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<インタビュー>SKRYU「自分が光を放つより、みんなに光らせてもらっている」――メジャー1stアルバム『ザ・ライト』から辿る、元銀行員で“超スーパースター”の正体

Interview & Text: 黒田隆憲
Photo: 辰巳隆二
元銀行員という異色の経歴を持ち、MCバトルで培った瞬発力と観客を巻き込む力を武器に、着実にスターダムへの階段を駆け上がってきたSKRYU。メジャー第1弾フルアルバム『ザ・ライト』には、加速するキャリアの高揚だけでなく、その裏側で膨らむ焦りや孤独、周囲への感謝までが、ユーモアと多彩なサウンドに乗せて刻まれている。
サーヤ、MONKEY MAJIKらとの共演を含む本作は、きらびやかな“超スーパースター”の姿から、才能を疑いながらも前へ進む一人の人間へと迫る全11曲。銀行員時代とMCバトルで得たもの、メジャーデビューによる意識の変化、楽曲に起承転結を持たせる独自の創作術、そしてぴあアリーナMMでの2DAYS公演への覚悟まで、現在地を聞いた。
自分の欠点すら歌詞に表現できれば、肯定できる
――SKRYUさんは元銀行員という経歴でも知られています。安定した職を辞め、ラッパーとしての道を選ぶことに怖さはありませんでしたか?
SKRYU:全くなかったです。そもそも僕は、決められた時間に起きて週5日働くことや、組織に馴染み、周囲に迷惑をかけないよう気を張って過ごすことが、本当に向いていなくて。銀行員というと表面的には立派な肩書きですけど、自分ではずっと「働くこと自体がきつい」と感じていました。
でもラップには、表現の優劣を決める絶対的な基準がないじゃないですか。ありのままの自分や、自分の嫌なところ、「働くのがきつい」という気持ちさえも、歌詞にしてかっこよく表現できれば肯定できる。自分の欠点ばかりが目につく人間にとって、それを生業にできるのはむちゃくちゃ幸せなことだと思ったんです。
――逆に、銀行員としての経験が現在の活動に活きていると感じることはありますか?
SKRYU:ファーストコンタクトで失礼のない立ち振る舞いは身についたと思います。ラッパーには、そういうことができていない部分も含めてかっこいい人がいるし、その感覚もわかるんです。ただ、僕はヒップホップ出身でありながら、メジャーというフィールドを通じて、自分の音楽をお茶の間にも届けようとしている。そうなると、ポジティブな印象を持ってもらえることが、むちゃくちゃ大事だと思っています。
銀行では「自分を売る商売」「人間を売る商売」だとよく言われました。それはアーティストにも共通するのではないかなと。昔は、アーティストなんて才能一本でヒット曲を作れば、あとは10年くらいふんぞり返って暮らせるものだと思っていました(笑)。でも、長く活動している方々を見ると、誰に対しても人当たりがよく、信頼を獲得したうえで仕事をされています。「才能だけで、夢のような生活ができるわけではない」と気づけたことには、「やっぱりそうだよな」という安心と諦め、その両方がありますね。
――MCバトルで磨いたスキルは、現在のライブや楽曲制作にどうつながっていますか?
SKRYU:MCバトルはお客さんを沸かせることが何よりも重要なので、ステージ上でのアティチュードは身につきましたね。どんな身振り手振りをすれば伝わるのか、どんなパンチラインがお客さんを沸かせるのか、話し言葉をどう使うのか。目の前のお客さんを巻き込み、「自分もこの場に参加している」と感じてもらう力は、フリースタイルを重ねるなかで鍛えられたと思います。

