Special
<インタビュー>音楽を介して世界中に愛を――ジャネット・ジャクソンが日本のためだけに用意するショー

Text & Interview: 新谷洋子
【TOGETHER AGAIN】(2023~2024年)の一環で全公演ソールドアウトの来日公演を行ってから2年、ジャネット・ジャクソンが来たる6月に早くも日本に帰ってくる。神戸・横浜・名古屋の3都市をまわるその【JANET JACKSON JAPAN 2026】は、日本のためだけに企画された特別なツアー。これまでもコンスタントに来日し、約40回にわたってステージに立ってきた彼女と日本の特別な絆を物語っており、名古屋公演にはHANA、横浜1日目には香取慎吾、2日目にはBE:FIRSTがスペシャルゲストとして登場することも決定している。
ここ10年ほどを振り返ってみると、2015年に発表した『Unbreakable』以来、アルバムは発表していないものの、精力的にツアーを続けているジャネット。デビューから40年を経て【TOGETHER AGAIN】ツアーでキャリア最大の成功を収め、ライブアクトとしての不動のアピールを見せ付けたが、2017年に息子エイサを出産して身辺が大きく変わった今、どんな想いを抱いて音楽活動と向き合っているのか? プロモーションのために東京を訪れ、『リズム・ネイション1814』時代の彼女を想起させなくもないミリタリー調のジャケットとデニムでスタイリッシュに装って現れたジャネットに、ツアーへの意気込みや今後の展望を訊ねてみた。
──あなたが初めてツアーで日本を訪れたのは1990年、キャリア初のワールドツアー【Rhythm Nation World Tour】の一環で、なんと2度も日本を訪れ、東京ドームで4公演したほか、計12回のコンサートを行いました。うち、東京ドーム2公演を7分で売り切るという、海外アーティストとしては前代未聞の規模のツアーでした。30年以上前の話ではありますが、あの旅について記憶していることは何かありますか?
ジャネット・ジャクソン:そうですね……ひとつ印象に残っていることがあります。日本滞在中にパフォーマンスをHD映像でテレビ中継することになったんですが、私は“HD”が何を意味するのかさっぱりわからなかったんですよね(笑)。丁寧な説明を受けて、当時最先端だったこの技術が日本では可能だというお話でした。そんなわけで、HDによる記録が存在するということは覚えています。あとは観客のことも。とにかく素晴らしい観客に迎え入れられたことは、私の記憶に刻まれています。

──あれ以来たびたび来日公演を行ってきましたが、6月には日本だけのスペシャルなコンサートが控えています。
ジャネット:【TOGETHER AGAIN】ツアーで2年前に訪れましたが、あのコンサートとはまた異なる内容になります。今回は、私が2024年末から2025年にかけてラスベガスで行った連続公演、【Janet Jackson:Las Vegas】のパフォーマンスの要素を取り入れるつもりです。あのパフォーマンスは、ラスベガス以外で披露したことがまだないので。演出も全く新しいものになりますし、たくさん踊って、たくさん歌って、みなさんをたっぷり楽しませる準備を整えています(笑)。
──本公演にはジャクソン・ファミリーをトリビュートするセクションが設けられるそうですね。どんな内容になりそうですか?
ジャネット:このセクションについてはサプライズということで、当日まで秘密にさせてください!

