Billboard JAPAN


Special

<インタビュー>BILLY BOO、夢だったドラマ主題歌を『クロスロード ~救命救急の約束~』で実現 4人が提示するミクスチャーの意味がここに

インタビューバナー

Text & Interview: 本間夕子

 メジャーデビュー2年目の4人組ロックバンド・BILLY BOOが、テレビ朝日系毎週火曜よる9時放送のドラマ『クロスロード ~救命救急の約束~』の主題歌を担当している。大ヒットドラマ『ドクターX』と『TOKYO MER~走る緊急救命室~』を手がけたスタッフが集結し、今田美桜が主演を務める医療ドラマとなれば、間違いなくこれは大抜擢と言えるだろう。その期待に応えるべく、いつかドラマの主題歌を手がけるのが夢だったという彼らが全身全霊を尽くして完成させたのが新曲「パラレルナイト」だ。

 R&BやHIPHOP、ソウル、ファンクなどをルーツに持ち、独自のミクスチャーサウンドを鳴らしてシーンの注目を集めてきたBILLY BOOだが、今作は真正面からJ-POPに向き合った王道のバラード。バンドにとって大きなエポックとなるだろうこの「パラレルナイト」について、7月8日の配信前に、4人にじっくりと話を聞いた。

左から:RIKIYA (Dr.)、MITSU (Ba.)、KAZUKI UJIIE (Vo.)、KEI (Gt.)

──デビュー2年目に突入した現在のBILLY BOOについて教えてください。

KAZUKI UJIIE:ちょうど今、ワンマンツアー中で(※取材は6月中旬)、まさに地力を固めているところです。バンドとして、まずはZeppにたどり着きたいという明確な目標があるので、そこに向けてとにかく頑張っている段階ですね。やっぱり幅広くBILLY BOOを知ってもらうためには、自分たちが見せたいパフォーマンスをしっかりやれるようになっていかないといけないっていうプレッシャーもありますし、そのためには当たり前に地力が必要だよねって。

RIKIYA:KAZUKIの言う通りですね。結成して間もない頃は今以上に苦戦していたんですけど、今やっているツアーでは「これが見たかったんだ」っていう景色を見られている気がして。さらにすごい景色を見たいですし、イメージを膨らませながらも、そこに向けた具体的な調整もできているという、すごくいい状態かなと思います。

MITSU:実は今年中にもう一本、ワンマンツアーが決まっていて。それもすごく楽しみですし、着実に前に進めている実感がすごくあって。ずっとこの感じでいけたらZeppにもそう遠くないうちに立てる気がするんです。焦る気持ちもないわけではないけど、いいバランスで臨めているとは思うので、このまま突き進みたいですね。

KEI:メジャーデビューしてからの1年で、これまで以上にたくさんの人に曲を届けられている実感もありますし、ライブを観てもらう機会も増えたことで、さらに「いいバンドだな」って思ってほしい、ちゃんと見つけてもらいたいっていう気持ちが強くなりました。初めて観る方にもしっかり好きになってもらえるよう頑張りたいなって。


▲【BILLY BOO “CATALYST tour 2026”】東京公演
Photo by うえむらすばる

──そうしたタイミングで新曲「パラレルナイト」が配信リリースされます。テレビ朝日系ドラマ『クロスロード ~救命救急の約束~』の主題歌に抜擢と、まさにBILLY BOOの音楽をより多くの人に伝える大きなチャンスを掴んだわけですが。

KAZUKI:マネージャーから「今、こういう話が来ているんだけど、何か提出できる曲とかある?」って電話をもらったんですよ。たまたま次のリリースのためのデモを作っていて「ちょうど今日、メロディが浮かんでいたんですよ」って伝えたら、「じゃあ明日までに仕上げられる?」「やります!」みたいな。そこから半日くらいでデモを完成させたんです。ドラマの主題歌を手がけることが一つの夢だったので、「曲、あります! 出せます!」っていう姿勢をとにかく見せたくて。それが結果的にいい方向に繋がったんだと思います。

──みなさんはドラマの主題歌に決まったという話を聞いて、いかがでした?

