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Special

【スペシャル対談】小島麻由美×武藤昭平(勝手にしやがれ)×DUB MASTER X



 独特の歌詞、多様な要素を内包した音楽性で独自の世界観を表現するシンガー・ソングライター、小島麻由美が塚本功、勝手にしやがれメンバー、そしてDUB MASTER Xとともに3月12日にビルボードライブ東京に登場する。この豪華なコラボステージに向け、小島麻由美と武藤昭平、DUB MASTER Xの対談が実現。ステージの最前線に立つシンガー、演奏を支えるドラマー、そしてステージから放たれる音とオーディエンスを結ぶエンジニア、それぞれの視点からみたお互いの印象や考察、そして公演について、たっぷりと語ってもらった。

なんで今までこの組み合わせで出来なかったんだろう?

―小島麻由美さんと勝手にしやがれの出会いは?

小島麻由美(以下、小島):最初に対バンしたのは、10年前ぐらいに恵比寿リキッドルームでやった2マンでしたよね。

武藤昭平(以下、武藤):それからしばらく空いてたけど、勝手にしやがれを現在マネジメントしてくれているスタッフが、小島さんのライヴ制作も手がけていてね。

小島:それで勝手にしやがれの話をまた頻繁に聞くようになったんです。勝手にしやがれには管楽器もいて、音楽性も共通する部分も多いから、何か一緒にできるかなって思って。

―武藤さんは、共演する以前から小島さんの存在については意識されてました?

武藤:もちろん。小島さんは音楽もかっこいいし、ドラムで参加しているASA-CHANGとか個人的にも知ってたから。なので、小島さんの活躍はよく知ってました。

小島:勝手にしやがれとはジャイヴっぽい感じとか音楽的にも通じるところあったし、黒いスーツきた男の人たちがズラっと並んでる佇まいとかいいなって思って。あとは武藤さんの声がいいよね。私にないしゃがれた感じが。

―たしかに小島さんと勝手にしやがれは、共通する感覚はいくつかありますよね。

武藤:そうですね。ジャジーなものでも、ちょっとゲンスブールとかフレンチのほうに寄ったイメージのジャズ。それにガレージなロックンロールっぽい要素もあるし、根本的な部分で似たところがあると思ってました。

―武藤さんはご自身でも作詞・作曲をされていますが、同じソングライターとして小島さんの歌詞について感じる部分は?

武藤:自分とは観点が違うから面白いですよね。こういうテーマをそこから切り取るんだ?みたいな。ちょっと不思議な子かなって雰囲気もあるけど、ただ不思議なだけじゃなくて、肝の据わった説得力もあるんですよね。歌詞を作ることって、仏像でいうと開眼させる行為みたいなもので、楽曲に命を吹き込むためのものと思うんですよね。それをおろそかにすると、せっかくかっこいい曲を作ってもまったく入ってこないものになってしまいそうで怖い。やっぱり歌詞を作ることって、シビアな作業ですよね。

小島:本当、歌詞を作るのが一番時間がかかるんですよね。

武藤:小島さんの曲では、まず「サマータイム」がおしゃれで好き。あと歌詞でいうと「砂漠の向こう」が好きなんですよね。

小島:ありがとうございます!

武藤:「愛を奏でる 星座の女神が降りて来そう」って歌詞があるんですけど、その言葉とメロディと小島さんがふと歌ってる雰囲気から、砂漠の情景が浮かんできて、なんてロマンチックなんだろうって感動しちゃって。

小島:あんまりそうやって褒められないから、うれしいな(笑)。

―2016年7月に〈小島麻由美 with 勝手にしやがれ + 塚本功〉として初のライヴがあって、そのあとフェスへの出演や地方公演などで何度か披露してきました。

武藤:最初にやった時はスケジュールがタイトだったから、曲に入り込むっていうより、まずは覚えなきゃいけないって感じで、結構いっぱいいっぱいでしたよ(笑)。事前にバンドだけでのリハの時間も取れず、小島さんを迎えてのリハで初めて合わせる曲もあったから大丈夫かなと思ったけど、小島さんが楽しそうに歌ってる姿を見て、よかったなって思った。

