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2023/03/27

<ライブレポート>Nissy 自らの“Entertainment”を存分に詰め込んだ6大ドームツアー、東京2日目

 Nissyが、2月16日および17日に【Nissy Entertainment 4th LIVE ~DOME TOUR~】を東京・東京ドームにて開催した。

 ソロアーティストとして、史上2人目の6大ドームツアーとなった今回。ドームツアーならではの度肝を抜かれる豪華な演出も盛りだくさんで、まさに最新の“Nissy Entertainment”を体感できたひとときだった。北は北海道・札幌ドーム、南は福岡・PayPayドームまで計11公演が敢行されたうち、本稿では東京ドーム2日目、2月17日公演の模様をレポートする。

 開演時刻を迎えると、突然「起動完了しました」という無機質なナレーションが流れ、Nissyに仕えるAI、“THREE”が自己紹介を始める。近未来的な世界観と、“THREE”のお茶目な言葉遣いに会場全体が引き込まれていくと、大画面モニターにNissyが登場し、客席から大きな歓声があがる。VTRが終わるとそのモニターが左右に開き、中から実物のNissyが登場。最初の曲「Do Do」がスタートした。彼の背後には大きなミラーボールがまわり、細かくきらめく光が、先ほどの近未来的世界観とともなってよりクールに見える。ラストサビではダンサーを引き連れ踊るNissyの姿は、キャリアを重ねた故の色気と貫禄にあふれていた。

 Nissyとダンサーたちが乗る前方ステージが、そのまま花道の上にせり出してくる演出が大迫力だった「Trippin」「The Ride」と続けたあとは、さらに後方にステージが追加され「Never Stop」のチルなイントロが響き渡る。歓声を聴いて「これがベースラインでしょ? まだまだ大きくできますよね!?」とさらに煽ると、「この声が聞こえたのも4年ぶり、みんなと会えたのも2、3年ぶり!」とNissyも喜びを語り、「ひと足早いけど、一緒に夏を体験しませんか?」と観客を誘う。Nissyの立つステージは2階スタンドに到達するかと思われるほど高くせり上がり、その近さにはどこからともなく黄色い声があがっていた。観客の持つペンライトも自動制御で一面が青く染まり、爽やかなムードに包まれる。

 モニターに映る青い海の映像が、夕日を飲み込んだようなピンク色に染まっていくと、「Relax & Chill」が流れ出した。ダンサーもはけ、会場もステージ上のNissyと観客だけの景色になり、手を左右に振る振り付けで一体になっていく。そして波音が残響をさらっていき、「Jealous」へ。ふとした瞬間にNissyがくしゃっとした笑顔を向けると、客席からは悲鳴が上がる。1曲を通してキュートな表情で観客を沸かせ、ラストではとどめとばかりにウインクを決めた。

 VTRでは、ふたたび冒頭のタイム・トラベラーNissyを主人公にしたSFドラマに戻る。ミッション中に出会った別時間軸に暮らす恋人との悲しい恋の模様を描きながら、その時々の場面やNissyの気持ちを表すような噴水の演出で「君に触れた時から」「Don’t Stop The Rain」、そして青い炎が上がった「Say Yes」と続いた。その余韻に浸っていると、始まったVTRでは突然ラジオ風番組『Nissy Entertainmentのオールナイトニッシー』がスタート。おたよりにユーモアたっぷりの回答をして会場を沸かせたあとは、なぜかチョコレートプラネットとコント「静かにしろ」を(かなりの長尺で)披露。予想を超える展開に最初は戸惑いを隠せなかった観客も、チョコプラの世界観にあまりに馴染んでいるNissyの姿に、次第に笑いが巻き起こっていった。

 コントが終わって会場が暗転すると、クラップ音が鳴り響き、ステージ左側からバギーが登場。バギーに乗った大きな段ボールの中から、昨年寅年のツアーでも披露していたトラの着ぐるみ……にウサギの耳をつけ、2023年仕様にモデルチェンジしたNissyが現れた。「ピョンピョーン♥」とおどけてみせ、「36歳、寅年の男がお高めの着ぐるみ着て頑張ってんだ!」と観客を鼓舞してダンス練習の時間に。そしてチアダンサーを呼び込み会場の花道が埋め尽くされると、観客の前で着ぐるみを脱ぎ捨て「DANCE DANCE DANCE」へ。ラストサビでは集まったダンサー全員、実に100人以上での圧巻のラインダンスを繰り出した。

 Nissyのホイッスルにあわせてチアダンサーが退場していくと、ハイトーンでのフェイクが決まったイントロから「The Eternal Live」へ続く。火の玉が上がるステージの中で、花道を横に使うステージングが新鮮だ。途中はバンド隊のソロ回しに合わせてダンサーたちがペアでパフォーマンスを決めていき、観客もどんどんテンションが上がっていくなか、最後はNissyがブレイクダンスを披露。いちばんの歓声を集めた。

