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<インタビュー>ASHA・KOKONAによるユニットTAKARAがデビュー 自分を取り戻した2人が奏でる“誰かの命綱”

インタビューバナー

Interview & Text:山田宗太朗
Photo:興梠真穂


 ちゃんみな×BMSGによるオーディション【No No Girls】完結から約1年半。長い沈黙を経て、ASHAとKOKONAがユニット“TAKARA”を組み、8月8日、シングル「Time is money」で待望のデビューを果たした。放送当時から強烈な個性で人気を集めていた2人の再始動に喜びの声が多数寄せられる中、8月24日には1st EP『宝』もリリースされ、今後の活躍に注目が集まっている。デビューを迎えたASHAとKOKONAにインタビューを実施し、結成までの経緯や制作秘話、オーディション後どう過ごしていたか、さらには今後の展望などを詳しく聞いた。

ノノガ後、即始動していたTAKARA

――まずは、どういった経緯でこのユニットを組むことになったのか教えてください。

KOKONA:私がASHAちゃんを誘いました。Kアリーナ横浜で開催された最終審査【No No Girls THE FINAL】が終わった後、これからやりたいことの想像がすごく膨らんで、いろんな案をノートに書いてみたんです。その中でいちばんワクワクしたのが「ASHAちゃんと一緒にやる」でした。オーディションを通してずっとパフォーマンスを見てきて、ASHAちゃんは自分にないものを持っているし、リリックや存在そのものにパンチがあって惹かれていたんです。


――ふたりが絡むシーンは、【No No Girls】の放送内ではほとんどなかったですよね。

KOKONA:同じグループになることがなかったし、話したこともほとんどなかったんです。だけどなぜか漠然と、ASHAちゃんとなら大丈夫だと思えたんですよね。どこか似ているところがあるんじゃないかって。それでちゃんみなさんに電話して「ASHAちゃんとやりたいです!」と伝えました。直感と勢いです。


ASHA:ちゃんみなさんから電話で「KOKONAと組まない? どう思う?」って聞かれて、ほんとに接点がなかったから「なんでなんやろ?」と思ったけど、リリックやパフォーマンスはオーディションを通して見ていたので、驚きと同時に「でもおもしろそうやな、いいかも」と感じました。それでちゃんみなさんに「おもしろそうやけん、やります」と伝えたら「わかった、オッケー」って。で、次の日に3人のグループLINEができて。


――それは【No No Girls THE FINAL】からどれくらい後の話ですか?

KOKONA:翌日です。


――えっ!? ……たった1日で切り替えを?

KOKONA:元々課題があるほうが燃えるタイプなんです。【No No Girls THE FINAL】後、私としては「未来は明るい」と感じていたんです。こんなに恵まれた環境を与えてもらって、ちゃんみなさんにも「いつでも連絡してね」と言ってもらえて。「いつでも連絡していいんだ!」って嬉しかったんです。だから挫折する暇もないままワクワクと想像がどんどん膨らんでいって。もちろん寂しさは少しあったけれど「さあ何から始めようか!」って気持ちでした。



課題と向き合う中で、本来の自分を取り戻した

――オーディションでちゃんみなから伝えられた課題とはどのように向き合ってきましたか?ASHAさんは「自由なことをするためには型にはまらないといけないことがある」と言われていましたよね。

ASHA:実はオーディションを受ける前、2年間ぐらい、夢から遠ざかるように日々を過ごしていたんです。音楽から離れて暮らしていて。叶わない夢から逃げることで楽になりたかったんですよね。だけどそういう逃げ続ける生活から脱却したくて……最後のチャンスだと思って【No No Girls】を受けました。結果的に、わたしはこれまで長い時間をかけてたくさんレッスンを受けてきたけれど、実は自分と向き合っていなかったんだと、ちゃんみなさんに気づかされることになりました。自分のことをわかってあげられていなかったんだなって。

