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<インタビュー>indigo la End 最新アルバム『満ちた紫』のカラーが紫である理由とその答えがここに

インタビューバナー

Text & Interview: 西廣智一
Photos: 辰巳隆二

 昨年結成15周年を迎えたindigo la Endが2026年、Sony Music Labels内に設立された新レーベル〈Daphnis records(ダフニスレコーズ)〉へ移籍した。節目を経て新天地で大きな一歩を踏み出す彼らが、通算9作目のフルアルバム『満ちた紫』をリリース。バンド名からもイメージできるように、これまでは青(インディゴブルー)の印象が強かった彼らだが、本作ではタイトルやアートワークに紫を用いており、川谷絵音(Vo. / Gt.)も本作制作において「曲を作っていくうちに、漠然と紫が浮かび、制作が進めば進むほど、その紫は濃くなっていきました」とコメントを寄せている。

 新たな挑戦も散りばめられた本作の制作、そして15年以上も続くindigo la Endというバンドへのモチベーションの根源にあるものについて、メンバー4人にたっぷり話を聴いた。

左から:後鳥亮介(Ba.)、川谷絵音、長田カーティス(Gt.)、佐藤栄太郎(Dr.)

──今年、新しいレーベルへの移籍を発表されました。昨年結成15周年という節目を迎えましたが、今回の新天地での再スタートはこうした要因も影響したのでしょうか?

川谷絵音:どちらかというと、前のレーベルでずっと一緒にやっていたスタッフが辞めたことが大きくて。その人がいたから自由にやれた部分も多かったんですが、その人がいなくなって会社の体制も変わり、以前と同じことをやるには難しい空気を感じたので、「別のところに移ってみようかな?」と考え始めて。自分たちで事務所もやっているし、インディーズでもいいかなと思ったんですが、いろいろ話を聞いていく中で、今のソニーの担当と出会って。同い年で話も合ったから、ここでやりたいなと思い、今に至ります。

──いろんな出来事や偶然が重なったわけですね。今回のアルバム『満ちた紫』の制作自体は、移籍が決まる前から始まっていたんでしょうか。

川谷:そうですね。去年の夏前ぐらいかな? ちょうど前のレーベルとの契約が切れるぐらいに取り掛かり始めて。いつまでに出すという締め切りが存在しなくて、「来年のツアーまでには出したいよね」ぐらいの感覚でした。なので、「こういうアルバムにしよう」とテーマを設けて制作に臨むというよりは、とにかく新曲を作ろうと。僕の頭の中にあったのは、「今までやっていないことをやろう」「ちょっとシンプルなものを作りたい」という2点だけでした。

佐藤栄太郎:確かに、アルバムとして考えるのではなく、シンプルに1曲1曲に対して臨んでいく感覚で、その中に今言った大きなテーマが2つありました。

後鳥亮介:そうだね。「シンプルにやろう」っていう話が最初にあって、「夏目」とか「私の癖を許して」から作り始めたんですけど、所属レーベルが存在しないこともあって、自分たちでレコーディングスタジオを予約して、みんなで機材を運んでメンバーとエンジニアさんだけで録ったので、肩の力を抜いていい感じにできたかなと思います。

長田カーティス:僕個人としては、今までの制作とそんなに大きく変わった感覚はなくて。ただ、みんなも言ったとおり、ふわっとした時期だったので、そんなに肩肘張らず制作できたのは大きかった気がします。

──今回のアルバムにおいて、川谷さんは「曲を作っていくうちに、漠然と紫が浮かび、制作が進めば進むほど、その紫は濃くなっていきました」とコメントを寄せています。こういう歌詞で、あるいはこういう曲調でイメージが強まっていったというような具体例があったんでしょうか?

