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<インタビュー>日向坂46(河田陽菜&宮地すみれ) 新体制初のシングル『Love yourself!』に込めた、変わらない“私たちらしさ”
Interview & Text:高橋梓
Photo:堀内彩香
5月21日、日向坂46が14thシングル『Love yourself!』をリリースする。2025年3月10日に五期生が加入し、4月6日に三期生の髙橋未来虹がキャプテンに就任、新体制となった日向坂46の第一弾シングルとあり、大きな注目が集まっている。彼女たちは同作にどう向き合っているのだろうか。現在のグループについても含め、メンバーの河田陽菜と宮地すみれに話を聞いた。
新体制を迎えた心境は?
――新体制になって初のシングル『Love yourself!』がリリースされます。現在の心境から教えてください。
宮地すみれ:今まで引っ張っていただいた一期生の皆さんがご卒業されて、導いてくださっていた方々の背中が見られなくなると思うと、最初は不安な気持ちも大きかったです。でも今は、日向坂46としていい方向に変わって、「卒業された先輩方に、安心して日向坂46を応援してもらいたい」と思うようになりました。そんな思いの中でリリースされる今回のシングルは、タイトルやジャケ写からもわかる通り、とにかくハッピーオーラ全開。日向坂46らしいシングルで、新体制1発目にふさわしい第一歩を踏み出せると思っています。
河田陽菜:私もすみれちゃんが言ったように、一期生の皆さんが全員卒業されて不安でいっぱいでした。でも、今回のシングルでは、二期生から四期生まで全員で歌うという日向坂46らしい強みが発揮できているんですよね。さらに五期生も加わって、チーム一丸となって前に進むことで絆も強くなると思いますし、「新体制で頑張っていこう」という気持ちになっています。
――河田さんは今回、いちばんお姉さん組になりましたもんね。
河田:そうなんです! 気がついたらいつの間にか(年齢も)上から3番目になってしまって(笑)。でも、頑張っていきたいと気合いが入っています。

――楽曲についてもお伺いさせてください。表題曲の「Love yourself!」は今の時代にピッタリの楽曲です。おふたりがおこなった、この曲ならではの表現はありますか?
宮地:この曲はただ明るいだけではなく、時には苦しくなるようなメッセージも込められているからこそ、多くの皆さんに響く曲になっているのかなと感じました。そんな曲を私たちが披露することに意味があると思っています。今まで作り上げてきた日向坂のハッピーオーラや、誰かを応援する気持ちがあるからこそ、「自分自身を愛してあげて」というメッセージが私たちらしいというか。なので、その部分をすごく大事にしました。たとえば、ダンスは揃えることも大切にしつつ、それ以上に気持ちを揃えることを重視しています。
――気持ちを揃えるというのは、ミーティングなどをされて揃えたのですか?
宮地:そうですね。私たち四期生は全員選抜を経験するのが初めてなんです。なので、「全体で揃える」ということに対してまだわからないこと、慣れない部分がありました。そこで二期生、三期生の先輩方の練習を前から見せていただいて、吸収して、四期生だけで集まって練習して、最後に全員で合わせるという練習をしていました。先輩方が繋いできたものを四期生が吸収しながらも、新しい空気感や雰囲気をお届けするという気持ちで頑張りました。
河田:その練習で四期生のみんなはグッと良くなったよね。
宮地:そうなんです。今まではそれぞれの個性を活かした自分なりの見せ方でしたが、今回は全体で揃えることの良さと難しさを知ることができました。今までとは少し違った自分たちを見せられていると思います。
――四期生の皆さんに注目ですね。河田さんはいかがですか?
河田:私は、この歌詞にすごく共感していて。みんながいるけどどこか孤独を感じたり、何気ないひと言をすごく気にしてしまったり……。そんな歌詞の中に〈抱き締めてやる〉というフレーズがあるんですね。そこは「おいで」と言っているような振りなのですが、このパフォーマンスを見てくださる方が日向坂46に包まれるような優しさを感じてくれればいいなと思ってやっています。ファンの方から「辛いことがあった」という話を聞くこともあるので、そういう方にも寄り添えたらいいなと思いながらパフォーマンスしています。
Love yourself! / 日向坂46
――河田さんから〈抱き締めてやる〉というフレーズを出していただきましたが、個人的に〈「君は君のままでいいんだ」〉というワードも印象的で。このフレーズにかけて、おふたりが「自分は自分のままでいい」と思えた出来事があったら教えてほしいです!
宮地:3月に舞台『五等分の花嫁』に出演させていただいたのですが、ダブルキャストだったんですね。ダブルキャストってどうしても比較されてしまうことが多くて、「私ってこれでいいのかな」「皆さんが望んでいるのはこの私でいいのかな」といろいろ考えて、人目を気にしてしまった時期がありました。そんな時に、ずっと向き合ってくださっていた演出家の方から「すみれちゃんはそのままでいいんだよ」と言っていただいて。すごく嬉しかったし、「私が聞きたかった言葉はこれなんだ」と感じました。そんな出来事があったすぐ後に「Love yourself!」の歌詞を見たので、私と同じような悩みを抱えている方を励ませたらいいなと思いました。
――いい言葉ですよね。たとえば「頑張れ」という言葉は時にプレッシャーになってしまいますが、「そのままでいいよ」はもっと寄り添ってくれる感じがするというか。
宮地:そうなんです。悪気なく「頑張れ」と言ってくれているんだろうなとは思っても、心の何処かで「もう頑張ってはいるんだけどな」と思ってしまったり。でも「そのままでいいんだよ」という言葉は、自分を取り戻すきっかけになりましたし、周りを気にせず突き進めばいいんだと気づかされました。
河田:いい話!
――そんな河田さんはいかがですか?
河田:私は昔からどう活動したらいいのかがわからなくて、個人の目標みたいなものを持たずに活動していたんです。なので、こういったインタビューで「個人的な夢はなんですか」と聞かれても、即答できずに絞り出していました。そんな自分を「ダメだな……」と思いながら活動をしていたのですが、ある時急に、自分がやりたいように、自分の気持ちのままに活動したほうが楽しいと気づいて。もちろんグループなので協調性も大切ですが、楽しむことが大事だし、ありのままの自分でいいんだと気づけてから幸せに暮らしています!

