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<インタビュー>BAND-MAID、コロナ禍での国内外のファンに向けた活動&最新シングル『Sense』を語る



 BAND-MAIDが、ポニーキャニオン移籍後初となるシングル『Sense』を10月27日にリリースした。

 これまで幾多の海外公演を敢行し、国外にも多くのご主人様・お嬢様(BAND-MAIDのファンの呼称)を有するBAND-MAID。コロナ禍に入り、予定されていた自身最大規模の世界&日本ツアーは中止となってしまったものの、お給仕(BAND-MAIDのライブの呼称)の世界配信、Netflixオリジナル映画『KATE』への出演など、国内外問わず精力的に活動を続けてきた。

 そんな彼女たちの最新作『Sense』には、TVアニメ『プラチナエンド』のオープニング・テーマに起用されている表題曲「Sense」の他、全日本大学eスポーツ対抗戦バトルテーマソングのために書き下ろされた「火花」、SAIKI(Vo.)が初めて全編作詞を担当した「Corallium」が収録されている。新たな試みが詰まった本作について、SAIKIと小鳩ミク(Gt./Vo.)に話を訊いた。(Interview:もりひでゆき)

コロナ禍でも歩みを止めなかったライブ活動
60か国以上の人々が視聴した「オンラインお給仕」

――この2年ほどはコロナ禍の影響で活動がいろいろ制限されてしまっている状況だと思います。

SAIKI:そうですね。有観客お給仕ができなくなってしまったので、オンライン(配信)お給仕に変更したりとか。そこまでネガティブにはなってなかったけど、大変な状況ではありましたね。

小鳩ミク:発表していなかったツアーもあったんですけど、それも中止になってしまったし。今年2月に予定していた日本武道館でのお給仕が中止になったのも悔しかったですっぽね。

SAIKI:うん。あれはけっこうダメージが大きかった。


▲SAIKI

――昨年後半からは全米やヨーロッパ、アジアを巡るツアーも予定されていましたよね。

小鳩ミク:そうですっぽ。私たちは2019年にLive Nation(世界最大級のイベンター)とマネージメント契約を結んで、その一発目のツアーだったからけっこう大々的に世界を周る予定だったんですっぽ。でもそれもすべて中止になってしまったんですっぽ。

SAIKI:3,4本決まっていた海外フェスもすべてなくなってしまったしね。

小鳩ミク:だから有観客お給仕をしたい気持ちはどんどん高まっている状況で。そこで味わった悔しさはいつかどこかで2倍3倍……5倍くらいにして晴らしたいなと思っていますっぽ。

――世界中にファンが存在するBAND-MAIDにとって、海外のファンと交流できるライブという存在は大きなものなんでしょうね。

SAIKI:そうですね。基本的には1年に1度しか海外ツアーはできない状況なので、私たちにとってはかなり特別な行事になっているんです。海外のファンの方とお給仕を通して感情の交換ができることは、すごく楽しくて刺激的な時間ですね。

小鳩ミク:海外ツアーを終えて日本に帰ってくると、自分たちがすごく成長できたことを実感するんですっぽ。もちろん日本でのお給仕でもそういう感覚はあるんですけど、海外でのお給仕では毎回、初めて味わうような経験もたくさんできるので、より成長に大きく繋がってくると思うんですっぽ。私たちにとっては修行のような場所でもあるので(笑)、常に「海外に行かねばならない!」みたいな気持ちを持っているんですっぽ。


▲小鳩ミク

――コロナ禍ではオンラインで海外ファンともしっかり交流していた印象もありました。それは海外ツアーができないからこそ意識的に行っていたことだったんですか?

SAIKI:はい。直接お給仕で会えないけど、ちゃんと交流の場は設けたいと思っていたので、コロナ禍になってからすぐに動き出しました。オンラインお給仕はもちろん、トークライブみたいなものもオンラインで開催しましたし。

小鳩ミク:トークライブでは海外の人に向けて書いたお手紙を、それぞれのメンバーが読み上げたりもしましたっぽ。オンラインだとそういう私たちからの発信に対して、すぐにコメントが返ってくるのがいいところなんですっぽ。オンラインお給仕中に、ご主人様・お嬢様からのコメントを見たりすることもできますし。配信であれば国境も関係なく、全世界の人が見られる良さもあるので。そういう部分は私たちに合ったぴったりのスタイルだと思いますっぽ。

SAIKI:最初は目の前にご主人様・お嬢様がいないことに戸惑った部分はあったけど、でもそれもすぐに慣れて、オンラインならではの楽しみを見出せるようになりましたからね。

▲BAND-MAID「about Us」
(2021年2月に開催されたオンラインお給仕の映像)

