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<インタビュー>Mia Takarabe、スティーヴ・アオキとの共演からサマソニ出演まで果たした“Global J-POP” 新星シンガーが大切にしている日本人父からの言葉

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Photos:Yuma Totsuka

 日本とオーストラリアを行き来しながら育った20歳のシンガーソングライター、Mia Takarabe(ミア・タカラベ)。日本人の父とインド系の母を持ち、二つの文化のあいだで揺れながら見つけた自分らしさを、その歌声に乗せてきた。いま、彼女は“Global J-POP” を定義する先駆者としての地位を築きつつある。これは、彼女が所属するレーベル<Handcraft Entertainment>が切り拓く新しい形のJ-POPであり、このジャンルの誕生当初から掲げている「文化の垣根を越えて、従来のジャンルの枠組みの外へと押し広げる」ことで、世界中のオーディエンスにリーチしている。

 今年6月にスティーヴ・アオキとのコラボレーションでデビューを果たした彼女は、この夏、【SUMMER SONIC】のステージに立った。デビューからわずか数か月というスピード感の中で、彼女は何を感じ、何を見ているのか。自身のルーツへの想い、スティーヴ・アオキとの出会い、そしてステージに懸ける覚悟まで、フランクに話してくれた。

──今回の【SUMMER SONIC】出演について、率直な心境を教えてください。

Mia Takarabe:緊張していますし、同時にすごく楽しみでもあります。前回【GMO SONIC】に出演したのが、私にとって初めてのステージ経験でした。あのときは「もし失敗したら、このチャンスは一度きりだ」と思っていたので、緊張を感じないようにしていたんです。でも今回は、少し緊張を許してあげようと思っています。楽しみですし、何が起こるかもある程度わかっているので。正直、感謝しかないです。ステージに立つのがまだ2回目だということを考えると、こんなに大きなフェスに出演できるなんて本当にすごいことだと思います。まるで夢の中にいるような感覚です。

──【GMO SONIC】での初ステージで、一番驚いたことは?

Mia:やっぱり、お客さんの反応です。2番のコーラスあたりで、もう一緒に歌ってくれている人たちがいたんです。誰も聴いたことがないはずなのに。お客さんがその場で曲を受け入れて、一緒に歌ってくれたことは、本当にすごいことだと思います。

──本番までの準備はどのように進めているのでしょうか?

Mia:多少練習はしています。前回は4日間くらい練習しました。でも今は、鏡の前で振りを確認するくらいですね。アメリカにダンスの先生がいて、彼がステージでの見せ方を一緒に考えてくれるので、そこからインスピレーションをもらっています。スタジオに入って、自分の体に合う振りや、自分らしい動き方を一緒に探していく感じです。何か別の誰かを演じるというより、「今の自分に何ができるか」を彼が見極めてくれるんです。最初は自分の体が動くこと自体に緊張していて、少し怖かったんですけど、慣れてきました。

──本番前のルーティンがあれば教えてください。また、ステージ上とスタジオでは、違う自分がいるように感じますか?

Mia:【GMO SONIC】が初めてのステージだったので、正直まだ自分なりのルーティンというものを見つけている途中なんです。あのときは水を飲んで、なるべく緊張を見せないように、落ち着いてステージに出ていきました。その自信がどこから来ているのかというと、単純に「アーティストになりたいなら、これを本当に実現させたいなら、自分にそれができることを証明しないと」と思っていたからです。どこから来たのか、自分でもよくわからないんです。ステージでは一発勝負なので、完璧でなければいけないと思っています。でもスタジオでは、もっと試行錯誤する余地があります。何度も歌い直したり、ワンフレーズにこだわって完璧に仕上げようとしたり。マネージャーがかなり細かいタイプなんですけど、それはいい意味でのこだわりなんです。


──今回のパフォーマンスを通じて、観客にどんなことを感じてもらいたいですか?

Mia:私が歌う音楽と同じくらい、私自身に興味を持ってもらいたいです。私が出演するステージは、基本的にテクノ系が中心なので、その中で私のパフォーマンスは、いわばポップな“ブレイク”になるはずです。少しゆったりしたトラックへの切り替わりというか。だから、音楽を聴いて「これは何だろう?」「この子は誰だろう?」「何を伝えたいんだろう?」と、興味を持ってもらえたらうれしいです。実は私自身も、フェスに行くとそういう新しい発見をする側になります。それこそがフェスの一番楽しい部分だと思っていて、気になる音楽に出会えたら、それだけで惹かれてしまうんです。

──ラインアップの中で、特に楽しみにしているアーティストはいますか?

