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シェネル 10周年記念オールタイムベスト『10th Anniversary ALL TIME BEST』インタビュー



シェネル 『10th Anniversary ALL TIME BEST』 インタビュー

「さらに幅広く、たくさんの人に私の歌を届けたい」

 約2年のオフを経た今年は、ドラマ『リバース』主題歌の「Destiny」にはじまり、同名のオリジナルアルバムに加えて夏には7年ぶりのインターナショナル・アルバムもリリース、そして秋にはフルバンド構成のアニバーサリー・ライブ……。10周年と節目を迎える中、精力的に続けてきた活動について振り返りつつ、長きに渡り支えてくれるファンへの思いや憧れのシンガー、10年で感じた日本の変化からさらなる展望、はては好きな日本語まで、隅々まで答えてもらった。

日本語のMCは“これからも絶対にやる!”

シェネル 10周年記念オールタイムベスト『10th Anniversary ALL TIME BEST』インタビュー

--今年はシングル「Destiny」、オリジナル・アルバム2作『Destiny』『メタモルフォーゼ』とリリースが続きました。それまで約2年ほど休暇をとっていただけに、忙しく感じたのでは?

シェネル:確かにすごく忙しいと感じていて、10月だけで3度も来日しました(笑)。前半はアルバムを仕上げる作業がメインでしたが、後半はプロモーションに入る機会が多くなって、行ったり来たりの毎日ですね。

--また、先日は10周年ツアーも開催しました。僕は川崎公演を拝見させていただいたのですが、「Shadow」が凄くかっこよかったです!

シェネル:ありがとう!楽屋に挨拶しに来てよ!(笑) 今回のツアーは、これまでで最も楽しめているツアーだと思います。今の自分が音楽的にしっくり来る場所でやれていると感じますし、ロサンゼルスから引き連れてきたバンドとできていることもそう。そして今回はクリエイティブ・ディレクターとして夫が演出を担当してくれている。
信頼している人たちと一緒に作り上げられているショーということもあって、非常に楽しめています。公演では学ぶことも多く、素晴らしい経験をさせていただいていますね。公演数は少なかったのですが、本当に内容の濃いライブを作れているので“もっともっとやりたい”という気持ちでいっぱいです。

--今回のツアーはビルボードライブ大阪、ミューザ川崎シンフォニーホール、名古屋ブルーノートと、今までとは規模や雰囲気の違う会場が舞台となっていましたが、パフォーマンスをする上での変化はありましたか?

シェネル:やっぱり会場によってパフォーマンスは変わりますね。ビルボードライブ大阪では客席との距離も近くて、お客さんとより親密な空間のライブができたと思いますし、ミューザ川崎シンフォニーホールでのライブは客電が付かないと1人1人の顔もわからないくらい大きな空間だったから、全員とコミュニケーションを取るのは難しくなりますよね。だから日本語を多く使うMCに挑戦してみたりと、工夫しました。

--日本語のMCは、日本のファンにとってはとても嬉しかったと思います。

シェネル:Good、good! ヨカッター! これは今回新たに取り入れた試みなんですが、まず自分が本当に伝えたいと思うことを英語で書き出して、それからどういう日本語が一番伝わるかをスタッフと一緒に考えて、それを話す練習をしました。時には、スクリーンに言葉を映し出したりもしたんですが、私の言葉にすごく喜んでくれる皆さんの反応を目の当たりにしてとても感動したので、“これからも絶対にやる!”って決めましたね。

なんでこんなに素晴らしい機会をいただけるのか

▲YouTube「映画『今夜、ロマンス劇場で』予告編【主題歌:シェネル「奇跡」】」
▲YouTube「映画『今夜、ロマンス劇場で』予告編【主題歌:シェネル「奇跡」】」

--ちなみに好きな日本語って何かありますか?

シェネル:よく使う日本語は、「おいしー」「お腹すいたー」

--食ばかりですね(笑)。

シェネル:「よろしくお願いしまーす」「緑茶ありますか?」「ゆずサワーありますか?」。やっぱり食に関わることばかりね(笑)。

--ありがとうございます(笑)。さて、川崎ライブのアンコールでも披露した新曲「奇跡」は、映画『今夜、ロマンス劇場で』(綾瀬はるか&坂口健太郎 主演)の主題歌に起用されました。
ドラマ『リバース』主題歌の「Destiny」もそうですが、代表曲の「Happiness」(フジテレビ系ドラマ『ディア・シスター』主題歌)や「ビリーヴ」(映画『BRAVE HEARTS 海猿』主題歌)など、シェネルさんの楽曲は数多くのドラマや映画に起用されています。ご自身の歌が求められる理由は何だと思いますか?