――周りの方に肯定してもらってハッピーになった宮地さんと、ご自身で気づいてハッピーになった河田さん、というおふたりのコントラストがなんだかいいですね。そして2曲目の「ジャーマンアイリス」は五期生曲です。今回10名の五期生が加入されましたが、特に仲良くなれそうなメンバーはいらっしゃいますか?
宮地:片山紗希ちゃん! 年齢が1歳差と近いですし、趣味も似ているんですよ。私はシルバニアファミリーが好きなんですが、紗希ちゃんも可愛いものが好きで、シルバニアファミリーを集めるのが好きとブログに書いていたのを見たので、仲良くなれそうだなって。あと、私の体調が悪かった時、隣に紗希ちゃんが来てすごく心配してくれて。まだ私は何もしてあげられていないのに、そうやって接してくれるのが嬉しかったです。これから一緒にかわいいもの探しをしたり、シルバニアファミリーで遊んだりできたらいいなと思っています。
河田:楽しくなりそうだね。私は大野愛実ちゃんが気になっています。特技に「人の顔を見ただけで誕生日が当てられる」と書いてあったので、「私の誕生日当ててみて」って言ったんです。でも、外れて(笑)。実は当たったことがあまりないらしく、そういういい意味で少し適当な部分が私と似ているなと思いました。話していてもフランクに接してくれるので、仲良くなれそうな予感がしています。
ジャーマンアイリス / 日向坂46
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――今後皆さんが五期生と接していく姿も楽しみです。次の「You are forever」は「Love yourself!」とはまた雰囲気の違う楽曲ですね。
河田:実は日向坂46を初期から支えてくださっていたスタッフさんが、最近亡くなってしまうということがありました。直接お聞きしたわけではないのですが、おそらく秋元(康)先生が当て書きをしてくださった曲だと思っています。メンバー全員が歌詞を見た瞬間に、「あの方に向けた歌詞だよね」とわかるくらいだったんですよね。本当にお世話になっていたスタッフさんだったので、その方がいなくなってしまって不安な気持ちもありますが、絶対に私たちのことを見ていてくださっていると思うので、「空まで届くように頑張ろう」と気持ちをひとつにして歌っていこうと思っています。
宮地:ファンの皆さんはそういったことを知らない状態で最初聴くことになると思うので、いろんな考えや考察があると思います。もちろん、それはそれでいいと思っていて。ただ、私たちはこれまでの日向坂46を作ってきてくださった方へ向けて、「新体制で頑張っていきます」という誓いを込めて大切に歌っていきたいと思っています。
――そうだったのですね。皆さんにとって大切な曲に育っていきそうです。そして「やらかした」は河田さんが参加されているユニット曲です。めちゃくちゃクセになる曲ですよね。
河田:何回も聴きたくなる曲ですよね。今回、金村(美玖)と小坂(菜緒)とのユニット曲なのですが、「3人でなにか曲ができたらいいね」と以前から話をしていたのですごく嬉しかったです。それに、もう少しおしとやか系の曲なのかなと思っていたのですが、意外な曲が来たのも面白くて(笑)。ラップみたいなリズムが難しくて苦戦しましたが、金村と一緒にボイトレに励んで、楽しくレコーディングできました。
――レコーディング中、特に印象的だったことはありますか?
河田:スケジュールの関係で小坂だけ別日だったのですが、犬の遠吠えが印象に残っています。〈僕は負け犬〉という歌詞の後ろで「うぉー!」という私と金村の声が入っているんですね。それはディレクションしてくださる方から「1回犬の遠吠えをやってみて」と言われて、ふたりで一緒にやってみた声。使われないかなと思ったのですが、使ってもらって安心しました。
――河田さんが犬の遠吠えって、あまりイメージにないかもしれません!
河田:そうなんですよね。でも金村と一緒だったらやってもいいかな〜と思って挑戦しました(笑)。ちゃんと山の上から叫んでいる気持ちでやり切りました!
――そんな「やらかした」というタイトルのように、河田さんが最近「やらかした!」と思った出来事はありますか?
河田:ちょうど昨日なのですが、冷凍のポテトを電子レンジでチンしていたんです。目安は30秒くらいだったのですが、なぜか袋に書いてあるオーブンのほうの秒数を見ていて、5分もチンしてしまっていました。「なんか焦げ臭いな」と思ってレンジを開けたら、丸焦げになったポテトが出てきて「やらかしたー!」って(笑)。火事にならなくて良かったです。

