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The Sketchbook 『スプリット・ミルク/REFLECT』 インタビュー

The Sketchbook 『スプリット・ミルク/REFLECT』 インタビュー

怒涛の一年を経た“企画ものバンド”が目指す未来は?

一昨年にアニメ『SKET DANCE』のオーディションより選ばれた3人組バンド The Sketchbook。企画ものとしてスタートし、300日は一緒にいたという怒涛の一年を経てたくましく成長した彼らだが、同アニメの放送は昨年秋に終了した。ファンからは解散すら危ぶまれたという3人の若者が、いま見据える未来とは。

年300日は一緒にいたので本当に家族のよう

The Sketchbook / Message
▲The Sketchbook / Message

--2012年、The Sketchbook名義ではシングル3作、アルバム2作をリリースし、さらにはアニメ『SKET DANCE』とのコラボ作もと、リリースラッシュが続いた1年でした。3人は300日くらい一緒にいたなんて話もあるようですが……。

多田宏:プライベートと仕事の境が分からなかったです(笑)。帰っても曲を書いたりアレンジを考えたりって日々でしたし、家は本当に寝に帰るだけで。しかも次の日はまた2人と会うし、たまのオフもできなかった練習や制作の帳尻合わせというかしわ寄せというか(苦笑)。それだけ充実してたんですけどね。

渡邊悠:あっという間に過ぎた1年だったんですけど、振り返るとめちゃめちゃ濃かったですね。2月にリリースしたシングル『Message』がめちゃくちゃ前のことのようで……。

小原莉子:ほぼ毎日一緒にいたので本当に家族のようで、下手したら家族以上に濃密な関係になりつつあると思います。思ったことははっきり言うし、言われた方はその意見を受け入れた上で反論したり話し合ったり。お互いを認め合えるメンバーだと思うので、そこは素晴らしいなって。

--そうした1年を超えて手にしたものは何だと思いますか?

多田宏:春からはバンドスタイルでのライブもたくさんやらせて頂けたので、純粋にバンドとしての成長は著しくあったのかなと。学生時代から友だちで下積みが……っていうのが無い僕らなので、この1年間で培えた部分はあると思います。企画で生まれたバンドからThe Sketchbookという一つの形や在り方を……、それは存在感も含めて示せたんじゃないかなって。

渡邊悠:やっぱり古くから気心が知れた仲間たちと組んだバンドとは、グルーヴや人間関係に明確な差が絶対にあるとは思っていました。そういう部分を客観的に自覚して、僕らなりのやり方、僕らならではの個性やオリジナリティをどうやって表現するのか、常々考えてます。オーディションによって集められたメンバーだから音楽性はバラバラですけど、だからこそ3人が合わさった時にオリジナリティを出せるのは僕らの強みですよね。

--プレイヤーとして成長したと思う所は?

小原莉子:最初の頃は楽曲提供して頂いていた(※1)ので、自分が弾けないフレーズとかもあったんですよ。弾けるようにしなければいけないから成長しますし、気が付いたらスキルが上がってたって今振り返ると思いますね。

渡邊悠:1stアルバム『The Sketchbook』はアニメ『SKET DANCE』という作品に寄った1枚でしたけど、バンドとしての自立をテーマにした決意表明的な2ndアルバム『Re:Action』をリリースできたこと。初のワンマンライブを1周年にできたことなど、自分たちから発信することで実現できた所もあるのかなって。

--ただ、1stアルバム『The Sketchbook』から2ndアルバム『Re:Action』までの間隔は約2か月と異常なペースでもありました。

多田宏:初めに聞いた時は僕らも「嘘だろ……?」って思いました(笑)。ただ、“アニメが終了したってことはThe Sketchbookも解散するんじゃないの?”って思われたくなかったし、これからバンドとしてやっていくんだっていう作品を出したいって、スタッフさんとも一緒に話していて。
で、“シングルで渾身の1曲を出すのかな?”って思っていたら、それが渾身の10曲だったという(笑)。それでも本当に思っていた何倍も自分たちの想いが集約されていて、一歩踏み出す作品として力のあるものだと自信が持てる1枚になりましたね。

小原莉子:『Re:Action』で作詞作曲を全て自分たちでやって、いざバンドで披露するために合わせて演奏してみたら、不思議とカッチリハマッてる感じがしたんですよ。アンサンブルやグルーヴが一つ身に付いたというか、自分たちで頑張って作り上げた成果はあるのかなって思います。

