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<インタビュー>Klang Rulerが鳴らす“懐かしくて新しい音楽”とは――2nd EP『NEW AGE POP MIX』

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Interview & Text:上野三樹
Photo:堀内彩香


 Klang Rulerが2nd EP『NEW AGE POP MIX』をリリースした。トラックメイカーのyonkey率いる5人組バンドのサウンドは、懐かしさと新しさが共存するポップさを備えており、やすだちひろのちょっとハスキーな歌声とチャーミングな表現力も惹きつけるものがある。

 カバー曲「タイミング 〜Timing〜」はストリーミングサービスで23億再生を突破、昨年4月にSNSに投稿した「Teenage Blue」がリリース前に1000万回再生を突破、今年配信した「ZENZEN わかってない」がインスタグラムを中心に公開4日間で100万再生を突破するなどバイラルヒットを連発している。

 今回のインタビューでは彼らに新作EPの制作に関してはもちろん、あらためて結成当時や今の5人組になった経緯なども振り返ってもらいながら今のKlang Rulerがどんなバンドなのか、その魅力を紐解いていく。現在は3月から海外3都市を含むツアーの真っ最中。その手応えと最終日のLIQUIDROOM公演への意気込みも語ってくれた。

幼馴染から始まったKlang Ruler

――yonkeyさんとSimiShoさんが高校時代にバンドを結成したのがKlang Rulerの始まりということですが、当時はどういうビジョンがあったのでしょうか。

yonkey:僕とSimiShoは実家が隣同士の幼馴染なんです。高校は別々だったけど学校にそこまで仲の良い友達がいるわけでもなく、結局地元で一緒に遊ぶことが多くて。2015年の結成当時は、まだ高校生で「とりあえずバンドやろっか」くらいのノリでした。


SimiSho:だから音楽をやるためにバンドを始めたというより、バンドをやるために音楽を始めたような素人の集まりだったんです。


かとたくみ:僕は音楽の専門学校で二人に出会うんですけど、実は最初から意気投合したわけでもなくて(笑)。ちょうど前のベースが辞める時期だったみたいで、専門学校のオープンキャンパスのイベントでたまたま出会って誘われたんです。後から分かったんですけど、yonkeyと僕は高校も同じだったんですよね。当時はお互い全く知らなかったんですけど。



yonkey

――専門学校時代は朝までスタジオで練習することも多かったとか。そこまで突き詰めて活動をされていたのは、やはりプロになりたいという一心だったんですか。

yonkey:「これができないならもう人生終わりだ」と思うくらいの覚悟でした。それしかやりたいこともなかったですし、専門学校ももちろん音楽の授業ばかりでしたから。


SimiSho:専門学校で深夜スタジオが借りられたので、いいライブをするため、ドラムが上手くなるために朝まで叩き続けるのは当たり前という感じでした。



SimiSho

――2021年にGyoshiさんとやすだちひろさんが加入し、現在の5人体制になります。Gyoshiさんは専門学校で1学年上の先輩だったそうですね。

Gyoshi:はい、学生の時からKlang Rulerの活躍は噂になっていて、特にyonkeyは色んなところに出没していて、既に有名人でした(笑)。私は卒業後に1人でYouTubeにギター動画を上げていたんです。それは自分の演奏の記録用でもあり、オーディションの素材にもなるので動画を投稿していたんですけど、それを見て誘ってくれて。ライブを見て「いいバンドだな」と思っていたので、即答で「入ります!」と伝えました。


――一方、やすださんは以前はベーシストとしてバンドで活動をされていたそうですが、Klang Rulerに加入したときの想いはどのようなものでしたか。

やすだ:前のバンドが解散してからも、音楽は続けたかったのでソロ・プロジェクトをスタートさせて歌い始めたんです。そこから1年ぐらいが立った時に、声をかけてもらいました。またバンド活動をすることに対しては正直、最初は怖さもありました。人と何かを始めるのは、自分の意思だけでは先を決められないということですから。でも、このメンバーで初めてスタジオに入った瞬間の空気感がすごく良くて。「やっぱりバンドをやりたい、一緒にやりたい」とその日のうちに伝えました。



やすだちひろ

――バンド内の空気感がすごく良いということですが、どなたかムードメーカーがいらっしゃる?