川谷:具体例があったわけではないですね。僕らのイメージって青が強いと思うんですけど、そればかりじゃ嫌だなと思った時期が長かったんです。時には赤っぽい曲をいっぱい作ったりもしたんですが、その差が激しくて。そういう極端な曲を作っていたことも、僕らがうまくいかなかった原因かもと僕は捉えていたので、そこをうまくグラデーションさせたものを作りたくて、自然と紫が浮かんできた感じですね。

──先ほど「今までやっていないことをやろう」というお話がありましたが、それが“グラデーション”だったと。

川谷:そうしなくちゃとは以前から思っていたんですけど、なかなかできずにいて。それが「夏目」という曲を作ったときに「できるかもな」と思ったんです。


──その「夏目」が1曲目に来るのが、このアルバムの象徴的なポイントなのかなと思っていて。これまでのアルバムの1曲目とはまたちょっと違ったイメージを与えてくれて、音が鳴った瞬間に目の前がパッと開けるような、そんな爽快感の強い新鮮な1曲だなと思いました。

川谷:ありがとうございます。曲作りの時点で特に意識していたわけではなくて、作っていく中でこうなっていったんです。サビのコードは3つしかないんですけど、そういうシンプルさを以前は自分の中で許してなかったところがあって。初期の僕らはコードが4つとか、それこそ2つとかの曲もあって、15周年という節目を経て「今ならもっと違うことができるかも」と改めて昔の自分たちと向き合った上で出来た曲。「夏目」のサビ裏の長田くんのギターが入った瞬間、「ああ、これいいかもな」と思ったことをよく覚えています。

長田:「夏目」は僕の中でテーマとしてあったのは、青春っぽさ。「18歳の自分がアレンジするならこうするかな」みたいなことを、今やってみたらどうなるかという実験性が強かったんですけど、それがいい感じにまとまりました。

──そういった試みが、この曲の持つ爽快感につながったのかもしれませんね。リズム隊に関してはいかがでしょう。

後鳥:最初はいろいろ考えたんですけど、最終的にゴリッと弾くのがいいのかなと思って、それがうまくハマったかなと思います。

佐藤:後鳥さんと一緒にレコーディングしたんですけど、ベースがダウンピッキングでゴリゴリ弾いていたので、ドラムもそれに合わせてシンプルに叩こうと思って。この曲の個人的なテーマは、筋肉なんですよ(笑)。

ほかのメンバー:(笑)

佐藤:今ってレコーディング技術も進んでいて、録音したデータを簡単に編集することもできるじゃないですか。でも、この強度でずっと叩き続けるっていう長距離走で流れる汗を、音として残せたらカッコいいじゃないですか。実際、そういう音になっていると思うので、そこも楽しんでもらえたらうれしいですね。

──この曲に限らずですが、今回のアルバムは、リズムはすごくシンプルで音数は多くないんだけど、芯がめちゃくちゃ太くて印象に残る、それでいて随所でちゃんと遊んでいるという曲が多くて。リズム隊だけを集中して聴いても、すごく気持ちいい作品だと思います。

佐藤:うれしいです。ありがとうございます。

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──「夏目」の歌詞に関してはいかがでしょう。〈偏りが人生だ〉という歌い出しもインパクトが強いですが、個人的には曲中何度か登場する〈“僕は普通ですから”〉というフレーズが特に印象に残りました。

川谷:そのへんも含めて、僕が普段から思っていることというか。爽快感の強い曲だからこそ、それに沿った爽やかな歌詞にはしたくなかったんです。とはいえ、事前に「こういうテーマで書こう」とも思っていたわけではなく。サビのメロディがまず決まって、そこから書き始めたので、このメロディに呼ばれた結果こういう内容になったんでしょうね。僕らはこれまで、失恋ソングのイメージが強かったとは思うので、そういうものじゃないものを書きたいなというのは、事前にあったのかな。自ずとこういう日常や生活に根ざしたものになったのは必然かもしれません。

