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「あのジャンルをやり尽くしてしまったから、何か新しいことするべき時だった」 ― 全米&全英2位!ブリング・ミー・ザ・ホライズン 最新インタビュー

ブリング・ミー・ザ・ホライズン インタビュー

 2004年に英シェフィールドで結成されたブリング・ミー・ザ・ホライズン。2006年『Count Your Blessings』でのアルバム・デビュー後、デスコア、メタル、クラシック、プログレ、ポップ、エレクトロニック・ミュージックとジャンルを超越し、常に革新的なサウンドでリスナーを魅了してきた。そして4作目となる2013年の『センピターナル』をメジャー・レーベル<RCA>よりリリースしたことで、その人気はさらに加速し、若手メタルコア・バンド最高峰の地位を確立した。2015年9月に発表した最新作『ザッツ・ザ・スピリット』は、本国イギリスで2位、そして米ビルボード・アルバム・チャートでも2位となりバンドにとって最高位を記録した。この会心のニュー・アルバム、サウンドの劇的な変化、そして自身の薬物依存までフロントマンのオリー・サイクスが語ってくれた。

あのジャンルをやり尽くしてしまったから、何か新しいことするべき時だった

Happy Song (Official Audio)
▲ 「Happy Song」 (Official Audio)

−−『ザッツ・ザ・スピリット』の好記録おめでとうございます。まずは、アルバムのチャート結果とセールスについて伺いたいです。

オリー・サイクス:間違いなく、俺たちの人生の中で一番ハードな1週間だった。ザ・ウィークエンドはチャートを席巻してて、ファイヴ・フィンガー・デス・パンチも売り上げが半端ない、あのスレイヤーも同じ週にアルバムをリリースしたし、俺たちにチャンスがあるなんてまったく思わなかった。UKチャートでは、ステレオフォニックスとザ・リバティーンズと発売週が一緒で、そっちの心配もしなきゃいけなかったし。でも、アメリカでその週最も売れたアルバムになるなんて予想もしていなかったことだ。

−−過去の作品に比べ、全体的にポジティヴでアップビートな印象を受けますが、これは意図的だったのですか?

オリー:俺はポジティヴなネガティヴさだと言いたいね。どの曲も悲しみの中に秘められた幸福を探求していて、ダークさを明るく変えていくことについてだから。ネガティヴやダークなことをブロックすることに執着しがちだけど、自分の中の悪魔を受け入れることが最も有益なことだったりもする。俺はこの様々な側面を探っているんだ。「Throne」は、悲しみを“宝”へと変えていけることについての曲。「Happy Song」は、表面的で無意味なものを使って、リアルな問題から目をそらしている世の中を皮肉った公開書簡だ。すべての物事の善と悪について触れているからこそ、ポジティヴに感じるんだと思う。心から幸福になりたかったら、その生き方しかないから。明るいことばかりではなく、ダークなことにも意識的にならなければいけないんだ。

−−ギリシャのサントリーニ島でレコーディングされたそうですが、そこでの環境はアルバムのトーンに影響を及ぼしましたか?

オリー:影響を与えたと言いたいところだけど、行くまでにほぼ曲を完成させ、デモも作っていた。とは言え、素晴らしい場所だよ。ああいったロケーションで作業できたことで、ストレスが軽減されたのは間違いないし、たとえばインダストリアルな団地で制作するよりはクリエイティヴになれた。ヴォーカルのトラッキングを行ってる時に、エーゲ海に夕日が沈んでいく様子が見れるなんて、唯一無二のフィーリングだから!

Drown
▲ 「Drown」 MV

−−今作は最も商業的な作品だ、とも言えると思いますが、デスコアやメタルコア路線を“見捨てて”、よりポップな曲を書こうと思い始めたのはいつ頃ですか?そしてなぜですか?

オリー:まるで、元カノについて話しているかのような口調だな!完全に見捨てたわけじゃない。17歳だった頃、デスメタルとエクストリーム・ハードコアは俺にとって世界一の音楽だった。でも、年齢を重ねて、自分の好みが変わったのと同時にメロディーとエモーションへの欲望が強まっていった。バンドにとって自然な進化だった。15歳だった時に好きな音楽に25歳になっても夢中なバンド、てか人って数少ないと思うんだ。俺たちはもうあのジャンルをやり尽くしてしまったから、何か新しいことするべき時だったんだ。

−−アルバムをインスパイアしたアーティスト、バンドがいれば教えてください。

オリー:デジタル・サウンドの面は、ビョークやマッシヴ・アタックに影響されてる。それと俺たちは90年代のブリットポップが大好きなんだ―オアシスとかブラーとか。王道ロック、ヒップホップ、ジャズ、ストーナー、ドゥーム…あらゆるものに影響を受けたよ。

−−結成当時から応援してくれているファンたちからの反発は怖くなかったですか?

