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<インタビュー>まおた「自分の存在を証明する言葉をくれ」ヨルシカの影響などその音楽ストーリーと最新作「獏」へ込めた想い語る



<インタビュー>まおた「自分の存在を証明する言葉をくれ」ヨルシカの影響などその音楽ストーリーと最新作「獏」へ込めた想い語る

 日常を送る中で何気なく動く感情や、世の中に対する意見や主張を自分にしかない声と曲で表現するシンガーソングライター・まおた。1月に発売した1stミニアルバム『#ROOM19』が今も注目を集める中、その存在と音楽をより多くのリスナーに広めるべく早くも最新作「獏」をリリースするこのタイミングで、彼女の人生初となるインタビューを敢行。「獏」についてはもちろん、その音楽人生の過去現在未来について語ってもらった。

 弱冠二十歳の若きアーティストでありながら、多くの共鳴者たちの代弁者になっていくであろう逸材・まおたの想いや独自性、ストーリー等々。約10000字にわたるテキストとなっているので、最後までじっくりとご覧いただきたい。

Interviewer:平賀哲雄

ヨルシカさんの曲をよく弾き語っていました

--人生初インタビューということで、まずまおたさんのルーツから聞いていきたいのですが、音楽に魅了されたきっかけは何だったんでしょう?

まおた:歌うことが楽しいと思い始めたのは小学生ぐらいで、そのときは「人に向けて届けたい」みたいな気持ちはなくて、とにかく「歌えるようになりたい」という気持ちが強かったんですよね。でも、当時、ハチという名義で活動していた米津玄師さんとか、ボカロ以外にも東方Projectとかインターネット発の音楽と出逢ってから、初めて歌詞を意識して聴くようになったりして、それが今の作詞作曲をするスタイルに繋がっているというか、クセとして出てきているんじゃないかなと思います。

--なるほど。

まおた:言葉を、自分の思うものを如何にワンフレーズの中に詰め込むか。ということをしようとしたり。その根源はボカロにあって、そこから歌い手として出てきたAdoさんとかいろんなアーティストを知って、それをまたカバーしたりすることで自分の歌い方の種類として取り入れていったりとか。あと、ギターを始めたのが中学生のときなんですけど、そのときはあいみょんさんとかヨルシカさんの曲をよく弾き語っていました。

--1月31日に代々木LIVE STUDIO LODGEにて【まおた 20th BIRTHDAY ONE MAN LIVE ~はじまりの始まり~】で初めてライブを生で観させてもらったんですけど、ギターがめっちゃ巧いなと思って。

▼<ライブレポート>まおた「しあわせ者ですね、本当に」二十歳の誕生日にウーロンハイで乾杯! 唯一無二のアーティスト性を感じさせた若きシンガーソングライター
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まおた:うれしい(笑)。

--弾き語り系のシンガーソングライターで、あそこまでギターを弾きまくる若手の人って珍しいから驚きましたよ。歌い手でもあるけど、ギタリストでもあるんだなって。

まおた:ありがとうございます。姉が持っていたギターを弾いてみたらハマっちゃって。当時、中学生だったんですけど、授業を受けながら「早く家に帰ってギター弾きたいな」みたいな。で、歌うことも好きだったので、同時に弾き語りも始めたんですけど、自分の好きなアーティストの曲をコピーしていく中で「スラップとかもやってみたい」と思うようになり、気付いたらギターを叩いていました。それもヨルシカさんの「昼鳶」という曲の影響なんですけど、ヨルシカさんを聴くようになって、アコギが印象的な曲も多かったから、n-bunaさんがつくるフレーズ感にもハマったりして。あと、自分の好きなアーティストが誰を尊敬しているのかも、好きになるうえで知る必要があると思っているので、それこそ「昼鳶」のスラップ奏法の元にしたアーティストのインスト曲も聴いて参考にしたりしていました。

--ギターに興味を持って弾き始めるも、難しくて挫折するようなことはなかったんですか?

まおた:なかったです。一度ハマると抜け出せないタイプなんですよ。没頭しちゃう。だから、難しければ難しいほど楽しいと思っちゃって。最初は手が痛くなったり、ギターには挫折しやすいポイントが結構あると思うんですけど、それをクリアーしていくのも楽しくて。出来なくて詰まったあとにもう1回やってみると意外と出来たりする、その繰り返しでなんだかんだ離れずにずっと弾いていましたね。

まおた

▲まおた

--そうしてギター技術も習得していく中で、いつどんなタイミングで「ステージに立って、私は歌うんだ」と思うようになっていくんですか?

