Billboard JAPAN


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<インタビュー>衝撃のデビューから1年、LE SSERAFIMが語るAdo、imaseとのコラボレーション【MONTHLY FEATURE】

インタビューバナー

Interview & Text:Takuto Ueda
Photo:興梠真穂


 Billboard JAPANが注目するアーティスト・作品をマンスリーでピックアップするシリーズ“MONTHLY FEATURE”。今月は、2022年5月にBTSなどのグローバルアーティストを多数輩出しているレーベルを傘下に置くHYBEとSOURCE MUSICによる初のガールグループLE SSERAFIMのインタビューをお届けする。

 今年1月には日本1stシングル『FEARLESS』をリリースし、これを記念したショーケース・イベントも開催。そして、5月には1stスタジオアルバム『UNFORGIVEN』を発表し、ビルボードジャパンの総合アルバム・チャート“Hot Albums”、週間アルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”、ダウンロード・アルバム・チャート“Download Albums”で三冠を獲得した。

 そのタイトル曲を“Japanese ver.”として収録した日本2ndシングル『UNFORGIVEN』も8月にリリース。タイトル曲「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers, Ado) -Japanese ver.-」にはAdoのフィーチャリングも決まり、さらには日本オリジナル楽曲「ジュエリー (Prod. imase)」のプロデュースをimaseが担当するなど、日本でも大きな話題となった。デビュー後1年間の歩み、確かな評価を得たアルバムや最新シングル、そして自身初の単独ツアーについて、メンバーたちに話を聞いた。

※諸事情によりHUH YUNJINはインタビュー当日不参加。後日、別途回答。

「LE SSERAFIMの曲を聴いて、勇気を持っていただけたら」

――デビューから約1年、皆さんが個人的に“最も成長した”と思う部分があれば教えてください。

KAZUHA:私は韓国語が一番成長したなと思います。


――どんなふうに学んだのでしょう?

KAZUHA:勉強したというより、普段からメンバーと喋ったり、冗談を言ったりしながら上達してきた感じです。


――たしかに会話が一番の近道かもしれないですよね。KIM CHAEWONさんは?

KIM CHAEWON:デビュー前やデビュー当初は、ステージに上がっても“パフォーマンスを楽しむ”という気持ちがまだ持てなかったのですが、今は楽しむ余裕ができたと思うので、そういうところが成長できた部分じゃないかなと思います。


――その余裕が生まれたのはいつ頃?

KIM CHAEWON:デビュー曲の「FEARLESS」のときはまだ余裕がありませんでしたが、それ以降はずっと楽しめている気がします。




KIM CHAEWON

――デビュー時はさすがに緊張やプレッシャーが大きかった?

KIM CHAEWON:そうですね。デビューするまでに時間をかけたということもありますし、私たちメンバーだけではなく周りのたくさんの方々がデビューに向けて尽力してくださったので、今考えるとちょっとプレッシャーもあったのかなという気がします。

SAKURA:私は自分にあまり自信がなかったり、物事に不安を感じてしまうことが多いタイプでしたが、LE SSERAFIMとしてデビューしてからは、いい意味でドライに生きていけるようなマインドになりました。私たちの曲は強い歌詞が多いので、自分も「こういう生き方をしたいな」と思いながら歌っていますし、勇気をもらったりポジティブになれたりします。


――特に背中を押された曲を挙げるとしたら?

SAKURA:「ANTIFRAGILE」だと思います。自分のパートだと<見くびらないでよキャリア>の部分とか、過去の自分を重ねられる歌詞もあるので、歌っていると「ああ、自分をもっと認めていいんだな」と思えるようになります。


――素晴らしいです。HONG EUNCHAEさんはどうですか?

HONG EUNCHAE:実際にデビューをして感じたのは、ファンの方々が増えるに連れて、やっぱり責任感というものが大きくなっていくことです。あと、デビュー以降、いい意味で欲がどんどん出てきたり、そういう気持ちの部分で成長できているのかなと思います。


――HUH YUNJINさんはどうですか?

