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Tiara『All About Tiara l / Collaboration BEST』10周年記念インタビュー



Tiara『All About Tiara l / Collaboration BEST』インタビュー

メジャーデビュー&着うたブームから10年――

 2009年、着うたブーム時代に『さよならをキミに...feat.Spontania』でメジャーデビューを飾り、女子校生中心に大きな共感を集めたTiara。あれから10年、ラブソングを歌い続けてきた音楽人生の集大成とも言えるベストアルバムを3作連続リリース、その第1弾となる『All About Tiara l / Collaboration BEST』の発売を受け、10周年記念インタビューを敢行した。デビュー秘話から新曲「あいのかたち with K」に込めた想いに至るまで、ぜひご覧頂きたい。

「才能ないから辞めたほうがいい」とかボロクソに言われたりもして(笑)。ただ、そこで辞めなかったから今がある。

--メジャーデビュー10周年、おめでとうございます。2009年に1stシングル『さよならをキミに...feat.Spontania』をリリースし、いきなりの配信100万ダウンロード突破。ヒット曲を生んでからここまで活動してこれたことにはどんな感慨を持たれていますか?

Tiara「さよならをキミに... feat. Spontania」
Tiara「さよならをキミに... feat. Spontania」※クリックで再生

Tiara:本当に「ありがたい」の一言に尽きます。10年間絶え間なく音楽活動をしていた訳ではないんですけど、休みながらも新曲を出させて頂いて、ここまで続けてくることができた。それは今でも聴いて下さっている方がいるからで、そこには感謝しかないですね。

--今振り返ると、どんな10年間だったなと思いますか?

Tiara:自分の人生の中でこの10年がいちばん濃かったんじゃないかな。音楽活動以外に結婚や出産もありましたし。デビュー当時のことをよく思い出すんですけど、着うたブームの時代で、今とリリースの仕方も全然違ったりして、とにかくリリースが多かったんですよ(笑)。CDリリースの1ヶ月ぐらい前に着うたの配信があるから、毎回作業が前倒しになるんですよね。今思うと貴重な経験だったなと思うんですけど、当時は必死でした。

--そもそも音楽の道へ進もうと思ったきっかけは何だったんですか?

Tiara:「小さい頃から歌手になりたくて」みたいな感じでは全然なかったんです。中学生ぐらいの時期に表現方法をすごく模索していて、私は絵が得意だったので、当時はそっちの道へ進むのかなと思って、なんとなく美術学科のある高校に入って絵を毎日画いていて。その中で、学校だから「合格・不合格」「正解・不正解」が先生の中であったりして、それに対して「これってどうなんだろう?」って疑問を抱くようになったんです。「もしかしたら絵じゃない世界にもっと自分に合う表現の場があるんじゃないか」と悩み始めて、そんな時期にたまたま友達が私の履歴書を東京の芸能事務所に送ってしまって。

--それは何系の事務所だったんでしょう?

Tiara『All About Tiara l / Collaboration BEST』インタビュー

Tiara:雑誌のモデルさん。背が低いからモデルさんになんてなれないと思っていたんですけど、審査を通っちゃったから「行くよ」って友達に東京へ連れていかれて(笑)。今思うとすごく有り難かったんですけど、そのオーディションに来ていた子たちって本当にやりたいことが明確で、自分にすごく自信があって、北海道から九州までいろんなところからそういう人たちが集まっていて、みんな自立していてすごく格好良かったんです。そこからデビューして羽ばたいていく子もいる中で、自分は何も定まっていなかったんですけど、とりあえず「自分の表現の場を探しに上京しよう」と思ったのが高校2年生のとき。

--そこが大きな分岐点だったんですね。

Tiara:私は思い立ったらすぐ行動に移したいタイプなので、何をするとか決まってはいなかったんですけど、東京へ行って、不動産屋へ行って「どの辺りだったら住めるかな?」と友達とリサーチして、そしたら「東横線が安心だ」という話を聞いて。

