Billboard JAPAN


Special

<インタビュー>メンバー自身が魅力 キム・ミジョンが明かすVIBYのデビュー過程とその後

インタビューバナー

Interview& Text: 小松香里
Photos: 辰巳隆二

 BTSやTOMORROW X TOGETHERら世界的に活躍するK-POPアーティストを発掘したキム・ミジョンによる新レーベル「Rii.MJ(リ・エムジェイ)」から第1弾グループ、VIBYが3か月連続リリースを展開中。6月24日には、Crystal Kayのヒット曲「恋におちたら」を軽やか且つ大胆にリメイクした同名プレデビュー曲、それぞれの光が集まってひとつの光になるというVIBYのストーリーを込めた「Mi*light」、「自分自身に花丸をあげてほしい」という想いを宿した「HANAMARU」の3曲を収めた1st CDシングル『Miracle:The First Light』をドロップする。

 8月31日に東京・日本武道館にてデビュー・ショーケースを行うという破格のスピード感が印象的なVIBYは、どんなグループを目指しているのか? 自ら日本各地を周り、RENKI、AKITO、IO、KOTARO、RYOHAの5人を発掘し、プロデュースを手掛けるキム・ミジョンにインタビューした。

──VIBYが3月にプレデビュー曲「恋におちたら」をリリースして約2か月が経ちましたが、どんな手応えを感じていますか?

キム・ミジョン:まだ始まったばかりですが、VIBYらしさは徐々に伝わっていると思います。日本をメインに活動していますが、思ったより韓国からも反響があったことは予想外でした。

──Crystal Kayさんの「恋におちたら」のリメイク曲をプレデビュー曲にしたのはどうしてだったのでしょう?

キム・ミジョン:オリジナル曲でプレデビューする選択肢もありましたが、5人ともとても純粋で透明感のある子たちなので、「この子たちのありのままの姿をどうやったら伝えられるのだろうか」と悩みました。その頃、ちょうど「恋におちたら」を聞く機会があり、歌詞も含めてVIBYにぴったりだと思ったのでプレデビュー曲にしました。

──大胆なアレンジが施されています。どんな狙いがあったのでしょう?

キム・ミジョン:原曲の雰囲気を変えることは考えませんでした。原曲は恋愛の曲ですが、VIBYは恋愛だけでなく、友情やグループの絆、VIBYというグループへの気持ちといったものをモチーフにしています。そのようなことがどうしたら伝わりやすいかを意識してアレンジしていきました。また、春にリリースされる曲であることも加味しました。


──岩井俊二監督が監督を務めた「恋におちたら」のMVは、北海道、石川、京都、兵庫という5人の出身地で撮影されています。

キム・ミジョン:きっちりした絵コンテをできるだけ組まずに、彼らのありのままの姿を収めてくれる日本の監督にお願いしたいと思いました。岩井監督には「NGはありません。好きにやってください」とお願いしたのですが、実際に5人の自然な姿を撮ってくれたのでお願いしてよかったです。メンバーにも「これをしてはダメ」と伝えると固くなってしまうと思ったので、「何をやっても大丈夫だよ」と伝えました。

──撮影で特に印象的だったことは何ですか?

キム・ミジョン:体育館でバスケットボールをやるシーンがありますが、彼らのことを何年もずっと見てきたにもかかわらず、あれだけ運動神経がいいとは知りませんでした(笑)。上手な上にとても楽しそうで。韓国での練習生時代は練習室と宿舎の往復だったので、もっといろんなところでスポーツとかで遊ばせて、いろいろなものを発散させてあげればよかったなと思い、心が痛かったです(笑)。

──(笑)。2曲目の「Mi*light」はここから終わりのない旅が始まることを告げた楽曲になっていますが、どんなイメージで作りましたか?

キム・ミジョン:初のオリジナル曲なのでVIBYのストーリーをしっかりと込めるため、作詞にとても時間をかけました。練習生時代から今に至るまでのストーリーを描くために、メンバーともたくさんの話をしました。当時の5人は「自分たちは本当にやっていけるのか」という不安を抱えていました。私自身、昔のことを思い出して涙することもありました。バラバラの場所で育った見ず知らずの5人が運命的に出会ってひとつのグループになる。その道は自分で決めた道ですが、それに伴う悩みや痛みを歌詞に込めていきました。サウンドに関しては、懐かしさを大事にしました。新海誠監督の『君の名は。』の映像を作家の方たちに観てもらい、リファレンスにしていただきました。ピアノの旋律が特徴的だったり、バンドサウンドが入ってきたりとハイブリッドな曲です。

──途中でテンポが変わり、最後は全員でコーラスをするという展開も特徴的です。

キム・ミジョン:最初は落ち着いたトーンで始まり、気付きを得て、前に駆け出すところでサウンドが躍動するという展開も彼らのストーリーを表しています。

──歌詞の約半分が英詞です。どんな意図があったのでしょう?

