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<インタビュー>Ms.OOJA「自分軸で全てを考えられるようになる」――断捨離と本がもたらした変化【WITH BOOKS】

インタビューバナー

Interview & Text: 渡辺 志保
Photo: Yuma Totsuka


 書籍や文筆と縁深いアーティスト、また音楽と縁深い作家へ、自身の書籍や音楽とのかかわりについて訊くインタビュー企画【WITH BOOKS】、今回登場するのは今年メジャーデビュー15周年を迎えたMs.OOJA。その節目として今年の10月には大阪城ホールでの単独公演を控える彼女は、自分自身と向き合いながらいくつものヒット曲やカバー曲を世に送り出してきた唯一無二のシンガーでもある。

 最近は断捨離に挑み、ライフスタイルにも大きな変化があったというMs.OOJA。そのきっかけには自身のキャリアと、読書から得たインスピレーションがあった。「面白そうだな」と思ったらジャケ買いみたいな感じで本を買う、と語る彼女の本棚を覗くように、幅広いジャンルの蔵書から特に印象的だった作品を紹介してもらうとともに、日常の読書習慣や本に対する想いまでを聞いた。

本はエンタメーその疑似体験が歌詞に影響することもある

――もともと、本を読むのは好きな方でしたか?

Ms.OOJA:そうですね。夜、寝る前に必ず本を読んで寝ます。結構、数多く本を読んでいる方だと思います。


――読書の習慣は昔から?

Ms.OOJA:子どもの頃はまったく本を読む習慣がなかったんですよ。でも、友達の家に遊びに行ったときに、本棚にたくさん本が並んでいるのを見て。それがきっかけで、本を読むようになりました。それまで小説って、なんとなく「硬いもの」みたいなイメージがあったんですけど、最初に読んだのがサスペンス系の作品だったんですけど、『ハサミ男』(著者:殊能将之)っていう本。それを読んだらめちゃめちゃ面白くて、「あ、本ってエンタメなんだな」って気がついたんです。それが高校三年生くらいでした。


――読書のインスピレーションがご自身の制作に影響を与えることもありますか?

Ms.OOJA:(小説を)読みながら、そこで感動して、泣いたり腹が立ったりと、いわゆる疑似体験的なことをできるので、それが歌詞に影響される、ということも結構あります。


――ちなみに、Ms.OOJAさんのお気に入りの書店はありますか?

Ms.OOJA:新千歳空港に、すごいちっちゃい本屋さんがあるんです。小さなお店って、置けるスペースが限られているから本もすごく厳選されたものが置いてあるんですよね。なので、そこでおすすめの本を買って、読みながら帰る、というパターンが結構気に入っています。


――小さな書店ならではのテイストというか。しかも、旅とセットになっているっていうのもいいですよね。

Ms.OOJA:帰りの飛行機の中で読みながらね。何かのついでに寄れる本屋さんがすごく好きで、そういう時に本をよく買ってますね。


――今日は文庫本を中心に持ってきていただいています。

Ms.OOJA:絶対文庫派ですね。単行本は重くて読みにくいので、なかなか手が出ないんですよ。背を揃えて、アーカイブとして置いておくのも好きだし、そこから「じゃあこれをまた読もう」って選ぶのも結構好きで。

まず、この『ふやすミニマリスト 所持品ゼロから、1日1つだけモノをふやす生活』(著者:藤岡みなみ)という本を持ってきました。最近、断捨離をして結構な数の本を処分したばかりなんです。自分が「これは好き」って思えるものは、残しておいていいと思うんですけど、私の場合は、断捨離を進めていく中で、言うなれば“捨てるプロ”みたいになってきたんです。


――ぜひ詳しく聞かせて欲しいです。

Ms.OOJA:どんどん捨てていくと、捨てられるようになってくるんです。本も、「また読みたくなったら、そのとき買えばいいや」って思えるようになる。実際に、過去に本を処分したときも「やっぱり読みたいな」と思って買い直したこともあるし、電子書籍で読んでいた本をわざわざ紙で買い直したことも。だから、本当に自分のお気に入りの本だけを残して、その残している本は何度も何度も読み返しているんです。


――その、厳選されて残した本はどういうテイストやジャンルの作品が多いですか?

Ms.OOJA:うーん…やっぱりミステリー&サスペンス系が多いですね。東野圭吾さんの『白夜行』と『幻夜』。村上龍さんの『半島を出よ』。これは一番好きな本かもしれない。本って読む年代で感じ方や捉え方が全然変わるじゃないですか。小説でいうと、この三作品がマストで、ずっと残してありますね。あと、自己啓発系だとアドラー心理学の『嫌われる勇気』も好きで、本棚に残してあります。


――ちなみに、断捨離に至った特別なきっかけがあるのでしょうか?