それはすごく大きな学びだったけれど、とは言え自分に自信を持ってオーディションを受けているわけなので、ショックは大きくて。あの後はひたすら自問自答の時間を過ごし続けていました。自分の場合は基礎的な技術をどうこうする以前に、まず考え方から変えないといけないなと思って。そこから出直さないと、技術があっても使えない。自問自答を続けるうちに固定観念がなくなって「あ、こういうことか」と腹に落ちるようになり、そこから自分の声の使い方や歌詞の書き方が変わっていきました。それがちょうど【No No Girls THE FINAL】の頃です。


――たしかにあのステージでのASHAさんには、以前の放送とは別人のような雰囲気を感じました。フロアからの歓声も一際大きかったです。

ASHA:でもそれは、必要じゃないものをただなくしただけなんです。だから「変わった」というのも少し違う気がしています。


――本来の自分に戻ったみたいな?

ASHA:そうですね。そういう意味では「変わった」のかもしれないけれど、努力して練習したというより、自分とのやり取りというか、気持ちと考え方の問題かなと思います。



――それがいちばん難しいことだと思います。KOKONAさんは「なりたい自分が明確になったほうが輝ける」と言われていましたよね。

KOKONA:私の場合はASHAちゃんと組むことを決めてからそれに向き合う感じではあったんですけど、「なりたい自分」って本当に難しくて……。オーディションを受け始めたのが中学生の頃で、いろんなスクールを転々とするうちに、「こういう人が受かる」という自分の中の正解に縛られるようになっていたんです。「受かるためにはどうすればいいか」という発想になっていて。だから「なりたい自分って何?」と聞かれた時、わからなくて、わからないことに驚きました。

子どもの頃ははっきりした性格だったのに、いつの間にか自分がなくなっていた。そのことにちゃんみなさんに気づかせてもらいました。だけど自分を取り戻す方法がわからない。右も左もわからなくて「どこにいたんだっけ私?」みたいになっちゃって。それはこの1年半をかけて悩んできたことです。


――その状態を今は抜け出せたわけですね?

KOKONA:ASHAちゃんと一緒に、「自分がやりたい音楽を、自分のためにやる」ということにこの1年半、人生で初めて取り組んだんです。その中でだんだんと小さい頃の自分に戻っていく感覚がありました。そこで初めて、自分が型にはまりすぎていたことにも気づきました。そしたら肩の力が抜けて、曲を書くことも、生活することも、服を選んだり髪の毛を染めたりすることすらも、何もかもが楽しくなったんです。

「白紙じゃないと、真っ白じゃないと受からない」と思っていた時期が長かったから、以前の私は、どうにか自分をなくそうと努力しちゃっていたんですね。だけどようやく今、小さい頃の自分が思い描いていたキラキラした夢を自分で叶えてあげられるような気がしています。


――一緒にやるのがASHAさんだったからそうなれたんでしょうか?

KOKONA:そうなんです。こういうことを言うのはちょっと恥ずかしいけど……、自分のやりたいことを自分でわかっている人が隣にいてくれるのは私にとって大きくて。ASHAちゃんは、隣にいてくれるだけでワクワクする瞬間を思い出させてくれる存在なんです。「私ももっとやりたいことをやろう」って自然に思わせてくれる。それに私、元々ギャルが好きなので、見てるだけで「かわいいー!」ってなるし(笑)。


ASHA:そうなんや、初めて知った(笑)。ASHAにとってK(KOKONA)は、自分にないファッションやリリックのセンスを持ってるから、見ていても一緒にいてもおもしろいし、自分にできないことができる人だと思ってます。「そういう言葉もあるんや」って新しい言葉も学べるし、辞書みたいな存在でもある(笑)。



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自分たちの可能性がどんどん見えてくることにすごくワクワクした


――“TAKARA”というユニット名にはどんな意味が込められているんでしょうか。

KOKONA:ちゃんみなさんがつけてくれた名前で、「あなたたちは宝です」という言葉をいただきました。


――そう言われてどう思いましたか?