小島:いや、最初に音を出した時から、本当に素晴らしかったんですよ。なんで今までこの組み合わせで出来なかったんだろう?って思ったぐらい、「セシルカットブルース」とか、CDと同じように管の音がパーンと響いてね。自分がCDで発表してきた曲を、ライヴでもストレートにやったらこういう感じなんだろうなって気付けたというか。もちろん今まで一緒にやってきたミュージシャンたちも、相当個性が強い人たちでそれはそれで最高なんだけど。一回りして、勝手にしやがれとこういう形で一緒にできて面白いですね。

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勝手にしやがれでやってる時が、一番自由に泳いでるような気がする

―DUB MASTER Xさんは、10年近く小島さんのライヴPAを担当されてますよね。今までもいろんな編成で音を作ってこられましたが、勝手にしやがれと小島さんのライヴではどういう違いを感じましたか?

DUB MASTER X(以下、DUB):今までもメンバーが変わったり、バンド構成が変わったりとしてきたけど、小島さんは小島さんじゃないですか?たとえばある組み合わせでやるとすごく自由にできてる曲も、別の組み合わせでやると、本人はもうちょっとイキたいのにイケない歯がゆさを感じてるんだろうなって思う場面ももあったりする。そういう意味では、勝手にしやがれでやってる時が、一番自由に泳いでるような気がするね。

小島:なるほど~。私自身はステージ上だとお客さんの前だし緊張もしてるから、そんなにいろいろ自分で考える余裕はないんだけど、きっと無意識のうちにそう感じてるところはあるのかもしれないですね。勝手にしやがれの場合は、武藤さんはドラマーであると同時に歌う人だから、歌心がわかってるっていうのもあるのかもしれない。

DUB:それぞれの編成の良さがあるんですよ。たとえばASA-CHANGみたいにすごくきっちりしてるドラマーもいれば、ハッチハッチェルみたいに奔放に暴れまわるドラマーもいる。武藤さんがドラム叩いて小島さんが歌う時は、ちょうどその間にいるような印象。歌心がわかってるてのもあるかもしれないし、たとえば「(テンポが)ジャストじゃなくてもいいよね、気持ちいいんだからさ」みたいな、テクニカルな部分とフィーリングの部分のいい塩梅が取れてるのが勝手にしやがれでやってる時かなって感じる。

武藤:俺はもともとドラマーで、勝手にしやがれを組んでから歌うようになったんです。それでヴォーカリストとしてゲストで呼ばれる機会も増えたんですけど、手ぶらでフロントに立って歌う時に、ドラマーがテクニカルで上手でもどうにもノリづらいなって感じる場合もあるんですよね。そういう風にフロントで立って歌う人の気持ちもわかってきたから、歌の合間で無理なことをせずにパッと渡したほうが、小島さんも歌いやすいだろうなっていう、そういう部分なんかは気を遣いますよ。

―オーディエンスの立場からしても、今回のように勝手にしやがれのセットがあって、また別にハッチハッチェルやカジヒデキさんがリズム隊に迎えたガレージパンクみたいにエモーショナルなセットがあって、またASA-CHANGを中心にした美意識がとことん貫かれたようなバンド編成もあったりと、それぞれのバンドサウンドがあまりにも違うんですよね。だから小島さんのライヴは、バックバンドによっての変化を楽しむ面白さもある。

小島:そう!そうなんですよね!

DUB:で、勝手にしやがれは、やっぱりもともとバンドだからいいんだと思う。バンドでしかああいう感覚は出せないから、そこが他の編成との大きな違いなんだろうな。

武藤:勝手にしやがれは、本来のロックバンドならギターでグイグイくるところをホーン・セクションが担ってて、ベース・ドラム・ピアノがリズム隊として支えてる。だけど今回のようにギタリストが入ってるって時点で違う意味合いになってくるから。さらに小島さんの場合は、小島さんが気持ち良く歌えるように塚本さんが引っ張ってるって、僕は捉えてるんです。だから、塚本さんのギターにどうやって勝手にしやがれが寄り添えるかっていうところを、ずっと考えて演奏してる。塚本さんを支えれば、自ずと小島さんも歌いやすくなるはずだって感じでね。

