Billboard JAPAN


Special

<インタビュー>Kroi 「SPIN」で潜った“自分の内側”という荒野――『ジョジョ』の混沌と交差する、もの作りの旅

インタビューバナー

Interview & Text: 天野史彬
Photo: Kaito Ono

 Kroiから届けられた新曲は、アニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』のオープニング主題歌として書き下ろされた「SPIN」。物語の舞台となる西部開拓時代のアメリカを想起させる勇壮なメロディとビート、そこにKroiらしいカオティックなファンクネスが混ざり合う、かなり独創的かつ痛快な一曲に仕上がっている。実際、この曲はリリース直後からアメリカを中心にストリーミング再生が急増しており、“世界でヒットしている日本の楽曲”をランキング化するBillboard JAPANのグローバルチャート“Global Japan Songs Excl. Japan”で1位を獲得[2026年10月8日公開チャート]。世界にもその勢いを広げている。
 話を聞けばそこには、アニメソングという日本独自のポップソングの在り方や、内田怜央(Vo.)のルーツにあったベンチャーズなど、Kroiと密接に繋がる文化を掘り下げることで、誰も見たことのない新たな世界を描き出そうとするKroiの飽くなき探求心と表現欲求があった。残念ながら益田英知(Dr.)は体調不良で欠席となったが、残るメンバー4人に「SPIN」制作秘話を聞いた。

『ジョジョ』の世界観に触れて感じたこと

――新曲「SPIN」はアニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』のオープニングテーマ曲ですが、Kroiの皆さんにとって『スティール・ボール・ラン』、ひいては『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズはどのような作品ですか?

長谷部悠生(Gt.):メンバーの中では僕が特に『ジョジョ』が大好きで、かなり読んでいます。中でも『スティール・ボール・ラン』がいちばん好きだったんですよ。そもそも僕は西部開拓時代の世界観が好きだったし、それと『ジョジョ』の組み合わせは、僕にとっては大好きと大好きのコラボレーションなので。今回、オープニング主題歌の話をいただいたときは本当に嬉しかったし、ビックリしました。

内田怜央(Vo.):自分は『ジョジョ』にはまだ触れたことがなかったんですけど、周りに濃密に好きな人たちがいる作品なので、いつか触れてみたいとは思っていて。そういう意味でも今回はいい機会でした。

――『ジョジョ』の世界観に触れて、どんなことを感じられましたか?

内田:やっぱり凄いですね。のめり込みます。俺が好きな作品は「この作品に戻ってこないと味わえない空気感や感覚がある」と思わせてくれるんです。『ジョジョ』はまさにそうで、ここに戻ってこないと味わうことのできない感覚がある。その世界観構築の凄さに感動しました。


アニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』ノンクレジットオープニング映像|Kroi 『SPIN』

――「SPIN」はエンリオ・モリコーネの映画音楽を思わせる要素があったり、同時にKroiらしいファンクネスもあったりと、凄くオリジナリティあふれる楽曲です。どのようなイメージを持って作られましたか?

内田:先が見えない荒野を、それでもゴールがあると思いながら進むしかない。そういうイメージはありましたね。自分の心の中にある目標に向かって進んで行きたいけど、それが本当にこの方向で合っているのかわからない。それでも進むしかない。そういう感覚って、『スティール・ボール・ラン』にもあるものだと思うし、もの作りの旅においてもあるものだと思うので。

――「心の中にある目標」と仰いましたが、歌詞の〈まだあるフロンティアは内側〉というフレーズはまさに、目指すべきゴールを自分の内側に見定めている感覚があります。

内田:そうですね。たとえば歌詞を書くときも、外側から持ってきたもので書くことはできないんです。自分の内側にあるものでしか書くことができない。だから結局、自分の中を潜っていくしかないんです。

――「荒野」や「砂地」というイメージは、これまでのKroiの楽曲にも出てくるものでしたよね。

内田:そう、不思議なんですよね。数年前には「Funky GUNSLINGER」という曲も作りましたけど、そうやってタイアップも関係なく「自分たちで砂地をフィールドにした曲を書いてみよう」と思って研究していたら、アラビアンなテイストの作品からオファーが来たり、砂漠を舞台にした作品からオファーが来たり、今回は西部開拓時代を舞台とした作品からオファーが来た。何かが舞い降りてきている感じがしますね。