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The Sketchbook / 「Re:Action」SPOT
▲The Sketchbook / 「Re:Action」SPOT

--例えば今のAKB48って、裏側は本当に戦場のような状態になっていますよね。ただ、だからこそ表に出てきた時に唯一無二の美しさを帯びる瞬間がある。それはアイドルだけの特権ではないと思うんですよね。

多田宏:『SKET DANCE』のタイアップを頂けていたこともあって、どの作品も締切が近かったりしたんですね。限られた時間の中でどれだけ努力できるかの勝負、みたいな所もあって良い経験になりました。短期にグッと集中する上での苦しみが、結果的に作品に繋がった所があると思います。

--しかも多田さんに到ってはソロデビューまでありましたね!

多田宏:たまたまお話を頂けて、もちろん3人でやれたらと思っていたんですけど『SKET DANCE』のこともあって。でもまァ、せっかくお話を頂けたのであれば、The Sketchbookを広めるきっかけにもなるだろうと思ってやらせて頂きました。
ただ、同じような身なりでバンドっぽい楽曲をやっちゃうと……っていう想いがあったので、あえてギャップを作ることで“あ、バンドのそういう顔もあるのね”って知ってもらえたらと思ってました。

渡邊悠:そのお話を頂いた時に、ちょうど一緒にいたんですよ。それこそ抜け駆けするためじゃないっていうのは分かっていたので、メンバーである僕らは送り出す気持ちでした。ただ、ファンの方たちからすると、ちょっと不安もあったみたいですね。ちょうどアニメ『SKET DANCE』の放送が終わるタイミングだったので……。

小原莉子:Twitterとかでちょくちょく書かれましたね、“ギターとドラムの人はどうなるの?”って(笑)。

渡邊悠:“『SKET DANCE』が終わって、The Sketchbookもなくなって残念だなァ”とかね(笑)。まァライブMCなどでは説明もしていたので、今は理解してもらえたかなって。

--女性目線からして、バンドでの多田さんとソロでの多田さん、ファッション的にはどちらの方が素敵だと思いましたか?

小原莉子:ん~……、ソロですかね! 王子っぽい感じの雰囲気が“けっこう合うじゃん!”って。バンドでは悠くんがグミ王子って呼ばれてる(※2)んですけど、“これからは宏くんが王子でいいのかな?”って(笑)。

渡邊悠:それって結局俺はリストラじゃん! “ドラム、グミ!”って!(笑)

--そして先ほどもお話に出ました初ワンマン。ここで3人のスキルを見せられた部分はありますよね。

多田宏:The Sketchbookとしても初めてですし、僕と莉子ちゃんはミュージシャンとして初めてのワンマンライブだったんですよ。やっぱり緊張はありましたし、1時間半という長いステージは初体験だったので難しい部分もありました。
ただ、応援してくれる人たちの力を感じることもできたので、まだまだできるハズだっていう想いとここまでできたっていう自信、そして感謝の気持ちを感じられた意味のあるライブだったなと。

小原莉子:ただ、終わった達成感と同時に反省というか、足りなかったと痛感したものとして、見せ方、パフォーマンスは大きかったんです。だから今年のワンマンは去年の反省を踏まえて、もっともっとファンを引っ張っていけるような存在になりたいと思ってます。

渡邊悠:“仲間と一緒に成長していくバンド”というコンセプトはこれからも大切にしていきつつ、バンドとしてスケールアップしていくために必要なこと。それは一種のカリスマ性じゃないですけど、演奏にしろパフォーマンスにしろ音楽性にしろ、もっと聴き手を引っ張っていけるようになりたいですね。“The Sketchbookって凄いんだな”って部分をどんどん磨いて、本物のバンドになっていくことが必要だと思います。

多田宏:僕たちも音楽をやって生きていく、たくさんの人に元気を届けていくっていう夢を持って、The Sketchbookというバンドで活動していますよね。応援してくれる人にもそれぞれ夢があって、まだ僕らを知らないけれども不安や悩みを抱えている人がたくさんいる。そういう人たちにもっともっと響かせていきたいんです。
今聴いてくれてる人たちが、“こんな不安な気持ちだったのに、The Sketchbookを聴いたら忘れちゃったよ! お前も聴いてみなよ”って言いたくなるような力。初めて聴いた人が元気になれるような力を、作品だったりライブだったりで見せられるようになるためにも、この1年で成長していきたいなって。

