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<インタビュー>aiko “これが最後になってよかった”と思える生き方を――ライブでの熱と想いを閉じ込めた17thアルバム『最後に熱い日々を狂わしき想いで』

Interview & Text:森朋之
aikoからニューアルバム『最後に熱い日々を狂わしき想いで』が届けられた。
通算17作目のフルアルバムとなる本作には、「シネマ」(日本テレビ系ドラマ『アンサンブル』主題歌)、「カプセル」(TVアニメ『アポカリプスホテル』エンディング主題歌)、シングル表題曲「Cry High Fly」に加え、「あなたの花の色」(TVアニメ『アオのハコ』Season2 オープニング・テーマ)など13曲を収録。さらに初回限定仕様盤には2025年に開催されたアリーナツアー【Love Like Pop vol.24.9】から、2025年12月31日に大阪城ホールで行われたカウントダウンライブの模様を収録したBlu-ray / DVDが付属している。
去年から今年にかけて「ライブモードでした」というaiko。生々しいライブ感に溢れたボーカルは、本作のなかでさらに躍動し、大きな魅力へとつながっている。聴く者の感情と身体を揺らしまくるこのアルバムについて、aiko自身に語ってもらった。
“初めて”も少なくなってくるけど、
私は0も、100の感情も感じていたい
――ニューアルバム『最後に熱い日々を狂わしき想いで』、素晴らしいです。大切な人への思いが深く伝わってくる作品ですが、aikoさんの手ごたえはどうですか?
aiko:まず、アルバムをリリースできることがとってもうれしいです。毎日聴いてます(笑)。
――リピートしたくなりますよね。
aiko:そうなんですよ。お化粧しながら聴いていると「あ、もう終わった」みたいな感じがあって。今回はライブみたいな感じのアルバムにしたかったんですよね。曲順を決めるときもセトリみたいなイメージがあって。いろんなテンポ感の曲があるのもライブっぽいなって。去年から今年にかけてずっとライブをやってたし、制作中もそのモードが続いてたんですよね。
――『最後に熱い日々を狂わしき想いで』というタイトルについては?
aiko:「Darling」の歌詞にある言葉なんです。「私、どんな歌詞を書いたかな」って読み直したときに、このフレーズがアルバムの顔になるんじゃないかなと思って。
――どこか切ないイメージがあるタイトルですよね。いつか最後が来るんだけど、それまでは熱い想いでいたいというか……。
aiko:ライブのときはいつもそうなんです。「これが最後になってよかった」と思えるようなライブをやりたいし、人生もそういうマインドでいられたらいいなって。0から100くらいの感情のなかで、大人になると50くらいの日が多くなる気がして。“初めて”も少なくなってくるけど、私はやっぱり0も100も感じていたいんですよね。
――なるほど。aikoさんのライブは本当に一期一会というか、見るたびに新鮮な気持ちにさせられます。
aiko:“初めて”を見たいんです。お客さん、バンドのみなさん、スタッフのみなさん、もちろん私もそうなんですけど、「初めてだな」と感じてもらえることが一つでも起きたらいいなって。それがたまらなく好きだし、大好物なんですよ(笑)。
『最後に熱い日々を狂わしき想いで』trailer movie / aiko
――では、収録曲について。アルバムの1曲目「君の言う通り」は、aikoさんのアカペラから始まる楽曲です。
aiko:運転しているときに思い付いた曲なんですけど、そのときから「アカペラで始めたいな」と思ってたんです。〈君の街では冬の匂いはもう届いてるか〉から始まるし、冬のイメージもちょっとあって。島田さん(アレンジャーの島田昌典)にも「冬のしんしんとした感じがいいです」とお願いしました。季節感を意識することはあまりないので、新鮮で楽しかったですね。
――2曲目の「淡い」は鋭いギターが炸裂するアッパーチューン。
aiko:ロックです! これはまさにライブをイメージしていて。1月から6月までやっていたツアー(【Love Like Pop vol.25】)が自分にとってすごく大きかったんです。大変なこともあったけど、だからこそバンドのみなさん、スタッフのみなさんとグッと一つになれる瞬間があったり、そのマインドがずっと続いていて。「淡い」はそのモードのなかで出来た曲だと思います。
――ボーカルにもライブ感があって、めちゃくちゃ生々しいですよね。
aiko:ライブな感じで歌ってました。血管がモリモリしてくるような勢いがないと歌えないんですよ、この曲(笑)。でも、それがすごく気持ちよくて。ライブでも思い切り歌いたいし、みんなが楽しくなれる場を作れたらいいなと思ってます。
――「Darling」のゆったりとしたボーカリゼーションも印象的でした。トランペットと歌が絡むパートも聴き所ですね。
aiko:デモ音源を作ってるときに、フェイクのパートを入れたくなって。いつもお世話になっているトランペット奏者の小林太さんが吹いているイメージで歌ってみたんですけど、島田さんがちゃんと小林さんが吹いている雰囲気でアレンジしてくださいました。この曲もそうだし、「淡い」や「Cry High Fly」もそうなんですけど、島田さんのアレンジは“構築されてる自由”だと思ってて。私はすごくアバウトで(笑)、MCでも曲作りでもそうなんですけど、「こっちのほうがいいな」と思ったら、その前のことをすぐ忘れちゃうんです。「作りたい!」「こうしたい!」という瞬発力を真空パックするのが好きなんですけど、アレンジって積み重ねだし、構築じゃないですか。島田さんはそれが本当にすごくて、レコーディング現場でミュージシャンの人に「ここってどういう感じですか?」と聞かれると、すぐに答えられるんですよ。頭のなかで全部出来上がっていて、音が鳴ってるんだろうなって。もう30年くらいお世話になっているんですけど、いつもフレッシュだし、ステージでも目がバッキバキで(笑)。まだ知らない島田さんにいまだに出会えるんです。「何でなんですか?」って聞いたら、「音楽が好きやからね」って。
――かっこいい!