Ms.OOJA:今回、15周年で大阪城ホールに挑戦する、と決まった時に「私はきっと何かを捨てるんだろうな」と思ったんですよ。前回、2022年に初めて武道館ライブをやると決めた時に、お酒を辞めたんです。私、お酒がすごく大好きだったんですけど、ライブの9、10か月くらい前に「もう飲まない」と決めて。


――それは体調のコンディションなどの問題からですか?

Ms.OOJA:それもありますね。体調もあったし、今思うと、その時にすごくお酒に依存してたのかな、と。そこから今まで、もうほとんど飲んでいなくて、もう四年以上経ちます。それは自分的にもすごく大きな変化だったんですけど、その時、一番頼っているモノや大好きなモノを捨てるっていう、そういう癖があるんだなと思っていて。


――そうだったんですね。

Ms.OOJA:そういう経緯があって、気がついたら去年の9、10月くらいから急に物を捨て始めたんです。それは多分、大阪城ホールっていう大きいイベントを受け入れるための準備をするっていうことなのかな、と思うんです。無意識だったんですけど、4か月くらいかけてモノを捨てていって、多分、家の中のモノが半分くらいなくなりました。もうすっごく快適で。


――捨てる際に迷いはなかったですか?

Ms.OOJA:最初は迷っていました。でも、徐々に捨てていく中で「やっぱり、いらないじゃん」と思うようになって。最後はスパン! って捨てることができました。


――その潔さ、見習いたいです。

Ms.OOJA:本当に、自分でもびっくりしています。“断捨離”ってそもそも、やましたひでこさんという方が提唱している言葉なんです。今日もその本を持ってきたんですけど、すごく素敵な方で、やましたさんの動画とかも見て、影響されていきました。

今の家は引っ越してから7年目なんですけど、ずっと家が狭いって思っていたんですよ。全然好きになれなくて「引っ越したい、引っ越したい」って思っていたんです。だけど物が減ったらすごく「ちょうどいいじゃん」って思えるようになって。


――『ふやすミニマリスト』とはどうやって出会ったんですか?

Ms.OOJA:ちょうど物を捨てて減らしていっていた時に、本屋さんでこのタイトルに目がいって購入しました。「”増やすミニマリスト”ってどういうこと?」と思って。本にも書いてあるんですけど、著者の藤岡さんは、別にミニマリストじゃないんですよ。それに、「この本はミニマリストになることを勧める本ではありません」と書いてある。もしも無人島で暮らすとなった時に、自分は何を必要としているのか? ということで、一日一つずつアイテムを追加していいよ、ということが書いてあるんです。この場合、現実では無人島じゃなくて部屋を一つ借りて、何もない状態から仕事の後にその部屋に帰って、毎日一個ずつ物を増やしていくんです。


――確かに、“捨てる”とは真逆の行動ですね。

Ms.OOJA:これは“増やす”ストーリーなんですけど、私が物を捨てていく経緯と通ずるものがあって、それは”何が必要か“ということ。断捨離をする上で、すごく参考になった本なんです。それでなくとも、単純にめちゃくちゃ面白い。


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  1. 「断捨離ライフを経て、より一層ポジティブに」
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断捨離ライフを経て、より一層ポジティブに

――その一冊から強く印象に残っていることや学んだことはありますか?

Ms.OOJA:やっぱり、我々はモノのために生きているんじゃなくて、自分のためにモノがある、っていう概念を失いつつある。例えば「このブランドバッグは高かったから捨てられない。今は使ってないけど」と思う時、それはモノが主体になっているから捨てられないんですよね。自分は使っていないのに、物自体が高くて大事だから、っていう。それって、自分を蔑ろにしてないですか? ということなんです。そうやって、自分には何が必要で、何を使って生きているのか、ということを見直す機会になりました。物がたくさんあるのも素敵な人生だと思うんですけど、“使っていないモノがある”っていう状態がもったいないなと思うようになって。


――実際に断捨離ライフを経て、Ms.OOJAさんの思考にも変化がありましたか?