小島:塚本っちゃん、勝手にしやがれとすごく相性いいから、これからも一緒にやればいいんじゃない? って一方的にすすめてるんだけど(笑)。

DUB:塚本っちゃんにしても、きっと楽なんだろうね。自分一人で引っ張っていかなくていいから居心地がいいんだと思うし。それに勝手のメンバーにしても、武藤さんが考えてるようなことを、個人個人が感じて考えてるところもいいんだろうなって思うよね。

武藤:まあ、気心知れたメンバーなんでね(笑)。リーダーの俺が考えてることを受け取って、自分だったらこうしようって図式みたいなものができあがってるんですよね。だから俺が塚本さんの演奏についていくって決めたら、メンバーそれぞれが俺はどうすればいいっていうのがパッとわかってくれる。それは長いこと続けてきたバンドだからこそできることなんでしょうね。

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最上級にゴージャスな小島さんをお客さんにお見せしたい

―これまで何回か行ってきたライヴの中で、印象に残ってる公演は?

武藤:一番最近の名古屋公演(2016年11月)なんかは、すごくいいライヴでしたね。前日までに大阪で2公演終えて、だいぶ慣れてきたというのもあるし、曲を覚えて間違えないようにという枠から、小島さんの曲に入っていく余裕ができた。新幹線で移動中にも小島さんの歌詞をあらためて読み直して、「ここ、もうちょっとパターン変えていいですか?」っていろいろ試してみたりしてね。バンド自体もいい演奏をしようって段階から、もっと深いところまで入り込もうっていうレベルになっていってたから。そういうのもあって、いいライヴになりましたね。

小島:会場の雰囲気や、お客さんの感じもすごくよかったしね。でも、これまでのどのライヴもすごく楽しかった。勝手にしやがれはライヴバンドだから、絶対にリハ以上の良さになるし。人数も多いし、一緒にいてワイワイやってる感じも楽しいんですよね。

―ちなみにライヴ終わりに、打ち上げで親交を深めたりもするんですか?

小島:北海道のフェスに出た時、かなり飲みましたよね。武藤さん、水みたいにお酒飲むからびっくりした!お酒強いよね?

武藤:いやいや、強くないですよ。酒が好きなだけで、酔っ払ってますよ(笑)。まあ、飲んでる時は音楽的な話っていうより、くだらないことで盛り上がることが多いね(笑)。

DUB:この編成で、もっとライヴできればいいよね。小島さんはどの編成もそれぞれに面白いんだけど、今やってる楽曲の雰囲気みたいなものは、勝手にしやがれとの編成が、俺がイメージする小島麻由美に一番近いような気がする。それは見栄えやキャラクターなんかも含めて。小島さんが男どもを従えてる感もいいんだよね(笑)。

―さて、ビルボードライブ東京での公演も3月12日に迫ってきましたが、今回のライヴはどんなものになりそうですか?

小島:大阪と名古屋のライヴもよかったけど、東京はもっともっと楽しいものにしたいですね。

武藤:ビルボードライブ東京の空間で暴れまわる塚本さんのギターと、それを支える勝手にしやがれ(笑)。そこに気持ち良さそうに乗って歌う小島さんをDUB MASTER Xに料理してもらって……最上級にゴージャスな小島さんをお客さんにお見せしたいですね。



▲小島麻由美「Chat blanc」


小島麻由美「GOLD & JIVE ~ SILVER OCEAN」

GOLD & JIVE ~ SILVER OCEAN

2016/08/24 RELEASE
DDCB-12092 ¥ 1,650(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.GOLD & JIVE ~ SILVER OCEAN (小島麻由美 Vocal ver.)
  2. 02.GOLD & JIVE (映画 「ONE PIECE FILM GOLD」 版 Short ver.)
  3. 03.作戦会議 (映画 「ONE PIECE FILM GOLD」 ver.)
  4. 04.作戦会議 (alternate take)
  5. 05.GOLD & JIVE (demo)

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