――実際、今年前半には全国5都市7公演のZeppツアーを完走しました。
SKRYU:僕にとってZeppツアーは、画面の向こうにいる憧れのメジャーアーティストがやるものでした。3,000人弱の規模の会場を回り、ほとんどの公演が盛況になったときは、「俺もここまで来たか」と(笑)。しかも、初めてのメジャーEPを引っ提げたツアーだったので、毎週ライブをしながら、プロモーションのためのキャンペーンやラジオ局回りもぎっしり入っていたんです。「これがメジャーの進行なのか」と面食らいましたし、正直、むちゃくちゃきつかったです。
このスケジュールを何十年も続けながら売れていくためには、もっと時間を丁寧に使わなければいけない。お酒も控えて、生活にメリハリをつけないといけない。「銀行員の頃よりちゃんとしなきゃ」と思いました(笑)。
――小さな書店ならではのテイストというか。しかも、旅とセットになっているっていうのもいいですよね。
SKRYU:帰りの飛行機の中で読みながらね。何かのついでに寄れる本屋さんがすごく好きで、そういう時に本をよく買ってますね。
――メジャーデビューによって、ポジティブな変化も感じていますか?
SKRYU:僕のために時間を使い、期待を寄せ、一緒に仕事をしてくれる人が目に見えて増えました。僕は期待されるほど応えたくなる、目立ちたがり屋の極みみたいな人間なので(笑)、「これだけ多くの人が現場に来てくれることに、自分はふさわしい人間になれているのか」と考えるようになりました。
タイアップのお話もいただけるようになったので、チャンスがあるところには、どれだけ忙しくても飛びついていきたいです。
- 「また夢がかなうアラームが鳴った」――『ザ・ライト』11曲が描くストーリーとは
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リリース情報

アルバム『ザ・ライト』
- 2026/8/5 RELEASE
<初回限定盤(CD+Blu-ray Disc)>
WPZL-32304 7,777円(tax in.)
<通常盤(CD)>
WPCL-13780 3,500円(tax in.)
購入はこちら
公演情報

- PINK -Moonlight Paradise- with Secret Guests
2026年8月29日(土)神奈川・ぴあアリーナMM
SEPIA -Midnight Rendezvous-
2026年8月30日(日)神奈川・ぴあアリーナMM
詳細はこちら
【SKRYU Super Live 2026「The Light」】
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「また夢がかなうアラームが鳴った」――『ザ・ライト』11曲が描くストーリーとは

――そのメジャー第1弾となるフルアルバムが『ザ・ライト』です。このタイトルには、どのような意味を込めたのでしょうか。
SKRYU:前回のZeppツアーでは、「Shangri-La -絶景-」という曲を軸に、その名のとおり理想郷を目指して走ってきました。でも、夢を追う途中で振り返ると、お客さんが応援してくれて「よく頑張ったね、SKRYU」と言ってくれる、そのみんなの表情こそ自分が目指していた理想郷なんじゃないか? と思ったんです。
僕は4、5年ほど「自称・超スーパースター」を名乗っていますけど(笑)、自分自身が光を放っているというより、みんなの視線によって光らせてもらっている。Zeppツアーを通して、それを強く感じました。「You Are The Light=君が私の光です」と伝えることが、このタイトルを付けた一番の理由です。
――一方で、アルバムには明るい光だけでなく、活動が加速するなかでの苦しさも描かれています。
SKRYU:1曲目の「ハヤスギテミエナイ feat. サーヤ」は、「光の速さでキャリアを駆け上がる俺たちを止めてみろ。俺らの姿が見えるか?」という、むちゃくちゃ調子に乗った曲なんです。でも、アルバムが進むにつれて主人公は苦しくなり、人に会いたくなって、大切な人とあと何回乾杯できるのかを考え始める。スターのきらびやかな姿から、少しずつ赤裸々な人間の姿へ戻っていく流れにしました。
そして最後の曲「イレブン・バック」で、落ちきった心をもう一度ひっくり返す。〈本当は才能など/俺にはないのかも〉と、11曲目にして初めて気づくんです(笑)。でも、大富豪の“イレブンバック”はカードの強弱を逆転させるルールなので、そこで状況がひっくり返り、また1曲目へ戻っていく。そんな循環も含めて、面白いアルバムにできたと思います。
――1曲目の「ハヤスギテミエナイ feat. サーヤ」では、サーヤさんと再び共演しています。今回、彼女を迎えた理由は?
SKRYU:メジャーのアルバムにフィーチャリングアーティストを迎えるなら、真っ先にお呼びしたいと思っていた方です。以前、サーヤさんがCLRm名義で参加したASOBOiSMさんの楽曲『自分の機嫌は自分でとる (Remix) feat. あっこゴリラ & CLR』という曲を聴いて、彼女のラップがすごくかっこいいと思ったんですよね。それで僕の「ハイブランド」と言う曲のをリミックスに参加してほしいと連絡したら、「SKRYU君の『超 Super Star』も好きで、ライブにも行こうと思っていました」と言ってくださって。そこからご一緒するようになりました。
サーヤさんは、“スター”という言葉がぴったり当てはまるほどバイタリティーのある方です。そして今回のビートも、いつもお世話になっているShin Sakiuraさんにお願いしました。