やすだ:あ、いつも明るいのは私かもしれないですね(笑)。このメンバーだと変に気を使わず、ナチュラルにいられるんですよね。そんな空気感が5年かけて、より構築されてきた気がします。ライブの遠征先では誰かの部屋に集まってボードゲームをしたり、飲みに行ったり、バンド以外の部分でもコミュニケーションが取れています。


yonkey:みんな、感情を省いた「意見交換」が上手いんです。主観でぶつかるのではなく、客観的に「こう感じている」と伝え合えるので、喧嘩にならないのかもしれません。


――以前、「ハニマニ」のミュージック・ビデオ撮影用のパペットをメンバーで制作していたじゃないですか。その時に、yonkeyさんは曲作りで忙しいからと他のメンバーが頑張っていたりして、そうした役割分担もちゃんとされていて良いなと思いました。

yonkey:以前は無理して色んなことをやろうとしていた時期もあったんですけど。やっぱり僕は一人の狭い部屋で曲を作っている時が一番パフォーマンスを発揮できるので、今はみんながその環境を作ってくれている感じですね。



Klang Ruler - ハニマニ(Official Music Video)

――すごく良いチームですね。そうしたバンドの歴史も踏まえてディスコグラフィを見ていくと、この5人になった時点でドラスティックにサウンドが変化したわけでもないじゃないですか。2024年5月にリリースされたアルバム『Space Age』はまだ前段階で、その年の12月にリリースした『アンビリーバブルEP』で今のKlang Rulerに繋がる大きな変化があったと思うんです。この間に何があったんでしょうか。

yonkey:アルバム 『Space Age』の頃はコロナ禍の終わり際で、ライブも声を出しちゃいけない時期でした。だから作品をコンセプチュアルに、僕が大好きな『インターステラー』のようなSF映画の世界観で作っていたんです。でもコロナ禍での制限がなくなってライブの熱が戻る中でギャップを感じ、「もっとお客さんと繋がりたい、一緒に楽しめる曲を作りたい」という意識になったことが音楽性の大きな変化になりました。


やすだ:私自身の歌い方も、その変化の中で見つけることができました。以前はバンドに後から加入したこともあり、自分がどこまで踏み込めばいいんだろうと思ったりして。yonkeyの作る完璧な世界観を「手伝っている」ような感覚がどこかにあったのかもしれません。でも私自身がパーソナルな部分を音楽に投影できるようになって、ようやく「自分がKlang Rulerなんだ」という明確な自覚が持てたんです。


――その自覚は、やすださんのライブパフォーマンスへの変化にも繋がっていくと。

やすだ:そうですね。以前は私の前にもキーボードがあって、5人ともあまり立ち位置から動かないライブをしていましたが、ガラッと変わりました。ライブを重ねていくうちに、みんなともっと繋がりたいという気持ちが大きくなってバリケードがなくなったような感覚です。



――SNSでのバズも話題になりました。特に「タイミング ~Timing~」のカバーや、yonkeyさん個人としては新しい学校のリーダーズに提供した「オトナブルー」のヒットなども大きな転機でしたよね。

yonkey:SNSに関しては、実は最初は苦手意識もあったんです。でもSimiShoがカメラや照明の仕事をしていることもあって、チームとして環境が整っているので「これカッコいいよね」っていうシンプルな欲求に従って「バズらせよう」とか狙いすぎないことを大事にしています。自分たちが純粋に「センスがいい、かっこいい」と思えるものを信じて作れば、いつか世間のタイミングとはまる瞬間が来る。自分がコントロールできない領域に惑わされず、愚直にいいものを作り続けるしかないと思っています。


――「オトナブルー」もリリースした直後というより、ジワジワと反響が大きくなっていったわけですが。「やっぱり良い曲は見つかっていくんだな」なのか「どういうタイミングでバズるかはわからないな」なのか、実感としてはどっちですか。

yonkey:どっちもですね。僕が尊敬している作家さんたちともそんな話をしたりするんですけど、結局は狙ってバズなんて起こせないんです。だからこそ本当に愚直に良いものを作ってたら、自分がコントロールできないところで絡み合ってバチんとハマる時が来る。「オトナブルー」も歌謡曲ベースで何か面白いアレンジしたら良いんじゃないかっていうシンプルな感情だけで作ったものが評価されたから、バズを狙いに行かずにただ良いものを作ることを心がけています。



ATARASHII GAKKO! - オトナブルー (Official Music Video)

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  1. これまでの集大成のような2nd EP『NEW AGE POP MIX』
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これまでの集大成のような
2nd EP『NEW AGE POP MIX』


――では2nd EP『NEW AGE POP MIX』のお話もお伺いします。CMタイアップ曲「ふめつ」、ライブでの定番曲「ララバイ」など既に人気の曲も収録されています。1曲目の「SELFMODE」はKlang Ruler史上もっともハードでストイックなサウンドということですが、Gyoshiさんいかがですか?