まおた:それも中学生からです。ギターを始めた当時は、自分だけで好きなように歌えればそれでいいと思っていたんですけど、ひとつきっかけがあって。学校の掃除とかしてくれる技術員さんっているじゃないですか。その先生が技術員室にギターを置いていて、音楽が好きな人だったんですよね。で、友達とふらっとそこに遊びに行ったらギターがあったから、友達が「今、ギターやってるんだよね? これで歌ってよ!」と言ってきて。当時練習していた曲を軽く弾き語ってみたら「めっちゃ良い!」と言ってくれて、その友達には今でも感謝しているんですけど、そこから部活の後輩とかも「聴きたい!」って集まってくれるようになったんですよね。それでミニ演奏会みたいなことを昼休みに繰り返しているうちに、人前で自分の歌を聴いてもらえることが楽しくなっていったんです。

--それが最初のきっかけだったんですね。

まおた:それで中学を卒業する頃には「自分の曲を人に届けられるぐらい、音楽をやっていきたい」と思うようになって、そこが始まりで自分の声や曲を届けていく楽しさを知り、ちょっと認めてもらいたいという気持ちも当時の自分なりに芽生えていったんだと思います。音楽や歌以外で、それまで得意なものも特になかったですし、運動とか絵とかも秀でたところはなかったので、自分の中で唯一「すごい」と人に言ってもらえるものを突き詰めてやっていきたいなと。なので、高校を選ぶときも「バンドとかやってみたいな」と思って、自分の実力に見合ったところで、主に自分たちの曲をつくる軽音楽部がある学校を探して。で、軽音楽部で活動する為だけに選んだ高校に進学したんですけど、そこで改めて自分の世界観だったり、自分の伝えたいものが明確になっていきました。

--ちなみに、オリジナル曲を書き始めた最初の頃は、どんな曲をつくっていたんですか?

まおた:その当時から人生観、死生観というか、自分の経験の中でツラかったこととか。小学校、中学校と人間関係で悩んできたので、それを曲にすることが多かったです。で、高校の軽音楽部に入ってからは、大会に向けて楽曲を制作していく意識が強くなったので、県大会、全国大会と目指していく中で、その審査員に刺さる曲をどう生み出すか。審査員が見ているのは、高校生の子たちが何を書いてくるかだと思うので、だからこそ自分の負の感情というか、自分が普段言わずに隠してしまうところを出して、さらに鋭く刺すような言葉だったりを意識してつくっていました。それで、高3の最後の大会で全国まで行けたんですけど、結果的に上手く刺していけて。

--そうやって自分の世界観を確立させていったと。

まおた:私は作詞作曲とボーカルを担当していて、ギターとベースとのスリーピースバンドだったから、もちろん他のメンバーのアレンジだったりは加わっているんですけど、そもそもの世界観は私の基盤があるからこそつくれているもので。その高校生の頃から他校のバンドと対バンしたときとかも「世界観が……」みたいな感じで声をかけてもらうことが多くて、そういうまわりの声もあって「これは自分の世界として作っていっていいのかもな」と思えたんです。

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例えば武道館でやることになっても──

--その後、本格的にソロでシンガーソングライターとして活動していくことになったんですか?

まおた:バンド活動は高校生で終えて、そこからはひとりになるから今までやっていた弾き語りをメインで押し出していこうと思って。部活を引退して落ち着いた高3の11月あたりから、ちょくちょくライブハウスに立つようになって。同時期にSNSも始めて、それからはちゃんと人に曲を届けていくようになりました。

--その中で次第にまおたさんのファンも増えていったと思うんですけど、それによって変化した部分ってありました?

まおた:詞における自分の中での方向性。それは聴く人が増えるにあたって変わっていったと思います。それまでは「自分が今まで言えなかったことを書き殴ってやる!」ぐらいの感じで書いていたんですけど、リスナー側の気持ちという新しい視点ができたことで「私はこの曲を通して、最終的に聴いた人にどう思ってほしいのか」と考えるようになってから一気に変わっていきました。例えば「これを聴いたあなたも言えなかったことを「言ってもいい」と思えるようになってほしい」とか「言えなくてもいいから、この曲を聴いているときは素直でいてほしいな」とか、そういう新しい視点が芽生えて。それと共に出てくる詞も考え方も変わったかなと思います。

--その変化が最初にダイレクトに出た曲は、どの曲だったりするんですか?


