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<インタビュー>武瑠×GOMESS盟友対談「怠惰 feat.GOMESS」完成に至るまでの物語と関係性語る「友達同士だからこその曲──怠惰を教えてくれてありがとう」



<インタビュー>武瑠×GOMESS盟友対談「怠惰 feat.GOMESS」完成に至るまでの物語と関係性語る「友達同士だからこその曲──怠惰を教えてくれてありがとう」

 SuGの39日間限定復活ツアー完遂後「本当に絶好調です!」と本人も語るほど精力的なモードで新章“深世界”での活動に臨んでいる武瑠。そんな2024年の皮切りとなる新曲「怠惰 feat.GOMESS」がここに完成した。盟友・GOMESSとの歩みが色濃く反映された本作のリリースを記念し、ふたりの物語と関係性をあらゆる面から掘り下げるインタビューを実現。4月9日、下北沢BASEMENTBARにて開催される、武瑠、GOMESS、Bubble Babyの3マンライブ【STREET GOTHIC FES Vol.2】をはじめ、今後の展望についても語ってもらっているので、ぜひご覧いただきたい。

武瑠×GOMESSの関係性──SuGのライブを観て「根元の部分が似ている」

--ふたりの対談は、(sic)boyも交えて行った「WHY NOT」リリース時のインタビュー以来、約3年半ぶりになります。

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武瑠:そんなに経ってるんだ!

GOMESS:コロナ禍の最初の年ですよね。

--今やふたりは公私ともに親交深い仲ですけど、あの記事を読み返すとちょうど絡み始めたぐらいの空気感で。

GOMESS:当時はまだすげぇ緊張していましたね。あの曲のMV撮影に行くときも、こっちから気軽にロケ地とか聞けなくて。車に乗り込んでから「長野だよ」「え? わりと遠いな」みたいな(笑)。

武瑠:ハハハハ! まだ仲良くなりたてだったもんね。

--あれから自分たちではどんな関係性になっていったなと感じていますか?


▲sleepyhead Digital Single 「WHY NOT feat.GOMESS & (sic)boy」MV

武瑠:プライベートの結びつきが強すぎて、外からどう見えてんのかイマイチよく分からなくなってます(笑)。

GOMESS:それは俺も思ってて。武瑠のファンクラブ限定の配信とかにたまにサラッと出るんですけど、武瑠のファンにどういう感じに見られているのか分からないから、どんな距離感で話せばいいんだろうなと思ったりしますね。

武瑠:でも、こっちのファンはもう相当認知してると思うよ。一緒に曲もつくってるし、ライブでもよく絡んでるし。

GOMESS:そっか。むしろ俺のファンのほうがまだそんなに行き届いてないかもしれない。「仲良いんだろうな」と思っているぐらいの人はいるだろうけど。でも、今回の「怠惰 feat.GOMESS」は、このふたりの関係値を知ってるか知らないかによって、見え方や聴こえ方が変わってくる気がするんですよね。友達同士でつくっているからこその曲なので。

--そこで伺いたいのですが、ふたりはなんでこんなに仲良くなったんだと思います?

武瑠:俺は嫌いなモノや許せないモノが似ている人と仲良くなりやすいんですよ。例えば、何かのニュースに対して感じたことがわりと似ていたり。GOMESSとはそこで共感することがめちゃくちゃ多いですね。だから「俺はこう思ったんだけど、おかしいのかな。どう思う?」みたいなことを聞きたくなる人。

GOMESS:ネットで騒がれていたり、議論になっている話題についてよく話しますよね。あんまりいないかも、そういうことをわざわざ話し合う仲の人って。それって相手が何を思っているか聞きたいから成り立つわけだし、これまで武瑠と互いにいろんな意見を交わして納得したり、共感したり、或いは新しい価値観を教えてもらったりしてきたことって、すごく意味のある会話になっているんですよね。そう感じるってことは、気が合っているんだと思います。