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『SKET DANCE』との繋がりは大切にしたい

The Sketchbook / スプリット・ミルク
▲The Sketchbook / スプリット・ミルク

--2013年の第1弾シングル『スプリット・ミルク / REFLECT』に収録の「スプリット・ミルク」は、脱皮したいという意志を音で表現しようとする3人が目に浮かぶようなサウンドでした。

多田宏:今年はバンドとしての活動をもっと大きくしていきたい。The Sketchbookでやっていくんだぞっていう意思表明の作品になっていると思います。サウンド作りも「スプリット・ミルク」と「REFLECT」で違いを出したりしているし、歌詞の世界観も含めてまったく別物にしようと。これからの僕らと、今までの僕ららしさ。その両面を感じられる1枚になったなと。

--「スプリット・ミルク」はイントロのギターから弾き倒し系でかっこいい1曲ですね!

小原莉子:アルバム『The Sketchbook』の曲は細かいテクニックが必要だったので、それに比べたら良い意味でシンプルな弾きやすい曲でしたね。だからハマッている感じがするというか。

渡邊悠:やっぱりずっと駆け抜けてきたので、自分たちでは具体的な成長が客観的に見れない所はあるんですよ。ただ、これからを表現するような曲と、『SKET DANCE』ジャンプコミックス同梱版DVDテーマソングの「REFLECT」を両A面で出せるのも僕らならではなのかなって。

多田宏:「REFLECT」は悠さんが作った土台を基に3人で膨らませていった曲なので、そういう意味ではアルバム『The Sketchbook』に収録した「ドロップ」の時の感覚もあって、僕たちなりの『SKET DANCE』への想いがありますよね。やっぱり『SKET DANCE』から生まれたバンドなので、この繋がりは大切にしたいし期待を裏切らずに予想を遥かに超えるような楽曲を残していきたいですね。

--そういえば先日、『SKET DANCE』のニコ生に出演して、スケット団のコスプレに挑戦していましたね。

小原莉子:私は金髪とか全然縁がなかったので嬉しかったです! 実はオーディションに受かった時、金髪にするっていう案もあったらしいんですよ。黒でよかった……(笑)。

--ともあれシングル『スプリット・ミルク / REFLECT』は、2013年のThe Sketchbookを象徴する1枚になったんですね。

多田宏:今まで一緒に成長してくれたリスナーの方は「REFLECT」の方が馴染みを持てると思うんですけど、『Re:Action』から「スプリット・ミルク」っていう流れもきっと好きになってくれると思います。僕たちを知らない人たちであれば見た目とのギャップを感じてもらえるとも思うので、聴いてもらえた時の反応は楽しみですね。

--そういう意味では、2月に東名阪を巡るワンマンライブ【OverRe:Action】も大事になってきそうですね。

多田宏:僕ら自身はまだまだ活動の幅を広めていきたいですし、バンドとしてもう一つ二つ成長したいという想いがあるので、大事だけどあくまで通過点だとも思います。ここで次を期待できるものを見せられないと、大きくなるなんて口だけになっちゃいますよね。今応援してくれている人たちの心をしっかりキャッチして、周囲に広めたくなるくらいのカリスマ性を提示できたらなって。

渡邊悠:『SKET DANCE』系の曲から入ってくれていることもあって、僕らは若い客層が中心なので、まだライブのノリに慣れていない子も多いと思うんです。次のライブはタイトルにもある通り、僕らの音楽性を全面に出すライブになっていくので、一種のアーティスト性を発信する上で次のライブは大きなステップになりそうだなって。

--では最後に莉子さん、“ライブでは私のココを見ろ!”というポイントを教えて下さい!

小原莉子:えぇ!? ……じゃあ、“私のギターだけを見ろ!”で(笑)。

インタビュー写真

Music Video

The Sketchbook「スプリット・ミルク/REFLECT」

スプリット・ミルク/REFLECT

2013/01/30 RELEASE
AVCA-62233 ¥ 1,320(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.スプリット・ミルク
  2. 02.REFLECT
  3. 03.スプリット・ミルク (Instrumental)
  4. 04.REFLECT (Instrumental)

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