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<インタビュー>ビルボードライブツアー開幕目前、WONK長塚健斗が語るビルボードライブへの思い入れとバンドの現在地

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 6月に1年ぶりのビルボードライブツアーを行うWONK。昨年8月にアルバム『artless』のツアーファイナルとして初めて単独でビルボードライブに立ち、アンコールではバンド初のドキュメンタリー映画『Documentary of artless-飾らない音楽のゆくえ』の予告映像を流し、「まだartlessは終わらない」というメッセージを掲示するというメモラブルなライブを行ったが、ジャズ/ソウル/ファンク/ヒップホップを横断するハイブリッドなサウンドとビルボードとの相性の良さは言うまでもない。

 2023年は結成10周年イヤーであり、アルファ ロメオ初のハイブリッドSUV・トナーレとのコラボソングである新曲シングル「Passione」(パッシオーネ)のリリースを控える。原点に戻り、内側から出てくるものを大切にしたという5thアルバム『artless』を経て、どんなクリエイティヴに向かうのだろうか? ヴォーカルの長塚健斗にビルボードライブツアーやライブ活動、そして次なるヴィジョンについて聞いた。(Interview & Text:Kaori Komatsu/LIVE photo:Masanori Naruse)

WONKとビルボードライブ

――6月9日からの一年ぶりのビルボードライブツアーに向けて、今どんなことを考えていますか?

長塚健斗:ビルボードライブやブルーノートは僕らみたいな音楽をやっているミュージシャンにとって登竜門でもあって、ビルボードライブのステージに立つことでひとつレベルが上がるような印象があります。それに、何度も自分の好きなレジェンドのアーティストを観てきた会場でもあるので、特別な思い入れがあります。2023年はWONK結成10周年の年。新しいアルバムを出す予定で、今いろいろと曲を制作しているところなので、新曲もツアーで披露すると思います。「WONKはまた進化したね」って言ってもらえるライブになるよう頑張ります。


――ビルボードライブで観た中で特に印象に残っているライブというと?

長塚:この前亡くなってしまったボビー・コールドウェルのライブは衝撃的でした。「この歳でこの声が出るんだ?」と思ったし、「まだまだいけるんじゃないか」って思わせるようなエネルギーを歌に感じました。一番すごかったのは、2019年のザ・ルーツ。メンバー4人で観に行ったんですが、すご過ぎて笑ってしまいました(笑)。「これが世界のトップなんだな」っていうことを見せつけられましたね。


――1年前のツアーファイナルのビルボードライブ公演はどうでしたか?

長塚:ツアーファイナルをビルボードライブで開催できたということ自体が自分たちにとっては大きかったですが、あの良い環境で初めてのドキュメンタリー映画の予告を流せたのも良かったですね。制作の裏側を見せることはあまりないことですから。あと、『artless』の音源で採用したDolby Atmosの音響を再現できたわけではないですが、4人のメンバーで再現できる音作りを目指したアルバムでしたし、僕らは元々大きいハコでやるような音楽をやってるバンドでもないので、ビルボードライブとの相性の良さを改めて感じました。



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――WONKというと映像を使ったコンセプチュアルなライブも強みですが、ビルボードライブは素で勝負するようなところがあるんでしょうか?

長塚:やっぱりあの近い距離で座ってじっと見られるわけなので、小細工は効かないですよね。だからこそ、音にじっくり浸ってもらえる最高の空間だと思っています。


――料理人としての顔も持つ長塚さんとしては、ビルボードライブのこだわりのフードについてはどんな印象がありますか?

長塚:がっつりコースを食べるというよりカジュアルのフードもしっかり取り揃えてくれているのは安心するポイントですね。あと、ケータリングがいつも美味しいので、それは出演者の特権です(笑)。美味しいごはんがあることで気分も上がるのでめちゃくちゃ大事だと思ってます。


ライブは最上級の音楽体験

――コロナ禍でライブができなかった時期があり、アルバム『EYES』の3DCGライブを行ったこともありました。あの時期の経験によってライブへの思いはどう変わりましたか?