武瑠:「モラル的にこの事件はここが許せない」とか「この捕まった人って果たして本当に悪いんだろうか」とか、そういういろんなことを素直に話し合える。

GOMESS:「この人が捕まっただけで何も解決してないですよね」みたいな。そういう入り組んだ話をしても「面倒くせぇ」ってならない(笑)。これって人によっては「この人が悪いから逮捕されたんでしょ。もうその話はいいよ」って言われちゃうけど、このふたりで話してると「でも、これって」みたいな感じで……

武瑠:永遠にふたりで話し続けている(笑)。

<インタビュー>武瑠×GOMESS盟友対談「怠惰 feat.GOMESS」完成に至るまでの物語と関係性語る「友達同士だからこその曲──怠惰を教えてくれてありがとう」

--それができる関係性って良いですよね。意外とそういう仲になれる相手って見つけられないから。

武瑠:SNSでたまたま「親友と呼べる条件はコレだ!」みたいな記事を目にしたんですけど、そこに「ごはんだけでも誘える奴」と書いてあって。GOMESSとはヘンに気を遣うこともなく話せるし、遊べるし、ごはんにも誘えるから「たしかに!」と思って(笑)。

GOMESS:俺も「今、何してます?」って特に用事がなくても連絡したくなるし。「仲良いな」って自分でも思うのは、第三者に武瑠の話をすることがすごく多いんですよ。武瑠のことを知らない人に対してもよく話しているんですよね。その場に居ない人の話題ってそんなに出ないじゃないですか。でも、武瑠のことは意識しなくても自然と話してて。

--なるほど。

武瑠:うれしい。

--音楽的な面で「ここが合う」みたいな部分ってありますか?

武瑠:GOMESSはヒップホップなんだけど、J-POPもちゃんと聴いてるから。俺もJ-POPからのKREVAさんとか、J-POPからのラルクとか、そういう流れで今があるから、メロ感とか根本的な部分で精通しているところはあるのかなと思っていて。GOMESSとカラオケ行くと「え、これ歌えるんだ! 俺も好き!」みたいなことがよくあるんですよ。

--たしかに、自分も打ち上げでよく一緒に呑ませてもらっていますけど、GOMESSのカラオケの振り幅は異常だよね(笑)。

一同:(爆笑)

GOMESS:かなり歌えますね。

武瑠:俺、サザンの「愛の言霊」が好きなんですけど、カラオケでそれ入れたら「え! 俺、これ好きなんだよ!」って一緒に歌いだしたり(笑)。そのパターンがめちゃくちゃ多い。モーニング娘。とかハロプロも好きな曲が同じだったりして、気付いたら一緒に歌っていることもあるし。

GOMESS:聴いていた時代のシングル曲は、基本ぜんぶ歌えるからなぁ(笑)。俺、自分の曲としてつくる曲はすっごい狭いんですよね。好きな音楽はいっぱいあるけど、その中から「俺がやる音楽はこれ」って拘って絞ってるんです。最初は「あれもこれも好きだから、あれもこれもやる」みたいな感覚だったんですけど、音楽活動を続ければ続けるほど「結局、俺が求められているのはコレな気がするし、俺もコレがやりたい」と思うようになって、今はひとつに絞っている。でも、カラオケってアーティスト・GOMESSがつくった曲じゃないから、何をどう歌ってもいいじゃないですか。それで「音楽、すっげぇ好きだなぁ」と思えたりもするんですよね。

--そんなGOMESSが武瑠の音楽にどんな印象を抱いているのか、聞かせてもらってもいいですか?

▼SuG再集結を実現した意義とは? 解散後も続いていた“無理やり前向き=Heavy Positive Rock”の物語「SuGを愛し続けてくれてありがとう」
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GOMESS:SuGの39日間限定復活ツアー、そのファイナル2daysに行かせてもらったんですけど、SuGを追いかけていなかった身からすると、そこで初めて聴く曲もたくさんあるわけですよ。で、歌詞が耳に入ってくると「俺、似たような歌詞を書いたことあるな」と思ったりして。そんな風に思えるアーティストって多くないから、根本的に近い感覚は持っていたんだなと。武瑠のソロ作品の歌詞からもソレは感じていたんですけど、SuG時代からメッセージ性は一貫されているところがあったんだと気付いて、その根元の部分が似ているんだろうなと思いましたね。

武瑠:特に「不完全Beautyfool Days」は近いような気がする。

GOMESS:たしかに。あの曲には2回ぐらい泣かされてるからな。

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--そんなふたりのコラボ作「怠惰 feat.GOMESS」がリリースされます。MVのロケ地となっている宮古島へふたりで行かれていたことはSNSで知っていたんですが、どのような流れで動き出したプロジェクトだったんでしょう?