──「川谷さんも僕らと同じようなことを感じて生活しているんだ」と感じるリスナーも、多いいと思いますよ。

川谷:僕も日々そんなにぶっ飛んだ経験をしているわけじゃないので(笑)。日常について書くと、皆さんと同じ視点になると思いますよ。

──歌詞に関して言えば、川谷さんのメタ視点が登場する「私の癖を許して」も面白かったです。

川谷:僕らは結構、真面目な曲が多かったから、それを取っ払いたいと思っていたんです。実は「私の癖を許して」とアルバム後半の「ジグザグタカタカニー」はレコーディング序盤に制作した曲で、このへんから自分の中でタガが外れてきたのかな。この曲の〈ヒッキーの歌詞だって〉ってフレーズも、あのメロディを聴いていたら自然と浮かんできて、どうしても入れたくなっちゃったんです。「その対になる言葉ってなんだろう?」と考えたら、自分のことかなと思って、〈エノンの歌詞はさ〉の行ができたわけです(笑)。この歌詞を書いてから、わりと“許されるポイント”が増えた気がします。

──先ほど後鳥さんが「夏目」と「私の癖を許して」からレコーディングが始まったとおっしゃっていましたが、結果的にこの2曲が今回のアルバムにおける鍵になったのかもしれませんね。

川谷:ああ、確かに。結果的にこの2曲で試したことが、いい方向に作用したと思います。

──アップテンポの楽曲が多いのも、今作の特徴かと思います。そこも自然な流れだったのでしょうか。

川谷:一応バランスを考えて作ったつもりではいます。例えば、バラードは1曲だけでいいと思って「恋の底」を作ったんですけど、今までやってないことをやろうと思うと、こういうバランスになるのかな。

後鳥:逆にすごく聴きやすいアルバムかなと思うんですよね。「夏目」という間口の広い入り口があって、以降も大サビに向かって盛り上がっていく曲が多かったり、アウトロが長い曲とかちょっとセッションっぽい感じになる曲もあったりして、そういうバラエティに富んだところが聴きやすさにもつながっているのかなと。

長田:確かに、昔に比べたら速い曲が多いかな。でも、僕は今言われてそう思ったくらいで、そこまで意識してなかったです。それって、今回はアルバム単位というより曲単位で制作を進めていったことも大きいのかもしれないです。僕の中では「これは速いな」と思いながらレコーディングしたのは「カグラ」ぐらいで、それでもストレスなく作れたと思います。

──テンポ感の違いはドラムが一番感じるところなのかなと思いますが。

佐藤:これがですね、確かにパッと聴くと速い曲とスローな曲で差や違いを感じると思うんですけど、どれも全部(叩くのが)疲れるんですよ(笑)。そこにかける思いや熱量はどれも変わらないので、全部重いんです。だから、プレイヤーとしては曲調やBPMが変わっても、そんなに別のことをやっている感覚はないんですよ。

──なるほど。個人的には「カグラ」から始まる後半の流れが大好きです。

川谷:ありがとうございます。

──その中で、先ほど川谷さんが挙げた「ジグザグタカタカニー」の存在が異色を放っているなと思って。シンプルな中に強い存在感を示すタイトなリズム隊やギター、エレピを含むアンサンブルが特に印象的です。加えて、タイトルはもちろん歌詞の世界観や言葉遊びも不思議な空気をまとっていて、川谷さんがおっしゃる「タガが外れた」という言葉の意味がもっとも伝わる1曲だなと思いました。ご自身の中でも、相当手応えの大きな1曲だったんじゃないでしょうか。

川谷:そうですね。これは思いっきりタガを外した状態で書いているので。最初、オケを作っているときはもうちょっとシティポップ寄りで、歌謡っぽいメロディを付けようかなと思ったんですけど、あんまりサビを何回も繰り返すような曲にはしたくなくて。だから、オケの時点でどんどん変化していったんですよ。歌に関してはレコーディング期間の後半に録ったんですけど、それまでにいろいろあったからこそ、ちょっと肩の力を抜いて歌詞を考えてみようかなと思って。「ジグザグタカタカニー」というタイトルやフレーズも適当に歌っていたら浮かんできたフレーズだったので、そこからどんどん広げていった結果、こうなりました。

──すごく耳に残るフレーズですものね。

川谷:なので、一度浮かんできたらこれ以外考えられなくなっちゃったんです。

──ドラムのカッコよさもひときわ光るものがあります。

佐藤:この曲、最初のリファレンスは気楽に演奏しているんだろうなっていう。 セッション感のあるファンクだったんですよ。だから、「手癖満載でもいいかな」みたいなそのときの気持ちが、今では万々歳だなと。それをリスナーとして聴いたときに、「複雑だけど聴きやすい」と受け取ってもらえるのならうれしいですね。