――オンラインお給仕には60か国以上からアクセスがあり、海外ツアーで訪れたことのない場所からのコメントも殺到したそうですね。

小鳩ミク:ありましたっぽ。「これ、何語なんだっぽ?」みたいなコメントもたくさん流れてきましたっぽ。調べてもらったら、南極大陸以外、すべての大陸から視聴してくれていたみたいですっぽ。

SAIKI:「すごい!」って思ったよね。同時に、南極大陸も制覇したいなって思ったんですけど(笑)。

小鳩ミク:うん。南極の方にもぜひ観てもらえたらいいねって、メンバー全員で話していましたっぽ。そうやって視聴してくれている方の情報が数字になってみられるのもオンラインのいいところですっぽね。とってもありがたい。

SAIKI:今はそのデータを見ながらツアーで行く場所を調整したりもしてるんですよ。今まで行ったことがないけど、でもオンラインではこんなにたくさんの方が観てくれている。じゃ今度行こうか、みたいな感じで。

小鳩ミク:みなさんの思いは、世界中のどこにいても私たちの元に届くので、今後もオンラインお給仕やYouTubeなんかには、どんどんコメントして欲しいっぽね。

SAIKI:うん。漏らさずチェックはしているので、熱い思いを届けてくれれば、きっと会いに行ける日が来ると思います。

小鳩ミク:南極の方々もぜひ声を上げて欲しいですっぽ!

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新たな挑戦が詰まったシングル『Sence』

――そんなBAND-MAIDからニューシングル「Sence」が届きました。表題曲はTVアニメ『プラチナエンド』のオープニングテーマとなっていますね。

小鳩ミク:はい。私が元々『プラチナエンド』の原作のファンだったんですよ。なので、歌詞に関しては作品にしっかり寄り添った内容にしようと思って書きましたっぽ。曲に関してもギターのKANAMIが原作を読みこんだ上で作ってくれたので、しっかりマッチした仕上がりになったと思いますっぽ。

SAIKI:スピード感のあるギターのリフが耳に残る仕上がりですね。アニメのオープニング映像にもマッチしているので、そのあたりにもぜひ注目して欲しいです。あと、今回はオーケストラを使ったイントロにもかなりこだわったんですよ。元々はバンドサウンドで曲が始まる構成だったんですけど、アニメの製作委員会からご要望をいただいて、壮大なオーケストラのイントロをつけることになったんです。

小鳩ミク:オーケストラをガッツリ盛り込むっていうのはBAND-MAIDとして初の試みだったので、「どうなるのかな?」って最初はちょっとドキドキしていたんですっぽ。でも、完成したものを聴いたら、新しさを感じるのと同時に、ちゃんとBAND-MAIDが元々持っている良さも表現できたものになっているなと思って。すごく気に入ってますっぽね。

SAIKI:今回の曲で、私たちにはオーケストラも似合うということがわかったので、今後も曲によっては使っていってもいいのかなって思ったりしています。

小鳩ミク:そうなんですっぽ。オーケストラの重厚感が予想以上にしっくりきたから、それは今後も使っていくべきだなって。

▲BAND-MAID「Sense」

――歌詞ではどんなメッセージを伝えようと思いましたか?

小鳩ミク:一番は“幸せになりたい”“生きていたい”というメッセージですっぽね。アニメ自体に“幸せとは何か?”という大きなテーマがあるし、それはアニメを切り離したとしても、すべての人に当てはまるテーマでもあると思うんですっぽ。なので、より多くの人に届いたらいいなという思いで、そういう歌詞を書かせてもらいましたっぽ。

SAIKI:あと、曲の最後には“勇往邁進”という四字熟語が出てくるんですけど、そこにもこだわったんだよね。海外の方はそういう漢字の並びが好きだったりするので。

小鳩ミク:そうなんですっぽ。意味がしっかり曲にマッチしていて、なおかつ字面的にもかっこいい四字熟語をめちゃくちゃ調べて。5,6個の候補の中からSAIKIに選んでもらった感じだったっぽ。

SAIKI:そうそう。しかも、歌い方もちょっと英語っぽい発音になるように意識したんですよ。“you all my thing”みたいな(笑)。海外のファンの方が多いからこそ、そういう部分は常に意識するところでもあるんですよね。

小鳩ミク:どの曲にも日本だけに限定されない世界観を込めることは意識してますっぽ。

――ボーカルのレコーディングはいかがでしたか?