 先のブレイクダンスで燃え尽きたのか、ステージに横になってしまったNissyに観客が声援を送ると、彼も元気を取り戻し「改めましてNissyです、本日はお越しいただき誠にありがとうございます」と感謝を述べる。男性客の野太い「西島ー!」コールには変顔で答えたり、観客にいじられて拗ねたりとお茶目な姿をみせたあとは、先日2月4日の大阪・京セラドーム公演より100%の声出しが可能となったことについて触れつつ、コロナ禍を経て、実に約3年半ぶりとなったドームツアーへの思い入れを語り出した。「アルバム(『HOCUS POCUS 3』)を作っているとき、皆さんと同じようにあの状況になりました。生きていることもままならない、アルバムを作っているときも心が折れて……」と辛かった思い出を振り返ると、「エンタメが教科書に載ることはなかなかないんですね。みんながこのライブを思い出したときに、VTRとかを含めて『この時こんなことがあった』と、教科書のようなものになってほしいという思いがあります」「(エンタメが制限される状況から)一歩前進するためにこのドームツアーを決めました。ツアーきっかけで観光をしてもらうだとか、“地方創生”も兼ねて、地方ツアーをまわっています」と思いを明かす。そして「たった一回の人生で唯一の今日、チケットを買って僕に時間をくれたこと、本当に感謝しています」と改めて深い感謝を述べる……と鳩時計の音が鳴り渡り、「……しゃべり過ぎました(笑)」と苦笑い。しんみりムードになっていた観客も思わず笑顔になった。

 ペンライトの光が自動制御でじわりと広がっていく、ロマンティックな演出から始まったピアノバラード「僕にできること」では、Nissyもスタンドマイクを握りしめ、歌い方にも感情がこもる。20年4月とコロナ禍真っ只中に公開された楽曲という背景もあり、先のMCとあいまってより情感を揺さぶってきた。終盤には「またこの環境で、いつ会えるかわからないから……」と促し、カラフルに輝くライトの中、観客の〈ラララ〉というハミングがドームに響く。その風景にNissyも突き動かされるものがあったのか、曲が終わると彼も観客へ大きな拍手を贈った。

 一転し、突然のゾンビムービー的VTRから、激しいフォーメーションダンスがクールでセクシーな「Get You Back」と続いたあとは、モニターに公式マスコットキャラクターのLippyが登場。“Lippyのおともだち”として、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンより『PEANUTS』のスヌーピー、ルーシー、チャーリー・ブラウン、『セサミストリート』よりエルモ、クッキーモンスター、バート、アーニーが紹介されると、「The Days」がスタートし、彼らとNissyを乗せたトロッコが会場をまわりはじめる。先のゾンビムービーにインスパイアされたような格好のダンサーたちがトロッコを先導する様子が迫力たっぷりだ。観客のコール&レスポンスの声も今日いちばんのボリュームが出て、どんどん熱量が増していく。

 「トリコ」では骨子部分が光るビニール傘をステージ上全員が手に取り、くるくる回すファンタジックな演出が。Nissyもカメラに抜かれるたびに指ハートを飛ばし、会場にはハッピーな雰囲気があふれる。『PEANUTS』と『セサミストリート』のメンバーがステージから帰っていくと、「俺たちまだまだできるでしょ?」と不敵に観客を煽り、続いた「Cat & Mouse」では定番のタオルを回す振り付けでエキサイト。そして「最後の最後まで、一緒に歌って躍りませんか?」との問いかけで「NA」へ。最後は大きな花火が上がり、ライブ本編を終えた。

 ステージから全員がはけて会場が暗転すると、前方のモニターにも客席の模様が映し出される。なぜか自然に観客がウェーブを始め、観客の一体感がますます高まっていくと、“THREE”のアナウンスが入り、Nissyのアカペラから「まだ君は知らない MY PRETTIEST GIRL」がスタート。かわいらしい振り付けに、客席をやさしく見つめるNissyの笑顔が印象的だ。そしてMCでは「さっきのMCが長すぎてしゃべることない(笑)」と大笑いしつつ、「今日だけだよ?」と生バンドとともにカバー曲を即興で披露し、客席からは大きな歓声があがった。

 そして、声を出して集まれる状況を噛み締め「一歩前進している僕らを発信したい!」というNissyの思いからInstagramのストーリーズ撮影タイムを挟むと、「同じ時間を生きている同志として、この続く時間を過ごしていきましょう!」との言葉から、バラード「ワガママ」へ。そして『PEANUTS』と『セサミストリート』の仲間たちも再びステージ上に登場し、公演ラストにぴったりな「My Luv」で、3時間半の公演を締めくくった。

 巨大モニター、自動制御で次々と色を変えていくペンライト、そして動くステージ、吹き上がる炎や噴水といったド派手な特効と、まさにドーム規模ならではの演出がふんだんに盛り込まれた今回のツアー。そしてNissyのパフォーマンスとユーモア、観客を見つめるやさしい眼差しから感じたのは、Nissyの「集まってくれた皆さんを心の底から楽しませたい」という、エンターテイナーとしての高い志だ。まさに“Nissy Entertainment”の名を冠するにふさわしい、彼の最新のこだわりと心意気をたっぷりと味わえるステージだった。

Text by Maiko Murata
Photo by 田中聖太郎写真事務所 

(C) TM & (C) 2023 Sesame Workshop、(C) 2023 Peanuts Worldwide LLC、(C)TM & (C) Universal Studios. All rights reserved

◎公演情報
【Nissy Entertainment 4th LIVE ~DOME TOUR~】
2023年2月17日(金) 東京・東京ドーム

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