HUH YUNJIN:個人としては、自分の考えを表現することにおいて成長したように感じます。今はステージをもっと余裕を持って楽しむために学び続けています。あと、メンバー同士が本当に仲良くなって、家族のような関係になったと思います。




SAKURA

――皆さんが思う、現在のLE SSERAFIMの個性や強みについて教えてください。

SAKURA:私たちは実体験をもとにした歌詞が多くて、同じように悩んだりつらい思いをしている方々がLE SSERAFIMの曲を聴いて、勇気を持っていただけたらいいなと思っています。そういう生き方に対する考え方を歌っている、というのがLE SSERAFIMの強みなんじゃないかなと思います。


――具体的にはどんなふうに実体験を楽曲に反映させているのでしょうか?

SAKURA:曲の制作前に一人ずつインタビューみたいな時間があるんです。あとは、過去のインタビュー記事を読んでいただいて、そこから私たちの考え方が引用されて歌詞になったりすることもあります。


――では、メンバー全員がLE SSERAFIMの楽曲に自己投影することができるんですね。

KAZUHA:「ANTIFRAGILE」に<忘れないでよ my toe shoes>という歌詞があるので、そこは私にぴったりなパートなんじゃないかなと思います。


――グループとしての個性、強みの話に戻りますが、ライブ・パフォーマンスの面だとどうでしょうか?

KIM CHAEWON:私たちはステージに立つとき、ファンの皆さんと一緒にライブを作っていこうと努力しています。例えばコール&レスポンスを入れて皆さんが反応できるようにしたり。


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アルバム『UNFORGIVEN』について

――今年1月には日本でもショーケース・イベントを開催。何か印象に残っているエピソードはありますか?

HONG EUNCHAE:ファンの皆さんはずっと立って見てくださっていたのですが、SAKURAさんがそれを心配して「座っていいですよ」と声をかけていた場面がすごく記憶に残っています。


――ははは。なぜその場面が印象に残ってるんですか?

HONG EUNCHAE:かっこいいなと思いました。


――そのSAKURAさんはどうですか?

SAKURA:デビュー前に紅白に出場させていただいたり、ショーケースのときも日本デビュー日だったにもかかわらず、すでにたくさんの方々が私たちを応援してくださっているのを目の当たりにして、すごく感動したのを覚えています。


――HUH YUNJINさんは?

HUH YUNJIN:当時、EUNCHAEさんが覚えたばかりの日本語が「カードを抜いてください」だったので、ショーケース前に控え室などでいつも練習していたのを覚えています(笑)。


――そして、5月には1stスタジオ・アルバム『UNFORGIVEN』をリリース。いくつかの楽曲は日本でレコーディングしたそうですね。作業過程でどんな発見や学びがありましたか?

SAKURA:今回は特にラテン系だったり、あまりやったことのないジャンルの曲も多かったので、レコーディングしながら「ああ、自分にはこういう声があるんだ」といった発見がありました。少し苦労した部分もありますが、最後までいろんなジャンルを楽しめる作品になったのではないかなと思います。


――レコーディングに向けて準備したことなど教えてください。

KAZUHA:「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers)」も日本でレコーディングを始めたのですが、最初の<Unforgiven, I'm a villain, I'm a>の部分はちょっと暗めにかっこよく歌おうと思っていたんです。でも、もう少し明るい感じにしてみたらどうかとアドバイスをいただいて、実際にやってみたらプロデューサーさんも「これだ」と言ってくださって。ここは一番耳に残るところですし、プロデューサーさんも中毒性がある感じにしたいとおっしゃっていたのので、うまく表現できてよかったです。そうやって限られた時間のなかでベストなレコーディングをする、という経験ができたと思います。

KIM CHAEWON:時間の限られた中でのレコーディングだったので、やはり喉のコンディションにはすごく気を遣いました。

HONG EUNCHAE:私は「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers)」で少し長めのパートを歌ったのですが、それが初めてのことだったので、上手く歌いたいと思ってより一層練習しました。


――1stスタジオ・アルバム『UNFORGIVEN』は、他人の視線や評価に捉われず、自分自身の道を切り開いていく覚悟が込められているように思います。そんな本作が多くのファンに支持され、ヒットチャートのトップに立った。皆さんはそこにどんな意味や手応えを感じますか?

