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世界でアルバム売上トップ10入り、Mrs. GREEN APPLEの今後の動きは

Text: 小川智宏、Mariko Ikitake
先日、国際レコード・ビデオ制作者連盟(IFPI)が毎年発表する2025年のレポートが発表された。IFPIは毎年、前年の世界で最も売れたアーティストを表彰するグローバル・アーティスト・チャートを発表しており、2025年はアルバム『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』が米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”史上最大の初週成績を達成し、通算12回の首位に立ったテイラー・スウィフトが、“2025年に世界で最も成功を収めたアーティスト”に選出された。今回で4年連続、通算6回目だ。
このアーティスト・チャートは、世界各国の8,000以上の参加レコード会社から直接収集したストリーミング、ダウンロード、フィジカル売上データを、IFPI独自の手法で単一のグローバル指標へ換算したものだ。当該年の新作に限らず、アーティストの全カタログ作品が対象となる。Stray Kids、ドレイク、ザ・ウィークエンド、バッド・バニーと、世界的に知られるトップスターが続くなか、日本人アーティストで唯一13位にランクインしたのがMrs. GREEN APPLEである。

アルバム作品ごとのグローバル・アルバム・チャートだと、テイラーの『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』がトップに輝いた一方で、ミセスのデビュー10周年を記念したベストアルバム『10』が10位を記録。売上枚数(フィジカルとフルダウンロード数)を基準に算出されるグローバル・アルバム・セールス・チャートでは同作が19位、無料および有料ストリーミングの消費量をIFPI独自の経済係数に基づき換算したグローバル・ストリーミング・アルバム・チャートでは11位に入った。この結果から、ミセスがセールスとストリーミングいずれも高い人気を誇っていることがわかる。また、LUMINATEの分析プラットフォーム「CONNECT」によると、ミセスの2025年のグローバル年間ストリーミング数(オーディオ及び動画を含む)の約95%を日本ユーザーが占めていることがわかる。そういう状況で彼らが“2025年に世界で最も成功を収めたアーティスト” 13位に入ったという事実は、ほぼ日本単体でグローバル上位を支える規模に達しているという、ミセスの圧倒的な人気ぶりを物語っている。
2025年は、彼らが“MGA MAGICAL 10 YEARS”と題しデビュー10周年を駆け抜けた一年だった。『10』には、Billboard JAPAN 2025年間トップに輝いた「ライラック」やAdoが主人公ウタとして歌う映画『ONE PIECE FILM RED』の劇中歌のセルフカバー「私は最強」、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第2期 第2クールのオープニング・テーマ「クスシキ」、ミュージックビデオで見せた華麗なダンスが話題となった「ダンスホール」など、2022年からスタートしたフェーズ2を彩ってきた人気楽曲が多数収録されている。アルバムは初週で772,214枚を売り上げ、Billboard JAPAN集計ではバンドとして史上最多セールスを樹立、現在までに104万枚以上を売り上げている。
また、ストリーミング総再生数は国内アーティスト最多となる160億回にまで数字を伸ばし、現在も複数曲がストリーミングチャート上位にチャートイン。文字通り「日本でいちばん聴かれているアーティスト」として、その数はとどまることなく増え続けている。
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もちろん2015年にデビューした当時から彼らは多くのファンに支えられ活動を続けてきたが、その活動の方向性や目指す場所は段階を経て変わってきた。それをミセスはわかりやすく「フェーズ」として表現している。今のミセスにつながるきっかけとなったのは2022年から2025年にかけてのフェーズ2だが、フェーズ1の終わりとなった2020年の時点ですでにアリーナツアーを成功させていたことからも、彼らがフェーズ2に入って突然ブレイクしたわけではないことはわかる。
楽曲のクオリティやライブにおけるパワフルなパフォーマンス、そして大森元貴(Vo/Gt)の圧倒的な歌唱力や人々の心に寄り添う歌詞の表現などというバンドの音楽的な魅力は初めから高い完成度を誇っていた。だが一方で、フェーズ2に入ってからのミセスは、いわゆる「バンド」の範疇からはみ出した活動を展開し、より多くの人にミセスという存在とその音楽を届けることに注力し、それによってバンドを取り巻く状況は大きく広がった。

