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<インタビュー>結成30周年のくるりが挑む、ロック・バンドとオーケストラの融合

Interview&Text:青澤隆明 / Photo:端裕人
くるりとオーケストラ。意外にも思える出会いだ。革新と変容を謳歌するロック・バンドは、ヨーロッパ伝統のシンフォニー・オーケストラといかに組み合い、独創的な響きの光景を拓いていくのか。
これまでも弦楽オーケストラやカルテットとの共演を実らせてきたくるりだが、10型2管編成のフルオーケストラとの本格的な融合は、結成30周年を前にしての新たな挑戦となる。
本コンサートのために、くるりと多才なアレンジャーたちが綿密な作業を重ねて、シンフォニックな編曲の構築に取り組む。若きマエストロ高井優希が指揮する東西2つのオーケストラが、渋谷と京都の舞台をくるりと織りなす。「男の子と女の子」、「JUBILEE」など、新旧を彩る名曲たちがどのように解釈され、これまでと違う顔をみせていくのか楽しみだ。
決してかんたんなことではないはずだが、しかし難しいことを愉快に乗りこなしてきたのがくるりであり、経験と智慧に富むバンドとしての破格の自由さでもある。オーケストラとのスリリングな邂逅に臨むくるりの岸田繁と佐藤征史に、未踏の挑戦へ向けての期待をきいた。
── オーケストラと言えば、岸田さんの『交響曲第1番』が京都で世界初演されてからちょうど10年になりますね。楽譜と音源が昨年リリースされた『弦楽四重奏作品集 第1巻』もそうですが、こうした作品では、岸田さんは作曲家の立場で、クラシックの演奏者との関わりを重ねられてきました。
岸田繁: しばらくフルオーケストラのライティングはやっていないですけど、今回はオーケストレーションの大半を他人に委ねて、僕はバンドで演奏します。くるりの楽曲はただでさえややこしいので、いろいろな意図をまず理解していただいて。くるりのほとんどの楽曲は基本、和声はクラシカルだけど、リズム&ブルースの演奏スタイル。それと、もっとも相性のわるいものがロマン派的なものだと僕は思っているんです。いわゆるロマン派的な熱量と、スキッフルを発端としたロックンロールのビート感というのはうまく融合できないので、それをどう持っていくかというのが創り手としては課題です。
佐藤征史: いままでストリングスといっしょにやったりツアーをまわったりしてきた、その延長線上と思っていらっしゃる方が多いと思うんですよね。そことは全然違うんだぞ、っていう期待と楽しみをもってきていただけるとうれしいです。それは自分たちも含めてで、過去にウィーンの弦楽オーケストラとやったときはバンドにストリングスが乗っかるかたちだったので、楽器自体の役割が今回どういうものになっていくのかというところが、ほんとうにやってみないとわからない……。
岸田: 相性はそんなに良くないと思うんですよ、はっきり言っちゃうと。でも、いちばん大事なのはオーケストラに対する考えかたでしょうね。長い歴史とともにあるオーケストラというかたち、さまざまな生楽器、それを扱う奏者さん、コントロールする指揮者さんとどう対峙するかということが僕らにとって最大のテーマ。60人規模の編成でくるりの曲を演奏するなんてなかなかないことで、その1人1人を"バック"というふうには僕は考えない。やっぱり1人1人の音楽であることが、オーケストラを楽しむことなんじゃないかと思います。

