2016/11/16 08:00
11月16日は、日本ではじめて蓄音機を使って録音・再生実験がおこなわれた日。これにちなみ、日本記録メディア工業会(現在は解散)がこの日を「録音文化の日」に制定している。
ある年代以上の音楽リスナーにとっては、もっとも身近な「録音・再生」メディア=カセットテープだった。テレビやラジオの音声を録音する「エアチェック」、友人あるいはDJによるオリジナルの「ミックステープ」など、カセットテープの存在はいつの時代も音楽リスナーの強い味方だった。そして、多くの人にとって「好きな音楽を持ち歩く」の始まりも、きっとカセットテープだったに違いない。
その後、MDやCD-Rなど記録媒体は変遷したが、レトロで厚みのある音質や「A面」「B面」といったレコード時代から受け継いだ良さ、そして味のあるルックスで、音楽界はもちろんデザイン・ファッション界でもカセットテープがここ数年、ふたたび注目を集めている。
現在は取り込まれた音源を手元で並び替えるだけで、誰もがオリジナルのプレイリストやミックスを簡単に作成できる時代。だからこそ、音楽シーンの変遷とともに記録媒体の移り変わりを体感してきたリスナーは、録音にかける手間ひまや不便さ、さらに「テープが伸びて聴けなくなる」というカセットテープならではの悲しい側面も、今、より一層愛しく感じられるに違いない。
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