▲まおた / ぼくらの選択肢「独演」(Music Video)

まおた:「ぼくらの選択肢「独演」」ですね。3曲目ぐらいにリリースした曲なんですけど、私が18歳になった誕生日ぐらいの時期につくった曲で。まだ10代で、自分より遥か年上の人たちに選択肢を妨げられてしまう。進路の選択の時期だったので、いろんな人からいろんな意見を言われえることも多かったですし、その中で何を選んでいけばいいのか。という状況下で生み出した曲なんですけど、似たような状況で聴いた人にも刺さってほしいし、その当時の自分にもいちばん合っている曲だったので、さっき話した部分が顕著に反映されていたんじゃないかなと思います。

スタッフ:「ぼくらの選択肢「独演」」は、まおたが19歳になる手前の1月にリリースしていて。余談なんですけど、そのMVを母校に撮りに行っているんですよ。そしたら、軽音楽部時代の「準グランプリ」の横断幕が今も掲示されていて。

まおた:それを見てもらう機会があったんですよ。高校は今の自分が出来た地なので、何かのタイミングで映像に残せないかなと思っていたんです。で、この曲が出来たのは18歳で、19歳のときにリリースだったので、ストーリー的にもすごく良いものがつくれてよかったなと思っています。

--いろんな意味で分岐点にもなったし、伏線回収もできた曲だったんですね。ちなみに、今、まおたの曲を聴いてくれている人たちは、なんでファンになってくれたんだと思います?

まおた:TikTokで配信することもあるんですけど、いちばんパーソナルな部分というか、自分らしさ。自分がいちばん出せている場所から知ってくれた人たちもいます。あとはやっぱりライブですね。作り込んだライブスタイル、世界観に波長の合う人たち。それプラス、まおたらしいところを受け入れてくれるような、あったかい人たちが毎回ライブに集まってくれているのかなと思います。

--今、自分にとってファンはどんな存在になっていますか?

まおた:本当にあったかいんですよね。私がどんなに形を変えても「いいね」って受け入れてくれるような。だから「私の曲をどんどん届けたい」と思えるような人たちだなって思います。1月に『#ROOM19』という1stミニアルバムをリリースしたんですけど、私はひとりの部屋でギターを弾いていたところからすべてが始まっていて。そこにまず「歌いなよ」と言ってくれる先生や友達が現れて、それからいろんな人がまおたの部屋の中に入ってきてくれたようなイメージがあるんですけど、私自身も部屋に招きたいと思えるようになってきた。そう思わせてくれた存在でもありますね。

--先日の【まおた 20th BIRTHDAY ONE MAN LIVE ~はじまりの始まり~】からもそれは感じました。

まおた:1stワンマンと先日のバースデイライブのコンセプトは近しいものがあって。1stワンマンは完全に今のまおたの部屋のイメージ。で、バースデイライブは新しい拠点をつくっていくイメージだったんですけど、何よりみんなにはじまりを見ていてほしいなと。たぶん、今後いろんなファンが入ってくると思うんですけど、あそこに居た人たちにはそれを見てほしくて、そういう場所に来てもらったんです。で、今後のワンマンも部屋の雰囲気は大事にしたくて、例えば武道館でやることになっても今までやってきたライブの延長線というか、その部屋があるからできるものにしていきたいんですよね。それがひとつの夢です。

まおた

▲まおた

--そういう意味でも、1stミニアルバム『#ROOM19』はここから広がったり、変わったりしていく中での基盤になっていくと思うんですけど、自分的にはどんな印象の作品になっていますか?