--たしかに、平和なイメージはありますね(笑)。

Tiara『All About Tiara l / Collaboration BEST』インタビュー

Tiara:都立大学駅の近くに住みました(笑)。そこでアルバイトできそうなパン屋さんとかも探したりして。で、高校3年生のときに親に「私は東京へ行く」って話して、あまりにも私がしっかり下調べをしていたものだから、親もビックリして反対しようにもできなくて。それで東京に出てきてから歌を学ぶスクールだったり、お芝居とかダンスとかもいろいろやらせてもらっていく中で「自分の個性ってどこにあるんだろう?」って毎日悩みながら過ごしていて、そんなときにたまたま私の歌を聴いた方が「声がすごく特徴的だね」と言って下さって。そこで初めて「私の歌声って特徴的なんだ?」と知って、歌に対して興味が湧いていった。それが二十歳ぐらいですね。

--では、わりと時間を要したんですね。

Tiara:そうですね。しかも「歌を歌っていきたい」と決めたからと言ってすぐにどうなる訳でもなく、しばらくはオーディションを受けながら、全然通らなかった時期もあって。審査員の方に「才能ないから辞めたほうがいい」とかボロクソに言われたりもして(笑)。ただ、そこで辞めなかったから今がある。

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着うた時代の曲~ラブソングの作り方「題材が欲しくなると、わざと彼氏とケンカしたりしていました(笑)」

--そこで辞めなかった要因は何だったんでしょう?

Tiara『All About Tiara l / Collaboration BEST』インタビュー

Tiara:何だったんでしょうね。でも「表現をしたい」という気持ちが変わらずにあって、自分の胸の内をどこかで表現したかった。だから諦めたくなかったんだと思います。で、20代前半って恋愛でも悩んでいる時期なんで、そこで私自身もいろんな方の曲で励まされていて、柴田淳さんの曲に深く入り込んで聴いたりしていて。

--そこで柴田淳さんの曲を聴いていたということは、結構重い恋愛をされていたんですかね(笑)。

Tiara:重い恋愛してたのかな(笑)? でも、すごく浸りながら聴いていましたね。自分でも歌ったりしながら。それで「自分もこうやって誰かの恋愛や人生を励ましてあげたいな。私の歌で誰かが前に進めたりしたら素敵だな」と思うようになって。そしたら、本当に良いご縁を頂いて、コーラスという立場で様々なアーティストの楽曲を歌わせていくことになったんです。

--ケツメイシの代表曲「さくら」のコーラスもTiaraさんなんですよね。

Tiara『All About Tiara l / Collaboration BEST』インタビュー

Tiara:そうですね。当時、お世話になっていたプロデューサーさんのスタジオで歌のレッスンをして頂いていたら、その方はケツメイシのプロデュースもされていたので、そこにたまたま来ていたレコード会社の方が「レコーディングあるけど、コーラスやってみる?」って何の経験もない私にチャンスを下さって。それでいきなりプロの世界に入れ込まれたんですけど、冷や汗をかきながら歌わせて頂いたことが今に繋がっている。それもすごく感謝しています。そのタイミングで、当時の私は本当に笑えないぐらい貧乏だったんですけど、それでも家に機材を買い込んで、友達とも遊ばず「どうしたら自分の声をもっと生かせるのか」1年ぐらい自分の声について毎日研究したりして。そういう積み重ねがあったから、今日まで歌い続けてこれたのかなとも思いますね。

--文字通りの下積みがしっかりあっての今なんですね。

Tiara:当時、まわりの友達は楽しそうに遊んでいたんですけど、自分にはそういう記憶がないんです(笑)。それだけ歌の研究にのめり込んでいた。だからデビューすることも出来たんでしょうし、ひとつひとつ努力してきたから、それが実を結んだんだと思います。チャンスがやってきても、そこに乗っかれるポテンシャルがないと次に繋がらないですからね。

--Tiaraさんのデビューと着うたブームの到来は同じタイミングだったじゃないですか。そこで女子校生を中心に自身の歌に共感する人が増えていく状況に対しては、どんな気持ちだったりしたんでしょう?