MITSU:びっくりしました。「うわぁ!」みたいな(一同爆笑)。僕の家族が『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』の大ファンで、『クロスロード ~救命救急の約束~』には『TOKYO MER』のスタッフの方々が携わっていると聞いて、めちゃめちゃ嬉しくて。「ラプソディ」がTVアニメ『謎解きはディナーのあとで』のエンディングテーマを務めたときも、めちゃめちゃ大好きな作品だったので本当に嬉しかったんですよ。自分の好きな作品、それに携わっている方々とご一緒できるのは本当に光栄なことだと思いますね。

KEI:個人的に医療系のドラマは小さい頃からよく観ていたジャンルですし、身内に医療関係者も多いので、僕自身はもちろんですけど、家族もすごく喜んでくれていました。それに、やっぱりドラマの主題歌を手がけるのって大きな出来事じゃないですか。そういう意味でも本当に喜んでくれて。

──RIKIYAさんはどうでしょう。

RIKIYA:僕もMITSUと一緒で「えぇっ!?」って(笑)。もしかしたら……みたいな話はチラッと聞いていましたけど、まだまだ僕らは駆け出しですし、過度に期待しちゃいけないなって思っていたので、正式に決まったときは「本当に俺たちがやっていいんですか?」みたいな気持ちもちょっとありました。

実は僕、バンドという存在自体に触れたきっかけがドラマだったんですよ。僕が好きなUVERworldさんや事務所の先輩であるback numberさんに出会ったのがドラマの主題歌で、そのときに初めてバンドというものを知ったんです。当時は中学生で、自分がバンドをやりたいと思うきっかけもそこだったので、同じようにこのドラマでBILLY BOOの曲を聴いてバンドを知る子がいたりするのかもしれないと思うと、ドキドキしますね(笑)。


──正式にオファーを受けてから「パラレルナイト」を作り上げるまではどういった流れだったんですか。

KAZUKI:医療系だということは伺っていたので、自分のなかでドラマを想像しながら、合いそうな曲をひたすら作り続けました。6曲ぐらい作ったんじゃないかな。アップテンポ3曲、バラード3曲を作って、これがいいと思うものを選びました。

──しかも「パラレルナイト」は、これぞ王道と呼びたい、ど真ん中のバラードですよね。ちょっと珍しくないですか。

KAZUKI:特にドラマ用に狙ってそうしたわけではないんですよね。自分たちの軸をブラさず、そのうえでできた最大のベストが「パラレルナイト」だったというか。BILLY BOOのいちばんの武器はメロディなので、それを最大限に活かせる最高の機会が来たと思って。

──そうだったんですね。勝手ながら、これまでの楽曲にはヒップホップやブラックミュージックの要素も積極的に取り入れたミクスチャーなイメージがあったので、この王道感がとても新鮮だったんですよ。真正面からJ-POPというものに向き合おうという意志もすごく感じましたし。

KAZUKI:たしかにそれは意識していたかもしれないです。ドラマって幅広い方々が、それぞれいろんな環境で観るじゃないですか。しっかり届けるためには、ど真ん中のJ-POPであるべきだとは思っていましたね。それはもともとBILLY BOOが目指してきたものでもありますし、僕らからしたらむしろ「え、いいんですか? それ、得意です!」っていう。

──曲作りはわりとスムーズに?

KAZUKI:そこまで苦労はしなかった気がします。フードコートでご飯を食べているときに思い浮かんだんですよ。フッとサビが降りてきて、そこから広げていきました。

──KAZUKIさんは曲が降りてくるタイプなんですね。

KAZUKI:基本的にはそうだと思います。電車に乗っているときとか、急に思いついたメロディをこそこそ携帯のボイスメモに録ったりしていますね。ボイスメモは僕の友達です(笑)。

KEI:デモの制作は僕とKAZUKIが一緒にやっているので、メンバーのなかでは僕がいちばん最初にメロディや楽曲の雰囲気を聴くことが多いです。KAZUKIのなかにある楽曲のイメージを聞いて、僕がトラックを作るんですけど、この曲もまずはボイスメモでメロが送られてきました。その時点ですごくいいなと思いましたし、最初のワンコーラスを作った段階でしっかり景色が見えたので、これは絶対に間違いない曲になるって確信したのを覚えています。

──そうして完成したデモを聴いたMITSUさん、RIKIYAさんの第一印象は?

