2019/08/24 15:30
7月に新曲「インフェルノ」を配信したMrs. GREEN APPLE。Hot100のチャート上は20位台とそれほど大きな成果は挙げられていないが、この曲以外にも「青と夏」、「ロマンチシズム」の2曲がHot100にランクインしている。これはアーティストのポテンシャルが高くなっている証明といってもいい。
特に今週29位にランクインしている「青と夏」の動きには注目しておきたい(【表1】)。この曲は2018年8月にリリースされたので1年前の楽曲だ。映画『青夏 きみに恋した30日』の主題歌であるが、映画自体はそれほどヒットしたとはいえない。ただ、楽曲自体はフィジカルのリリース週である昨年の8/13付で最高位10位という結果を出している。この時点では、ストリーミングが4位、ラジオのオンエア回数が2位と、メディアやグレーユーザーの支持が高かったことがうかがえる。
通常であれば、ここから徐々に右下がりで圏外に落ち着くのだが、「青と夏」はストリーミングが粘り強く残り、しかも今年の5月頃から徐々にミュージック・ビデオの動画再生回数も上昇。この曲のライヴ映像が公開されたタイミングの7/15付では、ストリーミングの再浮上も手伝って、総合で25位にまで再浮上し、その後もずっと30位前後をキープしているのだ。これには様々な要因はあるのだろうが、何よりも夏の季節に合った楽曲であるということ。おそらくストリーミングでの人気が続く限りは、毎年のようにこの時期のチャートにランクインしてくるのではないだろうか。そしてもちろん、先述したようにバンド自体のポテンシャルの高さによるものも大きいはずだ。
Mrs. GREEN APPLEは、10月にニュー・アルバム『Attitude』のリリースを控えている。すでに収録曲は発表されていて、「青と夏」をはじめ、その後のシングル曲「僕のこと」や「ロマンチシズム」は収められるし、「インフェルノ」「lovin’」に続き新曲も先行配信されていくそうだ。間違いなく、彼らの勝負作となるアルバムになるだろう。すでに大ホール中心のツアーは即完売する状況であり、知名度もお茶の間レベルに広がりつつある。あとは大ヒット曲と代表作と呼べるアルバムを作れば鉄板だろう。そういう意味でも、彼らは今、大きな勝負のタイミングにいるのだ。Text:栗本斉
栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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