キム・ミジョン:それについてもすごく悩みました。日本を拠点に活動するので全部、日本語詞にすることも考えましたが、曲のニュアンスを生かすためにて英詞を入れ、バランスを取っていき、結局60%が日本語、40%が英語という配分になりました。


──最新曲の「HANAMARU」はどんなイメージで作った曲ですか?

キム・ミジョン:私は20代の前半の頃、日本語学校に通っていたんですね。その時、ひらがなとカタカナから日本語の勉強を始めました。漢字の試験はとても難しかったのですが、100点をもらうことができ、そこで初めて花丸を見ました。韓国では丸だけで、花丸は日本独自の文化なんですよね。花丸は見た目がかわいい上に、もらえるととても気分がいいです。実は、その時に初めて見た花丸が、私が作ったチームの曲名になるとは思いもしなかったのです。この曲のタイトル名を悩んでいたあの日の夜中にその時に見た花丸のことを思い出しました。VIBYはこれから少しずつファンと出会い、成長していきます。自分たちのことも認めて花丸をあげてほしいという想いを込めました。自分自身に花丸をあげることが難しい時代でもあるので、リスナーの方もこの曲を聞いて「自分は頑張ってる」と感じて癒されてほしいと思っています。

──「HANAMARU」は「恋におちたら」「Mi*light」と比べ、ダンス色が強い楽曲ですが、サウンド面でイメージしたことは?

キム・ミジョン::アップテンポでニュージャックスウィングやヒップホップの要素が混ざった清涼感と疾走感のある曲を目指しました。


──ABEMAでVIBYの約3年間にわたる成長の記録に密着したドキュメンタリー番組『VIBY 1329 The night before debut』の配信がスタートしました。裏側を見せることにはどんな意図がありますか?

キム・ミジョン:彼らを発掘した時からの裏側を見せることを決断することは簡単ではありませんでした。練習生頃の姿、まだ確信がなく揺らいでる姿、完成されていない姿を見せるのは簡単な決断ではなかったと思います。しかし、「VIBYはゼロから成長した」と言葉だけで言っても信じてもらえないと思ったので、まだ自分たちの可能性について気づいていなかった子達が出会い、一つのチームとして成長する過程のリアルを見せたかったんです。

実はここまで辿り着くまでは私が思ったより長くて難しい道でした。プロジェクトの存続自体が何回も危機に陥る瞬間もあり、悩む時間もたくさんありました。

ここ日本で新しいチームと物語を作っていく、その過程で私は全てのステップを説明・説得・証明しながらここまで来られました。そして、最初から「このチームは必ず上手くいくだろう」と信じてもらえた環境でもありませんでした。VIBYのメンバーたちも完成された子達ではなかったし、本当に未熟で小さい可能性を信じながらスタートしました。不安な状況で大変なこともたくさんありましたが、私はむしろその不完全さと成長過程がVIBYの最も大きい話だと考えました。

「完璧」はステージの上で見せられたらと思います。しかしメンバーたちはステージ上の姿のみならず、とても人間味があり、いろんな魅力を持っている子達です。お互いぶつかり合い、悩み続け、成長する過程まで一緒に見届けてくださったらと思います。そしてこのドキュメンタリーは単純な結果を見せることではなく、「どうやってここまできたのか? そして、これからはどこに向かっていくのか?」を一緒に記録していく「旅路」だと思っています。

  1. < Prev
  2. デビュー・ショーケースに武道館を選んだ理由
  3. Next >

──VIBYが従来のグループと違う点はどんなところだと思いますか?

キム・ミジョン:最近はコンセプトが前に出過ぎていてメンバー自身の魅力が見えづらくなってしまっているグループはたくさんいます。VIBYはメンバーそのものの魅力が軸にあるグループです。

私は、最初から完成された子達を一括りにしてグループにする計画はなかったです。未熟で、成長中で、不安定な瞬間まで含め、「今、この時期の青春」そのものをグループのイメージに込めたかったです。なので、VIBYはただただ作られたキャラを演じることではなく、実際この5人が成長していく過程自体がグループのストーリーです。

5人ともまだ幼いですが、これから内面も外見も成長していくはずです。変声期が終わっていないメンバーもいますからね。出会った時のKOTAROは11歳で乳歯が生えていたんですが、1~2年前に練習室で「やっと乳歯が全部抜けたね」という話になり、みんなで拍手をした記憶があります(笑)。そのように成長の瞬間たちを共に歩いていくのがVIBYならではの特別なことだと思います。

そして、VIBYは単純に「完成されたアイドルグループ」より、ファンの皆様と共に成長していくチームになってほしかったです。ステージ上での姿のみならず、5人が自分たちの関係を築いていく過程、悩み・彷徨う姿、そして青春の「空気」自体を大事だと考えております。

──ミジョンさんが5人に出会った頃と比べ、それぞれどんな成長を遂げていると思いますか?