シェネル:みんなによく聞かれる質問なのですが……、自分でも“さっぱりわからない”というのが本音です。いつも“なんでこんなに素晴らしい機会をいただけるのか” “こんなに恵まれているのか”と思いますし、ドラマや映画といった大掛かりな作品に継続してタイアップしていただけるなんて、本当に“?”がたくさん浮かぶほど信じられないです。

もちろん日本の方たちが私の歌を受け入れてくれているということなら嬉しいことですし、私の声で作品に込められた想いなどが上手く伝わると思ってくださっているのなら、それも嬉しい。でも、実際の感覚としては、“え?本当に!? 信じられない!”っていうのが正直なところで、日本語が上手なわけでもない私に、こうやってお仕事をくださるのはもの凄く謙虚な気持ちになりますね。感謝の気持ちでいっぱいです。

でも、だからこそ時々不安になることもあります。けど、これまで凄く頑張ってきた、努力もしてきた“歌う”ということで、このようなお仕事をもらえる幸運を授かって生まれたのかもしれないですし、この世に生まれた以上、歌うことで恩返ししていくしかないのかなと思ってますね。

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流れに身を任せて、自分の音楽を愛してくれるところに行って、しっかり届けていく

シェネル 10周年記念オールタイムベスト『10th Anniversary ALL TIME BEST』インタビュー

--このたびリリースとなるベストアルバム『10th Anniversary ALL TIME BEST』収録曲は、10年の活動を振り返るような楽曲が並んでいます。グローバルな存在であるシェネルさんが日本でもこれだけのキャリアを積んで来られた理由は何だと思いますか?

シェネル:ん……、私もそれをファンに聞いてみたいわ(笑)。 でもその気持ちは本心で、やはり日本での10年間の活動は、私の歌を受け入れてくれるファンの方たちがいてくれてこそだったから。“なぜ愛してくれたのか?” “なぜここまで受け入れてくれるのか?” 私自身、自問自答することも多くて、本当に不思議でしょうがないです。

ただ、どんな人でもその人が辿るべき物語、旅、道というものがあって、たまたま私に与えられた道がこの道だったのでしょうね。今はまだ分からないけど、いつか“このためにこの道を辿ってきたんだ”と分かる日も来るかもしれない。だから今は、“流れに身を任せて、自分の音楽を愛してくれるところに行って、しっかり届けていく”ことに専念しようかなって思っています。本当に感謝しかないですね。

--この10年間で変わった日本の印象はありますか?

シェネル:日本人は規則正しくて、決まり事を大切にするじゃないですか? で、また“食”の話になるんですけど(笑)、最初日本に来た頃はお店で食べ切れなかったものを「お持ち帰りできますか?」と尋ねても、衛生上の問題などの理由で断られることが多かったんです。でも最近は、柔軟に対応してくれるお店も増えてきてるのかな?って。そういった臨機応変さ、柔軟性といったものが社会についてきたのかな?と感じますね。

それが日本の文化が成熟してきたのか、外国人が日本に訪れることが増えたからなのか、逆に海外で柔軟性を身につけて戻ってきた日本人が増えたからなのかは分からないですけど、その変化は目につきましたね。

私の目指すシンガーに、ホイットニー・ヒューストンがいる

シェネル 10周年記念オールタイムベスト『10th Anniversary ALL TIME BEST』インタビュー

--ベストアルバム『10th Anniversary ALL TIME BEST』の収録曲には、バラード曲が多く見られます。ご自身の思う“シェネルの歌うバラードの強み、特徴”を挙げるなら?

シェネル:人の心に訴えかけるソウルを歌うところかなと思います。それを目指してきましたし、多分そうだから皆、好きになってくれるんじゃないでしょうかね。私の目指すシンガーに、ホイットニー・ヒューストンがいるんです。それは技術的にであったり、まったく彼女と同じように歌いたいとかではなくて、子供の頃にホイットニーの歌を聴いて心を強く揺さぶられた。

それで私も、自分の音楽を通して誰かに心の中で何かを感じてほしいという気持ちが生まれたんです。実際、私の歌に対して「あなたの歌を聴くと心が揺さぶられます」といった声を聞いた時は、“あ、自分にも出来てるんだ!”って驚きましたね。

--また本作には「ベイビー・アイラブユー」「シャナナ☆」「ずっと」がEnglish Ver.で収録されています。前回のインタビューで日本語と英語の歌の違いについて、発音と発声法だとおっしゃっていました。個人的にバラードには日本語が適していると思うのですが……

シェネル:うーん、私はそうは思わない。個人差に依るのかなと思いますね。逆に、日本語の速いテンポの曲に関してはどう思うんですか?

--速いテンポの曲は英語詞の方がリズミカルに入ってくるなと感じます。

シェネル:J-POPでもテンポの速い曲はありますよね? そういった曲も英語の方がいいって思うの?

--そうですね。

シェネル:へえ、初めて聞く話だからとても興味深いですね。でも私はそういったところは意識していなくて、英語の感覚で日本語を歌っているのかもしれないですけど、バラードだろうとアップテンポの曲だろうと特に差はない。ちなみに訊きたいんですけど、RAPはどうなの?

