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<ライブレポート>SKRYU「みんなの光る眼が尊い星に見えた」――“The Light”を再発見したアリーナ公演の夜

ライブレポートバナー

Text:黒田隆憲
Photo: Fumi/JUNYA Thirdeye S-STEADY


ラッパーのSKRYUが8月29日、神奈川・ぴあアリーナMMにて【SKRYU Super Live 2026「The Light」】の初日公演【PINK -Moonlight Paradise- with Secret Guests】を開催した。翌30日の【SEPIA -Midnight Rendezvous-】と対をなす2DAYS公演で、この日は豪華ゲストを次々と招き入れながら、これまでのキャリアを一望する全25曲を披露。まばゆい光と笑いに満ちた祝祭を繰り広げつつ、終盤では胸の内にあった悔しさを吐露。未来への決意を刻む一夜となった。


Photo by JUNYA Thirdeye S-STEADY

ステージ後方と左右を覆う巨大LEDに映し出されたのは、SKRYUがピンクのスポーツカーを走らせ、ぴあアリーナMMへ向かうオープニングムービー。ミラーボールマンも登場し、「ピンクのワゴン -悶絶-」のミュージックビデオの世界をなぞるような物語が展開されると、ライブはそのまま同曲へとなだれ込む。ピンクのジャケットとサングラスをまとったSKRYUが姿を現すや、会場は一斉に総立ち。大サビでは客席とのシンガロングが巻き起こり、ステージ中央上空に浮かぶミラーボールが回り始めると、広大な会場は瞬く間にきらびやかなディスコフロアへと姿を変えた。


Photo by Fumi

ブラスのフレーズとスリリングなベースラインが駆け抜ける「Stardom」に続き、テークエムとIKEを迎えた「TOKYO ZOO」では、早くもステージ前方に火柱が噴き上がる。3人の疾走感あふれるラップに、観客はハンズアップと掛け合いで応戦。その光景に、SKRYUも思わず「最高じゃねえか、お前ら!」と叫んだ。さらに、LIL'Jのトークボックスがソウルフルな響きを添える「VIP」、徳利とvalkneeが加わり、男女混声ラッパーによる賑やかな応酬を繰り広げた「居酒屋 (Remix)」と、序盤からゲストが目白押しだ。


Photo by Fumi

極めつけは、般若との「わっしょい」。いったんステージから姿を消したSKRYUは、屈強な男たちが担ぐ神輿に般若と乗り込み、フロアへ出現する。お囃子を思わせるシンコペーションに合わせ、やんちゃな掛け合いを繰り出しながら客席を練り歩く二人。観客も飛び跳ねながら拳を突き上げ、ぴあアリーナMMは文字通りの祭り会場となった。


with 般若 Photo by Fumi

ひとしきり騒いだあと、SKRYUは最初のMCで、「俺のためにたくさんの夜を越えてくれて、本当にありがとう」と語りかけた。自身もまた、社会での生きづらさや人間関係に悩み、自分を嫌いになる瞬間があると明かしたうえで、「みんなのおぼつかない足取りを、俺は小洒落たステップに変えることができると思っています」と宣言。その言葉に導かれるように、活動初期の2019年に発表した「Midnight Marauders」へ。パープルの光に照らされながらメロウな歌声を響かせ、最後には「ぴあアリーナ! 連れてきてくれてありがとう!」と叫んだ。

「S+ -絶世-(Short ver)」「Flyday」「Magic Potion」「カップリング」と、ラップとメロディを滑らかに行き来する楽曲が続く。アーバンでロマンティックな世界を作り上げる一方、MCでは下着も変えず、セカンドストリートで衣装を調達し宿もないまま中四国を回っていた無名時代を回想。中古のボイスレコーダーで録音した曲は「音質こそ悪かった」ものの、「すごくドキドキした」と振り返る。その感覚を呼び覚ますように、SUBを迎えた「MUNASAWAGI」へつないだ。


Photo by Fumi

インタールードを挟んだ後半、スパンコールをあしらったシャツとピンクのパンツに着替えたSKRYUが再登場。「俺たちの夏はまだまだ終わらないでしょ?」と呼びかけ、「Summer Breeze」「ウォーター・メロン」を続けて披露する。爽やかなシティポップの最中に演奏を突然止め、「はっさくと、みかん、きんかん並べたら。大中小のお〇たまかな」と五・七・五・七・七の下ネタ短歌を朗々と詠み上げる場面も。洒脱なポップスとくだらない言葉遊びを、どちらも同じ熱量で成立させてしまうのがSKRYUだ。