aiko:ですよね! ここ数年アレンジは、島田さん、トオミヨウさん、川嶋可能さんにお願いしているんですけど、トオミさん、川嶋さんのアレンジも本当にすごいんですよ。アレンジが上がってくるたびに感動するし、新しいところに連れていってもらえる感じがあって。いつもありがたいなって思ってます。
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年齢を重ねて、
自分と向き合うのが楽しくなってきた
――「あなたの花の色」のアレンジはトオミさんですが、イントロからすごくオシャレで。
aiko:“トオミポップ”ですよね。
――〈さようならまたねと笑うのは凄く先で良い〉というフレーズも心に残りました。
aiko:年齢を重ねたから浮かんできた歌詞かもしれないですね。50歳になったんですけど、だんだん自分と向き合うのが楽しくなってきているんです。自分で自分を試しているというか、ちょっと俯瞰して「これからどんな歌詞を書くんですか?」みたいな感じがあって。それも楽しいし、新しいなって思ってます。
あなたの花の色 / aiko
――そして「桃水色」には〈泣くのも怒った時も笑って流れる涙も/あたしで拭いてほしいの〉という歌詞があって。柔らかくて愛らしいメロディと切ない歌詞のコントラストが素晴らしいなと。
aiko:ありがとうございます。好きな人からいろんな話を聞くんだけど、「でもこの人は私のことを好きじゃないんだろうな」と思っていて。そんなふうに時間が過ぎていく……という歌ですね。ときどきね、「この後、天気が悪くなります」という日の夜明けくらいに空が“桃水色”になることがあるんです。
――どんな色なんですか?
aiko:白に近い、薄い水色にちょっとピンクがかかっているような感じです。夜中から電話しはじめて、気付いたら空が明るくなって。空はすごくきれいだけど、「この人が本当に好きなのは私じゃないんだよな」「でもこうやって話ができるのはうれしいな」という。スマホじゃなくて、ガラケーで話しているイメージもあるかもしれません(笑)。
――「あせとなみだ」は〈かなしいことがあったひも/ふろにはいってあせかいて〉というフレーズから始まる曲。このフレーズだけで、主人公の女性の状況がリアルに浮かんできました。
aiko:「疲れたけどお化粧落とさなくちゃ」とか「お風呂も入らなくちゃ」みたいな時ってあるし、そういう曲を作りたいマインドだったんですよ。寝る前にモヤモヤした気持ちになってしまって、でも「カップラーメン食べたいな」とか思ったり(笑)。がんばってお風呂に入って、「ちょっと楽しかったし、0.4kg痩せたから、良しとしよう」みたいに自分で調整する、帳尻を合わせるのも嫌いじゃないんです。そういう時間にいろんなことを考えたりできるし、リセットもできるので。
――アルバムのラストは「マイスイートピアノ」。〈あぁもうどちらかが壊れるまで一緒にいれたらいいな〉など、ピアノへの強く深い想いが伝わるバラードです。
aiko:私、電子ピアノを2台持ってるんです。最初の1台は20歳くらいのときに買って、2台目は12〜13年前に買って。音色が変われば作る曲の幅も広がるかもしれないなと思って買ったんですけど、最初のピアノもぜんぜん壊れてなくて、電源入れたらすぐにつくし、音もまったく変わってなくて。「しばらく弾いてなかったな。ごめんな」と思って書いたのがこの曲ですね。
――本当に奥深い想いが込められていて。アルバム全体そうですけど、感情の機微がリアルに感じられる作品ですよね。
aiko:曲を作っているときもレコーディングも、同じように楽しめたのもよかったなって。あとで振り返って「17枚目のアルバムはこんな感じだったな」と思い出せる作品になったと思います。
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最後に熱い日々を狂わしき想いで
2026/10/21 RELEASE
PCCA-15048 ¥ 3,520(税込)
Disc01
- 01.君の言う通り
- 02.淡い
- 03.Cry High Fly
- 04.Darling
- 05.カプセル
- 06.あなたの花の色
- 07.グミ
- 08.あせとなみだ
- 09.桃水色
- 10.忘れ荘
- 11.シネマ
- 12.青春朱夏
- 13.マイスイートピアノ
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