--もちろん日本のラッパーも好きですが、聴く割合はUSの方が多いと思います。

シェネル:RAPってアメリカで生まれたものだし、やっぱりそれは英語の方がしっくりくるのかもしれないわね。それにしても面白い考えだわ(笑)。

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新しい挑戦を重ねて人間は成長できる

▲YouTube「シェネル「奇跡」歌詞ビデオ【映画『今夜、ロマンス劇場で』主題歌】」
▲YouTube「シェネル「奇跡」歌詞ビデオ【映画『今夜、ロマンス劇場で』主題歌】」

--少々脱線しましたが、アルバム『Destiny』では“ハイブリッド”、『メタモルフォーゼ』では“進化した姿”を見せてくれました。これは10周年ツアーの歌唱やステージング、構成からも感じたことですが、今のシェネルさんはよりオーセンティックなサウンドを提示していこうとしてるんじゃないかと。

シェネル:その通りですね。オーセンティックであること、そして自分がより音楽に共感できることが自然体の私だと思います。日本で自分の音楽を表現して、受け入れてもらった。それからJ-POPもいくつか挑戦して、それも受け入れてもらった。だから次からは自分の直感を信じて、クリエイティブに反映させて、皆が求めているものとうまくミックスしていく。そうやってできた音楽を発信していく作業は、凄く重要だと感じています。やっぱり皆とは、リアルなものを提供したいという気持ちが強いですね。正解はないので、とりあえず色々と試して、作って、出して、結果を待つ。といったところですけど。

--僕は『メタモルフォーゼ』の収録曲「Scared Of Heights」が個人的に好きで、少ない音数でゆったりとフェードバックしていく楽曲はJ-POPにはあまりなく、挑戦的だなと感じました。

シェネル:とてもシンプルでしょ? やっぱり同じことはやりたくないし、新しい挑戦を重ねて人間は成長できると思うんです。そして、私の新しい挑戦に対してそんな風に言ってもらえたのは、受け入れてくれる余地があることを気付かせてもらえますし、凄く嬉しいですね。

--川崎のライブでもこの曲を披露されていましたが、ライブだと歌手としてのスキルがかなり求められる楽曲だと思いました。

シェネル:良いところばかりを突いてこようとしてるわね!(笑)

--やっぱりまたライブが見たいという気持ちは強くあるのですが、今後の予定は?

シェネル:それは毎晩だって歌いたいですよ(笑)。シンガーならより多くの人に歌を届けていくべきだと私は思ってるので、出来る限りライブはやっていきたいです。ですから、来年に向けては、日本もそうですが世界中でライブを行えるような活動にしばし専念していきたいなと思っています。

さらに幅広く、たくさんの人に私の歌を届けたい

シェネル 10周年記念オールタイムベスト『10th Anniversary ALL TIME BEST』インタビュー

シェネル:夫がクリエティブ・ディレクターなのもあって2人でよく「あんなことや、こんなことが出来たら面白いよね」って話をよくするんです。いつか色々と実現できるのかなって楽しみにしています。

--生バンドを従えたライブの方が、シェネルさんのシンガーとしての魅力を、よりよく伝えられるとも感じています。

シェネル:I love you!(笑) まあそれこそ2年前、自分の音楽を見直そうと思った時に、自分は“生バンドと一緒に歌ったと時こそ一番輝くんだ”と感じていたので、何をやるにしても“絶対ライブ・バンドをつけていきたい”と考えています。それを定着させるために、ミュージックビデオを作る時もバックにちゃんとバンドがいたり、そういったイメージを今後は出していけたらと思っていますね。

--前回の取材で「10年を振り返る中で、自分の思い描いていたゴールが必ずしもその通りではないかもしれないけど、絶対に辿り着けるものなんだと実感した」とおっしゃていました。これから先、シェネルさんが描く夢やゴールとは?

シェネル:さらに幅広く、たくさんの人に私の歌を届けたい。それは日本に限らず、世界各国にもっと広げていきたい。もちろん、だからといって日本に戻ってこないなんてことはしませんけどね。
今はまだ、具体的に次はこういう作品を作るといった予定はないのですが、また“日本のファンに向けて、日本語で歌う”ということであれば、アルバム『Destiny』のように思い入れがしっかりある、且つJ-POPが反映された楽曲を歌っていきたいと思っています。

--ならばぜひ「Scared Of Heights」の日本語Ver.も聴いてみたいですね。

シェネル:ハハハ! 本当にいいアイデアだと思うんで、レーベルの担当に話しますね(笑)。

--ではインタビューは以上となります。ありがとうございました!

シェネル:アリガトウゴザイマシタ! It's a ODEN TIME!(さあ、おでんの時間ね~)

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