2026/07/17 16:00
GACKTとロックバンドYELLOW FRIED CHICKENz(YFCz)、そしてフルオーケストラ、グランドフィルハーモニック東京が融合する【GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY- organized by billboard classics】が、7月14日に埼玉・ウェスタ川越 大ホールで幕を開けた。
「誰にも真似できない世界を作る」――GACKTがそう語っていた通り、細部まで徹底して磨き上げられたステージは、開場直前までリハーサルが続けられた。初日ならではの緊張感と高揚感、そして期待が客席を包み込み、開演前から会場には独特の熱気が満ちていた。
開演を告げるベルが鳴り続き、次第に地響きのような効果音に変化していくと、仮面とマントを纏った2人、「闇」と「影」がステージに現れる。彼らは現世と魔王の世界の“境界”に立つ案内人で、【魔王シンフォニー】とは「忘れ去られた記憶と再び向き合うため」の“儀式”であると客席に語り掛ける。そして幕が上がり、魔王が降臨すると、ステージと客席の境界は消え、時空を越えて一つの世界が立ち上がる。いよいよ儀式のスタートだ。
オープニングナンバーは「ARROW」だ。指揮の米田覚士、仮面とマントをつけたYFCzとグランドフィルハーモニック東京がイントロを奏でると、客席は総立ちになる。サビから幕を開ける大胆なアレンジ。重厚なドラムの圧と、大きくうねるストリングスが一気に客席をのみ込んでいく。生と死、輪廻転生への願いが色濃く滲む、魔王シンフォニー=ダークファンタジーの世界観を象徴するような一曲に仕上がっていた。
ステージの配置に驚かされた。YFCzの立ち位置が、総勢59人のオーケストラの中に混ざるようにメンバーが配置されている。ここでもバンドとオーケストラの境界が取り払われ、ひとつの“楽団”として演奏しているようだった。重厚なイントロの「NOESIS」は、ドラムとベースが生み出す疾走感に、オーケストラが有機的に絡み合い、攻撃的で妖艶な、さながらヘヴィ・ゴシック・ロックといった佇まいだ。アウトロの弦の音が美しい余韻を作り上げる。
特筆すべきはサウンドメイクだ。バンドとオーケストラが決してぶつかることなく、それぞれの音が鮮明に響く。ひとつひとつの音は独立しながらも、最終的には一本の大きな矢となってオーディエンスの胸を射抜いていく。こだわりにこだわった音像は、過去2回の【魔王シンフォニー】からの深化を感じさせてくれる。
「罪の継承 -ORIGINAL SIN-」は、もの悲しいメロディを奏でるイントロから一気に美爆音へ。重低音のビートとツインギターがさく裂するこのインダストリアルメタルは、サビの壮大なメロディはどこまでクラシカルで、新たなアレンジで楽曲の輪郭がよりはっきりしてくる。サウンドとGACKTの表現力豊かな歌が強烈な没入感を作り上げる。
「UNTIL THE LAST DAY」は、戦士としての生き様を鼓舞するアンセム的なモダン・ラウド・ロック。トリプルギターが激しくも心地よく、サビの突き抜けるようなボーカルで解放されるような感覚にいざなってくれ、GACKTの人生観を落とし込んだような歌詞が真っ直ぐ届く。闇を照らすサーチライトのような照明が飛び交い「IN FLAMES」が投下される。ベースの深い音が胸に響いてきて、サビ前のオーケストラの“溜め”と、ラスト前のチェロと金管の“溜め”が、このモダン・ハードロックに強いコントラストを作り出している。
そして「LAST SONG」へ。YFCzの獰猛な音と繊細なピアノ、そしてドラマティックに盛り上がるストリングスが、冷たさと情熱を表現。もう二度と会えないけれど、あなただけは変わらないでいてと悲しみに耐え歌うボーカル。繊細さと壮大さを兼ね備えたロックバラードへと昇華されていた。チェロとハープとヴァイオリンのシンプルなイントロと静謐なピアノが重なり「LAPIS」を披露。スモークがたかれ、木管と金管の音が重層的に響き、より幻想的な世界が立ち上がってくる。ライブでの定番曲も巧妙で斬新なアレンジが施され、新しい一面を見せる。しかし1999年に発表されたこのナンバーは<夢に傷ついても 何も変わりはしない>と歌う、若き日のGACKTの希望と決意が変わらず輝きを放っている。
指揮者と入れ替わりGACKTが指揮台へ。「FOUR SEASONS -I-」は「白露-HAKURO-」「暁月夜-DAY BREAKERS-」「サクラ、散ル…」という季節の移ろいを感じさせてくれるバラードのメドレーだ。それぞれの楽曲のメロディの美しさに光を当て、より輝かせるオーケストレーションは秀逸だ。GACKTのしなやかな指揮に導かれ、それぞれの楽器が豊かな響きを紡いでいく。まるで一つの組曲のように、四季の情景が鮮やかに浮かび上がった。