SAIKI:伸びやかで羽ばたくイメージを持ったメロなので、そこをしっかり意識しました。同時に、小鳩が書いてくれた歌詞には強い意志を感じることができたので、ところどころではちゃんと強さも感じてもらえるような歌を心掛けましたね。けっこう自分なりのクセを出せる好きなニュアンスのメロや曲構成だったので、気持ちよく歌えましたよ。ただ、カラオケなんかで歌っていただくのはちょっと難しいかもしれないです。息するところがほぼないので(笑)。

小鳩ミク:でも、聴いているとつい歌いたくなるメロディだっぽね。だから何度も聴いて体に馴染ませた上で歌ってもらえたらいいと思いますっぽ。

――カップリングについても聞かせてください。2曲目「火花」は、全日本大学eスポーツ対抗戦のバトルテーマソングとして書き下ろされたそうですね。

小鳩ミク:はい。『レインボーシックス シージ』というゲームを使った大会なので、そのゲームの世界観に寄り添った楽曲に仕上げていきましたっぽ。サウンド的にはシンプルだけど、すごくかっこいい曲になったなって思いますっぽ。

SAIKI:繰り返しのあるメロと曲構成になっているので、スピード感のあるゲーム内で戦っている感じがしっかり出ているんじゃないかな。3対3のチームに分かれて罠を仕掛け合うゲームだと聞いたので、後半のちょっとラップっぽくなるパートは、おどろおどろしく騙し合いをしているような雰囲気になっていたりもして。小鳩の書いた歌詞の言葉選びも含め、ゲームをプレイしている人がシーンを思い描きやすい曲になってますね。

小鳩ミク:サビ終わりで私が叫んでいたりとか、カオス感をより感じてもらえるように仕上げていったところもあるっぽね。

SAIKI:うん。ゲーム自体にカオスな印象があったので、音と音がぶつかり合って混ざっていく感じで、その雰囲気を表現したりとか。前回のアルバム『Unseen World』でけっこうカオス度の高い「BLACK HOLE」という楽曲をやっていたので、その経験を活かしつつ、いろんな意味でワチャワチャした感じを表現しました。

――そしてもう1曲は、SAIKIさんが初めて全編作詞を手掛けた「Corallium」です。

SAIKI:これまでも作詞をしてみないかっていう話は何度かもらっていたんですけど、毎回断ってたんですよ。「まだいいかな」みたいな(笑)。でも、コロナ禍になって時間的な余裕が少しできたことで、作詞への興味が湧いてきたんですよ。で、KANAMIにデモ音源をもらって、そこに歌詞を当てていく練習をずっとしていて。そんな流れで今回の歌詞も担当することになりました。

小鳩ミク:私がソロ活動で忙しい時期でもあったので、SAIKIが書いてみたらいいんじゃないかなって話になったっぽね。ただ、実は私もこの曲で歌詞を書いてみたんですっぽ。で、私とSAIKIの歌詞を名前を伏せた状態でスタッフに読んでもらった結果、SAIKIの歌詞が選ばれたっていう。初のバンド内コンペみたいな感じでしたっぽね(笑)。

――歌詞では恋愛相手に依存する女性の心情が描かれています。クールで強い印象のあるSAIKIさんがこういった歌詞を書かれたのはちょっと意外だったんですけど。

SAIKI:あははは。確かにそうかもしれないですね。この曲では誰にでもあるちょっと精神的に不安定な部分を描きたかったんですよね。この内容のすべてが私自身のことではないんですけど、でも私の中にもそういう部分はあるよっていうテンションで書きました。悩んだ部分もありましたけど、全体的に書きたいことはわりとスラスラ出てきましたね。

小鳩ミク:なんだか色気がすごい歌詞ですっぽね。最初にこの歌詞を見たとき、これがSAIKIから出てきたと思うと、ちょっと恥ずかしくなってしまったというか。「わ、エロいな」ってちょっと思ってしまったっぽ(笑)。でも、この世界観は私からは絶対に出てこないものなので、バンドとしては新しい表現を手に入れられたような気がしますっぽね。

――シーンが目まぐるしく変わる構成もかっこいいですよね。

SAIKI:そうですね。過去にあった「alone」や「Choose me」のような曲が欲しいというリクエストをして、KANAMIに作ってもらいました。展開の多さはまさにKANAMI節だと思います。

小鳩ミク:イントロだけ聴くとしっとりしたミディアムな曲なのかなって思うんですけど、そこから一気に激しくなるんですっぽ。そこもサプライズとして楽しみながら聴いていただけたらなって思いますっぽね。

――新たな挑戦を詰め込み、最新のBAND-MAIDが味わえる本作を経て、この後の展望は何かありますか?

SAIKI:楽曲の制作は引き続きずっとやっているので、それをどんどん届けていけたらなっていう思いがまずありますね。

小鳩ミク:あとは早く有観客でのお給仕ができるようになればいいなって願っていますっぽ。

SAIKI:うん。海外ツアーにもいい加減、来年くらいには行きたいし。行ける状況になったらすぐ行こうね。

小鳩ミク:そうだっぽね!

BAND-MAID「Sense」

Sense

2021/10/27 RELEASE
PCCA-6078 ¥ 1,320(税込)

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Disc01
  1. 01.Sense
  2. 02.火花
  3. 03.Corallium

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