▲武瑠「怠惰 feat.GOMESS」MV

武瑠:元々、akubi Inc.のチームでとある撮影の仕事を受けて宮古島へ行ったんですよ。で、IttiというプロデュースやDJもやっているミュージシャンがいて。sleepyhead「endroll feat.山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)」のビートアレンジを担当してもらった縁もあって「宮古島でフェスをやるから」って誘ってくれて、俺もシークレットで出演させてもらったんです。それが2022年の話。その流れで2023年も俺とGOMESSがそれぞれ出演することになって、「せっかく宮古島に行くならMV撮るか」と。それが今回公開した「怠惰 feat.GOMESS」のMVですね。

--その「怠惰 feat.GOMESS」の楽曲自体は、どんなバックグラウンドや想いから生まれたものなんですか?

武瑠:GOMESSと出逢ったぐらいの時期。それまでみんなでお酒を呑んだりすることがあんまり好きじゃなかったんですけど、好きになってきたんですよ。なんで好きじゃなかったかと言うと、それこそ怠惰だと思っていて。呑むとその時間が削られるわけで、そのあいだに他の人は何か得たり学んだりしている。それが怖かったんですよね。だから、SuGの打ち上げなんて本当に最後の最後のほうまでやってなかった。でも、今は「怠惰も必要」と思えるようになって。それをコンセプトにしてGOMESSとつくったのがこの曲。

--なんで「怠惰も必要」と思えるようになったんですかね?

武瑠:きっかけはいろいろあるんですけど、例えばめっちゃ筋トレして運動しているときより、だらけているときのほうがコンディション的に良かったりするんですよね。力の抜け具合とか。それで「一生懸命になりすぎて空回りすることってあるよな」って気付いたり。もちろんずっと怠惰な生活をしていたらダメなんですけど、たまには息を抜くことも必要なんだなと感じて。バキバキにアスリートみたいなミュージシャンもすごく素敵だと思う。でも、みんながみんなそんな生活をしているわけじゃない。ツラい想いをしたときは逃げてもいいと思うし。そういうメッセージも歌っておきながら、自分はアスリートみたいなことをやっていた時期があって「なんかちょっと違うかも」みたいな。

<インタビュー>武瑠×GOMESS盟友対談「怠惰 feat.GOMESS」完成に至るまでの物語と関係性語る「友達同士だからこその曲──怠惰を教えてくれてありがとう」

--それこそ「不完全Beautyfool Days」を歌いながら、完璧主義であろうとしていたと。

武瑠:そうそう! 清春さんがかつて「ロックミュージシャンのくせにめちゃめちゃ鍛えて何してんの?」って言っていて。美しく見せる為にスタイルをキープするとかは良いけど、そこまで鍛えなくていいだろう。ロックミュージシャンは不摂生ぐらいでちょうどいいっていう。その感覚が今の自分の中にもあって。だから、最近は「不道徳」とか「怠惰」みたいなタイトルの曲ばっかり出しているのかもしれないんですけど(笑)。

GOMESS:俺も武瑠と出逢う前までは、酒自体ほぼ……まぁ呑むは呑むんですけど。

武瑠:「テキーラしか呑まない」って言ってたもんね。

GOMESS:それも自ら求めにはいかない。クラブでラップやってると、良いライブをやったときとかに先輩やお客さんから乾杯を求められるじゃないですか。で、クラブだとグラスを持ち歩くのもダルいから、ショットでパっと呑めるテキーラがよかったんですよね。だから、居酒屋とかも全然行かなくて。行くとしたらワンマンの終わりぐらいだったんですけど、今みたいに友達と会ってとりあえず酒を呑むようになったのは、ここ3年ぐらい。それこそ武瑠と出逢ったぐらいからなんですよね。

