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<SONG REVIEW>Raffine Inspire「リセットノススメ」~忙しない日々を懸命に生きる人々へ~



<SONG REVIEW>Raffine Inspire「リセットノススメ」~忙しない日々を懸命に生きる人々へ~

 近年叫ばれるようになった女性の社会進出の増加に伴い、華麗な活躍を見せる女性が増えているが、苛立ちや悔しさ、鬱憤などを、笑顔の裏に隠さなければならない場面も多いはず。そんな忙しない日々を懸命に生きる人々へ届けられたのが、Raffine Inspireによる「リセットノススメ」である。

 この「リセットノススメ」は、“働く女性が身も心もリセットできるような曲”として制作された楽曲。2019年3月13日の配信リリースとなるが、先んじてミュージック・ビデオが公開されている。歌詞を忠実になぞらえ、ストレス社会を象徴するような瞬間、ありふれた日常の風景を映し出しながらも、爽やかな印象を与えてくれる映像。働く女性であれば誰もが共感できるものとなっている。

混み合う電車に揺られて
人かき分けて出社して
遅くまで残業をして
直したメイクまた崩れかけ

 そして、心が折れかけたとき、ふと頭に浮かぶ、社会への反抗。

パワハラ上司に大ビンタ
大事な書類 即シュレッダー
眠たい会議に爆音ミュージック
撒き散らすシャンパンパーティー

 こんな妄想もまた、働く女性であれば誰しも一度は思い描いたことがあるはずだ。声を大にして言えることではない。実現も難しいだろう。それを“リフレッシュ・ソング”として世に出し、可視化してくれたのが「リセットノススメ」である。

<SONG REVIEW>Raffine Inspire「リセットノススメ」~忙しない日々を懸命に生きる人々へ~

 臨床心理学においては「共感的理解」が重要なファクターだというように、自分の気持ちを代弁してくれているような作品は、たった一人で頑張っているような気がするとき、言い知れぬ孤独を感じるとき、いつでも安心感を抱かせてくれる。例えばSNSで「イイネ!」をもらえたときに喜びを覚えるのも、人と理解し合えた実感を得られるから。価値観の多様化が進む現代において、共感を呼ぶのは簡単なことではない。しかし、普遍的な日常を、ユニークに表現している「リセットノススメ」は、あなたを頷かせ、くすりと笑わせてくれるのではないだろうか。

<SONG REVIEW>Raffine Inspire「リセットノススメ」~忙しない日々を懸命に生きる人々へ~

 また、開放感のあるキャッチーなサウンドも肝である。ロックなエレキギターと弾けるピアノ、色とりどりのストリングス。切ない気持ちをそのまま音にしたような序盤から、想像上の世界を彩るカオスな旋律へと続く、目まぐるしい展開。MVのサビ部分では、OL役で出演しているモデル・タレント・女優の井元まほが、雲一つない青空の下で飛び上がっているが、疾走感あふれる楽曲があってこそ映えるシーンだろう。

今飛び出したんだ 今飛び出したんだ
自由な 自由な 自由な世界に
今抜け出したんだ 今抜け出したんだ
錆ついた 錆ついた 錆ついたメリーゴーランド

<SONG REVIEW>Raffine Inspire「リセットノススメ」~忙しない日々を懸命に生きる人々へ~

 ボーカリストの正体はベールに包まれているものの、女性らしい柔らかさを含んだ伸びやかな歌声には、“働く女性”の切なさと強かさ、歌詞の通り“自由”が見事に落とし込まれている。グループ名にある「Raffine」(ラフィネ)は、フランス語で「洗練された」「上品な」といった意味だが、まさにその言葉通り。正体が明かされるのか否か、その動向にも注目したいところである。

<SONG REVIEW>Raffine Inspire「リセットノススメ」~忙しない日々を懸命に生きる人々へ~

 世の中には「音楽療法」なるものも存在するように、いつの時代も音楽は人の心を癒してきた。実際の生活にそうそう変化は訪れないが、だからこそ、リフレッシュすることは生きていく上でとても大事なことなのだ。その中でも、勇気や力を与えることを目的として誕生した「リセットノススメ」は、より多くの人の気持ちを晴れやかにしてくれるに違いない。不思議と、新しい朝を迎えられるような、そんな気がするのだ。

何度でも 何度でも リセットして

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