――「ウォーター・メロン」は、アルバムの中でも屈指のポップチューンです。
SKRYU:実は、アルバムで最後に録った曲なんです。僕はリリースする曲のトップラインの95パーセントくらいを自分で作っているんですけど、アルバム制作の中盤から終盤にかけては、本当にもう絞り出すような思いで書いていました。「この曲を録り終えれば、すべて完成」という最後の1曲が「ウォーター・メロン」だったんです。
その反動なのか、歌詞は下ネタまみれ(笑)。でも、僕は振り切って中身のない曲も好きなんですよ。浮ついた人間が、夏になって調子に乗る。すべての仕事を終えてデトックスしたあとに訪れる、夏休み直前の7月中旬のような解放感があります。
――「カップリング」では、DJ PMXさんのビートによって、普段とは違うSKRYUさんが引き出されています。
SKRYU:DJ PMXさんは、日本のウエストコースト・ヒップホップを代表するレジェンドです。以前、PMXさんの作品でAK-69さんと僕を組み合わせるという、“インフルエンザのときに見る夢”みたいなドリームマッチを実現してくださって(笑)。今回はビートを提供していただきました。
DJ PMXさんのサウンドで歌うなら、クラブや女の子をテーマにしたギャルチューン、あるいはラブソングだろうと思って書いたのがこの「カップリング」です。重なり合って、A面とB面のように親しい関係になろう、という意味がある一方で、「一人の夜には自分の歌声が誰にも届かず、シングルカットされたカップリング曲を歌っている」という意味も込めています。
――「マッパ・ノ・オウサマ」は、どのように生まれたのでしょう?
SKRYU:これ、一度ボツになった曲なんです。締め切りが迫るなかで「マッパ・ノ・オウサマ」というタイトルだけを思いつき、徹夜で歌詞を書いて、寝不足のままレコーディングをし録りました。完成しぃた曲を聴き返したら、めちゃくちゃダサくて(笑)。
ところが、そのとき録ってくれたビートメーカーのNoconocoさんが、ボーカルのBPMを20くらい上げて、その声に合わせて新しいビートを作り始めたんです。僕は、寝不足で録ったダサい曲を目の前で遊ばれているような気がして、「もう帰りたい」と思っていたんですけど(笑)、翌日に作り直してくれて届いたビートがむちゃくちゃかっこよくて。歌にも完璧にハマっていたし、一度ゴミ箱に捨てた「マッパ・ノ・オウサマ」を、Noconocoさんが金ピカの状態でサルベージしてくれました。