<インタビュー>武瑠×GOMESS盟友対談「怠惰 feat.GOMESS」完成に至るまでの物語と関係性語る「友達同士だからこその曲──怠惰を教えてくれてありがとう」

--互いに「怠惰も必要」と思えるようになっていたと。

GOMESS:世の状況的にもコロナ禍だったし、怠惰でしかないみたいな時期だったじゃないですか。

--強制怠惰みたいな。

武瑠:強制怠惰っていいな(笑)。強制怠惰施設の曲つくろうかな。「さぁ、皆さん! 怠けてください!」みたいな。おもろい。

GOMESS:まぁでもリアルにそういう時期だったよね。

武瑠:タイミング的なことで言うと、akubi Inc.のオフィスもあったし、クリエイターやアーティストのみんなを紹介し合う会がいっぱいあった時期で。GOMESSもその中のひとりだったし。そうなると、自然と酒を呑み交わす流れになるじゃないですか。

GOMESS:「呑んでないとやってらんねぇよ」みたいな時期でもあったしね。そのときに武瑠と出逢ったので、俺にとって武瑠は怠惰を知るきっかけであり、ずっと怠惰な時間を一緒に過ごしてくれたなっていうところもあるんで。この先、酒を呑まなくなったとしても、いわゆる怠惰的な時間の過ごし方を覚えたから、豊かな生活を送ることができるだろうなって思うんです。アーティストとしての仕事だけじゃなくて、人としての生活の中で「そういう時間の使い方をしてもいいんだ」と許された感じがあったし、今こうしてストイックにやろうと思えばストイックに活動できる環境に戻ってもなお、その時間は好きだなと思っているんで。

<インタビュー>武瑠×GOMESS盟友対談「怠惰 feat.GOMESS」完成に至るまでの物語と関係性語る「友達同士だからこその曲──怠惰を教えてくれてありがとう」

--だからこそ生み出せた「怠惰 feat.GOMESS」であると。

GOMESS:だから、俺からすると「武瑠、怠惰を教えてくれてありがとう」ソング感がちょっとあるんですよ(笑)。それを聴いてくれる人たちにも、俺が教えてもらったように俺が伝えられたらなって。世間的には、まだ俺にそういう怠惰なイメージはないと思うんですけど。だから「GOMESSさんって休みの日、何してるんですか? そもそも休みってあるんですか?」って聞かれるし、そのイメージはよく分かるんだけど、実は普通に武瑠と酒呑んでるっていう(笑)。で、それも今の俺にとっては大切な時間っていうね。そういう時間があっていいんだよってことを「怠惰 feat.GOMESS」から感じ取ってもらえたらなって。

--共に怠惰な時間を過ごして、その必要性を感じるようになって、それが音楽になって。生まれ方がめちゃくちゃナチュラル。

GOMESS:「こういうメッセージを打ち出そう!」といった熱いトークの中で生まれた曲でもないし。本来はスタジオでやる仮のプリプロとかも俺ん家でふたりだけで録ってるし、そういう流れも自然だった。そもそも武瑠が「宮古島でライブあるし、曲を一緒につくってやろうよ。MVも撮っちゃおうよ」って言ってくれて。断る理由なんてないし、あたりまえに「お、やりましょう!」と答えていたし、それ流れもすごく自然な感じがしたんですよね。あと、曲の構成で言うと、すごく細かい掛け合いじゃないですか。ほとんど8小節の掛け合いだし、その中で武瑠はラップしてたり、歌ってたり。で、武瑠のサビが始まったと思ったら、途中で俺が割り込んでちょっとラップするとか。それが普段遊びでフリースタイルしているときのラリーみたいで、本来は面倒くさくてなかなかやらない作り方なんですけど、その感じも気持ち良いなって。