Ms.OOJA:いろんなことが見えるようになってきたし、より一層ポジティブになった気がします。 あと、自分の時間を大切にできるようになったかな。 自分軸で全てを考えられるようになるから。 隙間スペースを空けると、習慣も変わってくるんですよね。今ではお茶を点てるようになったし、お香も炊くようになりました。あと、寝る前に日記を付けて、そこで自分の思考も整理するようになりました。最近ではストレッチもするようになって、いわゆるナイト・ルーティン的なものができるようになったんですよ。これは私にとってすごい変化。モノが減っただけで、こんなに自分に変化が起きるんだって本当に驚いています。


――今日は、もう一冊持ってきてくださっています。

Ms.OOJA:はい。これは『猫に蹂躙されたい人に贈る25のショートホラー』という猫の本で、めちゃくちゃ面白い。


――怖いのか、キュートなのか。

Ms.OOJA:「猫は怖い目には遭いません」と書かれていて、安心して読めます。私は猫好きで、猫三匹と一緒に暮らしてるんですけど、猫を飼ってる人って猫に蹂躙されたいんですよ、基本的に。なので、まさにそれを表現している本だな、と。いろんなお話が収録されているんですけど、本当に怖いものもあれば、猫の愛らしさや猫の良さが伝わるものもあって。短編だからサクッと読んで寝ることができる。猫が好きな人にはぜひおすすめしたい一作ですね。


――ほかにも、トーンが異なる一冊も。

Ms.OOJA:最近読み終わったのが、この『ヤンキーと地元』(著者:打越正行)。沖縄で生まれ育ったヤンキーの人たちが暴走族を卒業して、地元で働いている姿を追ったエスノグラフィーです。彼らに密着して、10年くらい掛けて取材して書いた本なんですよね。風俗業や、解体屋で働いている人もいれば、闇業者に行きそうなった人もいて。時代性もあるのかもしれないけど、暴力がすぐ近くにある生活を送っている人々の生態みたいなものを書いていて、すごく興味深かったです。貧困と切り離せない人も多いし、地元の先輩後輩という関係性が、仕事場でもその延長線上に引き継がれてしまっている。とても興味深かったです。

あとは、『2040年の未来予測』(著者:成毛眞)という本も読んでいて、これはなかなか読み終わらないんですよね。社会系の本って、すごく面白いんだけど、最後まで辿り着けないことも多くて。『サピエンス全史』(著者:ユヴァル・ノア・ハラリ)もそうで、上巻はなんとか読み終わったんですけど、下巻がなかなか読み終わらないんです。


――一生掛けて読みたいロングセラー作品ですよね。今日、名前が上がった作品はミステリーから自己啓発、社会派ルポと、ジャンルも様々。普段から幅広く読まれるタイプなんですね。

Ms.OOJA:そうですね。ここ最近は、「面白そうだな」と思ったらジャケ買いみたいな感じで買ってます。


――これからチャレンジしてみたいジャンルや、今後読みたい本はありますか?

Ms.OOJA:買ったまま、まだ読んでない本があって。川上未映子さんの『黄色い家』という本なんですけど、すごく面白そうなので、寝不足にならないように読み進めていこうと思っています。あと、時代もの! あんまり読まないんですけど、北方謙三さんのエッセイ本を読んだらすごい面白くて。


――『三国志』や『水滸伝』など数々の時代小説で知られる大作家ですよね。

Ms.OOJA:そうなんです。北方さんは私の曲をすごく聴いてくださっていて、ライブにも来てくださったんです。エッセイ本が面白かったので、時代小説も手を出してみようと思っているんですけど、すごく長編なのでなかなか手を出せずにいます。

時代小説を読むと、例えばお城や遺跡といった場所にいったときに、その時代背景とともに楽しめるじゃないですか。日本史に触れるという意味でも、いつか読んでみたいなと。その楽しみは、もうちょっと先に取っておこうと思っています。きっと奥深いと思うので。


――今日は、Billboard JAPANが発表しているブックチャートも一緒にチェックしていただきたいなと思います。

Ms.OOJA:すごい、いろんな種類のブックチャートがあるんですね。『BUTTER』(著者:柚木麻子)や『コンビニ人間』(著者:村田沙耶香)は読みました! 『木挽町のあだ討ち』(著者:永井紗耶子)も映画化ですごく話題になっていますよね。映画化といえば『国宝』(著者:吉田修一)もまだ読めていなくて。吉田修一さんの本は結構好きなんですけど、『国宝』には手を出せていなくて。『殺し屋の営業術』(著者:野宮有)も気になりますね。どんなふうに営業しているんだろう。

こうしてチャートを見ると、すごく参考になりますね。私も作家さんについてあまり知識がないので、逆に自分で選ぶというよりも、おすすめされたものを買いたいんですよ。「これ面白いよ」って誰かに勧めてほしい。なので、このチャートはすごくいい指針になります。私的には、すごくありがたいです。


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