── そこは、くるりの多彩なバンド構成だけでなく、やはりクラシカルな作品を通じて、オーケストラの演奏家たちと交流を温めてきた人間的な共感があればこその理解ですね?
岸田: 最近はオーケストラの人たちの呼吸だとか演奏のしかたというのを、自分なりになんとなく読みとれるようになって、どこが自分たちの楽曲との接続点なのかみたいなことはかなり意識をしていますね。オケの人たちがやっている音楽のタイム感は、くるりの曲の根幹のものにすごく相性がいいところがたくさんあるので、できるだけオーケストラのスタイルに合う演奏を自分たちがやっていかないといけないな、というふうにも思っています。
── 佐藤さんにとって、そもそもクラシックのオーケストラとはどういうものですか?
佐藤: オーケストラをちゃんとみたのはレコーディングでウィーンに行ったときが初めてだと思うんですけど、何百年も文化として残って、違う国にも派生している意味はやっぱり理解できるというか、ふだんシンガーやバンドのライブをみる以上のものはあるというのは感じました。もっとプリミティブなところの揺さぶられ感というか、自分が想像もしなかったような景色が流れてくるというのか、そんな感覚を受けたのは音楽として初めての体験だったなと。オーケストラは自分にとってはそこまで日常的なものではないですけど、ほんとうに特別なこと、たとえば美味しいディナーを味わうような感覚がありますね。

── オーケストラと響き合って、くるりの多様な楽曲がこれまで聴いたことのないようなかたちで味わえると、とても愉しいですね。
岸田: くるりというのは、ひとつにはこの方々と演奏したいということを叶える場でもある。私と佐藤がいて、いっしょに演奏するプレイヤーたちがいて、楽曲自体はこう演奏しようっていうものがあって、そこは自分の演奏も含めてコントロールされている。それ以外は放置プレイのバンドで、かなり自由なんですよ。シンフォニーを書いたときとは違って、自分が魂を預ける人たちが演奏の場にともにいるということが、ここではそうとう大きい。それを受けてパヴァロッティみたいに歌います、みたいに言えればいいんですが、僕はそのオケの一員として音楽と向き合えればいいかな、という思いです。
佐藤: 繁くんはオケの一員って言ってますけど、プレイヤーとしてはやっぱりどう歌ってもらえるかというのをつくるのが大きくて。そのなかで今回自分はどういう立ち位置になるんだろう、というのが不安でもあり楽しみでもあるというのが正直なところです。くるりの場合、この楽曲は雨なのか曇りなのかとか、そういうところの共通認識はものすごく大きくて、それで音の出しかたとかもぜんぜん変わったりする。指揮者さんがどういう演出をされるかもあるとは思うんですけど、全体でそういう意思統一ができれば大丈夫かな。
岸田: 発見もたくさんありそうですし。たくさんのインスピレーションをできるだけいただいて、クラシックの奏者のみなさんにも与えられることを与えて……。

公演情報

【billboard classics QURULI Premium Symphonic Concert 2026】
2026年8月30日(日)
東京・Bunkamura オーチャードホール ※完売
OPEN 17:00 / START 18:00
2026年9月5日(土)
京都・京都コンサートホール 大ホール ※完売
OPEN 17:00 / START 18:00
出演:くるり
指揮:高井優希
管弦楽:
【東京】東京フィルハーモニー交響楽団
【京都】日本センチュリー交響楽団
編曲監修:山下康介
チケット:
全席指定 12,000円(税込) ※特製プログラム付き
公演公式サイト:https://billboard-cc.com/quruli2026
主催:ビルボードジャパン(阪神コンテンツリンク)
企画制作:ビルボードジャパン、ノイズ・マッカートニー
後援:米国ビルボード、【東京】J-WAVE
<注意事項>
※未就学児入場不可
※枚数制限:おひとり様各公演1申し込み最大4枚まで
※車椅子をご利用のお客様は、お問合せ先までご連絡ください
※チケットはおひとり様1枚必要となります。チケットを紛失された方、または当日お忘れになった方はご入場できません
※必ず公式サイトに掲載の注意事項をご確認の上、チケットをお求めください
<ご来場のお客様へのお願い:https://billboard-cc.com/notice>
公演に関するお問合せ:
【東京】HANDS ON ENTERTAINMENT info@handson.gr.jp(10:00~18:00/土日祝休)
【京都】キョードーインフォーメーション 0570-200-888(12:00~17:00/土日祝休)
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