キム・ミジョン:5人共通で話せることは、最初から完成された子達ではなかったことですね。それぞれ足りない部分がありましたし、自信がない瞬間もとても多くありました。しかし、そのような瞬間があったからこそ成長の幅がすごかったと思います。

まず、RENKIはすべてが未経験で、アーティストになるという想いもない、全部がゼロの状態の真っ白な画用紙のような子でした。長くキックボクシングをやっていて、目標があるとそこに向けて最後まで頑張る負けず嫌いの性格です。練習生になり、少しずつアーティストになることへの興味が強くなり、最後までやり抜くことができましたが、何せゼロからのスタートなので他の子と比べて2~3倍努力をしてきたと思います。

AKITOは吸収力がそこまで高いわけではないという自覚があったので、他の子が練習を終えても一人で最後まで残っていました。その誠実さと根性が今の安定感のある姿になったと思います。その時のAKITOを見ながら、「なんでもやり尽くせる子だね」と感じていました。

IOはとてもやる気があり、強い気持ちを持っているからこそ、自分に負荷をかけてしまうところがあります。うまくいかないと泣いてしまうこともあったんですが、そういった経験がIOを精神的にも大きく成長させたと思います。今は単純にやる気を超えて、チームを引っ張っていく力も備わってきているんだと思います。

KOTAROが韓国で練習生生活を始めたのは12歳の頃でしたが、こらえなければいけないことがたくさんあったにもかかわらず、それを苦に感じない子です。今と変わらず、気が強くて根性があります。ダンスは幼い頃からやっていましたが、歌は未経験。でもリズム感があるので、レッスンを重ねる中で歌の才能を開花させてくれました。今もすごい強いエネルギーの持ち主だと思います。そして、ラップにも才能があるメンバーなので、長期的に育てていきたいと思います。今もすごく強いエネルギーの持ち主だと思います。そして、ラップにも才能があるメンバーなので、長期的に育てていきたいと思います。

最後はRYOHAですが、RYOHAのことを思い浮かべるといつも笑顔になります(笑)。最初は自信がなくて「なんで僕のことを選んでくれたんですか?」と何度も聞かれました。今となっては、その理由に自分で気づけたと思います。RYOHAだけの確固たる魅力を持っているんですよね。本格的にダンスや歌を習った経験はなかったので基礎練習の時間を長く取りました。基礎をしっかり身に付けたことで次のレベルに行けたと思います。そして、今は自分の魅力を徐々に理解しているんだと思います。

──8月31日に開催する日本武道館でのデビュー・ショーケースはどんなものにしたいと考えていますか?

キム・ミジョン:正直な話をすると、デビュー・ショーケースを武道館でやることが無謀だということはわかっていますし、周りから「早すぎる」、「クレイジーすぎる」という話もたくさん聞きました。だけど、私はVIBYが武道館という大きい規模と可能性を持っているアーティストになってほしいと思いながらここまで来ました。武道館は単純に大きいステージではなく、誰かの夢とスタートラインが記録される場所だと思います。なので、「いずれ目指したい夢の場所」ではなく、「VIBYのスタートライン」をその場所に刻んでいきたいと思います。そしてたくさんの方々がその可能性を一緒に見守っていただければと思います。今回の武道館は単純なショーケースではなく、VIBYのファンネームであるTOMOの方たちと初めて会う「始まりの場所」に近いと思うので、TOMOの方たちと近い距離感でコミュニケーションが取れるようなステージにしたいと思っています。ただ華やかなステージではなく、VIBYの最初の1ページをきちんと記録する公演にしたいと思います。

──VIBYに対して、Rii.MJの最初のグループだからこその特性を打ち出そうという意図はありますか?また、Rii.MJの第2弾グループの構想も既にあるのでしょうか?

キム・ミジョン:Rii.MJというプロジェクト名には“リアル”という意味も込められています。ありのままの姿と感情、そして、成長過程から湧いてくるエネルギーを大切に思います。なので、VIBYも作られたキャラクターよりメンバーたちのありのままの雰囲気と関係性、そして今の時期の青春そのものを全面に出したグループにしていきたいと思っています。VIBYはVIBYならではの空気感と感性を持つチームになると思うし、その次に準備しているチームは完全に違う方向性とエネルギーを持つチームになると思います。これからRii.MJが繰り広げる新しいストーリーもたくさん期待していただければと思います。

関連キーワード

TAG