──ベースも冒頭から存在感の強さを発揮しています。

後鳥:同じフレーズを繰り返しているように聞こえるんですけど、川谷くんともいろいろ話し合って、ポイントによって音を伸ばしてます。「2つ目の音はアクセントを変えよう」という試みもあって、それが大変でした(笑)。それが、アウトロに入るとすべて解放されるので、弾いていて楽しい曲です。あの最後のセッション感は、みんなでいつまでもやれそうな感じなので、ライブでどんな感じになるのか楽しみですね。

──ギターの遊び感もたまらないですよね。

長田:実はこの曲、前半と後半とで跳ね具合が全然違くて。それを合わせるのにめっちゃ苦労しましたし、ライブではそのへんもどんどん変わっていくと思うので、今後どうなるか、楽しみな曲ではあります。特に後半になると栄太郎がノリにノッてきて、めっちゃリズムが跳ねてるからね(笑)。

佐藤:気持ちよくなってしまいました(笑)。

長田:この曲はもちろん、今回のアルバムはライブを重ねることで育つ曲な多い気がしているので、僕らもそこを楽しみにしています。

──アルバムを締めくくる「恋の底」も、終盤のインストパートはライブを通じてどんどん化けていきそうですよね。エモーショナルなギターソロと、その裏でどんどん激しくなっていくリズム隊のアンサンブルが本当に気持ちいいんです。

長田:この曲、アレンジするときは入り方だけは決めていたんですけど、それ以外は自分のファーストテイクを出して、それをちょっとマッチョにしたぐらいの感覚でしかなくて。僕は今作において自分の瞬発力や直感を信じてアレンジしていったので、「恋の底」はそれが特にうまくかたちになったのかなと思います。

──リズム隊も曲終盤に向けてどんどん激しさが増していきますし、特にベースはフレーズがいろいろ変化が加わっていき、非常に聴き応えがありました。

後鳥:いなたい音で録りたいと思ったので、それがしっかりできたと思うし、ドラムとがっつり向き合って踏ん張りながら弾いてるような感じが、とても気持ちよかったです。

佐藤:この曲はなりふり構わず、リズムの揺れとかブレとか気にせずにすべてを解放するような演奏がいいなと思って叩きました。

──「恋の底」は曲が進むにつれて紫の霧が全体を覆っていき、最後は濃厚な霧に包まれて終わる……そんな『満ちた紫』というアルバムタイトルを象徴する1曲だなと思いました。川谷さんはこの曲を、どんなイメージで作り上げていったんですか?

川谷:最初はコードから作って、「こういう構成にして、アウトロは長くて」みたいな構想は頭の中にあったんですけど、メロディに関してはイメージがなくて。それも「サビは2回しかやらない」とか流れを固めていく中で、このサウンドに呼ばれてメロディが浮かんできて、そこから歌詞も導かれたのかな。最後に歌録りした曲で、歌詞も最後に書いているので、アルバムの全体像がわかった上で書きましたし、アルバムを締めくくるにふさわしい曲にしようと思っていたので、今おっしゃってくださったような印象につながったのかもしれませんね。

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新しいものを作らないと飽きちゃうんです

──これは僕の一方的なイメージですが……曲調も全然違うし表現していることも異なると思うんですけど、紫というキーワードもあってプリンスの「Purple Rain」と印象が重なったんです。

長田:ああ、なるほど。

──「Purple Rain」も長尺のギターソロがフィーチャーされてエンディングを迎えますし、そこで熱量がグッと上がっていく空気感も近しいものがあるなと。

川谷:それはうれしいですね。ありがとうございます。

──ちなみに、皆さんの中で紫という色に対してどんなイメージがありますか?