ASHA:宝だあ!って。


――素直でいい反応ですね(笑)。ロゴやジャケット、ファッションなどはふたりで決めたそうですよね。

KOKONA:ジャケットには私たちの好きなものを全部詰め込みました。私はホワイトタイガーが好きで、ASHAちゃんは豹が好きだからそれぞれ描いてもらって。


――基本的にTAKARAは、作詞作曲やビジュアルを含めすべてセルフプロデュースなんですね。ちゃんみなの立ち位置は?

ASHA:お母さんみたいな。わからないことや自分たちではどうしようもないことってこれからもたくさん出てくると思うけど、そういうのを教えてくれるのってだいたいお母さんじゃないですか?だから、ちゃんみなさんはお母さんです。


――ということは、ちゃんみなから「この曲どう?」と提供されるようなことは、今のところはないんですね。

ASHA:今のところはないですね。でも最初に曲作りをする時に「『時は金なり』ってワードいいんじゃない?」というアイデアをいただきました。いいかもと思って、ふたりでそれぞれ考えてアイデアを擦り合わせて作っていったのが「Time is money」です。


――この曲は言葉から始まったんですね。

ASHA:そうですね。最初はデモを作って、その後にMONJOEさんにお願いして。


――なぜ「時は金なり」というワードに惹かれたんでしょうか?

KOKONA:いっぱい時間を使っていっぱいいろんなところを歩いてきて、それが宝になっている、というのが私たちにぴったりだと思ったんです。



TAKARA / Time is money -Music Video-

――いつ頃作った曲ですか?作詞作曲は大変でしたか?

KOKONA:ふたりで組むことが決まってすぐに取りかかったので、2025年の2月頃から作り始めました。最初は曲もバースも別々に書いて、お互いに持ち寄って。それを聴いた時にめっちゃワクワクしてすごく楽しかったんです。だから大変さよりもワクワクが強くて「楽しいー!」って思いながら制作していました。


ASHA:たまにわたしが東京に行ったり、Kが福岡に来たりしながら一緒に作っていって。


KOKONA:自分たちの可能性がどんどん見えてくるのにもすごくワクワクして、まさに時は金なりを感じながらの制作でした。


――「Get High」は、前半と後半でまったく違うラップの雰囲気なのがおもしろいですね。

KOKONA:これはちょうどその時、私が結構、ずーんとなっていて。


――落ち込んでいた?

KOKONA:というより、焦るというか……。「Time is money」を作り始めた時は気持ちが上がっていたけれど、いざ自分探しが始まると難しくなってきて。「Get High」のバースが完成しても、これで本当に大丈夫なのかわからなくて、もう1回見直して変えなきゃいけないと思いながら何も浮かばない時期があったんです。それが「Time is money」のレコーディングでちゃんみなさんにお会いしてテンションが上がったせいか「やれる!」となり、その日、帰宅したら10分くらいでぶわーっとバースが出てきて。急いで家で録音して、それをすぐASHAちゃんに送って。そしたら電話がきて「めっちゃいじゃん!」「イェーイ!」って感じで完成しました。あれは嬉しかった。



――では今回のEP収録曲はかなり早い段階でできていたんですね。

ASHA:この1年半ずっと曲を作り続けていたので、他にもブラッシュアップ中の曲はいくつかあるんです。このタイミングでEPを出すことが決まって、じゃあ今出すのはこれとこれだね、と選んだのが今回の4曲になりました。


――楽曲を作り続けることは、自分に合っていると感じましたか?

ASHA:合ってる……って感覚はないよね?


KOKONA:どうだろう……合ってる合ってないというより「やっている」って感じ?これはどういう感覚なんだろう……。


ASHA:考えたことなかったです。


――もはや曲を作ることが当たり前になっている?なかなか曲ができずに苦しむようなことはなかったですか?