Mia:もちろんスティーヴ・アオキです。よく会う機会があって、いつ会ってもうれしいですね。奥さんも一緒。本当に素敵な夫婦なんです。ステージも毎回すごく楽しくて、彼はパフォーマーとして本当に一流だと思います。

──日本とオーストラリアの間で育ったことは、ご自身のアイデンティティにどのような影響を与えたと感じていますか?

Mia:母はマレーシア生まれのインド系です。マレーシアには中国系もインド系もいるので、母自身も「どこか一つの文化に完全に属している」という感覚は持っていなかったんじゃないかと思います。私自身も、完全にインド人でも完全に日本人でもない自分を感じていました。どちらの文化にも完全には染まっていなかったので、それぞれの一部分だけを受け取ってきた感覚があります。大人になるにつれて、それを弱みではなく、むしろ強みとして捉えられるようになりました。ひとつの文化に無理に合わせようとするより、いろんな文化を自分の中に持てることのほうが特別なんだと。そして気づいたのは、あなたがどの文化に属しているかではなく、あなた自身を好きになってくれる友達を見つけることが大事だということです。

──テレビやメディアで、自分と似た背景の人をあまり見かけない環境だったと思いますが、孤独を感じることはありましたか?

Mia:孤独を感じたこともありました。ただ、私が育った環境にはアジア系の子がたくさんいて、その多くはベトナム系でした。オーストラリアにはベトナム系の方がかなり多いんです。日本人には正直あまり出会えなかったですね。高校生になるまで、日本人の子と出会うことがなかったくらいです。

──そんな中、どのような学生生活を過ごしましたか?

Mia:学生時代もずっと歌っていて、合唱もやっていました。私の学校はカトリック系だったので典礼聖歌の時間もあって、毎週ホールに集まって歌の練習をしていました。ちょっと面白いんですけど、実は合唱部に入ったのは学校を辞める直前の週だったんです。私でも入れると証明したくて、オーディションを受けて。結果は「すごくいいね」って言われたんですけど、そのあとすぐ「実はもう辞めるんです、ごめんなさい」って(笑)。

あとは、歌のコンテストにもいくつか、完全に自分の意志で出ていました。単に負けず嫌いだったのかもしれません(笑)。初めて出たコンテストでは、アデルの「Turning Tables」を歌いました。難しい曲なんですけど、子どもの頃は声域が高いので、意外と歌いやすかったんです。

──そもそも、歌手を目指すようになったきっかけを教えてください。

Mia:物心つく前からずっと歌っていたので、これはもう「なりたい」というより、自然な流れだった気がします。両親の前で突然歌い出す小さい頃の映像がたくさん残っているんです。母がよく歌っていたので、そこから影響を受けたんだと思います。母は『サウンド・オブ・ミュージック』や『マイ・フェア・レディ』のような、古いミュージカルの曲をいつも歌ってくれていました。ディズニーの曲を歌うのも大好きです。

──作詞・作曲をご自身で手がけることもあるのでしょうか?

Mia:時々ですけど、プライベートな時間の中でたくさん曲を書いていて、いつか皆さんにお届けできたらいいなと思っています。初めて書いた曲は、8歳くらいのときで、正確には覚えていないんですけど、「Life is beautiful」みたいな、そんな感じの歌詞だったと思います(笑)。今、曲を書くときのインスピレーションは愛ですね。失恋も含めて。いい愛も、悪い愛も、あらゆる形の愛です。

──スティーヴ・アオキとの間には、共通のバックグラウンドから生まれる繋がりも感じているのでしょうか?

Mia:もちろん、すごくあります。彼は日本のルーツだけじゃなく、アメリカのバックグラウンドも持っている人なので、彼自身も複数の文化の間で育ってきた。だからこそ、そこで自然と繋がれる部分があると思います。そういう話を深くはしませんが、彼のルーツについて聞いたことはあります。「どこ出身なんですか?」って聞いたら、思いっきりアメリカンなアクセントで「マイアミ出身だよ」って言われて(笑)。その感じがすごく好きなんです。

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──「Heartless」でスティーヴとタッグを組むことになった経緯を教えてください。そのニュースを聞いたときのご両親の反応も気になります。

Mia:実は契約したときに、マネージャーから「こういうチャンスがある」と教えてもらったんです。デビュー曲がスティーヴとの楽曲になるというのは、本当に前例のない、とんでもないチャンスだと思いました。頭の中で整理がつかないくらい驚きました。そして、その話を聞いて最初にしたのは、両親に伝えることでした。ただ、母も父もスティーヴ・アオキのことを知らないんです(笑)。そういう音楽にあまり馴染みがないので、最初の反応は「ああ、そう」くらいでした。全然テンションが上がらなくて。ただ、私が実際に動いていく様子を見て、だんだん喜んでくれるようになりました。

最初は、音楽活動をすることに対して心配もされていました。母はインド系で、うちの家系はかなり伝統的なんです。家族はみんな歯科医か医師の道を進んでいるので、音楽の仕事なんて、そもそも彼らにとって想像がつかないものだったと思います。伝統を重んじる家庭ほど、クリエイティブな道でキャリアを築くことを受け入れるのは難しいものだと思います。でも今は、少しずつ受け入れてくれていて、応援もしてくれます。最初は本当に驚いていましたけどね。

──スティーヴと一緒に制作する中で、最も驚いたことは?