長田:あれしか出てこない、『地獄先生ぬ~べ~』に出てきた紫鏡。

川谷:それ、伝わらないって(笑)。

後鳥:僕は……なんとなくですけど、怪しい曲が紫っぽいなと。

川谷:ファッションでも、着飾るのが難しそうであんまり選ばない色じゃないですか。ただ、作品にすると美しいのも紫であって、ジャケットに使ったり音楽にその要素を散りばめたりすると、すごく美しく色だなと思いますね。

佐藤:気品が漂うという意味で、妖艶なイメージがありますよね。ちょっとセクシャルというか。なんとも言えない欲望が渦巻いていて、だけど品があるみたいな、そういう印象かな。

──青や赤と比べると、大人な印象も強いですよね。そういうイメージを纏った作品を16年目にして完成させたというのも、今のindigo la Endならではと思いました。川谷さんはindigo la Endに加えて、現在もゲスの極み乙女や礼賛など複数のバンドを掛け持ちしており、各バンドで定期的に新作を発表し続けています。どのバンドでも毎回アップデートを続けることは決して簡単なことではないと思いますが、川谷さんの中でこの10数年の間にモチベーションが途切れるようなことってないんでしょうか?

川谷:曲を作る上で、モチベーションが下がったり途切れたりするようなことはなかったですね。特に、最近は以前よりも(リリースや活動の)ペースが少し落ちていますし。indigoに関しても、以前だったら前作から1年半も空いたら「ああ、ずいぶん空いたな」という感じ。だいたい1年に1枚みたいな感じだったもんね。

長田:そうだね。

──では、ご自身の中では以前よりも大変さが軽減している?

川谷:いや、大変です(笑)。産みの苦しみっていうのは、毎回変わらずありますね。

──それでも途切れず作り続けてこられたのは、なぜだったんでしょう。

川谷:結局、新しいものを作らないと飽きちゃうんです。前の曲ばかりやり続けているだけだと、特に……なので、作らなきゃいけないという使命感よりは、「作りたくなる」っていう健康的な理由ですかね。

──自分たちが楽しむために。

川谷:そうですね。使命感はもちろんあるんですけどね、どういう曲を出すとか。ただ、曲を作り始めるときは楽しむことが大前提です。

──ほかの皆さんはバンドを長く続けていく中で、どうやってモチベーションを保ってきましたか?

後鳥:ボーカル(川谷)がいっぱいバンドをやっていて、いっぱい曲を作っているのをすぐそばで見ているので、僕らがモチベーションをなくすことはないと思います。単純に楽しくやってます。

長田:僕は「現状維持は後退だ」っていう精神でいるので、わりと自分に枷を背負わせているみたいなところがあって。だから「常に新しいものを」というスタンスでやっているし、後ろに下がれないことを常に意識しているからこそ、前進できている気がします。

──「前に進む」ことよりも「後ろに下がらない」ことを意識する、そこの視点の違いって大きそうですね。

長田:ちょっと後ろに下がったら、「あいつ終わったな」みたいなことを言う人もいるじゃないですか。自分はそうは言われたくないし、「ダサくなりたくない」という思いも人一倍強いので、常にそことの戦いです。それがモチベーションになっているんだと思います。

佐藤:僕は兄がプロレスをやっていて、自主興行で人を集めるのは本当に大変という話をよく聞かされるんですね。「それと比べて、お前のバンドはいろんなところに、ちゃんとたくさんの人が来てくれていいね」と言われたんですけど、確かに自分たちのために時間を割いて観に来てくれる人がいて、環境と運も揃っている。しかも、リーダー(川谷)は僕らの何倍も忙しいのに、ここでモチベーションが落ちたとかさすがに言えないですよね。だから、「いやいや、これはもっと頑張らないと」とニコニコしながら言えるんです。本当に恵まれていると思います。

──なるほど。

佐藤:最近、僕たちがフェスに呼ばれて出たんですけど、そこで自分たちが最年長だったんですね。若いバンドさんがたくさんいる中で、15年、16年も活動している僕らが呼んでもらえるんだから、そりゃモチベーションがどうこうなんて言えないですよ。同年代の仲間たちには、続けたくても続けられなかった人たちもいるし、そういうことを考えるとモチベーション云々以上に、楽しく活動が続けられていることは本当に幸せな人生だなと思います。

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