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ABC 来日記念特集

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 デュラン・デュラン、カルチャー・クラブ、スパンダー・バレエ、ウルトラヴォックス、ヴィサージ、etc。80年代前半にUKで始まり、日本を含めて世界中を席巻することとなったニューロマンティック。このムーヴメントでは次々とスターが誕生し、ヒット曲がチャートを急上昇していった。そんな数あるヒット・ナンバーのなかでも、多くの人の記憶に残る名曲がいくつかある。そのひとつが、ABCの「ルック・オブ・ラブ」だろう。ファンキーなエレクトリック・ビートとソウルフルなヴォーカルによって綴られるカラフルかつクールな世界観は、まさにきらびやかな80年代を象徴する一曲といってもいい。ここ近年はライヴ活動も再開し、2016年の初頭にはビルボードライブでの公演も決定している。近年のエレポップ・ブームの元祖ともいえるABCの軌跡を追ってみたい。
マーティン・フライからのビデオ・メッセージも到着!

ABCのフロントマン、マーティン・フライの来日直前インタビューはコチラ>

Poison Arrow
▲ 「Poison Arrow」 (Live)

 ABCの前身は、Vice Versa(ヴァイス・ヴァーサ)というエレクトロ・パンク・グループだ。ステファン・シングルトンとマーク・ホワイトを中心として、1977年に英国のシェフィールドで結成された。最初のライヴは、地元におけるワイヤーのオープニング・アクトだったそうだ。自身のレーベルを立ち上げるなど、着実にステップアップしていたヴァイス・ヴァーサ。そして、彼らを「Modern Drugs」というファンジンで取材するために現れたインタビュアーが、マーティン・フライである。ほどなく、マーティンはヴァイス・ヴァーサのメンバーとなり、グループ名がABCとなったのは1980年のことである。

The Look Of Love
▲ 「The Look Of Love」 MV

 1981年に入ると、ABCは初のシングル「Tears Are Not Enough / 涙まだまだ」を発表。アグレッシヴなデジタル・ビートに乗せたエレポップは一躍人気となり、全英で19位にまで上昇した。その勢いでアルバムのレコーディングに取りかかる。プロデューサーを務めることになったのは、バグルスとして「ラジオスターの悲劇」を大ヒットさせていたトレヴァー・ホーン。1982年の2月に先行シングル「Poison Arrow / ポイズン・アロウ」をリリースすると、全英チャートで6位、米ビルボードのHot 100でも25位にランクインするほどの大ヒットとなった。そして、同年5月にリリースした「The Look Of Love / ルック・オブ・ラブ」が決定打となる。全英では4位、米ビルボードのHot 100では18位、そして米ビルボードのHot Dance Club Playでは堂々の1位に輝いた。

CD
▲『ルック・オブ・ラブ』

 不動の地位を築くのは、その直後に発表されたファースト・アルバム『The Lexicon of Love / ルック・オブ・ラブ』によって。マーティン・フライのダンディな雰囲気をまとったヴォーカル・スタイルや、エレクトロ・ポップとファンクが合体した独特のサウンド、そしてトレヴァー・ホーン特有のシンセ使いなどが個性となり、他のニューロマンティック勢にはないアダルトな雰囲気を醸し出していた。どちらかといえば、デヴィッド・ボウイやブライアン・フェリーに通じる渋さも兼ね備えていたといってもいいだろう。本作は全英で見事1位を獲得。米ビルボードのアルバム・チャートも24位と健闘。他にも、フィンランドやニュージーランドなどで首位に到達するなど、世界中でABCのサウンドが席巻した。また、ここからシングル・カットされた「我が心のすべてを / All Of My Heart」も全英で5位を記録。日本では、「Valentine's Day / バレンタイン・デイ」がホンダのスクーターのCMに使用されて話題を呼んだ。

That Was Then And This Is Now
▲ 「That Was Then And This Is Now」 (Live)