Gyoshi:私はこの曲の<「君しかいない」って言ったのに/アルゴリズム girlsばかり>っていう歌詞にめちゃくちゃ共感しました! 好きな男の子がスマホを横で触ってるのをちょっと覗いてみたら、私とは全然違う系統の女の子の投稿に「いいね!」していたり。そういうことにすごくイラッとする女子は多いと思います。なので、私も怒りの感情をぶつけるようにしてギターを弾いています(笑)。


――yonkeyさんが横でびっくりした顔をされていますが(笑)。

yonkey:いや、かなり解像度の高い共感をしてくれてるなと思って(笑)。



Gyoshi

――そして2曲目の「ZENZEN わかってない」も恋愛モチーフのポップソングですね。

かと:この曲はギターがめちゃくちゃカッコいいんですよね。プリンスやマイケル・ジャクソンのカッティングとかフレーズを参考にして作っていて。16分のフレーズが2つのギターで交互に重なってるのが楽しいから、聴いていても気持ちがいいと思います。


――3曲目の「city rats」は4月29日に先行配信された新曲で、都会に出てきた若者が主人公ということですが。

やすだ:はい、「city rats」はすごく自分を重ねて歌っています。私自身、もともとは大学までバスケをやっていて挫折して地元の兵庫県から上京してきて、今こうして音楽をやっているんですけど。この曲では自分の夢や、それを追う中での葛藤がストレートに歌われています。初めてデモを聴いた時から刺さったし、夢を追っている子たちに広く届いてくれたら嬉しいです。なんかちょっと強がりながらも、<走っていけ前へ>って自分に歌っている曲なので、私も自分を奮い立たせたい時に聴いて日々を頑張っています。



Klang Ruler - city rats (Official Music Video)

――4曲目の「ふめつ」も「青春の無敵さ」が描かれたチャーミングな青春ソングです。

SimiSho:僕は「ふめつ」がイチ推しですね。青春感のある歌詞で、僕はyonkeyと学生の頃からずっとこうして音楽をしていて「一生友達だよ」なんてもちろん言い合うことなんてないですけど。でも「不滅」とか「永遠」って言葉には深みも感じるし好きです。まあ、僕とyonkeyの2人で車で移動していても一言も話さないみたいなことがよくありますけど(笑)。


yonkey:あははは。無言で車に乗り込んで無言でリハスタに向かうよね。



Klang Ruler - ふめつ (Official Music Video)

――5曲目の「Teenage Blue」は昨年バイラルヒットしましたね。

yonkey:この曲を作り始めた当時、自分のメンタルがあまりよくなくて。朝4時の暗闇の中で苦しんでいる時に「もういいや、もう一回、自分の思うようにやってみよう」と思い、出来た曲です。その瞬間に、パッと夜が明けて朝になったような気がして。自分の曲にこれほど救われた感覚って今までなかったので、救われるってこういうことなんだと気づきました。一種のセラピーソングというか、自分にとっても癒しのある曲になりました。


――6曲目の「ララバイ」は生々しいビート感とシンセのキラキラ感が特徴的なアップナンバーです。

かと:この曲は青春の荒々しさを出したくて、あえて生のドラムで録りました。


SimiSho:スネアだけ、シンバルだけ、という風に別々に録るという実験的な手法を試してみたんです。叩いてない楽器の音が入らないように動きだけ合わせたりして、苦労しましたが、そのぶん愛着のある曲になりました。



かとたくみ

――今回のEPはまさに今のKlang Rulerの勢いとポップであることの強みをパッケージした1枚になっていると思います。

yonkey:そうですね、これまでの集大成のような作品になりました。タイトルを『NEW AGE POP MIX』としたのは、今後Vol.2、Vol.3と続けていきたいなという想いも込めています。これからも、懐かしくて新しい、僕たちにしか鳴らせない音楽を追求していきたいです。


――3月からスタートしたツアー【Magnet+TOUR】の真っ最中ですが、手応えはいかがですか。最終日となる7月27日のLIQUIDROOM公演への意気込みも教えてください。

やすだ:最近はようやく「ライブバンドとしてのKlang Ruler」を自信を持って見せられるようになってきました。このツアーを経てパフォーマンスも格段にパワーアップしている手応えがあります。韓国・台湾・タイと海外公演もありますが、日本のバンドとしての強さを海外にも届けていけるツアーになったらいいなと思っています。海外の方たちが喜んでくれるように、チャットGPTに頼りながらですが(笑)、現地の言葉でMCもしたいなと思っています。


SimiSho:最終日のLIQUIDROOMは、ずっとやりたかった憧れの場所。自分たちのこれまでの歩みを証明するような、最高の景色をファンの皆さんに見せたいです。


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