ASHA:普段生活していてリリックが出てきたらその時にメモして、それをブラッシュアップしていく感じなので、ブラッシュアップの段階で「ここのフローが出てこんな〜」っていうのはあるけれど、そもそも「曲を作ろう」みたいな感じではやっていないので、「曲が作れない」というのはないです。


――「普段生活していてリリックが出てきたら」というのは、いきなり降りてくる、みたいなことですか?

ASHA:ASHAは結構、友達と電話してる時とかにぽろっと出てきて、1行出てきたら何行かは書けるから、それをメモして、みたいな。


――村上春樹が、若い頃に神宮球場で野球観戦している最中に突然小説を書こうと思い立った、その時何かが降りてきて僕はそれを受け取ったんだ、ということを書いているんですが(『走ることについて語るときに僕の語ること』)、その話を思い出しました。

ASHA:今のこういう会話とかでも出てくるんです。ASHAは口で喋ってるそのままを書くタイプで、Kは背景や世界観がちゃんとわかる言葉を選ぶから、それがすごいと思う。こういう違う種類のリリックが合わさってでこぼこの組み合わせになってるからおもしろくなってるのかなと思います。


――「口で喋ってるそのままを書く」というのは、KOHH(千葉雄喜)がシーンに出てきた時によく言われていたことですね。

ASHA:わたしKOHHさん超好きなんです。他にもANARCHYさんとかちゃみなさんとか、ストレートな感情や言葉を書いているアーティストさんが昔から好きだったから、そういうところからの影響があるのかもしれません。



枠にはめることのできない特別な相方と、
誰かの命綱になれるような音楽を

――お互い、相方をどんな人だと思っていますか?

ASHA:「横におる人」。友達とか家族とか仲間みたいな存在ではあるけれど、そういう枠にははめられない「横におる人」って感じです。


KOKONA:私も同じかなあ。うまく説明できないけど、横にいる人であって「ひとり」って感じであって……。


――ひとり?

ASHA:ややこしいこと言うんですよ、Kは(笑)。


KOKONA:なんて言うんだろう……ニコイチとか一心同体とはちょっと違うような……これは何なんだろう。


ASHA:そう、何なんだろうってなるから「横におる人」だよね。


KOKONA:考え方が全部同じなわけではないんです。むしろだいたい違う。違うんだけど同じなんです。何が同じなのかはまだちょっと言語化できていなくて……。


――でもその感覚はふたりで共有していると。

ASHA:そうですね。ここ(ふたり)でしかわからない関係です。


――素敵な関係です。では最後に、これから先、何を目指しますか?

ASHA:「Time is money」の歌詞にあるように「毎日リニューアルされる感性」から出る曲を書き続けたいし、家族に欲しいものを買ってあげたいです。


――「毎日リニューアルされる感性」ってすごくいいですよね。人の感性はだんだんリニューアルされなくなりますから。

ASHA:でもそれって、気づいてないだけなんじゃないかなと思います。日々何かにとらわれていて、自分が変わり続けていることに気づかないというか。


――おお。パンチラインが出てきますね。

KOKONA:羨ましいです。


―いやKOKONAさんもASHAさんと違う種類のパンチラインをたくさん出していると思います。KOKONAさんはどうですか?

KOKONA:すごく思ってるのは、好きなことをずっとやり続けること。そして自分たちの輪に入ってきてくれる人みんなで幸せになりたい。私には、誰かの代弁者になりたい気持ちもあるし、自分にしかできないことがあるという気持ちがあるんです。きれいごとに聞こえるかもしれないけれど、人に楽しんでもらうことが本当に好きで、みんなのことを守りたい気持ちがあります。今はまだみんなにあげられるものが小さいので、まずは力を蓄えること。私にとって音楽は命綱だったので、同じようにいつか誰かの命綱になれたらいいなと思っています。



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