そしてGACKTが再びステージ前方に戻りながら、ピアノの音が余韻を響かせ物語が続くことを伝える。「FOUR SEASONS -I-」の続き、「雪月花-THE END OF SILENCE-」を披露。GACKTはハンドマイクを手に、切ないメロディと美しい日本語、そして強いファルセットで客席を包み込む。照明がGACKTに当たっているが、その歌が光になって客席に注がれているようだ。
「CLAY MORE」は、地を這うようなヘビーなギターのリフと、木管楽器が作る疾走感、ホルン、ハープとバンドサウンドが交差し、圧巻の演奏が生まれる。親近感を感じるメロディと、ドラマティックな別れの美学を歌うこの重厚なダークファンタジーロックは、セットリストの中でも圧倒的な存在感を放っている。
そしてこの【魔王シンフォニー】の大きなトピックで、オーディエンスも楽しみにしていた新曲「STAND ALONE」が初披露された。サビ部分は公開されていたが、その全貌がついに姿を現した。このナンバーはGACKTがフジドラマ初主演で注目を集めているドラマ 『ブラックトリック~裁きを操る弁護人~』(7月20日スタート/毎週月曜21時)の主題歌で、勇壮なイントロから始まり、性急なビートと激しく鳴り響くギター、そしてめくるめく光の演出が疾走感を作る激しくもメロディアスなナンバーだ。サビ前の印象的なブリッジが緊張感を極限まで高め、一気に解放されるサビへとなだれ込む。その爆発力は圧巻だ。ドラマの物語をさらに期待させる、力強い主題歌に仕上がっていた。
ラストは哀切極まる壮大なミディアム・ロック・バラード「LOST ANGELS」だ。ピアノの粒だった音とストリングスの音が切なく響き渡り、静と動をダイナミックに表現した迫力のある演奏は、後半にかけて感情が決壊するように激しくなるアンサンブルが圧巻だ。メッセージ色の強い歌詞を力強く、かつ艶っぽい歌で届け、大団円。魔王はステージから去り、再び案内人「闇」と「影」が登場し、儀式が終わったことを告げ、オーディエンスに対して「もう二度と、この扉を開く必要がない人生であることを願う」という祈りを込めて現実へと送り出す。観客一人ひとりが、「作品は人の記憶の中で生き続ける」というメッセージと、「自分は自分の幸せのために生きているのか?」という魔王からの問いを胸に、それぞれの帰路についたことだろう。
これまでGACKTと共に歩んできたオーディエンスをも驚かせる、楽曲群に施された新たなアレンジ、全方位から響いてくる鮮やかな音と豊かなアンサンブル、より生々しく響く深遠な歌声、そして物語を紡ぐ照明。そのすべてが溶け合い、これまで誰も見たことのない世界を描き出していた。このツアーに【INFINITY】というタイトルを掲げた理由を、GACKTは「縛りや固定概念を取り払い、限界を設けず、表現を無限に解き放つこと」と語っていた。その言葉どおり、90分にわたるステージは、ロックとオーケストラ、音楽と物語、そのすべての境界を越えていく体験だった。
ツアーはまだ始まったばかり。全国を巡る中で、この"儀式"がどこまで深化していくのか。そして8月29日の最終日には、どんな"魔王の世界"が完成しているのか。そんな期待を抱かせる、圧倒的なツアー初日だった。
Text:田中久勝/Photo:Lestat C&M Project
◎公演情報
【GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY- organized by billboard classics】
2026年7月14日(火)埼玉・ウェスタ川越 大ホール OPEN 17:00/START 18:00 終演
2026年7月18日(土)宮城・東京エレクトロンホール宮城 OPEN 17:00/START 18:00
2026年7月26日(日)広島・JMSアステールプラザ 大ホール OPEN 16:00/START 17:00
2026年8月2日(日)福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール OPEN 16:00/START 17:00
2026年8月11日(火・祝)東京・文京シビックホール 大ホール OPEN 13:00/START 14:00
2026年8月11日(火・祝)東京・文京シビックホール 大ホール OPEN 17:00/START 18:00
2026年8月15日(土)愛知・刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール OPEN 16:00/START 17:00
2026年8月18日(火)北海道・札幌市教育文化会館 大ホール OPEN 17:00/START 18:00