KIM CHAEWON:少なくとも私たちが作品を準備している段階では、チャートに入ることを目標にしているのではなく、あくまで自分たちができること、曲を通して表現したいことを念頭に置いて制作していました。結果的に皆さんの反応や評価もついてくると思っていました。

SAKURA:『UNFORGIVEN』はデビュー記念日の前日に発売されたのですが、そこで1年間の頑張りが出たんじゃないかなというのを感じました。特に「ANTIFRAGILE」がきっかけでたくさんの人に知っていただけたと思いますし、その期待度がいい意味で影響したのかなと思います。だからこそ、ここからが本当の勝負だと思うので、変わらず私たちだけができる音楽を続けていけたらと思います。

HUH YUNJIN:本当にたくさんの方々がわたしたちの曲とパフォーマンスを愛してくださっていると感じますし、伝えたいメッセージがちゃんと届いているようで嬉しいです。皆さんがわたしたちのパフォーマンスを見て、勇気をもって一緒に手を取り合い、前に進みたいと思ってもらえるような良い影響力を持ったチームになりたいです。




KAZUHA

――少しカジュアルな質問です。最近の皆さんの“心のヒットソング”を挙げるとしたら?

KAZUHA:最近ではなく常に“心のヒットソング”なのですが、BLACKPINKさんの「BOOMBAYAH」です。私がK-POPに興味を持つきっかけになった曲なので。

HONG EUNCHAE:私は特にこれといった曲はなくて、そのときの気分に合わせていろんなプレイリストを聴いてみるタイプです。

HUH YUNJIN:私は「Eve, Psyche & The Bluebeard’s wife」です。私が楽曲制作に参加した大切な作品であり、パフォーマンスで多くの注目を集めている曲です。振り付けを初めて教えてもらった時はとても心配でしたが、たくさん努力してやり遂げることができました。努力した分、皆さんも気に入って楽しんでくださったので、胸がいっぱいです。努力は裏切らない!


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「燃え尽きるようなステージにしたい」

――次に日本2ndシングル 『UNFORGIVEN』についても聞かせてください。日本オリジナル楽曲「ジュエリー (Prod. imase)」は、imaseさんのプロデュース。この曲の聴きどころを紹介してください。

KIM CHAEWON:歌詞がとてもきれいです。LE SSERAFIMの曲はクールな雰囲気が多いのですが、この「ジュエリー (Prod. imase)」は笑顔で気分良く聴いていただける曲になっていると思います。

SAKURA:深夜のドライブ中に聴きたくなるような、とても聴きやすい音楽になっていると思います。LE SSERAFIMはラップ調の楽曲も多いのですが、今回は声自体をキラキラさせるような感じでレコーディングしました。

KAZUHA:私は普段、レコーディングでは「ここはこうして、ここはこうして」と細かく計算しながらやるのですが、「ジュエリー (Prod. imase)」はノリノリでに楽しみながらレコーディングしました。

HONG EUNCHAE:歌詞の中で“煌めき”という言葉が何度も出てくるので、本当にキラキラした美しいものを想像しながら気持ち良く歌いました。

HUH YUNJIN:わたしが好きなシティポップジャンルで、曲も歌詞もとても素敵です。



'Jewelry (Prod. imase)' LIVE CLIP


――皆さんとimaseさんが共演したLIVE CLIPも公開されましたね。実際に会ってみて、imaseさんにどんな印象を持ちましたか?

SAKURA:歌っているときにはすごくカリスマがある方で、実際に話してみるととても親近感のある方でした。


――そしてタイトル曲「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers, Ado) -Japanese ver.-」では、同じく日本の歌い手、Adoさんとフィーチャー。コラボすることが決まったときはどんな心境でしたか?