まおた:いろんな自分がつくれたかなと思っていて。今までは一辺倒じゃないですけど、「これがまおただよね」というもの一色だったんですよね。そこから入り口を増やしたいなと思って。今までもいろいろインプットしてきたつもりだったんですけど、やっぱり大好きなヨルシカの影響が強すぎたりとか、まず自分自身の取り入れる入り口が少なかったなと思ったんです。なので、1stミニアルバム『#ROOM19』は意識的に自分自身を変えるきっかけになったなって。自分のオリジナルもありつつ、普段聴かないようなものから取り入れた曲調も多いので、まおたの音楽性を広げられた作品だと思っています。

--その『#ROOM19』と先日のバースデイライブから感じたことなんですけど、まおたさんってマインド的にパンクス寄りだなと思ったんですよね。それは何かに抗おうと必死にもがく様みたいなところに感じて。今回の「獏」の自問自答している様もそうですし。ゆえに同じような葛藤を抱えている人たちが「自分のことを歌ってくれている」と共鳴して救われたりする。そういう意味では、代弁者に成り得る人だなと思いました。

まおた:そこが自分のいちばんの強みだとは思っているんですよ。普段の自分は何かを伝えることがヘタだからこそ、曲の中が自分の想いを唯一正直に書ける場所なんですけど、そこに現時点で共鳴してくれる人たちがまおたの音楽を聴いてくれているんだろうなって。ただ、今はそういう人たちをどうやったら増やしていけるのかなって考えています。まおたのいちばんの強さは大事にしつつも、そこに固めすぎない曲もどうつくっていくか。もうオリジナルはあるので、いつでもそれを濃くすることはできるんですけど、上手く薄めてもっと多くの人に聴いてもらえる曲をつくれるようになれば、それこそ入り口をもっと増やしていけるんじゃないかなって。まだ固めきっちゃうのは早いなと思っているので。

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まおたの音楽を届ける為に変われた今の自分が好き

--今回リリースする「獏」は、おそらくそれのターニングポイントになる曲だと思うんですけど、このタイミングで「獏」を世に打ち出そうと思った理由や経緯を聞かせてもらえますか。


▲まおた /獏「独演」(Music Video)

まおた:高校生のときにつくったので、オリジナルが詰まっている曲ではあるんです。ただ、当時、自分の好きなものしか知らなかったまおたが書いた「獏」と、今、いろんなものを食べてきた中で味の違いが分かったまおたが歌う「獏」では、また聴こえ方が変わってくると思って。過去にも弾き語りでリリースしている曲ではあるんですけど、今の自分だからこそ出せる声、表現できる歌になっているので、そこの違いが上手く伝わればいいなと思って改めてリリースすることにしました。

--自分的には、どんな変化を感じたりしますか?


▲まおた /獏(Music Video)

まおた:パッと聴いたときの印象、インパクトからして変わっているなって。昔は良くも悪くもまっすぐに歌っていたんですけど、聴き手からすると、パッと曲を聴いて「詞はどうなんだろう?」と掘り下げようとするかしないかって人によって差があると思っていて。特に若い世代に対しては「冒頭何秒が大事」みたいなところもあるじゃないですか。そこで入り口にも立てないのは悔しいと思うし、だからこそ一声聴こえてきたときのインパクトとか、サビの一発目で入ってくるものとか。歌詞や言葉ってそのあとに入ってくるものだと思うので、今回はそこを重視して、前回の「獏」からアップデートしたものを制作させてもらいました。

--それこそ「より多くの人に届ける為には」を意識してリメイクしたわけですね。

まおた:そうですね。そこはすごく意識するようになったので、音楽はもちろん、まおたという人間自体も変わってきたのかなと思っています。それはビジュアル的なところも含めて。自分の入り口を増やすという意味で、この1年でいろいろ挑戦してきたんですよ。自分を変えてくれた人とか、先輩方とかがいて、良い環境で成長できたなと思っているんですけど、SNSの使い方についてもいろいろ学んで。SNSを見ていると「可愛い子、多いな」とか思うんですけど(笑)、どれだけ音楽をやっていても、歌っている人の見た目で聴くか聴かないか決めつけられてしまうかもしれないじゃないですか。

--あ、そこまで考えているんですね。

まおた:悔しかったんですよ。1年前はおいもちゃんみたいな感じだったから、今は金髪ショートですけど、メイクもいろいろ研究してみたり、ネイルにも行ってみたり、まつパ(まつ毛パーマ)もしてみたり。そういうところを以前は意識していなかったんです。高校生で初めてライブに出てみようみたいな時期は「自分の音楽を聴いてくれ」という気持ちしかなかったので。でも、聴き手からしたら、見た目のイメージで差が生まれるんじゃないかなと思って。それを分かった自分がいて、そうやって人間としてビジュアル面でも入り口を増やしたからこそ、今度はそこを意識している子たちにも自分の音楽が届けられるようになる。そんな感じで、この1年はそういうプライベート的なところでも挑戦をしてきました。関わる人を増やしてみたり、苦手だなと思う人とも積極的に遊びに行ってみたり。自分を変えたくて、いろいろやってきた1年間だった気がします。

