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2018/02/20

オルタナ・ロック風の新感覚のサウンドとへヴィな内容が絡み合う1曲 / 「ユー・オウ・ミー」ザ・チェインスモーカーズ(Song Review)

 1月17日にリリースした2018年第一弾シングル「シック・ボーイ」に続き、早くも第二弾シングル「ユー・オウ・ミー」を2月16日に発表したザ・チェインスモーカーズ。2017年も、1月に「パリ」、2月にコールドプレイとのコラボ・ソング「サムシング・ジャスト・ライク・ディス」の2曲を連続リリースし、2作連続で全米/全英チャートTOP10入りを果たした。「サムシング・ジャスト・ライク・ディス」は、同年の年間ソング・チャート(HOT100)で5位にランクインする大ヒットを記録している。

 今年も引き続き彼らの活躍が止まらない……と言いたいところだが、前シングル「シック・ボーイ」は現時点で全米65位、全英でも36位と勢いふるわず、ミュージック・ビデオの視聴回数も若干伸び悩んでいる。同曲は、これまでのヒット・シングルとはタイプの違う、内容・サウンド共に重い内容で、万人受けしなかったことが大ヒットに至らなかった原因、かと思われる。

 新曲「ユー・オウ・ミー」も、その続編ともいえるヘヴィな作品。メディアの取り上げ方に「自分たちが稼がせてやっている」と上から避難し、そのせいで澱み心を失ったと、“病んでいる”様を恨み節にっている。さらに、「自分が死んだら借りが出来たってことだから」と、怨念にまみれた遺書のようなフレーズもあり、気が気でない。それを、あの美しい顔で無感情に淡々と歌うアンドリュー・タガートも、ある意味怖い。

 彼らの代名詞であるEDM要素はほぼなく、オルタナティブ・ロックのような新感覚のサウンドに、SNSやコメント欄には「トゥエンティ・ワン・パイロッツのパクリか?」などと揶揄するものもあるが、彼らの音に似ているかどうかは別として、楽曲自体の完成度は高い。また、ジャンルやタイプは違えど、キャッチーな“チェインスモーカーズ節”は健在。「シック・ボーイ」もそうだったが、フィーチャリング・アーティストに頼らない姿勢にも好感が持てる。

 同日に公開されたミュージック・ビデオは、ザ・チェインスモーカーズの他にもアヴィーチーやジャスティン・ビーバーなどの人気シンガーの作品を手掛けてきた、フィルムメイカーのローリー・クレイマーが担当。ディナーに招いた客を、モンスター(ドラキュラ?)化した彼らが次々と噛み殺していくという、かなりエグい内容で、これが彼らのいう「作った借りを返してもらう」という意味なのかもしれない。テイラー・スウィフトの新作『レピュテーション』にインスパイアされたか……(?)。

 「シック・ボーイ」に引き続き、メンバーのアンドリュー・タガートとアレックス・ポール、女性シンガー・ソングライターのエミリー・ウォーレンに加え、ニュージーランド出身のシンセポップ・アーティスト=チェルシー・ジェイドが楽曲を制作。プロデュースも、ザ・チェインスモーカーズとカナダ出身のDJ/プロデューサー、ショーン・フランクが担当している。2曲が収録される予定の新作も、彼らを中心に楽曲が制作されるのかもしれない。メディアの批判やヒット云々は気にせず、一曲一曲に納得させられる充実度の高いアルバムになれば、それで良いと思う。「ユー・オウ・ミー」で言いたいことは、そういうことではないだろうか。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
「ユー・オウ・ミー」
ザ・チェインスモーカーズ
2018/2/16 RELEASE

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