HONG EUNCHAE:歌唱キャストを務めるAdoさんがとても有名な方であることは知っていたので、私たちの曲に参加してくださることを聞いてすごく信じられない気持ちでした。

KAZUHA:Adoさんは唯一無二な歌声をお持ちなので、私たちの曲とコラボしたときにどんなふうに歌っていただけるんだろうとすごく楽しみでした。

HUH YUNJIN:とても不思議で信じられませんでした。Adoさんの歌を初めて聴いた際、素晴らしいアーティストの方だと思ったのを覚えており、こうしてご一緒させていただくことになるとは思ってもいなかったです。



'UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers)' OFFICIAL M/V


――実際にAdoさんの歌声が加わったこの曲を聴いて、皆さんはどんな仕上がりになったと思いましたか?

KIM CHAEWON:Adoさんの歌声がどんなふうに加わるんだろうと楽しみにしていたのですが、歌唱力がとてもパワフルで、さらに声には表情があって、この曲の雰囲気を最大限に表現してくださったように思います。

SAKURA:私自身、Adoさんの大ファンなので、私たちの曲をAdoさんに歌っていただけること自体がうれしかったです。実際に聴いてみると表現力が本当に飛び抜けて素晴らしいなと思いました。アーティストとして学ぶ点も多かったですし、Adoさんが歌うことによって感情がより伝わる楽曲になったのですごく感謝しています。


――Adoさん、imaseさんの参加はファンにとっても大きな驚きだったと思います。ほかにも今後コラボしてみたいアーティストはいますか?

KAZUHA:私は昔から星野源さんの曲が好きなので、いつかコラボができたら本当に夢みたいだなと思います。

HONG EUNCHAE:どなたであっても、コラボしていただけるならありがたいですよね。




HONG EUNCHAE

――8月12日に韓国ソウルからスタートした、LE SSERAFIM初の単独ツアー『2023 LE SSERAFIM TOUR ‘FLAME RISES’』。日本では名古屋、東京、大阪の3都市で開催されました。タイトルにある‘FLAME RISES’の由来について教えてください。

SAKURA:「自分たちが歩いてきた道を燃やして、もう後戻りしない、前に進むだけだ」という意味も込められてますし、実際にコンサートを燃えるような熱いステージにしたいという想いも込められています。


――とても力強い想いが込められているんですね。

SAKURA:そして“LE SSERAFIM”のアナグラムでもあります。


――実際、どんな手応えを感じましたか?

KIM CHAEWON:私たちがデビュー前から目標にしていたのがコンサートです。なので今回、LE SSERAFIMとして初めてツアーができたことはとても幸せでした。ちょっと信じられないくらいです。最後まで健康に気をつけながら終えられたらいいなと思います。

SAKURA:コンサートの最後はちょっとしんみりした曲で終わることが多いと思うのですが、私たちの場合はすごく盛り上がる曲で終わるようにしているんです。私たちらしく、‘FLAME RISES’のとおり燃え尽きるようなステージにしたいという想いでそうしているのですが、ファンの皆さんも全力で楽しんでくださっている姿が見えたので、私たち自身も本当に楽しかったです。

HUH YUNJIN:とても楽しいです。本当にたくさんの方々が時間を作ってわたしたちの公演を観に来てくださって感謝しています。 最後まで楽しみながら、健康にカッコよくやり遂げたいです。


――では最後に、この記事の読者やファンの皆さんにメッセージをください。

KIM CHAEWON:私たちの日本2ndシングル『UNFORGIVEN』をたくさん聴いていただけたら嬉しいです。そして、コンサートに来ていただくときには思い切り楽しんでほしいなと思います。

SAKURA:私たちの音楽がたくさんの方に愛されているのを実感できてすごくうれしい気持ちになります。今回のツアーを最後まで完走して、また次のツアーができるようにもっともっと成長できたら思っているので、これからもずっと応援してもらえたらうれしいです。


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