長塚:お客さんを目の前にしなくても映像を使ってできることがたくさんあると知ったので、リアルなライブをやるってなった時に「どこにお客さんたちは価値を求めるんだろう?」「ライブの醍醐味って何だろう?」っていうことを考えるようになりました。今はだんだん以前の形に戻ってきていますが、3年ぶりに戻ってきたからこそ、1個1個のライブをより大事にしています。人って何かを失った時にその大切さに気付くことが多いですよね。みんなもライブの大切さに気付いたと思うし、僕もたくさん悔しい思いをしました。ツアー中とか夏フェスのシーズンとか、ライブが多い時期にはライブの練度が上がってくるんですよ。より柔軟になりつつ、無駄なものが削ぎ落とされていき、迷いがなくなっていくというか。今はWONKは制作期間中であまりライブができていないので、スポーツ選手じゃないですけど、ここから調整が必要だなって思ってます。


――3月には声出しも解禁されましたよね。

長塚:活き活きとした表情が戻ってきたなって嬉しく思ってます。



――6月1日にはアルファ ロメオとのコラボソング「Passione」(パッシオーネ)がリリースされますが、どんな曲になりそうですか?

長塚:アルファ ロメオはイタリアの車メーカーなので、イタリアらしい遊び心と情熱、そして車ならではの疾走感を意識して作っています。『artless』からの流れとはまた違うニュアンスもあると思いますしクールな曲になると思います。


――その後はアルバムも予定されているそうですね。

長塚:『artless』は無理をしないことを大事にしたアルバムだったので、それは引き続き維持したいと思っています。背伸びはやめようと思っているし、自分たちならではの音をしっかり意識しながら作っていきたいです。


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WONKは研究発表の場になっている

――WONKは4人それぞれが多彩な活動をしていますが、結成当初と比べてどんな場所になっていますか?

長塚:WONKとしても、主宰レーベル「EPISTROPH」としても前進している感じがすごくあります。ファンクラブとして、「WONK LAB」という研究室みたいなものを運営してるんですけど、まさにWONKが研究発表の場になっているんですよね。それぞれがソロで学んできたいろんなことをWONKに集約していく。そこで形になったものが楽曲や食、お店などに還元されています。なのでメンバーは仕事仲間であり、ファミリーであり、友人でもある不思議な存在になってきています。WONKだからできること、このメンバーじゃなきゃできないことがあるっていうことをみんな認識している。良いバンドだと思います。


――WONKの活動がリーチする範囲がどんどん広がっていますよね。

長塚:そうですね。4人とも新しいことに挑戦するのが好きなので。1個1個のことを大事にしながら前進していきたい気持ちがありつつ、変に器用貧乏にもなりたくない。自分たちらしさを大事にしていきたいと思っています。みんな凝り性なんだけど飽き性でもあるんですよね(笑)。でもそれでいいと思うんですよ。僕らは流行りが好きなわけではなく、その時代だからこそできることをやりたいので。みんなが聞いたことがあったり、食べたことがあったり、触れたことがあるものを焼き直してもしょうがない。新しい要素を入れて、新しい何かに作り変えないと前に進まないと思ってます。時に失敗することもありますが、それも含めて面白がってくれてるファンの人たちがいてくれるということを日々感じていて、ありがたいなと思うと同時に大事にしていきたいなと思います。僕らは新しいことをやる時は必ず「これ大丈夫かな?」「受け入れてもらえるのかな?」とすごく不安になるんですけど、蓋を開けてみると良い反応が返ってくることが多いので安心しますね。



――結成10周年と聞くと、率直にどう感じますか?

長塚:早かったですね。結成は2013年なんですが、そこからしばらく活動せずに、結局最初のリリースが2016年なので実質7~8年ぐらいの感覚ではありますが、それにしても早いなと思います。


――しかもWONKの皆さんはやりたいことがたくさんあるから、時間が追い付かないというところはありそうですよね。

長塚:本当にそうなんです。「時間が足りなくてどうしよう?」って思います(笑)。でも、10周年だからといってあれもこれもって感じで欲張りたくはないですね。ちゃんと記憶に残るアルバムを作りたいし、これまで積み重ねてきたものが凝縮された濃度の高いアルバムにしたい。集大成じゃないですけど、ここまで来たぞっていうことをちゃんと感じてもらえるような作品、お店、ライブを1個1個作っていきたいですね。


――他のメンバーは今、長塚さんから見てどういう状況でしたか?

長塚:荒田(Dr)は新しいお店作りにめちゃくちゃ気が入ってましたね。それも含めて、EPISTROPHを前に進めるという社長としての気概がすごく今ありますね。リーダーって感じがします。江﨑(Key)はソロ制作がすごく忙しそうでした。WONKの作品だけでなく、ソロも外から依頼された作品もたくさん抱えているので。井上(Ba)は会社員でもあるので相変わらずよく働くなあという感じです。僕は僕で料理のコンテストに出たり、お店のオープンを控えたりしながら、自分たちの楽曲のメロ作りと作詞の作業に追われていますね。でも全部楽しんで生きてます(笑)。




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