オリー:怖くなかったと言ったら、嘘になるだろうね。アルバムに対する自分の気持ちが変わるというより、俺はただみんなにハッピーであって欲しいんだ。結局のところ、アルバムが極度にヘヴィーじゃなくて良かったと思う。不自然に聴こえないし、音楽が好きだから、という理由以外で曲を作った風にも聴こえない。これらの曲は熱意をもって、とても巧妙に作られた。ブレイクダウンやずっと叫んでるパートが織り交ざってない分、良くなってると思う。

−−前作『センピターナル』と『ザッツ・ザ・スピリット』収録曲は、本国イギリス、そしてアメリカのラジオでもプレイされていますが、あなたたちのようなバンドにとって、エアプレイは重要ですか?

オリー:アメリカでは重要だ、っていうことが徐々にわかってきた。たとえば、トウェンティー・ワン・パイロッツのようなバンドが大ブレイクしているのをみると、その重要性が理解できる。彼らは素晴らしいバンドだ。もし、彼らの曲がイマイチだったら、ここまで売れなかったと思う。いい曲を持っていて、それがラジオで流れるようになると、数えられないほど大勢の人に聴いてもらえることになる。

Happy Song (Official Audio)
▲ 「True Friends」 (Official Lyric Video)

−−過去にケタミン依存症だったことを告白していますが、薬物依存で苦しんでいる人々にメッセージはありますか?

オリー:俺の場合、断ち切ろうと思うまで、堕ちるとこまで堕ちなければならなかった。みんなには俺と同じような末路を辿ってもらいたくない。すごくありきたりなアドヴァイスに聞こえるかもしれないけど、誰かに打ち明けて、自分がなぜ依存しているのか、その理由を明らかにするんだ。生まれながらの薬物依存者はいないし、それが運命づけられてる人間もいない。自分で治療しようとしていたり、何かのはけ口にしていたり、もうまったく何も感じたくなかったり、必ず水面下に何か理由があるはずなんだ。まずはそれが何かを突き止めることから始めて、それに立ち向かう健全な方法を見い出すことだ。そして誰かと話すことの大切さを強調したい。俺は最初気が進まなかった、そんなことで気が楽になるとは思わなかったから。その問題に解決策がないとしても、一度頭から離れてしまえば、それがどんなにちっぽけなことが気づくはずだ。

−−2010年にリリースされた『There Is a Hell Believe Me I've Seen It. If There's a Heaven, Let's Keep It A Secret』にはスクリレックスが参加していて、あのアルバムはリミックス盤もリリースされましたし、ニュー・アルバムにはエレクトロニックスの要素も見受けられます。EDMとメタルというジャンルの距離が近くなっているという感じはしますか?

オリー:EDMとメタルやロックは、もう何年も密な関係にあると思う。ナイン・インチ・ネイルズ、リンキン・パーク、ザ・プロディジーなんかは、両者から影響を受けているバンドだ。唯一止めてもらいたいことがあるとすれば、エレクトロニック・ミュージックをギミックとして使うこと。ワープド・ツアーに出演している連中が、自分たちの音楽性とはまったく関係ないダブステップ・ミュージックとともにステージに登場して、クソみたいなシンセやエレトロニックスが織り交ぜられた曲をプレイしてる姿は、マジでくだらないって感じる。しかも、自分たちが目新しいことをやってるとか、これが流行ってるから、とか未だに思ってるんだぜ。

−−今でも自分たちがメタル・バンドだとういう認識ですか?

オリー:メタルは俺たちのバックグラウンドにあるから、これからもずっとジャンルとの繋がりや関連性は感じると思う。フォール・アウト・ボーイがポップ・パンク・バンドであるのと同じぐらい、今も俺たちはメタル・バンドだ、って感じだな。

−−自分たちが憧れるようなキャリアを辿っているバンドはいますか?

オリー:フー・ファイターズだね。音楽のためだけに活動してるっていうのが明らかだから。

Q&A by Bram Teitelman / 2015年9月30日 Billboard.com掲載

「Throne」Music Video

ブリング・ミー・ザ・ホライズン「ザッツ・ザ・スピリット」

ザッツ・ザ・スピリット

2015/09/16 RELEASE
SICP-4535 ¥ 2,420(税込)

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Disc01
  1. 01.ドゥームド
  2. 02.ハッピー・ソング
  3. 03.スローン
  4. 04.トゥルー・フレンズ
  5. 05.フォロー・ユー
  6. 06.ホワット・ユー・ニード
  7. 07.アヴァランチ
  8. 08.ラン
  9. 09.ドラウン
  10. 10.ブラスフェミー
  11. 11.オー・ノー

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