――危なかったですね(笑)。そして、「あのね そのね」は宮地さんが参加しているユニット曲。めちゃくちゃアイドル曲ですよね。
河田:しかも、すみれちゃんの声がめっちゃかわいかった!
宮地:ありがとうございます!
――こういったかわいらしい曲を歌う時の宮地さん流のコツってあるんですか?
宮地:コツかぁ……でも、この曲ってすっごく高いんですよ。高音がずっと続いているし、あと速い! 間髪を入れず歌詞が続いているんです。でもコツはあんまりわからないです(笑)。
河田:人によるかもね(笑)。
宮地:私は力を入れすぎずに、自分の声質に合う感じで歌いました。途中、「ここにアクセントを入れたらかわいいかも」と思ったら、挑戦してみたりもしています。
――カラオケで歌うとしたら、お腹から声を出さずにふんわり歌うのがよさそうですね。
宮地:でも、私と小西(夏菜実)、清水(理央)3人の声が全く違っていて、合わさった時に「いい」と褒めていただくことが多くて。清水は元気な声、小西は透き通るようなきれいな声、私はサラサラふわふわした声だと思っているので、そういった声が合わさってこの曲の良さが引き立っているのかなと思っています。だからカラオケでは好きなように歌うのがいちばんかもしれません。
――では、真似して歌いたい方は、違う声質の友だちを集めるところから始めましょう(笑)。そして宮地さんにも、タイトルのように「あのね」と耳打ちしたくなる、ここだけの話を教えていただきたいです。
宮地:実は私、小さい頃から仮面ライダーや戦隊モノが好きなんです。それをファンの方にしれっと伝えたら「そうだったの!?」と盛り上がってくださって。かわいいもの好きなイメージがあるかもしれませんが、小さい頃はヒーローショーを見に行っていたくらいのガチ勢なんです。なので、こう見えて意外と多趣味なんだぞとお伝えしたいです。

――たしかに意外性があるかもしれません! そして最後の「海風とわがまま」。片思いを歌っていますが、どことなく日向坂46らしいハッピーオーラが感じられます。皆さんはハッピーオーラを歌に込める際に、どんな工夫をされているのでしょうか。
宮地:よく「アイドルだから、どんな曲が来てもまずはアイドルっぽく歌おう」とボイトレの先生から言われるんですよね。なかでも私が衝撃的だったのは、「ブレスで次に出る声のかわいさが決まるよ」という言葉。息から意識しなきゃいけないんだとびっくりしました。でも、そういった細かい部分からアイドルを意識することで、無意識のうちにできるようになっていくんですよね。
――すごい……! そんな細かい部分までアイドルを意識するとなると、オフの生活でもアイドル然としていないとできなさそうですよね。
河田:そうなんです!
宮地:しかも、「海風とわがまま」は勢いのある曲なので、先生から「息で次の音が決まるからね!」とたくさん言われました(笑)。
河田:私は感情の出し方を意識しているかもしれません。たとえば、落ち込んでいる感情でも「はぁ〜……」ではなく、「もうっ!」というかわいい落ち込み方にする、とか。
――なるほど。そう考えると、細かな部分まで注目して聴いてほしいですよね。
宮地:そうなんです!
河田:ぜひ隅々まで聴いてもらいたいです。