武瑠:あと、イマニ(Imani)のコーラスがめちゃくちゃ良い! イマニのコーラスが良すぎて、モノクロだったMVをカラーにしたんですよ。

GOMESS:イマニのレコーディングが最後だったんですよ。で、待ってる時間に「今んとこ、こんな感じなんだよね」って仮編集のMVを観させてもらったらモノクロだったんです。ジャケットもモノクロ。でも、翌日にミックス作業していたら「カラフルにしようかと思うんだよね」って。

武瑠:当初は「トロピカルな映像なのにモノクロ」という発想が面白いと思っていたんですけど、イマニの声で曲の印象がすごく煌びやかになったから。あとから「イマニもMVに出演してもらえばよかった」と思うぐらい、コーラスの裏メロの存在感が凄すぎて! さすが世界でいちばん聴かれている日本の曲「アイドル」(YOASOBI)のコーラスやってるだけあるなって。「そりゃ引っぱりだこになるわ!」と思いました。あと、フェイクがうまいよね?「何あれ?」みたいな!


▲YOASOBI「アイドル」 Official Music Video

GOMESS:うまい! アウトロ、やっばいよね。

武瑠:あれ、一発OKなんですよ。単純にメロの作曲能力も高いんだよね。あと、昔から感じていたんですけど、主旋を殺さない謎の倍音みたいなものが出ているんですよ。信じられないぐらい混ざるんですよね、歌が。

GOMESS:あれ、何なんだろう。別のメロを端からあれだけ歌っていたら、普通は邪魔になるんですよ。でも、共存するんです。

武瑠:歌というよりストリングスみたいなものなのかもね。本当に不思議なんだよな。実音じゃなく謎の倍音みたいな成分があって、だから自分の主旋の声と当たっても包んでくれる……イマニ絶賛の会になっちゃった(笑)。

GOMESS:いつかライブでイマニの生コーラスも聴きたいな。ふたりでやる機会はあるんですけど。

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Rude-αとの出逢い~3マン開催! 2024年それぞれの展望

--4月9日、下北沢BASEMENTBARにて【STREET GOTHIC FES Vol.2】と題した、武瑠、GOMESS、Bubble Babyの3マンライブを開催するんですよね。

武瑠:Rude-α(Bubble Baby)は、GOMESSの紹介で知り合ったんですよ。「沖縄のフェスに出るから」って誘ってくれて。

GOMESS:あ、そうだ! 遊びに来てくれたんですよ。Rude-αは後輩でいちばん仲の良いラッパーで、どこかでフラッと会ったときに「俺の企画イベントに出てほしいんだよね」って伝えて。そのイベントには武瑠にも出てもらったんですけど。そしたらRude-αも「僕のイベントにも出てください」と。で、沖縄でライブすることになったんですけど、そこに遊びに来てくれた武瑠と一緒に観たRude-αのライブがめっちゃ良くて!

武瑠:Rude-αの「うむい」って曲が好きなんですけど、めっちゃ良かった! あの曲は名曲だよね。


▲Rude-α - うむい (Official Music Video)

GOMESS:なんか「観させてもらったな。この空間にいられてよかったな」って本当に思った! いちばんよかった!

武瑠:ただのライブじゃなくて、自分が育った地元・沖縄でどういう意味を持ってこのフェスをやってて、この先にどういうことをしたいか。そういうことを熱く伝えてくれて。

GOMESS:沖縄という土地のこれまでとこれから。そのこれからの為にこの音楽をつくって、このフェスをやって、最後にこの歌をみんなと歌いたい。ということをちゃんと伝えて。市長さんが来ていたのかな。その偉い人に向けて「俺が音楽でこの街を変えるから!」って宣言したんですよ。街の無料イベントだったんで、ちっちゃい子からおじいちゃんおばあちゃんまで老若男女が集まっていたんですけど、それで全員が「うわぁー!!」みたいな。俺「ヒップホップってこれだよね!」って思いましたもん!