MITSU:めちゃめちゃいい曲だと思いました。僕、歌詞よりもメロディに耳がいく人間なんですけど、「パラレルナイト」は歌詞を聴こうとしなくてもスッと入ってくる。自然に入ってくるのが、曲として一番いい状態だと思うんですよね。メロディと歌詞がちゃんとリンクしていないと、そうはならないので。

RIKIYA:僕も軽いデモの段階からすごく好きな楽曲だなって思ってました。僕はむしろ新しいなって感じていて、サビの前で一回、グッとくるポイントがあって、そういう曲って今までなかった気がして。歌詞もまだない、ラララで歌っている状態なのに感情が入る曲だったので、完成がすごく楽しみでした。

  1. < Prev
  2. KAZUKIの“もがき”にメンバーも共感
  3. Next >
すごくいい形で心の内を言葉にできた

──歌詞はどのように書かれたのでしょうか。

KAZUKI:台本とドラマのプロデューサーの方々のイメージをまとめていただいたものを読みながら、自分の気持ちもちゃんと乗るように書き進めていった感じですね。最初は希望を書きたいと思ったんですけど、医療現場ということを考えると、大きな希望を掲げすぎても合わないかもしれないなって。そうやって思い巡らせているうちに、孤独感に行き着いたんです。社会のなかで正しさは無限にあるけど、その正しさを自分が受け入れられないときに人は孤独を感じると思うんですよね。その孤独をテーマにして書きました。夜の暗闇のなか、静まり返って閑散とした街を途方に暮れながら、でも明日はいいことがあったらいいなって微かな希望を探りながら、一人で歩いている情景を思い浮かべて。

──ご自身が抱えている孤独感が反映されていたりも?

KAZUKI:そうですね。BILLY BOOの曲は恋愛をモチーフにした歌詞が多いので、これまで自分の心の内側は見せてこなかったんですけど……僕はそんなにメンタルが強いほうではなくて、わりと浮き沈みしちゃうタイプなんです。特にこの歌詞を書いているときはめちゃくちゃ沈んでいて、それが素直に出ているなって。

──なぜ沈んでいらしたのか、お聞きしてもいいですか。

KAZUKI:単純に曲作りが大変だったんです(笑)。この曲だけじゃなく、3〜4曲ほど並行して、まったくコンセプトの違う曲を作っていたんですよ。そのギャップでうまく書けなくて沈んだ時期があって。結果、すごくいい形で心の内を言葉にできたので、それはそれでよかったと思います。メンバーやチームに見せるとき、ちょっと恥ずかしい気持ちはありましたけど(笑)。

──本当にいい歌詞ですよね。もがきながらも一生懸命に前を向こうとする静かな情熱に励まされます。

RIKIYA:僕はこれを読んで「自分と一緒かも」って思いました。〈押し付けられる“正しさ”に/静かな想いは埋もれてばかりだ〉っていう歌詞とかもう……「俺だ!」って。あるじゃないですか、正しいはずなのに状況によっては正しくないことにされることって。自分の声が否定される瞬間って誰もがめちゃくちゃ苦しいと思うんですよ。この歌詞を見た瞬間、仲良くなれるなって思いましたもん。

KAZUKI:誰とだよ(一同爆笑)。

RIKIYA:いや、それぐらいシンプルにいい歌詞だなって(笑)。

MITSU:過去の自分に聴かせてあげたいって思いました。一人で悔しさとか苦しさを抱えていた自分に「全然大丈夫だよ」って。自分たちでそういう曲を作り上げられたこともすごく感慨深いです。

KEI:僕はDメロの歌詞が好きです。このDメロが言っていること、伝えたいことにすごく共感できるというか……今、ツアー中ということもあって、僕たちそれぞれが日々いろんなことを考えていると思うんですけど、そんな僕らの毎日がまさにこのDメロの歌詞に当てはまる気がして。きっと聴いてくれた人にも響くものがあるはずだと思うんですよね。

──すでにドラマのティザー動画も公開されていますが、ドラマのスタートを目前に控えた率直なお気持ちは?