Tiara:自分の年齢と全然違う女の子たちが聴いてくれていたので、正直、最初は戸惑いましたね(笑)。「あ、この世代の子たちがここまで聴いてくれているんだ?」ってビックリしたんですけど、次第に「じゃあ、この子たちにより届く歌を歌う為にはどういった歌詞にしたらいいのか」って考えるようになっていきました。ひらがなで書くのか、漢字で書くのか、そういうすごく細かいところまで意識しながら当時は作っていました。

--今、デビューシングル『さよならをキミに...feat.Spontania』を聴くとどんな感慨を持たれたりしますか?

Tiara『All About Tiara l / Collaboration BEST』インタビュー

Tiara:本当に最初の曲なので、今聴くと恥ずかしいんですけど……(笑)。歌い方も若いし、歌詞も表現方法も若いし、ミュージックビデオの自分も当然ながら若いので、少し照れますね。でも、当時の私だからこそ書けた言葉だし、青臭いけど、あの頃の私だから歌えた曲だから、そういう意味では少し愛おしいです。今の私では書けないと思うので。あと、10年前の曲ですけど、今回のコラボベストアルバム『All About Tiara l / Collaboration BEST』にも収録されるので、そうなるとサブスクとかで今の若い子たちが聴くわけじゃないですか。その子たちにとっては、10年前の曲でも今の曲になる。そこは面白いですね。私は3年休んで復帰して新作をリリースするサイクルで活動してきたんですけど、復帰する度に音楽の聴かれ方が変わっているから、不思議だなと思います(笑)。

--Tiaraさんと言えば「恋の伝道師」というキャッチコピーもあって、ラブソングを……

Tiara:その「恋の伝道師」というキャッチコピー、スタッフさんが当時考えてくれたと思うんですけど、そろそろやめてほしいなと思っていて(笑)。

--たしかに、自分から「恋の伝道師」とは名乗りづらいですよね!

Tiara:ちょっと恥ずかしい(笑)。

--でも、そんなキャッチコピーが付くほどラブソングを10年間歌ってきた身として、自分はどんなラブソングを歌ってきたなと思ったりしますか?

Tiara「ありがとう。愛してた人 feat. Spontania」(short ver.)
Tiara「ありがとう。愛してた人 feat. Spontania」(short ver.)※クリックで再生

Tiara:初期は実体験が多かったので、自分の恋愛経験を通して作っていた曲がほとんどだったんです。なので、何か題材が欲しくなると、わざと彼氏とケンカしたりしていました(笑)。共感してもらえる曲ってハッピーな恋愛を題材にしているものより、どこか切なさがあったりする。そうなってくると、恋愛が上手くいってないときのほうが「あ、曲が書ける!」みたいな。デビュー曲はまさにそういう曲ですし、今回のコラボベスト『All About Tiara l / Collaboration BEST』収録曲の中だと「ありがとう。愛してた人 feat. Spontania」とかもそうですね。すっごい前に付き合っていた人からメールが届いて「これはどういう気持ちで送ってるんだろう?」と思ってSpontaniaに相談して、それをそのまま曲にしたんですけど。

--すごい曲の作り方(笑)。

Tiara:アハハハ!

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Kとのコラボ~今後「第2章のTiaraというか、新しい世界を表現できたらと思っています」

--でも、本当に自身の恋愛経験を歌にしてきていたんですね。

Tiara『All About Tiara l / Collaboration BEST』インタビュー

Tiara:ただ、結婚して、それが出来なくなったので……(笑)。そこからは想像で曲を作ったりすることにやっと挑戦できるようになっていきました。もう新しく恋愛する訳にもいかないので(笑)、何もなくてもイメージで曲を作っていける人に憧れるんですよね。

--今回のコラボベスト『All About Tiara l / Collaboration BEST』で共演してきたアーティストのラインナップの豪華さに改めて驚かされたんですが、この方々との出逢いもTiaraさんにとっては大きかったんじゃないですか?