武瑠:俺、SKY-HIに「政治家になってほしい」って言ったことがあるんですけど(笑)、Rude-αにも近いモノを感じるというか。すごくピースフルだし、だけどそこには凄まじい覚悟と信念があって、自分が愛した土地やコミュニティを本気で良くしようと思っている。ああいうタイプのラッパーを見ると「政治家になってほしい」と本当に思うんですよね。

GOMESS:あの熱量で選挙演説やってほしい!

武瑠:悟空とかルフィみたいな人なんです。ジャンプヒーロー。可愛いし、格好良いし、熱いし、シンプルにすごく好きになって。で、そのフェスのあとに打ち上げがあったんですけど、俺、何故かGOMESSとRude-αとOZworldに混ざってラップしたんですよ(笑)。

GOMESS:そこから仲良くなって、3人で一緒に呑んだり、遊びでセッションしたりするようになって。で、Rude-αがBubble Babyというバンドを始めていて、俺も今バンド編成でライブしていて、3組とも根底にJ-POPがあったり、通ずる部分がたくさんあるから、4月9日のイベントは本当に楽しみなんですよね。

武瑠:ジャンルで音楽を聴いている人からしたら「その3組でやるんだ?」と思うかもしれないんですけど、俺はもう今話したような精神性の繋がりでしかイベントをやろうと思わないんですよ。だから、ちゃんと観てほしいし、ちゃんと刺さってほしいなって思います。俺のフィーチャリングで曲を聴いていても、まだGOMESSのライブをちゃんと観ている人は少ないと思うから、GOMESSの凄さをちゃんと知ってほしいし、Rude-αのBubble Babyも凄いライブになると思うんで、楽しみにしていてほしいです。


▲GOMESS / Poetry [LIVE IN 2023/01/20]

--SuGの39日間限定復活ツアー以降、武瑠くんが何を燃料に音楽を続けていくのか気になっていたんですけど、ここまでのGOMESSとの話を聞いている限り、ちゃんと新しいマインドで新しいフェーズに突き進むことが出来ているみたいですね。

武瑠:本当に絶好調です! 曲が出来まくっていて、だからむしろ今は書かないようにしてます(笑)。スケジュール詰まっててすぐにリリースできないから!

--その起点は何だったんですか?

武瑠:やっぱりSuGをやり切ったからですね。それまでは「これがあるのにその先は書けない」みたいな感じだったので。でも、SuGをポジティブにやり切ったことによって、SuGのネガティブな思い出から生まれた「HOPELESS」もイヤな気持ちじゃなくて歌えるようになったりして。

--また、昨年10月にリリースした「不道徳」を皮切りに新章突入宣言。新たなコンセプト“深世界”を掲げて活動していくことを明示しました。あれを打ち出そうと思ったきっかけは何だったんでしょう?


▲武瑠「不道徳」MV

武瑠:あれもGOMESSが若干絡んでるんですけど、小林武史さん主宰のアートフェスがあって、akubi Inc.のレーザー演出もやってくれているMESが参加していて。それを観る為にGOMESSを誘って石巻まで行ったんです。そこでは、もう潰れてしまった銭湯をアートスペースに改造していて、MESからいろいろ説明してもらったんですけど、1ヶ月ぐらい石巻に住みながら取材しまくって形にしたアートフェスだったんですよね。それで「そういう深堀りをして創作していくのってアートの本質だよな」と思って、俺もこれ以上創作活動を続けていくのであれば、ひとつのことをもっともっと深く知って、宮古島なら宮古島の文化や人に触れて映像を撮るとか、そういう作り方にシフトしていきたいなと。それで“深世界”というコンセプトをこのタイミングで掲げたんです。ベースを始めたのもその一環ですね。音をもっと深堀りしたくて。

--ベースは自己流で習得していっているんですか?