20年来の同級生から届いたメールを紹介しつつ「How Many Boogie」を投下。Fuma no KTRが切れ味鋭いラップを畳みかけ、「お前ら、このライブで人生変えろよ!」と言い残してステージを去っていく。

「皆さん、タオルは持ってきていますか?」という呼びかけから始まったのは「ハイブランド」。サビを歌い終えたところでサーヤが姿を現すと、この日一番と言っていいほど大きなどよめきが起こる。紙吹雪が舞うなか、サーヤは鋭いリズム感でラップを畳みかけ、SKRYUとの掛け合いで熱狂をさらに押し広げていく。

「『ファンは鏡』って言いますけど、スクくんのいい人柄が、ファンの人にもそのまま映っていると思う」と、客席を称えるサーヤ。そのまま二人は「ハヤスギテミエナイ」へ。息つく暇もないラップの応酬と目まぐるしく展開するビートによって、後半戦の速度は一気にトップギアへ入った。


Photo by JUNYA Thirdeye S-STEADY

「スパンコールじいちゃん -輝絶-」で歌われるのは、友人や妻を見送り、孤独になった老後の自分。そのアンサーソングにあたる「ゼクシィ・ガール」が始まると、スクリーンにはスパンコールじいちゃんの若き日の姿が映し出される。プロポーズから結婚、新婚生活、年老いた二人の日々、そしてじいちゃんが天国へ旅立つまで――。二つの楽曲に分かれていた物語を映像が一本の人生として結び直す。

「Screw Driver」で再びアクセルを踏み込むSKRYU。観客全員がハンドルを切る仕草を合わせ、火柱が立ち上るなか、「今度はどこへ連れていくか。ぴあアリーナ、ついてこられますか!」と絶叫。島根で銀行員として働いていた頃、ラップの山を登り切る覚悟を刻んだ「Mountain View」では、観客が掲げたスマートフォンの光が、アリーナ一面に星空のような絨毯を作り出した。

最後の曲を前に、SKRYUは「こんなことを言ってしまうと……」と切り出し、この2DAYSに向けて抱えていた不安を率直に明かした。「もしかしたら、みんなにパンパンのぴあアリーナを見せてあげられなかったことを、申し訳なく思うのではないか?」と考え、眠れない夜もあったという。「けれども、蓋を開けてみたら、そんなところには目も行かないぐらい、みんなの光る眼がすげえ尊い星に見えた」。客席を見つめながら、SKRYUはそう続けた。


Photo by Fumi

雨の日比谷でも、雨に見舞われたフェスでも、ステージに立つ自分の不安を取り除いてくれたのは、いつも目の前にいる観客だった。「みんなが俺を見つめてくれる限り、俺の歌う理由はなくならない」。時おり声を詰まらせながら言葉を重ね、「必ず5万、10万人。そんなステージをみんなに見せられるように頑張るって、今決まった!」と宣言。さらに、「その時には必ず今日の景色を思い出す。尊い数千人の輝きを忘れない」と約束した。

「この称号を、今日はみんなにあげたい。お前らこそが、紛うことなき超スーパースターだった!」

自らが長年掲げてきた称号を観客へ差し出し、ラストナンバー「超 Super Star」へ。シャツもタンクトップも脱ぎ捨て、最後には上半身裸、裸足のままフロアへ飛び込んだ。「悩み事なんかなくなった。お前らのおかげだ!」と叫び、観客とハイタッチを交わしながら、アリーナ後方の出口へと消えていく。


Photo by JUNYA Thirdeye S-STEADY

この日のSKRYUは、すべてが思いどおりになったわけではなかったのだろう。むしろ、夢と現実の間に残る距離を、包み隠さず観客と分かち合う場面もあった。だからこそ、自分を照らすオーディエンスこそが「The Light」であり、その視線が悔しささえも前へ進む力に変えてくれると彼は再認識したのだ。いつか夢を現実にしたとき、本公演【PINK -Moonlight Paradise-】は、SKRYUのキャリアを大きく動かしたターニングポイントとして振り返られることだろう。

なお、8月30日の最終公演では、自身初となるホールツアー【SKRYU Hall Tour 2027「アホール・ニューワールド」】の開催決定が発表された。2027年2月20日の大阪公演を皮切りに、東京、愛知、静岡、福岡、群馬、愛媛、宮城、北海道と巡り、5月8日の島根公演でツアーファイナルを迎える全国10都市公演を予定している。


Photo by JUNYA Thirdeye S-STEADY

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