――結果的に、「SPIN」は今の日本の音楽シーンの中でも極めて独創的なサウンドに仕上がっています。

内田:今の日本のメジャー音楽シーンにはいないですよね。こういうモリコーネぽい感じとか。あと、俺の中にはベンチャーズのイメージもあったんです。俺が初めてバンドを組んだのって、子どもの頃に知り合いのおじさんに組まされたベンチャーズのコピバンだったんですよ(笑)。そこでドラムを叩いていたので、ベンチャーズは自分の基礎にあるんです。ベンチャーズってサーフミュージックのイメージがある人も多いかもしれないけど、俺は「Apache」なんかを聴きながら「西部劇っぽいな」と子どもの頃から感じていて。そういうノリの曲を長谷部に挑戦してもらいたいという気持ちもあったし、それに日本で楽器を弾く人の中には、基礎にベンチャーズがある方も多いんですよね。俺も初めてギターで弾いたのは「Pipeline」だったし。でも、それを全面に出した音楽は今少ない。だから、そういうものを皆さんにもう一度お届けしたい、という気持ちもありました。

――長谷部さん、関さん、千葉さんは、「SPIN」の制作にはどのように向き合いましたか?

長谷部:アンサンブルの中で荒野の情景を想像させる担当はギターだったので、馬の泣き声のような音を入れてみたり、モリコーネの印象的なフレーズを引用してみたり、自分の好きなものを混ぜ込む隙間がたくさんあって、かなり楽しかったですね。

――長谷部さんは西部劇をイメージした衣装でライブをされることもありましたし、こういうウエスタンなテイストはかなりお好きですよね?

長谷部:そうなんです。さっきの怜央のベンチャーズの話じゃないですけど、自分が小さい頃好きだったものに後から改めて気づくことってあって。さっき話に出た「Funky GUNSLINGER」を作るときに西部劇映画を観て研究したりもしたんですけど、そのもっと前の中学生の頃からスティーヴィー・レイ・ヴォーンが好きだったりして、ずっと相性がいいんですよね。

――関さんは、ベースに関してはいかがですか?

関将典(Ba.):今回は悠生が西部っぽさや『スティール・ボール・ラン』の世界観を表現する役割を担ってくれているので、僕はサウンドにハイファイさを残して、アニメオープニングとしてのパワー感や勢いを担おうと思いました。ただその中で、馬の足音のようなニュアンスを入れてみたりして、正解感を意識した部分もありますね。

――千葉さんは鍵盤とミックスの部分で言うとどうでしょう?

千葉大樹(Key.):鍵盤で重視したのは勢いですね。どういう譜割りで弾いたらビートに合って勢いが出るのか、刻み方が難しかった覚えがあります。あとミックスに関して言うと、今回はアニメで流れるバージョンは俺のミックスだけど、リリースされるのは他の方のミックスで、ネイサン・ボディさんという方にお願いしているんです。レーベルのボスから「他のミックスの方にお願いしてみる?」という提案があって。

――そうなんですね。「SPIN」は聴いていると広大な風景が広がっていくようなスケールの大きさがあり、同時に、インナーワールドを覗き込んでいくような密室的なカオティックさも感じます。このカオスな感じはやはり印象的です。

内田:今回はアニメソングという、日本の文化の中で積み重ねられてきたものの特殊さに向き合いたい、というのもありました。こうやって何重にもレイヤーが重なっていて、展開が速くて、しかも歌もの。こんな音楽、日本以外でなかなかないと思うんです。そういう日本のアニメソング的エッセンスも入った、ここ最近ではいちばんカオスな曲になったと思います。トラック数も多かったし、デモの段階で一旦消していたホーンを最後に「やっぱり入れよう」と戻したり、益田さんが入れてくれたアルペジエイターもいいエッセンスになっていて。あの機械的な音があることで、この曲はただのウエスタンの再現ではなく、それを基にした新たな世界の話なんだ、ということが伝わると思うんです。

――「ウエスタンの再現ではなく、新たな世界の話」というのは、まさに聴いていると実感します。

内田:いろんなものを詰め込みまくっていて、その1個1個に意味があって、その集合体がKroiと『スティール・ボール・ラン』を繋げる曲になった。そんな感覚があります。俺が『ジョジョ』に触れて好きになったところは、あの“混沌”でもあるんです。前提はファンタジーだけど、その“混沌”があることによって、人と人とが絡み合い、ストーリーがぐにゃぐにゃ曲がりくねり、作品全体がリアルになっていく。そういうところが凄く「人生のようだな」と思うんですよね。そういうものを、この曲でも表現できていればいいなと思います。


関連キーワード

TAG

関連商品

SPIN
Kroi「SPIN」

2026/10/28

[CD]

-

SPIN
Kroi「SPIN」

2026/10/28

[CD]

-

SPIN
Kroi「SPIN」

2026/10/28

[CD]

-

Method
Kroi「Method」

2025/07/16

[CD]

¥4,950(税込)

Method
Kroi「Method」

2025/07/16

[CD]

¥1,100(税込)

Method
Kroi「Method」

2025/07/16

[CD]

