉とメロディー」で表現したと語っている。これまで自身の痛みや孤独を率直に歌ってきたLANA。その歌声が今回、ドラマの登場人物の物語にも寄り添うことで、これまでとはまた異なる表情を見せている。


今年に入ってからは、Red BullやTinderといった大型タイアップを発表してきたLANA。そこに続いて、時代を超えて愛されてきた楽曲のカヴァーやドラマの主題歌と、彼女の名前と歌声が、さらに広く響き渡るチャンスが次々と巡ってきている。彼女の歌詞や表現に勇気をもらうのは、令和を生きる同世代のギャルたちだけではない。迷いや傷を抱えながら、それでも自分の人生を自分で選び取ろうとするLANAの姿は、かつてギャルだった世代にも、大きな力を与えてくれるのではないか。LANAの楽曲を聴いていると、昔、ガラケーをデコりながら、大きなスタンドミラーを片手にラメ入りのアイシャドウを塗り、お揃いのギャルブランドのショッパーを肩から掛けていた20年前の自分を思い出す――そんなリスナーも、決して少なくないはずだ。

“ストリート・プリンセス”という異名の通り、ヒップホップをバックボーンに、唯一無二のスタイルで堂々と自分だけのランウェイを突っ走るLANA。彼女が目指す先は、さらに煌めく、まばゆいステージへと繋がっているに違いない。

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