2026年8月29日(土)大阪・東京建物 Brillia HALL 箕面 大ホール OPEN 13:00/START 14:00
2026年8月29日(土)大阪・東京建物 Brillia HALL 箕面 大ホール OPEN 17:00/START 18:00
<セットリスト>
【GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY- organized by billboard classics】
2026年7月14日 埼玉・ウェスタ川越 大ホール
1.ARROW(Orchestration by Hinako YOKOUCHI)
2.NOESIS(Orchestration by Mikina KAINUMA)
3.罪の継承 -ORIGINAL SIN-(Orchestration by Hitomi KOTO)
4.UNTIL THE LAST DAY(Orchestration by Hitomi KOTO)
5.IN FLAMES(Orchestration by Kei SATO)
6.LAST SONG(Orchestration by Mikina KAINUMA)
7.LAPIS(Orchestration by Hiromasa MATSUI)
8.FOUR SEASONS -Ⅰ-(Orchestration by Ryunosuke KASAI)
白露-HAKURO-
暁月夜-DAY BREAKERS-
サクラ、散ル…
雪月花-THE END OF SILENCE-
9.CLAYMORE(Orchestration by Shuwa NAGAI)
10.STAND ALONE(Orchestration by Shoya KITAGAWA)
11.LOST ANGELS(Orchestration by Hitomi KOTO)
出演:GACKT
指揮:米田覚士(埼玉、宮城、東京、愛知、北海道)、村上史昂(広島、福岡、大阪)
管弦楽:グランドフィルハーモニック東京(埼玉、宮城、東京、愛知、北海道)、グランドフィルハーモニック京都(広島、福岡、大阪)
バンド:YELLOW FRIED CHICKENz
<チケット> ※全席指定、税込
1F ブラックダイヤモンド席100,000円(1Fスタンディング、前方3列までのお席確約、ブラックダイヤモンド席特典グッズ付き)
1F ダイヤモンド席60,000円(1Fスタンディング、4列目以降の前方ブロックのお席確約、ダイヤモンド席特典グッズ付き)
1F プラチナ席35,000円(1Fスタンディング、中間ブロックのお席確約、プラチナ席特典グッズ付き)
1F S席18,000円(1Fスタンディング、後方ブロックのお席)
2F ダイヤモンド席60,000円(2F着席観覧、前方2列までのお席確約、ダイヤモンド席特典グッズ付き)
2F以上 S席18,000円(2Fもしくは3F着席観覧のお席)
2F以上 A席13,000円(2F以上着席観覧、S席より後方のお席)
チケット一般発売中
<公演公式サイト>
https://billboard-cc.com/GACKT2026
<注意事項>
※1階オールスタンディング席(座席あり)、2階以上着席指定
※未就学児入場不可
※枚数制限:おひとり様各公演1申し込み最大4枚まで(ブラックダイヤモンド席のみ最大2枚まで)
※車椅子をご利用のお客様は、お問合せ先までご連絡ください
※チケットはおひとり様1枚必要となります。チケットを紛失された方、または当日お忘れになった方はご入場できません
※チケット購入の際は、必ず公式サイトに掲載している注意事項をご確認ください
(ご来場のお客様へのお願い:https://billboard-cc.com/notice)
<公演に関するお問合せ>
【埼玉・東京】キョードー東京 0570-550-799(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)
【宮城】エドワードライヴ 022-266-7555(11:00~15:00/土日祝休)
【広島】YUMEBANCHI(広島)082-249-3571(12:00~17:00/土日祝休)
【福岡】BEA 092-712-4221(平日12:00~16:00)
【愛知】サンデーフォークプロモーション 052-320-9100(全日12:00~18:00)
【北海道】道新プレイガイド 0570-00-3871(10:00~19:00/火曜定休)
【大阪】キョードーインフォメーション 0570-200-888(12:00~17:00/日祝休)
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