――「ウルフ・マン」は、華やかなステージに立つ姿と、制作中の孤独が重なった曲に聴こえました。
SKRYU:「狼男」というタイトルは、以前から使いたいと思っていました。家でアルバムの曲を書きためている時期は、髭も伸びるし、風呂にも入らず、獣のような生活になるんです。でも夜になると、ミラーボールを月に見立てて髭を剃り、香水をつけポマードで髪を固めて、ばっちり衣装を着てステージへ出ていく。その変化が、夜になると覚醒する狼男のようだと思ったんですよ。だらしない人間が夜に覚醒するまでを描いた、革命前夜の曲なんです。
――お話を聞いているとSKRUYUさんの歌詞は、自分自身を何かにたとえ、ファンタジーに昇華させているものが多いですよね。
SKRYU:ヒップホップには、リアルをオブラートに包まず歌うかっこよさがあります。ただ僕には、話すだけで人を引きつけるような、壮絶な過去があるわけでもない。だから、自分の人生をそのまま話すより、何かにたとえて面白おかしく表現したいんです。
僕は自分のアルバムを、ショートショート・ストーリーの集合体だとも考えています。昔、星新一さんの作品が大好きで、ずっと読んでいました。短い物語の中に起承転結があって、最後に「ああ、そういうことだったのか」とわかる。僕も1曲ごとにタイトルと起承転結を持たせ、きちんとオチを作りたいんです。
――そういう独特な語彙や発想は、やはり読書から影響を受けているのでしょうか?
SKRYU:実は今、本は全然読めてなくて(笑)。言葉の栄養源は、ほぼ完全にインターネットです。掲示板やXを呼吸するように見ていて、ネットミームや、そのとき世間が何を面白がり、何を冷笑しているのかを吸収しています。
ネット上では顔が見えないぶん、文字だけで相手を圧倒しなければならない。短い文字数の中に洗練された表現を詰め込み、それで言い合うのが“レスバトル”ですよね。ネットの書き込みには、話し言葉とは異なる表現力が凝縮されている。僕にとっては、かなり栄養価の高いものです。
SKRYU - イッツ・ア・ニューデイ (feat. MONKEY MAJIK)【Music Video】
――「イッツ・ア・ニューデイ feat. MONKEY MAJIK」では、MONKEY MAJIKとの共演が実現しました。
SKRYU:子どもの頃、同居していた叔父の目覚ましとして流れていたのが、MONKEY MAJIKさんの音楽だったんです。自分で音楽を選んで聴くようになってからも大好きで、「日本で一番好きなアーティストは?」と聞かれたら、迷わずMONKEY MAJIKと答えます。
共演が決まったときは、メンバーの皆さんに「叔父のアラームでMONKEY MAJIKを知り、今回また、夢がかなうアラームが鳴ったような気がします」とお話ししました。そこから“アラーム”をテーマに「イッツ・ア・ニューデイ」が生まれたんです。仙台のご自宅にも招いていただき、一緒に制作もさせて頂きました。その時の僕の話を受けて、「空はまるで」を思わせるリリックも入れてくださった。めちゃくちゃエモい経験でしたね。
――アルバムのリリース後には、ぴあアリーナMMでの2日間公演が控えています。
SKRYU:自分でもわけがわからないほど、目まぐるしい勢いで会場の規模が大きくなっています。ぴあアリーナMMは1万2,000人規模ですよね。僕の出身地である島根県安来市の人口が約2万9,000人なので、2日間で地元の人をほぼ全員集めるくらいの人数になる(笑)。まだ全く想像できていません。
ただ、僕が楽曲制作と同じくらい力を入れているのがライブです。ライブを通して人に元気を与えることには、誰よりも長けていると思っています。ヒップホップならではのクールなかっこよさにも憧れますけど、僕は表情や体の動きまで全部使って、喉が枯れるくらい叫びたい。ライブは、お客さんと僕のどちらがより楽しめるかの勝負だと思っているんです。
僕自身も本気で楽しむつもりですし、SKRYUのライブなら絶対に笑って帰ってもらえる。その日を最高の一日にする自信があるので、本当に気軽な気持ちで何も心配せずに来てほしいです。絶対に後悔はさせません。
――2日間は、それぞれ異なる内容になるんですよね?
SKRYU:2日間でセットリストが1曲も重なりません。1日につき20曲から30曲ほど披露すると思うので、合計すると約50曲です。もちろん、どちらか1日だけ観ても絶対に楽しめます。でも、両日を観ることで、一つのライブが完結するような構成になるかもしれません。
2日間とも観てもらう意味をしっかり作りたいと思っているので、時間のある方は、今のうちに横浜で2泊分のホテルを取っておいてください(笑)!
リリース情報

アルバム『ザ・ライト』
- 2026/8/5 RELEASE
<初回限定盤(CD+Blu-ray Disc)>
WPZL-32304 7,777円(tax in.)
<通常盤(CD)>
WPCL-13780 3,500円(tax in.)
購入はこちら
公演情報

- PINK -Moonlight Paradise- with Secret Guests
2026年8月29日(土)神奈川・ぴあアリーナMM
SEPIA -Midnight Rendezvous-
2026年8月30日(日)神奈川・ぴあアリーナMM
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【SKRYU Super Live 2026「The Light」】
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