【The White Lounge】より
Photo: 古溪一道(田中聖太郎写真事務所)
音楽劇的な要素を取り入れたライブ【The White Lounge】や、さまざまなアーティストの音楽と交わる新たなエンターテインメントとして立ち上げた【CEREMONY】などのライブ表現、映画『#真相をお話しします』やNHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』への出演で俳優としての評価も高めている大森元貴、そしてTBS系日曜劇場『リブート』で連続ドラマデビューを果たした藤澤涼架(Key.)、音楽バラエティ番組『M:ZINE』の司会のほか、NHK韓国語講座『ハングルッ!ナビ』への出演も決定した若井滉斗(Gt.)と、個々のメンバーの活躍の場もどんどん広がっている。既成概念にとらわれないその活動によってミセスと出会えたというファンも多いはずだ。また、この4月からは過去に特番として放送されてきた冠番組『テレビ×ミセス』(TBS系)が月曜21時枠でレギュラー化。バンドとしても個人としても既成概念にとらわれないように繰り広げられるこうした活動を通してミセスと出会えたというファンも多いはずだ。

【DOME TOUR 2025 “BABEL no TOH”】より
Photo: 田中聖太郎写真事務所

Photo: 田中聖太郎写真事務所

Photo: 田中聖太郎写真事務所
楽曲のクオリティを大前提に、バラエティやドラマへと広がり続けているミセスの世界。それはライブにおいても同様だ。ミセスは昨年いっぱいをもってフェーズ2を完結、今年に入ってフェーズ3に突入したが、そのフェーズ2、そして10周年イヤーの締めくくりとなったのが5大ドームツアー【DOME TOUR 2025 “BABEL no TOH”】。全国12公演で約55万人を動員したライブには、登場する高さ20m、約100tという巨大なバベルの塔のセット、100名を超えるキャストなど、これまでの彼らと比較しても規格外の演出が詰め込まれ、ファンのみならず、音楽関係者にも大きなインパクトを残した。この【BABEL on TOH】が今夏映画化されるという発表もすでにされている。昨年11月に公開されて大ヒットとなったライブフィルム『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~ ON SCREEN』とドキュメンタリー映画『MGA MAGICAL 10 YEARS DOCUMENTARY FILM ~THE ORIGIN~』同様、多くの観客が劇場へ足を運ぶことになるだろう。
今年に入ってからも、1月にアジア、北米、ヨーロッパでも人気のTVアニメ『葬送のフリーレン』第2期のオープニング・テーマ「lulu.」をリリース、さらにNHK連続テレビ小説『風、薫る』の主題歌も担当する。大森の『あんぱん』出演に続く朝ドラとのコラボとなる新曲「風と町」は、大森が『あんぱん』出演中に制作に取り掛かっていたものだという。『風、薫る』制作統括の松園武大チーフプロデューサーが「どんなに時代が移ろい変わっても、人間関係や環境が変わっていっても変わらない大切なものが感じられる楽曲」とコメント。放送が始まり、主人公たちの物語とどう結びつくのか、早くも期待が高まっている。「風と町」は4月13日より配信スタートする。
そしてその先では、東京・MUFGスタジアム(国立競技場)での4日間と大阪・ヤンマースタジアム長居での2日間を合わせ計6日間のスタジアムツアー【ゼンジン未到とイ/ミュータブル〜間奏編〜】が控え、秋には約3年ぶりのオリジナル・フルアルバムのリリースも予定されている。フェーズ3のミセスもまったく止まる気配はない。昨年同様、活動てんこ盛りのMrs. GREEN APPLEの動きに注目だ。
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