武瑠:そうですね。まだ全然発展途上ですけど、ベースを弾き始めたら歌もちょっと変わったなと思って。リズムの取り方が。そういう意味で音楽がより楽しくなりましたね。「ここを伸ばせば、もっと良くなるんだ」みたいな。

--では、最後に、それぞれの2024年。どんな1年にしていきたいか聞かせて下さい。

GOMESS:2024年入ってすぐにおにぎりBar「ごにぎり」をオープンしたんですけど、俺にとっておにぎり屋はひとつの夢だったんです。中学生の頃から「おにぎり屋さんになりたい」ってずっと言ってて。そのときはそこまで本気じゃなかったと思うんですけど、自分のツイッターアカウントでどれだけ「おにぎり」について投稿したか調べると、2012年ぐらいからずっと「おにぎり」の話をしているんですよね。少なくとも10数年はツイッターにログがあるレベルで、俺はおにぎりが大好きなんですよ!

--おにぎり愛を刻んできたと!

GOMESS:で、吉祥寺にある店舗を間借りして、おにぎり屋を毎週木曜日に営業しているんですけど、それが今すごく嬉しくて。新しい興奮があるんですよ。どこか飲食店に行っても「あ、これはウチも時短できるようにしよう」って参考にしたりするし、今はおにぎりの具も自分で調理するようになってきて。最初は梅干し叩いて潰すぐらいだったのに「隠し味にコレを入れてみようか。昆布も和えてみる?」みたいな感じでひと手間ふた手間加えていくことを繰り返して、おにぎり屋としてのレベルがどんどん上がってる。それが自分にとって完全に新しいことだから、楽しくて仕方ないんです!

武瑠:楽しそう! フェスとかにも出店できるかもしれないし!

GOMESS:そうなのよ。マジでどこかやらせてください!

--アーティスト史上初じゃないですか。フードコートでおにぎり握って、自分の出番が来たらステージに立つ人。

一同:ハハハハ!

武瑠:バックステージのケータリングも狙えそう。

GOMESS:おにぎり以外におかずも一品はつくるようにしているんで、おにぎり弁当にもできるし。あと、冷めてもうまいおにぎりを今開発していて、ひとつ究極系が出来たんで!

武瑠:もう辿り着いてる(笑)。

GOMESS:冷めて完成するおにぎり! あと、音楽の話もしておくと(笑)、今年でCDデビューから10周年なんですよ。なので、この10年でいちばん作品数を出そうと思っているし、初めての挑戦も考えていて。あと、ライブもいっぱいやりたいですね。今、過去の作品もリアレンジしているので、この10年で生み出してきたモノひとつひとつと向き合いながら、新しい曲もつくって、たまにはおにぎり屋で息抜きしつつ、突っ走りたいと思ってます!

<インタビュー>武瑠×GOMESS盟友対談「怠惰 feat.GOMESS」完成に至るまでの物語と関係性語る「友達同士だからこその曲──怠惰を教えてくれてありがとう」

--武瑠くんはどんな1年にしたいですか?

武瑠:今年は海外へ行く回数が増えると思うんですけど、この記事が出る直後にはアメリカのアラバマ州へ。夏にはなんとか南米ツアーを実現したいと思って今交渉中なんですけど……こういう話をすると、日本のファンが「寂しい」って言い出すんですよ(笑)。でも、その考えは本当に改めてほしくて。何故なら日本でファンのみんなとつくったモノが海外に刺さって呼ばれているわけだから、これは俺とファンの結晶なんです。しかも海外にもファンがいてくれるからこそ、日本での活動やクリエイションのレベルも上げられる。海外のリスナーが聴いてくれるから、MVも次々制作して公開することができる。だから「寂しい」じゃなくて「私も当事者なんだ」と思ってほしいですね。

--すべて良い形で影響し合っているわけですからね。

武瑠:そのうえで、2024年はここ数年でいちばん日本でのライブも組んでいるので、絶対に「寂しい」だなんて言わせないし、かつ海外への挑戦も増やすという。で、新曲のレコーディングもしまくるんで、久しぶりにギチギチの年間スケジュールになりそうなんですよ。てか、すでにギチギチ(笑)。それだけトピックの多いフル稼働の1年になりますので、そのすべてを楽しみにしてて下さい。

Interviewer:平賀哲雄

武瑠「怠惰 feat.GOMESS」MV

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