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<インタビュー>「自分らしさとは崇高な美しさ」――英国の実力派俳優、ルーク・エヴァンスが音楽で示す極上のエレガンス



<インタビュー>「自分らしさとは崇高な美しさ」――英国の実力派俳優、ルーク・エヴァンスが音楽で示す極上のエレガンス

映画『ワイルド・スピード EURO MISSION』(13年)への出演や、『美女と野獣』(17年)のガストン役などで知られ、その甘いマスクと表現力の高い演技で世界を魅了している、ルーク・エヴァンス。最近は音楽活動も精力的にこなしている彼が、2作目となるアルバム『A Song For You』を完成させた。サイモン&ガーファンクルの「Bridge Over Troubled Water(明日に架ける橋)」(1970年発表)や、ワム!の「ラスト・クリスマス」(84年)などスタンダードのカバーや、ニコール・キッドマン、シャルロット・チャーチとのデュエット曲、さらに書き下ろしナンバーなどを収録した内容。先日、チャリティ・イベント【Global Gift Gala in Tokyo 2022】への出演のため来日したルークに、アルバム(音楽)への思い、さらに日々大切にしていることを直撃した。

Interviewer:松永尚久

俳優業と音楽活動の両立/ニコール・キッドマンらとのデュエット

――日本でのパフォーマンス(【Global Gift Gala in Tokyo 2022】のステージで1曲披露)はいかがでしたか?

ルーク・エヴァンス(以下ルーク):とても素晴らしい時間になったよ。ステージではアルバムに収録の「You Raise Me Up」(シークレット・ガーデンの22年発表曲カバー)を披露させてもらったのだけど、観客のみなさん、スタッフの方々が最高の空間を作ってくれた。

――音楽活動と役者業、モチベーションに違いはありますか?

ルーク:私にとっては、それぞれが異なる存在だね。役者で音楽活動をする人もいるけど、2枚のアルバムをリリースするほど、本腰を入れて音楽活動をする人はなかなかいないんじゃないかな。なぜなら、さまざまな作品の撮影があり、それが終われば宣伝で世界中を駆け回る。そこに加えて音楽活動をするなんて、目まぐるしいスケジュールになってしまうからね。でも、私は大変なことを両立するだけの価値がいつか訪れると信じている。実際に、相乗効果をもたらすことも多いからね。それと、音楽と演技を両立できている現在を、とても恵まれた環境であると感謝しているんだ。


▲Luke Evans - Bridge Over Troubled Water (Official Video)


――そして完成したばかりの2ndアルバム『A Song For You』について教えてください。

ルーク:本作はとてもパーソナルな内容なんだ。書き下ろしの楽曲や、デュエットなど、自分がやってみたかった音楽を、自分の表現したい方向性で示すことができた。カバーで選んだ楽曲も、自分が好きで共鳴できるものを厳選したし、さまざまな出来事が起こる日々、それでも人間の温もりを感じながら、希望、前向きになれる音楽を制作したつもりだよ。

――タイトル曲はダニー・ハザウェイの1971年発表曲のカバーになりますね。

ルーク:この曲をレコーディングしたことがきっかけで、本作のプロジェクトが始動したんだ。オーケストラと一緒にスタジオに入ってレコーディングしたんだけど、それはとても素晴らしい経験で、パワフルな楽曲に仕上がり、アルバムの方向性が見えたというか。音楽を作ることは、自分のためであると同時に、リスナーのみなさんに何かを捧げるものでもあると思うようになった。だからこのタイトルにしたんだ。

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――本作ではニコール・キッドマン、シャルロット・チャーチとのデュエット曲も収録されていますね。

ルーク:シャルロットとは歌のレッスンの先生が一緒ということもあり、20年来の知り合いなんだ。でも、これまで共演する機会がなかったから、今回声をかけさせてもらった。ニコールに関しては、以前ドラマの撮影でご一緒させていただいたのが縁で、ダメ元で声を掛けたところ快諾してくれたんだ。彼女はパートナーがミュージシャンのキース・アーバンということもあって、音楽好きだからね。結果、とても美しい仕上がりになったよ。


▲Luke Evans - Come What May (feat. Charlotte Church) (Official Video)


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誰かの視線を気にせず自分に誇りを持つ

――また、2曲の書き下ろしも収録しています。「Horizons Blue」はアルバムのなかで異色のアコースティック・ナンバーですね。

ルーク:シンプルにときめくラヴソングを作りたくて。相手のちょっとした仕草や、カップの持ち方、笑顔とか、忘れられない瞬間を噛み締めているようなね。まず、歌詞を完成させ、それにあうサウンドをプロデューサーのエイミー・ワッジ(エド・シーランなどを手がける)と相談しながら、カントリーっぽいテイストの楽曲にしようという流れになったんだ。


▲Luke Evans - Horizons Blue (Official Video)


――「Busy Breaking Yours」はせつない仕上がりですね。

ルーク:これは哀しい歌さ。あの時にこうしておけばよかった、という恋愛でうまくいかなくなった後悔を曲にしたんだ。その気持ちをオーケストラの壮大なサウンドで、ドラマティックに仕上げてもらった。


▲Luke Evans - Busy Breaking Yours (Official Audio)


――今回のアルバム制作を通じて何か収穫はありましたか?

ルーク:どの曲もとても自由な感覚でレコーディングできた。カバー曲なんかは、楽曲の新しい解釈を加えたいと思いながらね。実際、「You Raise Me Up」を制作したソングライターの方から感謝の連絡ももらったんだよ。楽曲に新しい景色を加えることができたのかなと思ったね。

――今後の音楽活動の展望は?

ルーク:歌い続けていきたいね。これからも、たくさんの楽曲を発表して、世界をツアーでまわることができたらと思う。日本でも、フルセットでのパフォーマンスを実現させたいよ。それと、声優としても出演させていただいたNetflixで配信中の映画『スクルージ:クリスマス・キャロル』のサントラでも歌っているんだ。そちらもチェックしてほしいね。

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――それにしても、ハイトーンから低音までとても伸びやかで説得力のあるボーカルですね。その声を保つために大切にされていることは?

ルーク:20代からたくさんのミュージカルに出演してきたんだけど、毎日2ステージをこなすハードなスケジュールをこなしていくうちに、自然と声も鍛えられていったんだと思う。それと、喉のケアは日課さ。乾燥をさせない、大声を出さない、喉にいい飲み物を摂取するとかね。

――また、無駄のない身体作りでもこだわりはありますか?

ルーク:この体型をキープするために、日々のトレーニングは欠かせないね。世界を廻る日々が続くと、満足のいくワークアウトをできないこともあるけど、朝食前の空腹時に必ず身体を動かすことにしているんだ。体脂肪を燃やすには、空腹が何よりも効果的だからね。それに、トレーニング中も含め、水分は積極的に摂取するようにしているよ。

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――では、あなたの思う「カッコ良さ」とは?

ルーク:誰かの視線を気にすることなく、自分に誇りを持つこと。本物の自分らしさを放つ人は、高価な装飾を身につけていなくても美しく輝いているからね。正直に生きる人には、自然とカッコ良さが染滲みでるんだ。私もそれをまとうことができていたら良いんだけどね。

Photo:Ed Cooke

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