ふたりが感じている成長
――では、おふたりについて質問を広げさせてください。河田さんは今後グループの大黒柱的ポジションになっていかれると思いますが、今の正直な心境はいかがですか。
河田:新体制のことを考えると、「どうなっていくんだろう」ととても怖くて。一期生の皆さんに委ねきっていたのもダメなのですが、先輩方の背中をずっと追いかけて生きてきたので「どうしたらいいんだろう」「私たちに務まるのかな」という気持ちがありました。でも、いざ最年長組としてやってみるとまた感覚が違うと感じています。グループ最年長の松田(好花)なんかは、「最年長だから頑張らないと」と思っていると思うのですが、私はもう少しラフに考えていて。もちろんやることはやらなくてはいけませんが、全員仲間だし、気負わずにみんなで一緒に一歩ずつ歩んでいけたらいいのかな、と。それこそ、キャプテンの(高橋)未来虹ちゃんは「引っ張っていかないと」という気持ちがあるはずですが、みんなで一緒に楽しみながら進んでいければいいのかなと思っています。
――仲間だから気を張りすぎなくてもいい、と。加入時、河田さんは妹キャラでしたが、今ではお姉さんっぽくなってきているという話を耳にしました。ご自身で感じている変化もあるのでは?
河田:性格が変わったと思います。昔は、意味がわからないくらい泣き虫で、振りが覚えられなかったら「もうダメだ」と落ち込んでしまうくらいネガティブだったんです。でもいつからか良くも悪くもフランクに物事を考えられるようになって、活動がすごく楽しくなって、性格も明るくなったと思います。日向坂46とメンバーに変えてもらって、本当にありがたいです。
――素敵な変化です。宮地さんは五期生の加入で初の先輩になられましたが、いかがですか?
宮地:かわいい妹たちができたみたいで嬉しいです。四期生と五期生は年齢的にも、先輩/後輩としての関係的にも、いちばん近いところにいるので気持ちをわかってあげられる存在でいたいと思っています。五期生はこれから困難や不安を抱えることもあると思いますが、支えてあげたいですし、先輩方にも心を開いてもらえるように架け橋になれたらいいなと思っています。

――先輩になるにあたって、河田さんから宮地さんにアドバイスはありますか?
河田:えー! 私は先輩じゃなさそうなヘラヘラタイプなので偉そうなアドバイスはできないのですが、すみれちゃんって自分から積極的に五期生に話しかけに行っているんですよ。それがすごくいいなって。加入したばかりの頃って、優しい先輩でも少し「怖いな」と思ってしまう部分があると思うんです。なので、こちらから話しかけに行ってあげるといいのかなって。でも、先輩らしい背中はちゃんと見せるのが理想ですよね。
宮地:ありがとうございます!
――そんな宮地さんが自身で感じている成長を教えてください。
宮地:最近、四期生としてお仕事をさせていただいて、グループに帰ってきた時に気持ちがすごくハッピーなんですね。今まではできないところにばかり目を向けてしまっていて、「自分ってダメだな」とマイナスな気持ちになっていました。でも、今思えば加入して日が浅かったし、できなくて当たり前だったんだよねと気がついて。今はグループをより良くしていくために成長していこうというポジティブなスタンスで考えられるようになって、「成長したのかな」と思えています。
――意識面での成長ですね。
宮地:そうですね。それと、立ち位置的に成長したと感じることもあって。私は四期生の中でもどちらかというと年下のほうで加入したので、甘えん坊な部分がありました。でも今では同期の中ではお姉さんっぽいと言われることが増えてきて、ちょっと大人になってきたのかなと思っています。
――そういった面からも五期生を引っ張ってあげられる先輩になれそうですね。では最後に、新体制の日向坂46に期待してほしいことを教えてください。
河田:ずっと応援してくださっている方からすると、「新体制になるのが怖いな」とか「今までの日向坂46とは変わっちゃうのかな」と思う部分もあると思います。でも、先輩たちから受け継いだものは私たちの中にずっとあるので、心配しないでください! 一人ひとりが頑張っていこうという思いは全員持っているので、気合いを入れて、根性を見せながら頑張っていきます!
宮地:たしかに、「これからも日向坂46は大丈夫だぞ」という強い部分は見せていきたいですよね。伝統と気持ちを受け継ぎながらも、「変わっちゃったな」ではなく「いい方向に」変わったなと思ってもらいたいです。まずはシングル『Love yourself!』で私たちの良さをアピールできたらなと思っています。

リリース情報
関連リンク
Love yourself!
2025/05/21 RELEASE
SRCL-13278
Disc01
- 01.Love yourself!
- 02.ジャーマンアイリス
- 03.海風とわがまま
- 04.Love yourself! (off vocal ver.)
- 05.ジャーマンアイリス (off vocal ver.)
- 06.海風とわがまま (off vocal ver.)
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