Mia:驚いたというより、曲が形になっていく過程で本当に喜んでくれる姿がすごく印象的でした。「よし、いいぞ!」みたいに全力でリアクションしてくれて。それが本当にうれしかったです。彼は音楽に対する熱量がすごいんです。

デビュー曲でそういう人と組めたのは、本当に大きな意味があったと思います。何もかもが初めての中で、そうやって後押ししてくれる存在がいることの大きさをすごく感じました。私自身、これまで音楽が好きな人にあまり囲まれていなかったんです。アメリカに初めて行ったとき、自分と同じくらい音楽に本気な人たちに囲まれて過ごせたことは、本当にうれしい経験でした。それ以前の私の周りは、みんな勉強一色という感じ。インド系も日本系も、そういう家庭が多いですよね(笑)。ただ、私の父は完全にタイプが違って、すごく自由な考え方なんです。

──お父様からもらった言葉で、今の音楽との向き合い方に影響を与えているものはありますか?

Mia:小さい頃、父にこう言われました。「好きなことをやりなさい。誰に何を言われても、好きなことをやりなさい。自分が幸せになれることをやりなさい。だって、これはお前の人生なんだから」って。たとえば、もし私が医師の道を選ぶのが母を喜ばせるためだったら、ちゃんと自分に問いかけないといけない。「それで自分は本当に幸せになれるのか?」って。この言葉を信じていなければ、そもそも今回のチャンスを受け入れていなかったと思います。

──「Heartless」を制作する過程で、感情を言葉に落とし込むのが難しい部分はありましたか?

Mia:失恋は誰もが経験するものなので、その感覚を思い出して、音楽に落とし込むのはそんなに難しくなかったです。歌うこと自体は、私にとって間違いなく“セラピー”のような役割を持っています。だからこそ、小さい頃からずっと歌ってきたんだと思います。家庭の中で少しストレスを感じることもあって、歌うことは私にとって一種の解放でした。


──今後を見据えて、アーティストとしてどのように成長していきたいと考えていますか?

Mia:もっと多くの人に自分の音楽を届けられたらうれしいですし、これからも自分が心から愛せる音楽を出し続けて、自分自身を表現していきたいです。それがミュージック・ビデオでも、音楽そのものでも、ライブでも、どんな形であっても。

今一番好きな作業はレコーディングです。スタジオにいる時間が一番好きで、歌える機会があること自体が、すごく幸せなことだと感じています。アーティストとしての自分を作り上げていく、クリエイティブな部分も大きなポイントです。アイデアを考えるのが好きなんです。ステージに立つときの服を選ぶような、些細なことでもすごく楽しいですね。

──将来的に一緒に音楽を作ってみたいと思うアーティストはいますか?

Mia:ちょっと意外な答えになるかもしれないんですが……プロデューサーのマイク・ディーンって知っていますか? 彼が作るザ・ウィークエンドの音楽が本当に大好きで、彼と一緒に音楽を作れたら本当におもしろいだろうなと思っています。私はザ・ウィークエンドの大ファンで、本当にすごい歌手だと思います。彼が主演していた『THE IDOL/ジ・アイドル』というドラマも見ていて、あの作品の音楽がすごくよかったんです。

──好きなJ-POPはありますか? カラオケで歌うことはありますか?

Mia:藤井 風がすごく好きです。中でも好きな曲は「まつり」。カラオケでは、バラードが好きなので、アデルの曲はよく歌います。アリアナ・グランデも好きで、特に昔のゆったりしたテンポの曲をよく歌いますね。ディズニーの曲も大好きです。一番好きなのは『リトル・マーメイド』の「Part of Your World」です。歌うときに“劇場っぽい声”を出すのがすごく好きなんです。いろんな声の出し方ができるので。

──普段はどんなジャンルの音楽を聴くことが多いですか? 最近気に入っている楽曲も教えてください。

Mia:本当に幅広く聴きます。ポップスも、テクノも、ジャズも、フォークも、なんでも聴きますね。最近は古いアメリカンフォークをよく聴いています。「A Horse With No Name」が大好きで、あと「California Dreamin'」も。この3週間くらい、ずっとその2曲をリピートしています。

──最後の質問です。自分を絵文字3つで表すとしたら?

Mia:黒いハートかな。いつも黒い服を着ているので。それから、インドの国旗と日本の国旗です。

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