Tiara:1曲1曲、本当に思い入れがありますし、それぞれのアーティストと過ごしてきた時間の中での会話からも学んだことはたくさんあります。私がずっと憧れていた先輩方ともコラボレーションできたので。例えば、SEAMOさんだったり、MIHIRO ~マイロ~さんだったり、私がデビューする前から知っていた方たちと一緒に歌えたことは本当に嬉しかったですし、歌に対する姿勢、続けていくことの大切さ、そういったこともたくさん教えて頂きました。同世代のアーティストのコラボレーションも、ライバルとして刺激を受ける部分があって、また違う化学反応が生まれたりして。なので、今回のコラボベスト『All About Tiara l / Collaboration BEST』は、私のソロでは絶対に生まれなかった楽曲ばかりだと思います。

--そのコラボベスト『All About Tiara l / Collaboration BEST』には、新曲も収録されています。Kさんとのコラボ曲「あいのかたち with K」。どんな経緯で実現した共演だったんでしょう?

Tiara「あいのかたち with K」MUSIC VIDEO
Tiara「あいのかたち with K」MUSIC VIDEO ※クリックで再生

Tiara:「新しくどういう曲を歌おうか?」とここ1年ぐらい悩んでいたんです。3年ぶりの新曲ですし、コロナ禍という状況下で、どんな曲が共感してもらえるのか悶々と考えていて。そんな中で「コラボレーションしましょう」という話になって、そのお相手をして頂くアーティストは関係性がある方がいいなと思ったときに、Kくんのことがパッと浮かんだんです。Kくんとは、2013年にライブでお会いしていて、私は人見知りなので、初対面の方には透明の壁を作ってしまうんですけど(笑)、Kくんはスッと心に入ってきてくれた人だったんです。で、おしゃべりも楽しいですし、歌声も素晴らしいですし、すごく素敵な人間力を持っている方だから「またご一緒できたらいいな」と思っていたので、今回お声掛けさせて頂いて。

--待望のコラボレーションだったんですね。

Tiara『All About Tiara l / Collaboration BEST』インタビュー

Tiara:実現できて嬉しいです。Kくんも結婚されて、お子さんも生まれて、お互いに同じようなタイミングで家族を持ったりしているので、そういう話もしたりしていく中で「そんな僕たちがどういう曲を歌うか、すごく大事だね」と。ただのラブソングだとリアルじゃないし、それぞれに家族を持つ経験をしたからこそ、もっと広い意味でのラブソングを歌おうと、それで作っていった楽曲が「あいのかたち with K」。やっぱり長く恋愛していくと、最初の頃のような関係性をずっと保つのは難しいし、結婚しちゃうとお互いに役割が変わったりして、夫婦でデートする機会もなくなっていってしまう。そんな話をKくんとしながら、私も旦那さんの愚痴を言ったりして(笑)。でも「そんなリアルな感じの言葉も入れ込めたらいいね」とか、いろいろディスカッションしながら作らせて頂いたので、ぜひ多くの人に聴いてもらいたいです。

--では、最後に、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

Tiara:10周年を迎えて、11年目になるんですけど、ここまで歌ってこれたのは本当にファンの皆さんのおかげなので、心から感謝しています。今後は子育てをしながらの活動になるんですけれども、新しい自分を私も知りたい気持ちがありますし、その一方でカバー曲もまた歌いたいなと思っていますし、まだまだやりたいことがたくさんあるので、10年を区切りとして、第2章のTiaraというか、新しい世界を表現できたらと思っています。なので、これからも応援よろしくお願いします!

Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada

Tiara『All About Tiara l / Collaboration BEST』インタビュー

Tiara「All About Tiara Ⅰ / Collaboration Best」ダイジェスト映像
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