KAZUKI:ティザーを観てすごく嬉しかったですし、想像していた以上に映像に合っていて感動しました。もちろんプレッシャーは感じていますけどね。まだ「BILLY BOOって誰?」っていう状況だと思うんですよ。そうした状況で「本当に届くかな?」っていう気持ちもありつつ……それって逆に大チャンスでもあると思っていて。映像と音源がしっかり絡み合っていたら、僕だったら絶対にそのバンドのこと、調べますから。そういう曲が作れた自信はあるので、楽しみな気持ちのほうが今は強いです。

『全部違って全部いい』が一番よくない?

──カップリングについても伺っていいですか。2曲目の「BANDAGE」は「パラレルナイト」と対になるような力強さに溢れた楽曲ですね。

KAZUKI:「BANDAGE」は応援歌です。転んだ人を立ち上がらせる曲というか。これは僕の気分がアガっているときに書いた歌詞なんですよ。10代の頃からこういう歌詞を書くのがすごく好きで、アニメのバトルシーンとかにも合うような「やるしかないっしょ!」みたいなマインドの歌詞をよく書いていたんです。たぶんメンバーもこっちのほうがKAZUKIっぽいって思ってるんじゃないかな。

──ラウドで疾走感に溢れたロックチューンというのも、これまでのBILLY BOOにはあまりなかった気がします。

KAZUKI:BILLY BOOでは、たしかにないかも。でも昔はこういう曲ばっかりでした。もともと僕、ラウドロックがめっちゃ好きで、自分の好きなラウドをここに詰め込んだっていう感じ。

MITSU:僕は「やっときた!」と思いました(笑)。「やった、ラウドだ。久々だな」って。僕も学生の頃はほぼラウドしか聴いてなかったので(笑)。ただこれ、難しいんです。めちゃくちゃ手数が多いんですよ。バンドをやっている人にぜひコピーしてもらいたいですね。そして「うわ、弾けねぇ!」ってなってほしい(一同爆笑)。僕らの楽曲って意外と難しいんですけど、難しいと思われていないので。

──3曲目の「Error:25」は恋愛をモチーフにした歌詞と四つ打ちのダンサブルなサウンドが心地よい、おしゃれな曲となっています。

KAZUKI:これはKEIからトラックが送られてきて、僕がそこにメロディを乗せました。僕らの曲にはダンスナンバーも多いですけど、四つ打ちのダンスナンバーとなると「トラボジマ」しかないんですよ。ライブをやるにあたって、ずっと横ノリだとお客さんも飽きちゃうだろうし、似たような曲ばかりだと思われたくないので、フューチャーベースのニュアンスも取り入れつつ、ダンスミュージックとロックを融合したミクスチャーをやりたかったんです。

──歌詞の世界観がちょっと大人っぽいですね。セクシーさがあると言いますか。

KAZUKI:飲めない方もいらっしゃいますけど、やっぱり大人の世界にはお酒がトリガーになる瞬間がいっぱいあると思うんです。特に恋愛においては、ランチよりディナーでちょっと美味しいお酒を飲みながらっていうシチュエーションから始まることって多い気がするんですよね。なので、わかりやすくお酒をテーマにしてみました。

──まったくタイプの異なる3曲だから、「パラレルナイト」に興味を持った人が「BANDAGE」や「Error:25」を聴いたらきっと驚くでしょうね。

KAZUKI:あんまりいないんじゃないですか、こういう振り幅のバンドって。ひとつのジャンルに則っていないというか……それがミクスチャーなんですけど、メロディがいいことと同じくらい、BILLY BOOの音楽としてそこは意識してるかもしれないです。さっきも似たような曲ばかりだと思われたくないって言いましたけど、「『全部違って全部いい』が一番よくない?」って思っているので、僕ら。

関連キーワード

TAG

関連商品

ラプソディ
BILLY BOO「ラプソディ」

2025/06/04

[CD]

¥1,650(税込)

ラプソディ
BILLY BOO「ラプソディ」

2025/06/04

[CD]

¥1,650(税込)