¥4,950(税込)

Unspoiled
Kroi「Unspoiled」

2024/06/19

[CD]

¥3,300(税込)

Unspoiled
Kroi「Unspoiled」

2024/06/19

[CD]

¥6,050(税込)

Unspoiled
Kroi「Unspoiled」

2024/06/19

[CD]

¥6,050(税込)

Sesame
Kroi「Sesame」

2024/01/17

[CD]

¥1,100(税込)

Sesame
Kroi「Sesame」

2024/01/17

[CD]

¥4,620(税込)

Sesame
Kroi「Sesame」

2024/01/17

[CD]

¥4,620(税込)

Hyper
Kroi「Hyper」

2023/10/25

[CD]

¥1,100(税込)

Hyper
Kroi「Hyper」

2023/10/25

[CD]

¥2,750(税込)

Hyper
Kroi「Hyper」

2023/10/25

[CD]

¥2,750(税込)

MAGNET
Kroi「MAGNET」

2023/03/29

[CD]

¥1,650(税込)

MAGNET
Kroi「MAGNET」

2023/03/29

[CD]

¥4,400(税込)

MAGNET
Kroi「MAGNET」

2023/03/29

[CD]

¥4,400(税込)

telegraph
Kroi「telegraph」

2022/07/27

[CD]

¥2,970(税込)

telegraph
Kroi「telegraph」

2022/07/27

[CD]

¥4,950(税込)

telegraph
Kroi「telegraph」

2022/07/27

[CD]

¥4,950(税込)

nerd
Kroi「nerd」

2021/11/17

[CD]

¥3,300(税込)

nerd
Kroi「nerd」

2021/11/17

[CD]

¥1,650(税込)

LENS
Kroi「LENS」

2021/06/23

[CD]

¥2,970(税込)

LENS
Kroi「LENS」

2021/06/23

[CD]

¥4,400(税込)

STRUCTURE DECK
Kroi「STRUCTURE DECK」

2021/01/27

[CD]

¥1,650(税込)

STRUCTURE DECK
Kroi「STRUCTURE DECK」

2021/01/27

[CD]

¥1,650(税込)

SPIN
Kroi「SPIN」

2026/10/28

[CD]

-

SPIN
Kroi「SPIN」

2026/10/28

[CD]

-

SPIN
Kroi「SPIN」

2026/10/28

[CD]

-

Method
Kroi「Method」

2025/07/16

[CD]

¥4,950(税込)

Method
Kroi「Method」

2025/07/16

[CD]

¥1,100(税込)

Method
Kroi「Method」

2025/07/16

[CD]

¥4,950(税込)

Unspoiled
Kroi「Unspoiled」

2024/06/19

[CD]

¥3,300(税込)

Unspoiled
Kroi「Unspoiled」

2024/06/19

[CD]

¥6,050(税込)

Unspoiled
Kroi「Unspoiled」

2024/06/19

[CD]

¥6,050(税込)

Sesame
Kroi「Sesame」

2024/01/17

[CD]

¥1,100(税込)

Sesame
Kroi「Sesame」

2024/01/17

[CD]

¥4,620(税込)

Sesame
Kroi「Sesame」

2024/01/17

[CD]

¥4,620(税込)

Hyper
Kroi「Hyper」

2023/10/25

[CD]

¥1,100(税込)

Hyper
Kroi「Hyper」

2023/10/25

[CD]

¥2,750(税込)

Hyper
Kroi「Hyper」

2023/10/25

[CD]

¥2,750(税込)

MAGNET
Kroi「MAGNET」

2023/03/29

[CD]

¥1,650(税込)

MAGNET
Kroi「MAGNET」

2023/03/29

[CD]

¥4,400(税込)

MAGNET
Kroi「MAGNET」

2023/03/29

[CD]

¥4,400(税込)

telegraph
Kroi「telegraph」

2022/07/27

[CD]

¥2,970(税込)

telegraph
Kroi「telegraph」

2022/07/27

[CD]

¥4,950(税込)

telegraph
Kroi「telegraph」

2022/07/27

[CD]

¥4,950(税込)

nerd
Kroi「nerd」

2021/11/17

[CD]

¥3,300(税込)

nerd
Kroi「nerd」

2021/11/17

[CD]

¥1,650(税込)

LENS
Kroi「LENS」

2021/06/23

[CD]

¥2,970(税込)

LENS
Kroi「LENS」

2021/06/23

[CD]

¥4,400(税込)

STRUCTURE DECK
Kroi「STRUCTURE DECK」

2021/01/27

[CD]

¥1,650(税込)

STRUCTURE DECK
Kroi「STRUCTURE DECK」

2021/01/27

[CD]

¥1,650(税込)