まおた「獏」ジャケット写真

▲まおた「獏」ジャケット写真

--今話してくれたことって、すべて自分の音楽を届ける為のサヴァイヴですよね。言わば、戦い。チャラい気持ちで「とりあえず金髪にしてみよーっと!」みたいな話ではないというか。

まおた:そうなんですよ。例えば「昔のほうがよかった」と言われることもあるんですけど、私はまおたの音楽を届ける為に変われた今の自分が好きなんです。もちろん部屋でひとりで歌っていたダークで重ためな自分も好きですし、それはそれでよかったなと思うんですけど、闇を持っている人が言う明るいことと、明るいことしか知らない人が言う明るいことって響き方が違うと思うんですよね。そういう意味でも、音楽性も含めて、いろんな曲をつくろうとしている自分、新しいことに挑戦して新しくなっている自分が今は好きなので。これからも自分が好きだと思うこと、楽しいと思うことをいちばんに進めていきたいなって。

--その変化の結果として、今回の「獏」がより響きやすく、刺さりやすくなっているのであれば、音楽的視点で見ても何も間違っていないですからね。むしろ正しい。

まおた:そう感じ取ってもらえるとうれしいです。

--ちなみに、そもそも「獏」で歌っている自問自答は、何に対する自問自答だったんでしょう?

まおた:嫉妬ですね。当時は音楽というものもやり始めたばっかりなので、まだ比較する対象もそこまでは多くなかったなりにも、人のことを羨ましいとか、誰かと比較してしまうクセがあって。何かを言葉にするのもなかなか難しかったし、まわりには自分より遥か先を行っている人しかいないと思っちゃっていたんです。ゆえの嫉妬。容姿もそうだし、考え方もそうだし、才能もそうだし。そういう人たちの悪いところでもいいから、自分のモノにできたらと。そういう想いを書いた歌詞ですね。

--『#ROOM19』に収録されている「ナリキレナイガール」にも通ずる話ですね。


▲まおた / ナリキレナイガール(Music Video)

まおた:たしかに、そうですね。

--ということは、自分の中での普遍的なテーマなのかもしれない。

まおた:そこは昔から変わっていないと思います。

--それにしても「獏」は鮮烈な曲ですよね。「生きたい。生きたい。言いたい。言いたい。喰いたい。喰いたい。言葉をくれ。」──このフレーズはどんな想いから生まれたものなんですか?

まおた:自分の中に持っている言葉を巧みに使って表現している人を目の当たりにしたときに、自分にはそれがあるのかと思っちゃったときがあって。だから、とにかく自分を表現する、自分の存在を証明するそんな言葉をくれって。他の人に求めちゃっているところでもあるんですけど。

--そこを歌っちゃうのがすごいですよね。そのコンプレックスって隠したいところじゃないですか。それこそ、誰しもプライドや嫉妬心はあるから、だからこそ見せないようにする。でも、それを吐き出しちゃっているところに切実さを感じます。なりふり構っていられない感じというか。

まおた:それも含めて、曲の中では正直に言えちゃうんですよね。

--そんな「獏」。新しく聴いてくれる人の中でどんな曲になっていってほしいなと思いますか?

まおた:聴く人それぞれの人生があって、その人生があるからこそこの曲がどう響くのかは気になりますね。なので、いろんな視点があっていいと思っています。自分にとっては今話したような背景がある曲だけど、ただ単に歌として聴き入れてもらってもいいし、楽しい曲として聴いてもらってもいいし、人によって形は変わっていいと思っているので、この「獏」をきっかけにまおたを知ってもらえたら嬉しいです。

--では、最後に、まおたさんの今後の夢や目標があったら聞かせてください。

まおた:自分が変わったから、まわりも変わっていく流れがいちばん理想的だなと思っているんです。そのうえで目指したいところは、自分が表現してきたステージの先の武道館とか、自分の思っていることを表現し続けてきたからこそ出来るもの。それを実現させたいです。その為にも、パッと声を聴いてもらったときに「まおただね」って分かるような存在になっていきたいと思います。

Interviewer:平賀哲雄

まおた /獏(Music Video)

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