14日にはBE:FIRSTとステージコラボも
──わかりました。ではあなたにとって、世界のポップカルチャーに計り知れないインパクトを与えたジャクソン・ファミリーのレガシーとは何でしょう?
ジャネット:私たち一家はインディアナ州で暮らすごく普通のファミリーで、自分たちの仕事を愛してやまなかったというだけ。つまり、歌うこと、踊ること、音楽を作ることが大好きで、まさにそうした自分たちが愛することを通じて、人々をハッピーにしたかった。そして私たち自身、音楽を作り、パフォーマンスを行うことを楽しんでいましたし、究極的には音楽を介して世界中に愛を届けたかったんです。
──実際、あなたとジャクソン・ファミリーは国境や言語を超越する音楽とダンスの魅力を体現してきました。あなた自身がそのポテンシャルを実感したのはいつでしたか?
ジャネット:具体的には覚えていませんが、かなり幼かったはず。というのも私の兄たちがジャクソン5としてブレイクした時、私はまだ2歳で、その頃だったと思います。
──ツアーに話を戻しますが、あなたのパフォーマンスには、肉体的な面でも精神的な面でも綿密な調整が必要ですよね。ツアーに向けた準備には、どのようなプロセスを踏むのでしょう?
ジャネット:今の私は母親ですし、スタッフがいるアメリカで暮らしていないこともあって(注:現在彼女は息子とロンドンで生活している)、以前とはやり方が随分変わりました。とはいえ、まずはステージ演出に関するムードボードを用意することから始まり、セットリストを構成し、各セクションの方向性を決める……といった具合に、踏まなければならない工程が本当にたくさんあるんです。その後、約1か月をかけてリハーサルを行い、ツアーバンドと一緒に実際に披露する曲をひとつひとつ演奏して、編集を加え、さらに私のクリエイティヴ・ディレクターであるギル・デゥルダラオ(注:ダンサーとして彼女のツアーで活躍したのち、クリエイティヴ・ディレクターに。【TOGETHER AGAIN】ツアーなどでもコラボした)とコンサートのあらゆる側面を詳細に確認します。以前はリハーサルに2~3か月を費やしていたものですが、今はみんな短いリハーサルを好むんですよね。そのほうがコストもかからないですし(笑)。それもいいんですが、私としては、ステージに立ってパフォーマンスを行える自信を確立するために、これだけは必要だと感じる時間を充分にとっていますよ。
──ツアーを行う際には毎回、何らかのクリエイティヴなゴールを掲げているんでしょうか?
ジャネット:どうでしょうか……?(ここでスタッフが「彼女は気付いていないかもしれませんが、ちゃんとゴールを設定していますよ」とパス)本当に? じゃあ、私が気付いていないということですね。長年の付き合いの彼がそう言うんですから。(「ジャネットは常に細部まで気を配っていますが、本人はそう言いたがらないんです」)確かに私は、完成度の高さについては自分なりのこだわりがありますし、もしかしたら自分が思っているよりもこうしたことについて神経質なのかもしれませんね。従って、あなたの質問への回答は「イエス」です(笑)。
──では、あなた自身が最高のステージ・パフォーマーだと思うアーティスト、多くを学んだと感じるアーティストは誰でしょう?
ジャネット:やはり私のファミリーは多大なインスピレーションを与えてくれました。兄たちはもちろんのこと、姉たちも含めて。そしていとこのスティーヴィー・ワンダーも。ほかにも本当に大勢います。幼い頃はサミー・デイヴィスJr.やジェームス・ブラウンやスライ&ザ・ファミリーストーンにも刺激を受けましたし、アース・ウィンド&ファイアーにも、昔だけでなく今でもインスパイアされます。彼らの音楽に耳を傾けていると、特別な作用があるんです。そんな中でも私はスティーヴィーの大ファンでした。子どもの頃は彼のレコードをずっと聴いていました。
──ちなみに、ツアーには息子さんも同行するのですか?
ジャネット:ええ。同行して、一緒に時間を過ごすことも時々あります。
ジャネット:(少し照れたような表情で)息子は私のことを最高だと思っていますよ(笑)。本当におかしい話なんですが、彼はそもそも、私の名前が世界中で知られていることに気付いていなかったんです。私が何者かみんなが知っていることを不思議がって、「なぜあの人はママが誰だか知っているの?」と訊かれたものです。今では私がジャネット・ジャクソンであるという事実が気に入っているようで、お友達にも自慢しているようですし、叔父さんたちや自分の家族のパフォーマンスを観るのが大好きなんです。
──あなたにとって母親業とアーティスト業のバランスを取るカギは何でしょう?
ジャネット:まず、子供を持てば自分の人生が変わってしまうことは、息子が生まれる前からわかっていました。でも少なくとも私の場合、ここまで大きく変わると予測しておらず、準備ができていなかった気がするんです。これからの自分に待ち受けている人生に対して。とはいえ、今の状況を何ひとつ変えたくはありません。すべてが息子中心にまわっていて、そんな中で母親業とキャリアを両立させるために重要なことは、スケジューリングです。とにかくスケジューリングにかかっていますね。毎日決められた時間に物事をこなすこと。考えてみると、私の人生は昔から日々細かくスケジュールが決められていて、常にそんな生活をしていましたが、自分一人の頃はもう少し楽でした。そこまで厳しく時間に縛られることはなかったです。もちろん仕事となると話は別ですけれど。息子がいる今は、仕事がない時であってもスケジュールがすべて。ただ、息子と充実した時間を過ごしつつも、ひと仕事こなしたあとでは自分だけのための時間を確保することも重要です。いわゆる“ミー・タイム”ですね(笑)。

──さて、そんなあなたの近況を振り返ってみると、全キャリアを網羅する【TOGETHER AGAIN】ツアーを敢行する一方で、2021年には1,000点に及ぶ衣装などをチャリティ・オークションにかけて手放したり、翌年ドキュメンタリー・シリーズ『JANET JACKSON』(注:日本でも『ジャネット・ジャクソン私の全て』の邦題でCSヒストリーチャンネルで放映)を制作したり、キャリアを総括し、かつ整理していたようにも見えます。アーティストとして、あなたは今、どんな時期にあるのでしょう? 新たなスタートを切ろうとしていると見てよいのでしょうか?
ジャネット:確かにそんな風に感じています。今の私は、新しい一歩を踏み出すにあたって、たっぷり時間をかけて準備を整えているんです。ことに息子を産んでからというもの、私は以前とはまったく異なる人生のステージにいますし、彼が自分の人生の一部となった今、物事の見方も変わりましたから。そして自分のキャリアにおいても、間違いなく新しい時代に移行しています。だからこそ充分な時間をとりたい。ずっと前に、新しい作品をリリースするとみなさんと約束したのも決して忘れたわけではありません。今年に入ってからもスタジオでレコーディングを行い、音楽作りを進めています。要するに私は完璧主義者ということになるのでしょう。もちろんどれだけ時間をかけようとパーフェクトなものなんて存在し得ないわけですが、私の場合、曲をひとつレコーディングしてみて、「う~ん、どうも私が考えていたものとは違う」と違和感を抱いたら、それ以上進むことができない。次々に新しいことを試してしまうんですよね。それにしても、今年中になんとかファンのみなさんに新しい音楽をお届けしたいと思っています。
公演情報

【JANET JACKSON JAPAN 2026】
2026年6月9日(火)兵庫・GLION ARENA KOBE
2026年6月13日(土)神奈川・Kアリーナ横浜(スペシャルゲスト:香取慎吾)
2026年6月14日(日)神奈川・Kアリーナ横浜(スペシャルゲスト:BE:FIRST)
2026年6月17日(水)愛知・IGアリーナ(スペシャルゲスト:HANA)
特設サイトはこちら
関連商品




























