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<コラム>令和の新たな歌姫Soala――なぜ若い世代の「私の歌」になるのか

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Text:奈都樹


 5月27日にデジタルEP『Aile』をリリースしたSoala。今年3月のZepp DiverCityワンマンを成功させ、今秋にはユニバーサルミュージックからのメジャーデビューも決定。さらにアニメ『真夜中ハートチューン』ED主題歌「声の軌跡」を担当するなど、まさに飛躍の瞬間を迎えている。SNSを中心に10代から圧倒的な支持を集め、累計2億回再生を突破した彼女の音楽は、なぜこれほどまでに若い世代の「居場所」となるのか。本作のレビューを通じ、かつての平成の歌姫たちにも通ずる彼女の表現の核心と、メジャーデビューを控えた現在地に迫る。

 Soalaというシンガーの存在を知ったのは、実は最近のことだった。SNSやYouTubeをきっかけに10代から人気を集めているアーティストだと知人から紹介されてチェックしてみると、ライブ映像を中心としたTikTokはコメントにあふれ、中には彼女の恋愛ソングを聴いて自身の失恋体験を語っているファンもいる。累計再生回数は2億回以上という人気ぶり。筆者の知らない世界がそこに広がっていた。


 2020年からアーティスト活動を始めたSoala。彼女の願いは「誰かの心を救いたい」ということ。メジャーデビューを発表した3月のZepp DiverCityワンマンでもこんなことを話していた。「自分の芯にある『自分の音楽で誰かを救いたい』『みんなの居場所を作り続ける』という想いはブレることなく1つの通過点として一度きりの人生、新たな挑戦を続けていきたいなと思います」。



Soala - 声の軌跡 【Official Music Video】

 彼女は恋愛ソングを書き続けてきた。一番になれない恋愛に苦しむ「イエナイ」、失恋による未練を募らせる「カサネアイ」、恋愛の裏切りをテーマにした「君が悪いのに」……その多くに“愛されたい”という渇望があり、思わず胸が締めつけられる。こうした曲を作るのも「私の恋愛ソングで誰かを救えているのかもしれないと思うようになって」という思いからだろう。そしてメジャーデビューが決定した転換期にリリースされるEP『Aile』は、そんな彼女の真骨頂ともいえる作品となっていた。


 夢を追うなかですれ違っていく様子を描いた「声の軌跡」、壊れかけた関係に悲嘆する「自分勝手(Acoustic ver.)」といった既存曲のほか、「声の軌跡」のアフターストーリーであり、傷心した状況を雨空に喩えたリード曲「ひとりごと」、恋人との別れに取り乱す「これでサヨナラ…」。そのどれもに愛する人を喪失した深い悲しみや、孤独への極度な恐怖心があり、作品を通して聴くと、愛というものがいかに脆く、それでいて強い衝撃を与えるものであるかに改めて気づかされる。



Soala - 自分勝手【Official Music Video】

 そんな本作で唯一自身の生き様を歌っているのが「Aile」。<君は1人じゃないんだって/伝えるよ 声がなくなるまで/届けるよ 音に乗せて/君へ⼿を伸ばすから>。そうメッセージを送る同曲をEPのタイトルにもしているのは、メジャーに行っても信念は変わらないというSoalaなりの決意表明だ。同時にこの曲が収録されることで、彼女にとっての恋愛ソングの重要性もまた自然と浮かび上がってくる。誰かの居場所になっているのかもしれないと強く信じているからこそ、彼女は恋愛ソングを歌ってきた。実際、前述したように彼女のSNSやYouTubeには、自らの恋愛経験を打ち明けるコメントも多い。


 Soalaの恋愛ソングにある聴き手との特別な親密さ。それはしばしば評される彼女の“等身大”の歌詞にもあるが、それだけでは捉えきれないものがある。ストリートに自然に馴染むルックスの彼女が、少し怯えた祈りにも似た歌唱を聴かせるときに、その“等身大”な歌詞に深い共感性が生まれるからだ。またその感覚というのは、若い世代にこそ開かれていて、筆者のように熟考せずとも10代の聴き手はもっと直感的に“これは私の歌だ”と感じ取っていることだろう。彼女の曲を聴いていると、浜崎あゆみ以降の平成の歌姫を連想させるものがある。



「ひとりごと」

 「女子高生のカリスマ」と呼ばれてきた歌姫たちの恋愛ソングがなぜ特別だったかといえば、彼女たちの“愛されたい”というメッセージには、孤独に不慣れな少女たちの不安を代弁する響きがあったからだった。制服を着ていた頃の私たちはそれを直感的に感じ取って夢中で聴いていたし、大人たちは少し離れたところで私たちを訝しげに観察していた。そうした彼女たちのヒリつきと危うさに通ずるものが、Soalaにもある。


 歌姫たちの曲には、その時代の若者たちが何を求めているのかが反映されていた。またその批評性のほとんどは、本人が意識的に作っていたというよりも、聴き手と深いところで繋がった瞬間に生まれたものだった。そう考えれば近い将来、Soalaの曲も時代を象徴するものとなるかもしれない。若い世代からの熱烈な支持のされ方を見ているとそう期待したくなってしまう。そしてその予兆というのは、大抵大人たちには見えないところですでに始まっていたりするものだったりする。


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