 1983年には、早くもセカンド・アルバム『Beauty Stab / ビューティ・スタッブ』を発表。前作でエンジニアを務め、後にトレヴァー・ホーンと<ZTTレコーズ>を立ち上げることになるゲイリー・ランガンがプロデュースを担当。リズム・セクションには、ロキシー・ミュージックのツアー・メンバーだったアラン・スペナー(ベース)とアンディ・ニューマーク(ドラムス)が参加する。サウンドのスケール感は変わらなかったが、エレポップというよりもギターを前面に押し出すことで、よりバンドっぽさが表出。しかし、その変化が早すぎたためか、全英では12位を記録したものの、世界的には前作を超えるヒットには結びつかなかった。とはいえ「That Was Then And This Is Now / そして今は…」や「S.O.S.」といった佳曲を残している。

Be Near Me
▲ 「Be Near Me」 MV

 1984年にはステファン・シングルトンが脱退し、新メンバーを入れてマイナー・チェンジ。翌1985年には、サード・アルバム『How To Be A... Zillionaire! / ハウ・トゥ・ビー・ア・ジリオネアー』をリリースする。先行シングル「(How To Be A) Millionaire / ハウ・トウ・ビー・ア・ミリオネア」は、米ビルボードのHot Dance Club Playでは4位にまで急浮上。続く「Be Near Me / ビー・ニア・ミー」は、同チャートで1位を記録。Hot 100でも20位まで上昇し、再びABCが世界的に注目を集めるきっかけとなった。

When Smokey Sings
▲ 「When Smokey Sings」 MV

 1987年にマーティン・フライとマーク・ホワイトの2人組となったABCは、4作目のアルバム『Alphabet City / アルファベット・シティ』を発表。モータウンやノーザン・ソウルのエッセンスを取り入れ、さらにソウルフルになった彼らは、スモーキー・ロビンソンに捧げた先行シングル「When Smokey Sings / ホエン・スモーキー・シングス」が全英で11位、米ビルボードのHot 100では5位を記録。米国においては最高位に達しただけでなく、ABCが一発屋でないことをしっかりとアピールすることができた。その後も、ハウスを取り入れた実験作『Up』(1989年)、ソウルやフュージョンの色を出した『Abracadabra』(1991年)とコンスタントにリリースを続けるが、マーク・ホワイトが引退を表明したため、活動休止を余儀なくされる。

 ABCがマーティン・フライのソロ・プロジェクトとして復活したのは、1997年になってから。往年のグラム・ロックやニュー・ウェイヴへのオマージュのようなアルバム『Skyscraping / スカイスクレイピング』を発表。いわば原点回帰のようでもある今作で、見事カムバックを果たした。また、2008年には『ルック・オブ・ラブ』に参加していたドラマーのデヴィッド・パーマーを招いて、新作『Traffic / トラフィック』をリリース。現役ぶりをアピールしてくれた。ずいぶん寡作にはなってしまったが、マーティン・フライのABCは今も精力的にライヴ活動を続けている。もちろん、彼のソウルフルな歌声は健在。「ルック・オブ・ラブ」や「ビー・ニア・ミー」、「ホエン・スモーキー・シングス」といった名曲とともにビルボードライブのステージにやってくる。新年早々、ABCのきらびやかな世界に浸ることができれば、幸先のいい一年となるに違いない。

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ABC「ルック・オブ・ラヴ」

ルック・オブ・ラヴ

2015/11/04 RELEASE
UICY-77560 ¥ 1,320(税込)

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Disc01
  1. 01.ショウ・ミー
  2. 02.ポイズン・アロウ
  3. 03.メニー・ハッピー・リターンズ
  4. 04.涙まだまだ
  5. 05.バレンタイン・デイ
  6. 06.ルック・オブ・ラヴ (パート1)
  7. 07.デイト・スタンプ
  8. 08.我が心のすべてを
  9. 09.4エバー2ギャザー
  10. 10.ルック・オブ・ラヴ (パート4)

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